Little Vampire
【りとる う゛ぁんぱいあ】
概要
「ALICESOFT」の前身「チャンピオンソフト」から発売されたアドベンチャーゲーム。
『Little PRINCESS』の続編ではあるが、一部設定が変更されており前作ラストと完全には繋がっていない。
なお、公式には美樹ちゃんシリーズ3作目扱いされるがそれは『Little PRINCESS』の移植元である『さらわれた美樹ちゃん』を1作目としてカウントしているため。
なお、PC-9801版も『ランスIV』のオマケとして(こっそりと)存在する。
特徴
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コマンド選択式アドベンチャー
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全編でかな漢字表示に対応。コマンドも漢字入り表記である。
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前作がコマンド入力式の極悪難易度であったが、今作ではコマンド選択式になりメッセージも読みやすくなったため、若干難易度が低下している。
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ただし、後述の通りコマンド総当たりではまず解けないため、極悪が凶悪になった程度だが。
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前作でドラキュラを倒し美樹ちゃんを取り返したが、二人ともパラレルワールドに取り残されてしまい、さらに美樹ちゃんはドラキュラ化しかかっている。美樹ちゃんを人間に戻す方法を探しつつ、元の世界に戻ることがゲームの目的。
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コマンドは「動詞」→「名詞」の順で選択する。
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「見る」→「町」、「移動」→「公園」といった具合。
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アイテムは、買い物、拾う、交換、などの手段で入手する。主に、タイミング良くアイテムを使うことでストーリーが進展する。
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ただし、使用するタイミングを間違えた瞬間にハマりが確定する。
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寝る=セーブとなっており、序盤終了時と中盤終了時の幕間以外はアイテムを使用してセーブする(序盤ならアイマスク)
改善点
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序盤は親切
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最初の町にたどりつき、買い物を始めるまでは誰でも進めることが出来る。
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なぜそんなことが「親切」かと言うと、前作ではゲーム開始直後から動けずに詰むプレイヤーもいたくらいに不親切であったため、一応そこからは改善が見られる。
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かな漢字対応
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PC-88のみ対応となり、カナかな漢字での表記になったため前作より大幅に読みやすい。
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ボリューム・シナリオ
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攻略を見ながらプレイすれば1時間足らずで終わるのは相変わらずだが、登場人物も多く意外なキャラが意外な展開でシナリオに絡んでくるため、伝奇ファンタジーADVとして十分楽しめる。
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前作は「あり合わせの画像素材を使って後づけで作った」様なシナリオのため構成がめちゃくちゃだったが、今作ではシナリオ全体の整合性はきちんとしている。
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最終盤の展開は非常に盛り上がる。展開に合わせた的確なコマンド選択・アイテム選択が求められるが、理不尽ではなく頭を使ってパズルを解いていく楽しさがある。ここだけは初見で攻略情報を見ないのをお勧め。
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前作のラスボス戦が理不尽の極みだったことを考えると、大幅な改善点と言える。
問題点
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町に入った時から早々に大量の詰みポイントが待ち構えている
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最初に唯一の手持ちアイテム(腕輪)を売却し攻略に必要なアイテムを買う必要があるのだが、「最初に提示されるコイン枚数」で売却してしまうと必須アイテムを買い揃えることができずに詰む。
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しかも、それが判明するのがそれなりに話が進んでから。
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正解
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「見せる」「腕輪」。←(この時点で売ると詰み)
「見せる」「腕輪」。←(買い取り金額アップ。この時点で必須アイテムは揃うが不要なダミーアイテムを1つでも買うと詰み)
「移動」してまた来店。←(買い取り金額アップ。ダミーアイテムを買ってもまだ詰まない)
「捨てる」「腕輪」。←(買い取り金額アップ。ダミーアイテムを買ったり何度かコインを徴収されても余裕あり)
「売る」「腕輪」。
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移動先に選択すると強制的にコインを徴収される施設がある(しかも選択する度に何度でも奪われる)。ここも必須アイテムの買い物を終える前に選択してしまうとその時点で詰み確定。
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後半になってから訪れる必要のある場所だが、序盤では入ってもなんの意味もなく、コインを取られるだけのトラップ選択肢となっている。
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凶悪難易度
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コイン以外にもアイテム不足で詰む可能性がとても高い。
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占ってもらうのに必要なアイテム「おかし」は何度でももらえる、……と見せかけて回数制限があり無駄遣いしても問題ない余裕は1回だけ。
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中盤には必須アイテムを喪失するような箇所があり、持っていないとクリア直前で詰んでしまう。
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アイテムを使う前に話を聞いておかないと、聞く機会がなくなって詰みなんて箇所も。
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あるアイテム(木刀)を別のアイテム(真剣)に交換するイベントがあるのだが、それと並行して「真剣を持っているとゲームオーバー」「真剣を持っていないとゲームオーバー」「木刀を持っていないとゲームオーバー」のイベントがあるため、攻略の順番をよくよく考えないと二進も三進もいかなくなる状況に……。ちなみに木刀を最初に買っておかないと問答無用で詰み。
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コマンド選択式にはなったが、選択の順番を間違うと詰みが確定するパターンもいくつかある。
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いつどこでどのコマンドを実行するか、のヒントはまったく存在しない。詰んでやり直して覚えていくスタイル。
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前作と同じくセーブが可能だが、詰みのシチュエーションがあまりに多く、大抵は最初からやり直した方がマシなレベルである。
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セーブロードが有効なのは、終盤の迷路と最終盤の脱出シーンくらい。
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何回も往復することになる町の施設へのアクセスが一手間二手間多い
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序盤は町に移動して公園に移動して店に行くだけだが、シナリオが進むと町に入るたび2回のアイテム使用が必要になる。
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ちなみに、ここで使用すべきアイテム(双眼鏡)を序盤に買っておかないと、町に移動する選択肢を選んでも必ず衛兵に殺されてゲームオーバーとなるため詰む。最初に判明する詰みポイント。
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アイテムを投げ込んだり、アイテムを盗られたりしても、なぜかアイテムが減らない
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挙動としてはおかしいので問題だが、難易度は下がるのでむしろ歓迎される点かもしれない。
評価点
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グラフィックのレベルは前作よりも向上。当時のゲームとしても平均より上のかわいさである。
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町の住人も、個性的で可愛い女の子が揃っている。単なる「店員A」ではなく、それぞれきっちりイベントでの出番がある。
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美樹ちゃんの出番が増えた。
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前作では「常に画面の右端に表示されている謎の村娘A」の方が目立っていたが、今作ではちゃんとヒロインしている。
総評
コマンド選択式となったことで難易度は一応低下しているが、まだまだ理不尽レベルの高難度である。
フラグ(主に所持アイテム)が十分でない状態でも先に進むことが出来てしまい、それが詰みとわかるまでのタイムラグが大きいので、死んで覚える以上に厳しい。
またフラグが十分でも、選択肢によっては即死ゲームオーバーも当然のごとく多発する。
試行錯誤が必要なADVでありながら、選択ミスからのリカバーは(ごく一部を除き)不可能なので、タイムリープものかという勢いで何度も何度も最初からやり直していくことになる。
現在ではインターネット上で攻略情報を見ることができるが、攻略情報もコミュニティもない発売当時にEDまでたどり着くことが出来た猛者がどれだけいたのだろうか。
余談
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ランスワールドとのリンク
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ランスワールドの現魔王である来水美樹、小川健太郎にリンクしている。
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(このゲーム随一の癒やし)占い師のアーシーは、ランスワールドでも使徒アーシーとして登場している。
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また終盤のキャラ2人も魔人レーモン・C・バークスハム、魔人オギン・ギンプとして設定に登場する。
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中盤になるとなぜか町がどこかへ行ってしまう。この町はランスシリーズの設定では「ウォークランド」という名前になっている。
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鬼畜王ランスやランスXには本作の舞台が魔物界の北の地域として登場している。(魔王城、光原、悪の塔)
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ランスXにはランスが夢の中で本作のストーリーを体験するイベントがある。
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ただし……。EDのネタバレ
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本作のエンディングでは美樹、健太郎とも現代日本に帰還し、美樹は人間に戻っている。
一方、ランスシリーズでは一度日本に帰還したが、人間に戻す手段もなく、人間のままでいるために定期摂取が必要な果物もこちらの世界にしかないので、再び異世界に戻るしかなった設定。
ランスワールドは本作のバッドエンド後の世界と言える。
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ランスワールドでは二人とも悲壮でシリアスなキャラとなっているが、今作では悲壮ながらおバカな言動も多い。非公式Wikiのキャラ紹介で「変人」と紹介されるのもうなずける。
最終更新:2025年02月05日 10:19