熱血格闘伝説

【ねっけつかくとうでんせつ】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 テクノスジャパン
発売日 1992年12月23日
定価 6,500円(税別)
判定 なし
ポイント オリジナル主人公
シリーズの中でも異端作
くにおくんシリーズリンク


概要

ファミコンにおける『くにおくんシリーズ』の第九作にあたる作品。
それまでくにおくんといえば「ダウンタウンシリーズ」「熱血硬派シリーズ」「スポーツシリーズ」といったくくりで発売される事が多かったが
本作はいずれにも属さず、その名の通り、くにお達がその身一つで格闘大会を勝ち抜いていく硬派なストーリーとなっている。
また、主人公はくにおではなく、プレイヤー自身の分身(エディットキャラ)である事が大きな特徴となっている。

ストーリー

ある日、くにおが部活をサボって帰ろうとしたとき、自分の下足箱に何やら手紙が入っている事に気が付く。
女の子からかと期待したが、手紙はサーベルタイガーという二人組が出した格闘大会の招待状だった。
「君は日本一強い高校生を決める大会に出場する権利を得た。同時に棄権する権利も与える。逃げるような奴に用はない、本当に強い男達だけで戦いは繰り広げられるのだ!」
この挑戦状に対し、くにおは「俺に挑戦してくるとはいい度胸じゃねえか!ふざけるな!やってやるぜ!」と熱血高校を飛び出すのだった。
ちょうど、ヒマなので遊びに来たりきはくにおが落としていった挑戦状を拾って「俺の所に来たのと同じ奴じゃねえか…仕方ないから一緒に行ってやるか」と出場を決めるのだった。
そして、この招待状と同じものがプレイヤーであるあなたの元にも届いたのだった。

特長

  • 「ストーリーモード」と「バトルモード」が存在し、ストーリーモードは2対2のタッグ戦、バトルモードは4人によるバトルロイヤルとなる。
  • ストーリーモードの主人公はプレイヤー自身となる。ゲームを始めると名前、誕生日、血液型の入力を求められ、これらを基に自動的にタイプ、必殺技、パラメーターのバランスなどが決定される。
    • 以降はステータス画面に表示されるパスワードによってキャラの情報を保存できる。新たにゲームをやり直したり対戦モードに使用する事が出来る。
  • プレイヤーのキャラを決定し終えると続いてパートナーの選択となる。プレイヤーと同様に新たにエディットキャラを作ってもいいし、くにお達デフォルトのキャラを相棒にしてもいい。
    • ストーリー上では「くにお」と「りき」がチームを組んでいるが、プレイヤーが彼らと組んでしまう事も出来る。その場合、選ばれなかったキャラは別の代替えキャラとチームを組む。
  • そして、チームが出来上がるとそれぞれ出場者の総当たり戦が行われ、勝敗によって順位が変動する他、キャラクターのレベルが上昇してステータスがアップする。
    • ストーリーモードではこの総当たり戦を繰り返して15戦以上戦い、20戦を終えるまでに1位を確定する目標となる。
  • 試合ごとに試合場が変わっていく。場所によっては地雷が埋められていたり、電流やトゲトラップなどのギミックが存在する。
  • 試合には5つのルールが存在し、相手チームを全滅させるか指定したルールを成立させると勝利となる。
    • ルール1、コンビ技を10回ヒットさせれば勝ち
    • ルール2、地形ダメージを10回与えると勝ち。シリーズでは恒例の地雷や、電流、トゲなどが該当する。
    • ルール3、ある技(命中させると音が鳴る)を10回ヒットさせれば勝ち
    • ルール4、一定時間ノーダメージなら勝ち
    • ルール5、ルールを用いない、どちらが全滅するまでのデスマッチ
  • 優勝できなかった場合はその時点のパスワードを取って終了となる。レベルは継続される為、最初のプレイに比べると有利な状態でプレイ可能。

キャラタイプとアクション

  • 出場するキャラのタイプは4タイプ。
    • バランス型の「格闘家」、プロレス技も得意(くにお)
    • パンチが強い「マーシャルアーツ」(りき)
    • 蹴り技の出が早くて連続で攻撃を決めやすく、リーチもに優れる「カンフー」
    • パンチ、キックの隙は多いが投げ技が非常に強い「柔道家」
  • それぞれのタイプでアクションの性能が全く異なる他、必殺技は個々のキャラに紐づけられている為、隙が多い柔道家にマッハキックがつくと非常に使いやすくなるといった個性が出てくる。
    • アクションゲームとしては前作となる『時代劇』よりもさらに格闘アクションに特化したつくりとなっており、パンチ(キック)によるコンボ攻撃、ダッシュ攻撃、組投げ、羽交い締め投げ等のアクションが追加された。
  • ストーリーモードの場合はパートナーと「コンビ技」を使用する事が可能。互いに接触*1する事でライフゲージの下にあるメーターが動き出し、成功エリア内に止める事でコンビ技を出す事が出来る。CPUがパートナーの場合はボタンを押し続ける事で呼び寄せて行う。
    • コンビ技は終了するまでは無敵*2だが、「パートナーレベル」が影響し、レベルが高くなるほど威力も大きくなり、相手を自動追尾するといった強力な効果を持つ。
      • パートナーレベルは時間の経過で上昇するが、パートナーに攻撃を当てると下がってしまう。なので2対2で入り乱れて戦うこのゲームでは少しの操作ミスでみるみるうちに下がっていく事もしばしば。
      • 特にCPUをパートナーにしている場合、パートナーレベルが低くなるとこちらを殴ってくる事が増える。下手を撃てば自分以外の全てが敵になりうることもある。
    • また、パートナーには相性が存在し、相性が悪いとレベルの上昇速度が遅く、さらにはコンビ技の際のメーターの速度が異様に早くなり、まず成功させる事が出来なくなる。逆に相性が良いとメーターがゆっくり動くので成功させやすい*3
      先述の通り、コンビ技は性能が高く、ルールによっては勝利条件にもなる為、勝つためにはパートナー選びも重要な要素である。キャラ同士の相性の良さは着ている衣装の色で識別が可能。
    • 試合中にキャラの体力がなくなって脱落するとアイテムに変化する。食べ物といった回復アイテムだったり、パラメーターが伸びたり、死んだキャラが復活するカプセルだったり、ルールの変更が行われるといった様々な効果を持つ。
      • ほとんどはプレーヤーに利益のあるアイテムだが、中にはキノコの様な体力回復か体力ダウンか取ってみないと分からないアイテムもあったりする。

評価点

  • シリーズとしては初めてプレイヤーを主人公にする事が出来る点
    • 個性的なキャラが多いシリーズの中に自分の名前を付けたキャラを登場させる事が出来、くにお達と一緒に暴れまわる事が出来るというのは中々楽しいものがある。
    • バトルモードもそれぞれパスワードを入れる事で自キャラを戦わす事が出来る。『運動会』の「勝ち抜き格闘」のように最大4人が入り乱れてバトルする為、パーティゲームとしても盛り上がれる。
    • くにおとりきの強さを身をもって体感できるのも珍しい点。この二人のチームはCPUに回すとほぼ勝ち抜くために優勝の大きな壁となる。
    • キャラのタイプ及び必殺技の組み合わせによってアクションやパラメータが大きく変わる為、無限に近い数のキャラでプレイする事が出来る。
      • 自身の分身ではなく、ひたすら強いキャラを探すといった楽しみ方も可能。
  • 様々なギミックの上で行う対戦
    • 発電所、冷凍庫、地雷原、水流など多くのギミックが存在する。特に「ルール2」を指定している場合は積極的に地形ダメージを狙う事で格上の相手にも逆転勝ちが見えてくる。

問題点

  • キャラの格差
    • エディットキャラだが全ての能力が自動で決められる為、キャラメイクの自由度は0に等しい。人によっては自分の名前や誕生日を設定したキャラがとんでもなく弱くなることもある。
      • とくに問題となるのは誕生日で決まる必殺技。強力な技ばかりが揃えばいいが、ヘタをうつと使い辛い技ばかりの雑魚キャラになってしまう。
      • 必殺技では着地時に猛烈な勢いで突進する「バクレツキック」が強すぎる(高威力かつ命中時のヒットバックが無いので画面端でハメれる等)為、これを覚えているキャラでプレイするとかなり難易度が下がる。
      • 一方で、「トルネードアタック(ダッシュジャンプキックヒット時に前後の入力)」等、あってないような技も存在し、果てには「ナシ」になる事もしばしば…誕生日によっては「トルネードアタック」のみという悲惨なキャラになる事も。もちろん、必殺技が無い分ステータスが高くなるといった補正はない。
      • レベルアップによって技が増える事は無いため、誕生日の時点で大きな格差が生まれてしまう。
    • 加えてパラメーターや格闘スタイルを自由にカスタマイズする事も出来ず、だいたいの名前だと何故か柔道家になりやすい*4。プレイヤーが出来る事はレベルアップしてステータスを伸ばすだけと成長の自由度も低い。
      • 先述の通りパートナーとの相性も難易度に大きくかかわる為、優勝するには相当苦労する組み合わせも出てくる。
  • 難易度が高い
    • 特に優勝後に行われるサーベルタイガーとの最終戦の難易度が非常に高く、レベルを最大まで上げても安定して勝つ事は難しい。
      • 相手チームはHPと素早さ以外のステータスがプレイヤーの最大値(各99)よりも高くなっている*5上に強力な必殺技を多く持ち、さらにはコンビ技がチートクラス(パートナーレベルが最大から減らず、コンビ技同士のぶつかり合いでは必ずこちらに押し勝つ)とそれまで戦ってきた相手よりもはるかに強い。幸い、敗れても何度もコンティニューが可能なのが救いか。
    • 1Pプレイの場合、CPUのパートナーのAIが悪く、こちらを敵と勘違いして攻撃したり、さっさとやられてしまって敵にアイテムを渡す等、足を引っ張る事が多い。このため、1Pプレイと2Pプレイで面白さにかなり差が出てくる。
    • レベルが上がった状態のパスワードで始めた場合、2戦目から相手がこちらのレベルに合わせて一気に強くなるため、逆に難易度が上がってしまう。
  • 必殺技が少なく、アクションが地味目
    • 『時代劇』では26もの必殺技が存在したが、本作では10個とかなり少なくなっている上に必殺アクションもシリーズの中ではかなり地味*6
  • エディット選手以外を主人公にする手間
    • 1Pキャラはパスワードを入力しない限りは必ずエディット選手となる。くにおやりきを1Pキャラにしたい場合はバトルモードなどで彼らのパスワードを取ってから入れ直す必要があり手間がかかる。
    • ストーリーモードでは必ずパーソナルデータかパスワードの入力を求められる為、手軽に始められない。
  • 地形ハメが可能なステージの存在
    • 発電所ステージの左右の電流はダメージが大きいだけではなくダウン復帰からの時間も長いため、一度ダウンから投げられるとそのまま死ぬまで投げ続けられるハメになる。他ステージは地雷のような一度のみ、またはトゲのようにダウン復帰が早いので発電所ステージのみが問題となる。対戦でやれば間違いなくリアルファイトになるだろう。

賛否両論点

  • キャラが薄味
    • くにおとりき以外のキャラはすべて新キャラとなるが、全体的に個性が薄い。
      • 説明書には優勝候補に挙がるキャラ(ひめやま)や、女のような名前だが実力者(あおい)といったバックボーンが語られるキャラはいるが、ゲーム中では一切イベントらしいイベントが一切ないので個性が薄い。
      • もっとも、試合を重ねていくうちによく勝ち残るチームが現れたり、パートナーとして優秀な「ひめやま」等の能力によるそれぞれの個性、自分と相性のいいパートナーを探す楽しみ等、プレイヤーに想像させる余地を残している。
    • それまでのシリーズに登場したキャラが一切登場しないのも寂しいところ。日本一の高校生を決める大会なのに、くにおと同等の実力をもつ「りゅういち・りゅうじ」「ごだい」「ごうだ」などの個性強烈なライバルキャラが一切出場していないというのも違和感が感じられる話である。

総評

『運動会』や『新記録』では一種目に過ぎなかった格闘要素を、くにおくんならではの格闘アクションに特化した作品である。
その完成度は高く、タイプによって全く使用感が異なるキャラクター達、また自分を登場させる事でそれまでのシリーズにはない没入感が得られるという点が目新しい。
しかし、必殺技の減少や、キャラメイクの自由度の低さなどの問題点も少なくなく、シリーズの中でも地味な立ち位置に収まってしまった。

余談

  • 本作の首謀者のサーベルタイガーの正体である「とらいち」と「とらじ」は本作における暴れっぷりから近年の作品ではゲストキャラとしての地位を築いており、徐々に出演作品を増やしてきている。逆にマスクを脱いだ中身がマイナーになってしまったが…
    • また、彼らの呼び名もサーベルタイガー、ダブルタイガー兄弟、タイガーマスク、と色々あるがダブルタイガー兄弟が正式となっている。
    • 製作者によると、ダウンタウンシリーズの「ダブルドラゴン兄弟」に対抗して生まれた兄弟なのに戦わせることができないのは残念な点でもある。
  • あるパスワードを入力すると0月0日生まれの最強キャラクター「よこよこ」が使用可能になる。
    • 本作の企画を担当した「よこぺん」という人物がモデルであると思われる。なおメニュー画面の「KUNIO・RIKI」の文字をよ~く見ると…
  • 人気格闘ゲームの主人公のデータを入れると顔が似ている柔道家タイプになる
  • かつては携帯アプリでアレンジ移植されており、こちらは「ごだい」「こばやし」「まえだ」「くまだ」などのシリーズお馴染みのキャラや「しんじ*7」「さぶ*8」など熱血硬派シリーズのキャラ、更には「熱血すとりーとバスケット」のマイケルといったマニアックなキャラが参戦するなどのアレンジが光ったが、引き換えにマーシャルアーツタイプが削除された。マーシャルアーツタイプが削除された代わりに新たに忍者タイプ暴走族タイプが加わったが、暴走族タイプはほとんどのモーションがマーシャルアーツタイプの流用である為、実質的な完全新規は忍者タイプのみである。また、作品最大の特徴だったエディットキャラが消えてしまった
  • 本作以降のシリーズは移植に恵まれず、WiiやWii Uのバーチャルコンソールでも配信されていないが、3DS版『くにおくん熱血コンプリート ファミコン編』に収録され、手軽にプレイできるようになった。
  • オープニングではくにおが下足箱前で招待状を読んでいる傍ら、熱血ホッケー部のメンバーが行き交っている。
    • また、本作に登場した一部対戦キャラの顔もホッケー部のライバルキャラから流用している。(四天王寺ホッケー部の「おくむら」の顔(髪型以外)が本作ではマーシャルアーツタイプの「じんない」に流用されているなど)
  • くにおとりきの誕生日や血液型が明言された作品ではあるが、りきのみ何故か血液型が?となっており、謎を呼ぶ設定になってしまった。現在の設定ではO型となっている。