フロッガー3D

【ふろっがーすりーでぃー】

ジャンル カエルアクション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
開発元 アルファ・ユニット
発売日 2011年9月22日
定価 3,980円(税5%込)
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 3個、オートセーブ方式
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
バカゲー


概要

1981年にアーケードで稼働した障害物を避けながらカエルをゴールまで導くアクションゲーム『フロッガー』の30周年記念作品。
アーケード版を再現したモードの他、オリジナルのモードも追加されている。

プロモーションムービーやゲーム内のアートワークを見るといかにも洋ゲーな雰囲気が漂うが、開発したのは『リズム DE ラン♪ ラン♪ ラン♪』などを手がけたアルファ・ユニット。れっきとした日本の会社である。


ゲームモード

  • シングル
    • 障害物を避けながらカエルをゴールまで導く、このゲームのメインとなるモード。詳しいルールは後述。
  • マルチ
    • 4人までの対戦が可能。人数分の3DS及びゲームカードが必要。ステージ内にある鍵を奪い合いながらゴールを目指す。
      鍵を取った回数、ゴールした回数、ゴールしたときに持っていたコインの数で得点が決まり、最も多いカエルが勝者。
  • チャレンジ
    • シングルのワールド6までのステージを全てクリアすることで登場する上級者向けゲーム。
      厳しい制限時間の中、ステージ内の時計を5つ全て集めるのが目的。時計を取る毎に制限時間が少しだけ回復する。
  • フォーエバー
    • 初代フロッガーのゴールを取り払い、どこまで進めるかを競う。1回ミスしたら即ゲームオーバー。
      ハイスコアを更新したら記録とゴーストをすれちがい通信を介して他のプレイヤーと受け渡しできる。
  • この他、すれちがい通信設定やセーブデータ管理などのオプションメニューがある。

シングル概説

  • 基本ルール
    • 十字ボタンで前後左右に移動する。足跡のあるところでは壁をよじ登ることができ、登りきってから移動するとスーパージャンプをして矢印で示された着地点まで一気に飛ぶことができる。
    • 通常ステージでは3回ゴールするとステージクリア。各ワールドの最後にあるボスステージでは1回のゴールでクリアとなる。
      • 分岐のある手前のステージにはアナザーゴールもあり、こちらは入るとその時点でステージクリアとなる。
    • 時間切れになる、車などの障害物にぶつかる、天敵に捕まる、川や地面の穴などに落ちてしまう、何かに乗ったままステージ外まで出て行ってしまうなどの条件でミスとなり、同じステージで3回ミスするとゲームオーバー。ただし、ゲームオーバーになってもそのステージの最初からやり直しになるだけで、リトライは何度でもできる。
      • コイン(後述)を払ってフリーモードや時間無制限モードをアンロックすることもできる。フリーモードでは何回ミスしてもゲームオーバーにならないが、時間無制限をアンロックしていない場合は時間切れになるとゲームオーバーとなる。
    • ステージクリアするとミス回数によって金、銀、銅のメダルが与えられる。また、次のステージがアンロックされる。
      • アナザーゴールのあるステージでは、通常クリアで分岐の上側のステージが、アナザーゴールで分岐の下側のステージがアンロックされる。
  • コイン
    • ボスステージ以外では1回ゴールするとステージ上にコインが出現する。取ったコインはステージをクリアすると精算される。
      • コインはフリーモードや時間無制限をアンロックする(各1000枚)他、苦手なステージを飛ばして先のステージをアンロックするために使うことができる。持てる枚数は最大9999枚。
  • アチーブメント
    • カエルがステージ内で取った行動によって得られる実績システム。獲得した瞬間、拍手とともに上画面の下部にアチーブメント名が表示される。ステージクリア時、1つにつきコイン1枚を得られる。
      • ミスすることが獲得条件となっているものも多数あるが、獲得してもステージクリアしないと記録されない点には注意。
      • 全227種類あり、20種類獲得する毎にコンセプトアートが1枚アンロックされる。このゲームにおける収集要素の一つで、獲得難易度もピンキリ。中には笑えるネーミングもある。
+ アチーブメントの一例
  • 「ゴール!」通常ステージでゴールに到達すれば獲得。
  • 「飛び出し注意!」普通の自動車に轢かれたら獲得。轢かれる乗り物によってアチーブメント名が異なる。
  • 「カエルなのに泳げない!」カエルが水に落ちたら獲得。*1
  • 「はじめての横断!」最初のステージで道路を渡りきったら獲得。
  • 「チェリー!」スロットマシンがあるステージでチェリーの絵柄を揃えたら獲得。
  • フレンズ
    • 特定のステージではカエルを手助けする4匹のフレンズが登場する。
+ フレンズ一覧
  • アイアンフロッグ:鉄のカエル。頑丈な体を活かして車などを壊して回ることができる。上からの障害物には無力。
  • ボアフロッグ:食いしん坊のカエル。近くに食べ物があると勝手に飛びついて食べてしまう。*2近道を切り開く役を担うことが多い。
  • ビッグフロッグ:4倍サイズの大きいカエル。天敵のヘビを踏みつぶして回ったり、もろい障害物を壊したりできる。
  • ルミナスフロッグ:光のカエル。暗いところで明るく光る他、意外な活躍を見せる。
  • 全6ワールド、60ステージ構成。各ワールドのボスステージをクリアすれば次のワールドに進める。ワールド6のボスステージをクリアすればエンディングとなる。
+ ワールド紹介
  • ワールド1:1981 Hometown(全6ステージ)
    • 最初のワールド。車などの障害物を避けながらゴールに向かうという基本が学べる。
  • ワールド2:1983 New York City(全9ステージ)
    • 高層ビルの立ち並ぶニューヨークを進む。カエルの天敵も初登場。
  • ワールド3:1987 Casino(全11ステージ)
    • スロット、ルーレットなどカジノならではの仕掛けが多い。
  • ワールド4:1990 Military Island(全11ステージ)
    • とある戦場が舞台。銃弾や地雷などをかいくぐってゴールを目指す。
  • ワールド5:1995 Far East(全11ステージ)
    • 神社や回転寿司店など、日本をイメージした世界。
  • ワールド6:XXXX Pseudo Dimension(全12ステージ)
    • 地球を飛び出す。最終ワールドらしく、プレイヤーをあっと驚かせる仕掛けが多い。
  • ワールド6をクリアしてエンディングを迎えると、カエルの移動速度や仕掛けが速くなったエキストラワールド(ワールド7~12)が出現する。ワールド名は同じだが、その前の年代も変わっている。
    • ワールド12をクリアすると、フォーエバーモードのエキストラがアンロックされる。

おバカな点

些細なことでカエルはよく死んでしまうが、その死に様も多種多様で、インパクトが大きいものや笑えるものもある。

+ カエルの死に様の一例
  • 自動車に轢かれる
  • 天敵の餌食になる
  • 巨大トレーラーにはね飛ばされる*3
  • 交通事故の巻き添えを受ける
  • 機銃やミサイルに撃たれる
  • 空から降ってくる鉄骨の下敷きになる
  • 鋭いトランプで体を真っ二つにされる
  • 禅寺で使われる警策でしばかれる*4
  • ステージの演出もコミカルで、ついツッコミを入れたくなる場面が多い。
  • それは最初のワールド1から全開である。
+ 最初からこんな調子
  • 最初のステージ、1-1ではステージ開始後しばらくしたら交差点で交通事故が発生するのだが、その片付け方が4車線分もの車幅がある巨大トレーラーが事故った車を次々はね飛ばしてしまう、というむちゃくちゃなもの。
  • ワールド1のボスは何とオープニングムービーに出てきた巨大トレーラー。いくら何でもカエルが巨大トレーラーに勝つわけが…と思いきや、ある方法によって本当に勝つのである。
  • ワールド3では車に混じってリムジンが走っているが、中には車長が窓10枚分以上もあるとんでもない長さのリムジンが走っている。
  • ワールド4の軍隊がいろんな意味でおバカ。
+ 軍隊のおバカぶり
  • 暗闇のステージでスポットライトの光を頼りに進む。しかし光に照らされ続けると同社のステルスアクションゲームのように警報が鳴り響き、逃げないと機銃で撃たれてミスになる。
  • 手榴弾が飛び交う戦場ではカエルのいる位置を狙って手榴弾が投げ込まれる。
  • 高度数千メートルを飛ぶ戦闘機の上をミサイルをかいくぐりながら進む。戦闘機から戦闘機へ大ジャンプするステージも。
  • ボスステージでは地面のあちこちに地雷が埋設されているわ、戦闘ヘリが機銃でカエルを正確に狙ってくるわと、訓練という名目*5で無抵抗なカエルを本気で殺しにかかってくる。
  • たかが一匹のカエルに対してここまで本気になる軍隊をおバカ(褒め言葉)と言わずして何なのだろうか。
  • これらのおバカ要素に彩りを添えるのがアチーブメント。ネーミングもさることながら、ミスしたときでさえいちいち拍手される点もそのおバカぶりに拍車をかける。

評価点

  • 操作が単純明快。
    • このゲームでカエルの移動に使うのは本当に十字ボタンだけである。下画面をタッチする要素も無ければスライドパッドを使うことも無い。一部のボタンは項目の選択やキャンセル、ポーズのために使う。
  • ステージ内外での演出が迫力満点。
    • オープニングムービーで道幅一杯のトレーラーが看板などを次々跳ね飛ばしながら迫ってくる様、交通事故が起きたときの車の壊れ方、手榴弾の爆発、迫り来る巨大怪獣など、見どころは多い。3D表示をオンにするとさらに迫力のある演出が楽しめる。
    • ゲームを起動させたときにオープニングゲームとして初代フロッガーが少しだけ遊べたり*6、ステージ名の年代が初代フロッガーが稼働し始めた1981年から始まったりなど、30周年を意識した演出もある。
  • ボリュームが非常に多い。
    • 1人プレイ用であるシングルの表面だけで60ステージ。さらにエキストラワールドとチャレンジがそれぞれ同数あるので、合計180ステージ。
    • これに加え、対戦のマルチ、無限フロッガーのフォーエバーもあり、アチーブメントの収集もある。3980円にしては相当のボリュームである。
    • これだけステージ数も多いのに、ステージギミックの使い回しはほとんど無く、常に新鮮な気持ちで遊べる。
    • ボスステージも単にゴールを目指すものから巨大な敵に立ち向かうものまで様々。音楽との相乗効果で非常に熱い戦いになる。
  • 初心者から上級者まで楽しめる設計になっていること。
    • アクションゲームが苦手な初心者向けに、ステージ内で手に入るコインを使ったサポートのシステムが完備している。
      • 普通は前のステージをクリアしないと次のステージがアンロックされないが、どうしてもクリアできないステージがあれば、コインを支払って先のステージをアンロックし、苦手なステージを飛ばすことができる。ただし、ボスステージだけは飛ばせない。
      • さらにコインを合計2000枚貯める必要があるものの、フリーモードと時間無制限をアンロックしてしまえば何度ミスしてもゲームオーバーにはならない。アチーブメントのコンプリートを目指すならば簡単なステージを繰り返しクリアしてコインを貯め、両方アンロックしておきたい。
    • 一方で、上級者も満足できる要素として、エキストラワールドやチャレンジ、さらにはアチーブメントの収集が挙げられる。
      • エキストラワールドはワールド1~6と全く同じ仕掛けだが、前述の通りカエルや障害物などの移動速度が速くなっている。
      • チャレンジは短い制限時間で5つの時計を集めるというものだが、進むルートを熟慮したりボスに無駄なくダメージを与えたりしなければならないので、かなり歯ごたえがある。当然ながら、フリーモードや時間無制限は無効になっている。
      • アチーブメントの収集もあらゆるステージで試行錯誤しながら集めていくことになるので、コンプリートを目指すのも一種のやり込みプレイと言える。
  • 思わず夢中になるフォーエバーモード。
    • グラフィックは1981年の初代稼働時のままで、懐かしさを感じる人もいるだろう。オープニングゲームではイントロの部分しか流れなかった『犬のおまわりさん』も最後まで流れる。
    • すれちがい通信で記録やゴーストをやりとりできるため、他のプレイヤーと競争ができる。もちろんゴーストをオフにして1人で黙々と記録に挑むことも可能。
  • ゲーム内のイラストや音楽が素晴らしい。
    • 10枚あるコンセプトアートはこのゲームの特徴をよく表している。3D表示をオンにするとカエルなどが飛び出して見えるこだわりぶり。
    • 音楽もボスステージやワールド6のBGMなど聞き応えがあるものが多い。サウンドテストが無いことが少々悔やまれるほどである。

賛否両論点

  • ステージギミックの使い回しがほとんど無いことの裏返しになるが、初めてのステージでは初見殺しの仕掛けに引っかかりやすいため、根気よくプレイしてステージの仕掛けの特徴を覚える必要がある。
    • ただし、一見ランダムに見えるものでも何らかの法則があったり、ギミック発生の予告が出たりするようになっており、それに気づけるか否かが大きなポイントとなる。
      • 例えば1-1では交差点で交通事故が発生する前に信号が狂い出すという前兆があるため、それを把握した上で発生のサインを見逃さないよう注意していればミスせずに済む。
    • どうしてもクリアできないステージはフリーモードと時間無制限をアンロックするか、コインを支払って先のステージをアンロックするという対処法もある。

問題点

  • 数秒のロード時間が頻繁に入る。
    • ゲームオーバー時やポーズメニューからやり直しをするときの他、メニューに戻るときもロードが入る。この数秒のロード時間が長く感じられることも多い。
  • フォーエバーモードでポーズがかけられない。
    • 一応3DS本体を閉めればポーズの代わりにはなるが、任意のタイミングでポーズがかけられないので中断し辛い。
  • チャレンジの一部ステージがシングルに比べて難易度が大幅に高くなっている。
    • 制限時間が非常に短いため、タイミングを取れないまま時間切れとなってしまうことも多い。また、一部のステージは運にも左右されやすい。
    • また、チャレンジの仕様上、ミスすると最初からやり直しになってしまうので、一度でもミスしたらポーズをかけて最初からやり直した方がいい場合もある。
      • チャレンジでもボスステージでない限りコインで先のステージをアンロックできるので上手く使いたい。
  • 一部アチーブメントの取得条件が非常にわかりにくい。
    • 特定のステージで特定の行動をしなければならないものが多く、普通にプレイしていたら全く気がつかないものすらある。
    • 獲得していないアチーブメントはどのステージで獲得できるかをオプションメニューで確認できるが、後半のものは「5-?」「?-?」というようにステージが伏せられている。
    • 全227種類のアチーブメントをコンプリートするのは至難の業なので、コンセプトアートがアチーブメント200種類で全てアンロックできるようになっているのは救いである。

総評

十字ボタンだけ、という単純な操作でありながら、今の時代に合わせたスタイルで長く楽しめるように程よくアレンジし、フロッガー30周年に相応しい歯ごたえ満点のアクションゲームに仕上がっている。
古い時代のアクションゲームをモチーフとしているだけにそれなりの根気が求められるのは確かだが、なかなかクリアできなかったステージがクリアできるようになれば大きな達成感を得られるだろう。
初心者でも頑張ればエンディングにたどり着けるし、それで満足できない上級者は難易度の高いエキストラワールドやチャレンジモードで腕試しができる。さらにフォーエバーモードで自分やライバルの記録に挑戦も可能……と、まさに古き良きアーケードゲームの長所を受け継いだ一作である。
また、あちこちのステージに散りばめられたおバカ要素や派手な演出の数々も彩りを添えており、ゲーム性・演出の両面で決して飽きさせない、実に楽しい一品となっている。

昔ながらのフロッガーファンもそうでない人も是非とも手にとって頂きたいと断言できる、3DS初期の良作タイトルである。


余談

  • 出荷数が少なかったからか、2017年9月現在、発売元であるコナミの公式ショップ「KONAMISTYLE」では取り扱いが無く、ニンテンドーeショップでの配信も無い。さらに中古ゲームを扱う店でも見つけることは難しく、アマゾンでも新品はプレミア価格がつくほどの品薄状態である。
  • 本作から約8年後である2019年9月20日にて、最新作である「Frogger in Toy Town」がApple Arcadeに向けて配信開始された。
最終更新:2024年05月08日 10:33

*1 原作のフロッガーでも水に落ちたらミス。

*2 何と手榴弾まで食べてしまう。

*3 画面手前にはね飛ばされ、画面にひびが入る。

*4 獲得できるアチーブメントも「喝!」。

*5 戦闘ヘリを撃ち落とすと獲得できるアチーブメント参照

*6 2回目以降はスキップ可能