フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~

【ふぃりすのあとりえ ふしぎなたびのれんきんじゅつし】

ジャンル 錬金術再生RPG

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 ガスト(コーエーテクモゲームス)
発売日 2016年11月2日
2017年3月8日(steam)
定価 【PS4】7,344円
【PSV】6,264円(税8%込)
【steam】6,264円
レーティング CERO;B(12歳以上対象)
判定 良作
ポイント 実験的な要素を数多く取り入れた作品
前作ファンからは賛否両論真っ二つ
シリーズでは珍しい「旅」という題材と移動式のアトリエ
アトリエシリーズリンク


概要

本作の特徴

  • 日数制限の復活
    • 本作の主人公フィリスは生まれ育った「エルトナ」を離れ「ライゼンベルグ」で一年後に行われる錬金術士の公認試験を受けに行く、というシナリオ。
    • そのため最初は1年以内に、受験に3枚必要となる、道中の公認錬金術士から書いてもらった推薦状を集め、ライゼンベルグまで赴き公認試験に合格する事が目標となる。
    • 試験合格後は新たな目標が出来るが日数制限は撤廃。時間を気にせずのんびりとイベントを進めていく事が出来るようになる。
  • アイテムの発想
    • 特定の条件を満たしてアイテムのレシピを閃いていくシステムは前作同様。
      • 参考書を購入して閃きの手間を省いたり(参考書でしかレシピが手に入らないアイテムもある)、ある程度条件を満たしたところで発想ポイント(後述)を消費してレシピを入手する事も出来る。
  • 移動式のアトリエ
    • 本作は従来の、拠点のアトリエと採取地を行き来する方式ではなく、持ち歩きができるアトリエ(ちなみに、ソフィーのお下がりである)を携え旅をする。
    • 旅の途中で見かけた焚き火跡の前で○ボタンを押してアトリエに入れる。
    • 町の中の他、採取地にも複数箇所焚き火跡がある事も多く、LPの残量やカゴの空きと相談しながらアトリエで休憩しつつ旅を続けていく事になる。
      • ちなみにこの焚き火跡、他の旅人が休憩した跡地という事になっているため、前人未踏の採取地ではアトリエに入る事が出来ない。
      • 公認試験を受ける前は気にする事も多くないだろうが、試験後には水底の遺跡や空中に浮かぶ大地などのいかにもな秘跡に立ち入る事になるためカバンの容量が窮屈に感じる事も増えていくだろう。
    • また、今作は従来とLPに関するシステムの毛色が違う。
      • 今作のLPはパーティ全体で共有する。最大値は100(変わることはない)で、減ることによるデメリットは移動速度減少ぐらい(戦闘には影響しない)だが、0になるとフィリスが倒れてしまう。1度目はその場で休憩(時間を消費し、LPを20回復する)してやり過ごせるが、もう一度0になると、戦闘で全滅した場合と同じ扱いになってしまう。
    • 旅というコンセプトのためか、従来は専門店に依頼して作ってもらっていた武器や服は他のアイテム同様錬金釜で作成する事になった。
      • そのため本作に仕立屋はおらず、鍛冶屋は鉱石系アイテムの販売所となっている。
  • 戦闘準備
    • 主人公のフィリスは必ず戦闘に出す必要があり、フィリス以外に戦闘メンバーを3人、控えに1人(公認試験合格後は+2人)連れ歩ける。フィリス以外のメンバーは戦闘時以外であれば入れ替える事が出来る。
      • 主人公の姉のリアーネ以外の仲間はイベントで加入させられるようになる。イベントの内容は特定のアイテムを調合する、特定の採取地に入る、金銭を渡すといった内容で難しい条件を要求される仲間はいない。
      • 加入させられるようになった仲間は宿屋や酒場で待機しているため、加入イベントを起こした後は町で声をかける必要がある。
    • 全滅時のペナルティは前作同様、最も新しく採取した素材を中心に紛失し、アトリエに引き返すというもの。
      • シリーズ内で軽い部類であるのは相変わらずだが、前作とは異なり最初のうちは日数制限があるので前作よりはペナルティとして機能するようになった。
  • シリーズで初めて武器を2つ持つ事が可能となった(主人公のフィリスは1つのみ)。
    • 通常攻撃はメインの武器で行うが、サブに持たせた武器のスキルも使用出来る(威力やパラメータに関わる特性がサブ武器についていた場合、そちらも反映される)。
  • 戦闘システム
    • ターン制だった前作とは異なり、コストターン制となった。従来のシステムに回帰したとも言える。
      • 行動回数が1ターンに1回と決まっていた前作とは異なり、素早さを上げたりWTが短い行動を取ると敵が1回行動する間に複数回行動させる事が出来る。
    • 前作と同じく危険な技を使ってくる敵のアイコンに「!」マークが表示される。強攻撃かと思って構えているとステータス異常などの特殊行動で肩透かしを食らうのも前作同様である。
    • 全キャラクター共通のチェインゲージ(従来のアシストゲージのようなもの)が画面左側に表示され、味方が行動すると溜まっていき敵のフィリスへの攻撃を他のキャラで庇うと消費される。ゲージがいっぱいまで溜まると「チェインバースト」が発動する。
      • チェインバースト時は次回の敵の行動までにタイムカードが挟まれている味方のスキル・アイテム使用で連携攻撃を行い連携率を溜める(連携率は画面左上に表示)。最後の味方の行動時までに溜まっていた連携率により、「チェインストライク」または「チェインフィニッシュ」と呼ばれる専用スキルで攻撃を行う。
      • バースト中のチェインゲージは味方が何かしらの行動を取ると消費され、途中で攻撃に関わらないアイテム・スキルの使用や通常攻撃で連携は途切れてしまう。
      • 一度チェインストライクorフィニッシュを行ってもチェインゲージが空になるまでは何度でもチェインバーストを行う事が出来る。
  • クエスト
    • これまでのような一箇所で受注する方式ではなく、特定のNPCに話しかける、マップに入る、特定の敵を倒すなどの条件で発生するようになった。
    • クリアするとお金やアイテム、発想ポイント(消費することでレシピ発想の手間を省ける)が手に入る。
    • ごく一部を除き殆どのクエストに時間制限はないので、とりあえず受注だけしておいて解決は後回し、という形でも可。
      • 病気の子供を助けて欲しい、と依頼されて1年以上放置するのはちょっと良心が痛むかもしれない。
  • アイテムの仕様変更
    • 戦闘時には全キャラクターがアイテムを使用でき、キャラクターによってアイテムの使用の可否があるのは前作同様。ただし、アイテム欄がパーティメンバーで別個に設定されていた前作と異なり、パーティで共通のアイテム装備欄に事前にセットしておく仕様となった。
    • 物語途中で「アトリエリメイク」が解禁され、ベッドに向かって○ボタンを押す事でアトリエ内にアイテムを設置する事が出来るようになる。
      • 設置するアイテムは倉庫の容量を増やす「コンテナ」や休憩時のLP回復量を増やす「ソファ」、調べる事でアイテムが入手出来るオブジェや何の役にも立たない観賞用のモノまで様々。爆弾を置いておく事も出来る。
    • 認定試験に合格した後のイベントでアトリエに設置する「コルネリア人形」を入手し、アトリエに帰還した際に使用したアイテムを自動補充してもらえるようになる。
      • 前作では使用した分の代金を徴収されたが、今作では人形にミルクを渡して補充してもらう事になった(人形のミルクが不足するとアイテムの補充をしてもらえなくなる)。

評価点

  • フィールド
    • 旅をテーマにするだけあって、広大で多彩なフィールドが登場する。
      • 荒野、雪原、浮遊大陸とプレイヤーを飽きさせない。
    • フィールドで使えるアイテムも多数追加。
      • つるはしで岩を砕いたり、空飛ぶホウキで川を越えたり凄まじい熱で雪原をただの平原にしたりとやりたい放題できる。
    • また、登場するキャラクターも従来のアトリエより増加。公認錬金術士など一部のキャラクターにはサブストーリーも用意されている。
    • ある程度進行の自由度も有り、ゲーム前半の推薦状集めなどは適当に進んだ方向で出会ったイベントをこなせばゲームクリアに近付けるようになっているため、気ままに旅出来る。
  • 錬金
    • 基本的には評判の良かった前作同様のパズルめいたシステムを引き継いでいるが、随所に変更が入っている。
    • 調合するアイテムごとに熟練度が設定され、同じアイテムを作り続ける事により上がっていく。
      • 最初は素材をそのまま投入する事しか出来ないが、熟練度を上げる事によって回転させて投入する事が可能になる、引き継げる特性数が増える、一度の調合で複数個のアイテムを生み出せるようになる等の変化が出てくる。
      • その為良質なアイテムを生み出す為には「捨て」アイテムをいくつか作らなければならないが、同系統の別アイテムを作成した際に僅かに熟練度が上昇するため、それを利用すれば貴重な素材を用いる調合品のレベルも上げやすくなる。
    • 釜の中のマス目同士を繋ぐボーナスラインというシステムが実装され、これを埋める事により特殊な効果が発揮される。
      • どのラインを埋めるとどのような効果が出るかは事前に確認する事が可能。中にはデメリットを持つボーナスライン、特定の色の素材で埋めないと効果が発動しないボーナスラインもあるため、よく考えて素材を配置する必要も出てくる。
      • 錬金釜の取替が廃止され、代わりに錬金時に「触媒」として用いるアイテムを選択して釜のサイズやボーナスラインを変更出来るようになった。
      • 今作では素材としての使用や分解ができない装備品も、一部は触媒として使うことができる。強力な効果のボーナスラインを備えている場合が多い。
      • 前作にあった高レベルアイテム錬金時の歯抜けや特定の釜使用時の時間制限は廃止。どのアイテムを作る際にも全マスを使用出来るようになり、時間を気にせず試行錯誤出来る。
    • 「黄昏」シリーズ同様、フィリス自身の調合Lvより高レベルを要求されるアイテムは調合出来なくなった。
      • これにより前作では調合時に品質低下が避けられなかった「賢者の石」が一転、今作では強力な装備品や攻撃・回復アイテムの作成時に欠かせない超重要錬金素材となった。
  • アイテム関連
    • 発想ポイントによりレシピ習得が楽になったおかげか、前作より調合出来るアイテム数がぐっと増え、過去作と比べても遜色ない数になった。
      • 一方で武器を分解したり装飾品を素材として使う事は出来なくなったため、特性の受け渡しは気軽に出来なくなってしまった。
    • また前作でも評価されていた素材のソート機能は今作でも使いやすいままである。
  • 着せ替え
    • 前作では服の種類が少なく着替える意味もなかったが、「旅」をテーマにした今作ではフィリスの服装によって様々なメリットが得られる。
      • 特殊効果を持たない初期服を含めて5種類。更に初回特典やDLCで6種が追加される。
      • 服の持つ特殊効果は探索・調合に関わるモノで、戦闘時の性能はどの服を着ていても同じ。また2周目以降はどの服を着ていても所持している全ての服の効果を得られる。
      • 一方でフィリス以外のキャラクターの着せ替えは有料DLCとなり、特殊効果もナシ。それも女性キャラのみなので、男性陣の見た目を変えて楽しむ事は出来ない。
  • エンディング
    • 公認試験に受かったところで一旦ED曲が流れるが、その後も冒険を継続できる。
    • 今作ではマルチエンドが採用されており、キャライベントを進める事によって解禁されるペアエンドの他にメクレット&アトミナイベントを進めて解禁される錬金術士エンド、ペアエンドの条件を複数(全てではない)満たす事によって解禁されるグランドエンディングがある。
      • 前作とは異なりラスボスはいない(キャライベントを進める過程で戦う事になるボスモンスターはいるがあまり強くない)。
      • 出発点エルトナの大扉の前で○ボタンを押す事により条件を満たしたエンディングを見る事が出来る。
      • 1年以内にライゼンベルグでの公認試験に間に合わなかったor試験で不合格になった際のバッドエンドもあるが、こちらでは一枚絵もトロフィーも無いため無理に見る必要はない。
  • 引き継ぎ要素
    • 一度エンディングを見た後にクリアデータをセーブし2周目に入る事が出来る。
      • 引き継げるのはアイテムの熟練度、資金、発想ポイント、装備品、アトリエリメイクで配置した調度品。
      • アトリエリメイクで爆弾を置く事が出来るため、個数と品種の制限こそあるが戦闘用アイテムの引き継ぎも可能。
    • また、最高難度のVERYHARDは2周目以降での解禁となる。
  • グラフィック・サウンド
    • 前作と同じくサウンドのクオリティは好評。
    • 枚数の少なさが不興を買ったイベントスチルも増量されており、過去作と比べても特別不足しているとは感じなくなった。

賛否両論点

  • 日数制限について
    • 3年や5年、9年など過去作では複数年に渡ってストーリーが描かれていたため本作の1年という期間は短すぎないか、と思われていたがどっこいそんな事はなく、実際にプレイしてみると相当余裕がある。
      • 後述するように推薦書の入手性に難があるため、5人の公認錬金術士全員に会いに行ってもいいだろう。それでもやっぱり時間は余るが。
      • さすがにクエストを片っ端からこなしていると厳しくなる。初心者には丁度いい塩梅と言えるだろう。
    • 公認試験自体も簡単な問題が多く、普通にプレイしているとまず落ちる事はない。 現実の資格試験もこうだったらいいのだが
      • 一応試験で好成績を収めると最後に追加でバトルが発生し、勝利するとトロフィーが手に入るというオマケ要素はある。
  • 戦闘、調合以外で廃止されたシステム
    • プレゼント機能
      • 元々相手の好みに合わせて贈り物を考えなければいけなかった割に見返りがショボく、居留守が出来る謎仕様も含めてあまり評価が高くなかったので妥当なところだろう。
      • キャラクターの意外な好みを知る事が出来なくなったのは残念かもしれない。
    • 採取レベル制
      • 元々上げるのが面倒だと不興を買っていたのでこちらが無くなったのも妥当なところ。集める素材の品質は従来通り栄養剤で上げる事が出来る。
    • 曜日の概念
      • 前作でもあまり機能しているとは言い難かったが、拠点となる町が1つではない今作では特に不要なシステムだったであろう。
    • 噂話
      • 場所と時間帯で出現する強敵が決まるようになった。
      • わざわざ戦いたい敵に関する噂が出るまで粘る必要がなくなった反面、余所見して走り回っているとうっかり強敵にぶつかってしまう事も。
    • ドールメイク
      • 前作ではソフィーの着せ替えバリエーションが乏しい代わりにプラフタの見た目を変えて楽しめたので少々寂しいかもしれない。
      • メイド服やら魔女っ子やらに変更出来た前作とは異なり、今作のプラフタは終始今の身体を手に入れた際の痴女服のままである。
    • アイテム複製
      • 過去作の「妖精さん」「ホムちゃん」「コルネリアの量販店」などなど自動でアイテムを増やしてくれる存在が本作ではいないため、欲しいアイテムは全てフィリス自身の手で作る必要がある。
      • アイテムの熟練度を上げたり触媒のボーナスラインで一度の作成数を増やす事により複数個のアイテムを一度に作る事は出来るため面倒さはそこまででもないが、貴重な特性を持つアイテムの複製が出来なくなるのは痛手かもしれない。
  • 長距離移動の面倒臭さ
    • 本作の世界は大きなエリアマップを幾つか繋ぎ合わせて出来ているのだが、このエリア間の移動に手間が掛かる。
      • 同一のエリア内ではランドマークや焚き火へショートカット移動出来るが、エリア間の移動は「エリア間の接続地点最寄りのランドマークに移動してから徒歩」という形になるため、複数エリアを跨ぐ移動はかなり面倒。一度そこを訪れないとマップが表示されない為尚更である。
    • ゲームの後半では移動速度を高めるアイテムが作成可能になり、更にゲームを進めるとエリア間ショートカット可能なアイテムも作成可能になるが、後者を実際に作るまでの道のりはかなり遠い。
    • とは言え、主人公が故郷から出て長い旅をしていくというゲームのコンセプト上、あまり行き来が便利過ぎても興醒めではあるのだが・・・。
  • ロジーなどの過去作キャラについて
    • 前作でも賛否両論だったロジーだが今作でも同様に鍛冶屋として続投しており、また「エスカ&ロジー」のもう一人の主人公であるエスカが何故か幼女化して登場する。
      • ソフィーらはシリーズ通して同一人物であるのに対し、ロジーとエスカは「黄昏シリーズとは別人(容姿が同じだけのファンサービス)」という扱いなのでややこしい。
  • 前作キャラの扱いについて
    • 前作「ソフィーのアトリエ」からパーティメンバーとして続投したキャラは主人公のソフィーとソフィーの友人兼師匠のプラフタ、ソフィーの幼馴染のオスカーのみ。オスカーは肥満体だった前作から一転、長身痩躯の容姿となった。
      • もう一人の幼馴染だったモニカは地元に残り、人形師のフリッツは登場こそするもののパーティに加える事は出来なくなった。
      • コルネリアは前述した通り本人を模した人形が登場。時計技師のハロルはNPCの台詞で少しだけ語られる程度。騎士のジュリオは有料DLCを購入した際に登場するが、未購入の場合は一切出番がない。
      • 仕立師レオンもほぼ出番がない。ストーリーにも絡まず、存在がほんの少し匂わされる程度。
    • パーティキャラ以外で続投するのはメクレットとアトミナ(と前述のロジー、シリーズ恒例のパメラ)のみ。今作の舞台となるラスティンは前作の街キルヘン・ベルからはだいぶ離れているという設定のため、町人の皆さんの登場は難しかったのだろう。
  • キャラバランス
    • 散々物理ゲーと揶揄された前作を反省してか、今作では攻撃アイテムの使い勝手が上がっている。
    • パーティでアイテム装備が共有化された事に加え、フィリス、ソフィー専用の強力な攻撃アイテムもある。攻撃アイテムのダメージアップに繋がる装備品用の特性もあるため、専用装備で固めれば爆弾でも高ダメージを叩き出せるようになった。
      • 一方で強敵と戦う際に重要となるチェインフィニッシュ&チェインストライクはスキル扱いのため、本人のパラメータを上げてスキルで殴った方がいい場合も多い。
      • キャラごとにスキルと攻撃アイテム、どちらかに特化させておいてチェインバーストの〆はなるべくスキル攻撃が得意なキャラクターに任せた方が良いだろう。
    • スキル使用キャラとして強力なのは使いやすいスキルを揃えたリアーネやパラメータが高く敵のBREAKゲージを稼ぎやすいアングリフ。
    • アイテムを使わせるとパッシブスキルと専用の杖の効果で高火力が期待できるソフィーが強力。
      • ちなみに主人公のフィリスは武器の装備スロットが1つ少なくアイテム火力に関わるパッシブスキルの性能も(微々たる差だが)ソフィーより低いため、専用アイテム以外を使った攻撃ではソフィーの劣化になりやすい。
    • 幸い戦闘難易度はさほど高くなく、最高難度のVERYHARDの裏ボス戦でも全キャラ使える程度の性能差に収まってはいる。

難点

  • 調合システムにおける前作からの変更点
    • 今作最大の問題点と言っても過言ではなく、特に前作ファンからの批判は根強く、とにかく前作経験者にとってはストレスが溜まる要素が多い。前作から削除されてしまった要素と、今作で追加された要素の二つに批判が多く集まっている。
      • まずコルネリアによる量販システムが削除され、今作は自力でどのアイテムも量産する必要がある。中和剤や蒸留水など、よく使うアイテムを自動で量産出来ず、いちいち錬金する手間が増えた。
      • 錬金釜の代わりに熟練度システムが追加され、最終的には錬金釜を使い分ける必要がなくなったが、熟練度を上げるためにはそのアイテムを何回も作らないといけず、完成品を目指す際に非常に時間と材料がかかるようになってしまった。更に引き継げる特性の数を増やすにも従来と異なりこの熟練度をアイテム毎に上げなければならなくなっており、錬金レベルの上昇毎に引き継げる特性数が増えていくという事が無くなった。
      • 触媒システムの仕様自体は好評だが、量販店の無い今作では全体的に使い勝手が悪い。
      • 自動補充に関しては引き継がれたが、コールではなくミルクで補充するという謎の調整が入り、結果として大量のミルクを買い溜める必要性が出てきてしまった。
    • 今作は全体を通して実験的に導入されたと見られるシステムが多いが、前作で最大の評価点となっていた調合システムがこのようにストレスが溜まる要素が多く追加されてしまい、今作の評価を大きく落としてしまった。唯一と言ってもいい評価点だった触媒システムのみ次回作に引き継がれ、実際に非常に大きな評価点へと昇華されている。
  • BGMについて
    • 朝・昼、夜、深夜の三段階で分かれており、朝・昼→夜はスムーズに曲が切り替わるものの、深夜になった瞬間に無音となり、BGMが完全に途切れてしまう。
    • 今作は時間の流れが非常に早く、BGMが1ループすらしない内に無音になるなどはザラにあるため、良質なフィールドBGMが台無しになってしまっている。
  • 図鑑機能について
    • 本作では途中で「見聞院」に歩いたマップや出会った敵、調合したアイテム、レシピのデータを納める事により特典としてお金やアイテムを受け取れる。
    • マップや調合アイテムは後回しでも問題ないのだが、公認試験合格を目指し旅をしている際に道中の公認錬金術士に貰う「推薦書」は試験合格前にしか入手する事が出来ない。
      • 周回プレイで図鑑がリセットされてしまうため、アイテム図鑑の達成率を100%にしたければ道中で出会える5人全員に会って推薦書を貰って来る必要がある。一人でも会い損ねたらその周での図鑑完成は不可能となってしまう。
    • ちなみに公認試験の成績次第で最後に戦う相手が変わるが、こちらは図鑑に記入しなくても達成率100%になるという幻ポケモンのような仕様。何故推薦書もこうしてくれなかったのかは謎である。
  • OPについて
    • ゲームをアップデートするとOPがDLCキャラ込みのものに差し替わるが、今作のDLCは2人ともそれまで影も形もなかったキャラなので購入していないユーザーは当惑するしかない。
      • 一人で立っているシャノンはともかく、仲間ヅラしてフィリスの隣で笑うハインツくんへの違和感は特に酷い。
      • そもそも続きモノのゲームなのだから「トトリ」のイクセルや「エスカ&ロジー」のウィルベルのように前作に登場して今作で非プレイアブル化されたキャラで良かったのでは、という声も。
    • 差し替え前のOPは一度ゲームをクリアするとタイトル画面に追加されるEXTRAコンテンツから見る事が出来る。
    • 余談だが、海外に発売された中国語版アトリエシリーズでは、なぜか本作だけ、OPまで中国語で歌った。
      • 声優は変わってなかった以上、中国語は当然学べたことないので、発音がおかしくて、中国では「全然中国語で歌ってること気づけなかった」と多く言われてる。
  • シナリオについて
    • 道中で立ち寄る「フルスハイム」という町で船に乗って向こう岸に渡らなければならないのだが、この町に関してとにかくツッコミどころが多い。
      + ネタバレ
    • 町のビジネスが観光によって成り立っているにもかかわらず、船が運行停止状態になっている件について船乗り以外の住民は原因を調べようともせず「困った」「どうしよう」などと言っている。
    • 町から船着き場までは門で仕切られているだけ。最初は船乗りが立ちはだかっているが、街中でイベントを進めるとどいてくれるので特に鍵などはかかっていなかった模様。町人は少しは自分達の生活基盤を気にしろ。
    • 船着き場からは湖の中心に巨大な竜巻が立ち上っているのが確認出来る。船乗りは船が動かせなくなる事で悪評が広まるのを避けるために運行停止の理由を町人に説明していなかったらしいが、どんな理由であれ船が動いていなければ悪評は広がるだろう。
      • ちなみに竜巻をどうにかしようとしているのは船乗りと錬金術士達だけ。町長や市長は存在しないらしい。
    • 事態解決のために複数人の錬金術士が集まるが、採用されたフィリスの案が「鎧を付けた船で強引に竜巻を突破する」というもの。生まれてこの方鉱山都市を出た事が無かったフィリスが船の設計を行っているため違和感が凄い。
      • シナリオの完成度が評判の「トトリ」では、かつて造船技師だった主人公の父親に要求された部品を集めて渡すという形で船を作ってもらっていた。
    • フィリスのライバルを自称する少女イルメリアの解決案は「竜巻を消すアイテムを作って使う」というもの。どう考えても船の新造が必要ないそちらの方が有用そうだが、採用されたのはフィリス案である。
      • 実際、竜巻を超えて対岸に渡った後にフルスハイムに引き返すと竜巻を消すアイテムを作るので素材を取ってきて欲しい、と頼まれる。
  • イベントについて
    • 従来のアトリエシリーズのキャライベントは、主人公やそのイベントの主役キャラの他、その他のパーティメンバーやオプションキャラなども登場しており賑やかだが、本作では「主人公のフィリス(リアーネが共に居る事もある)とそのイベントの主役」以外のキャラは全くと言っていい程関わって来ない。パーティーメンバー同士が絡むイベントは用意されているが、一対一で対話をするなどのやり取りが一度ずつあるのみで終わってしまい、「共に旅をしている」という旅情感に欠ける。町人らとの会話もわずかしか無く、その町人らも殆ど「それぞれの町の住人同士の会話イベント」しか用意されていない。又、他の町に出向く事は有ってもその町の住人らとはやはり殆ど関わらない事も多い。結果、フィールドを広くする事に重点を置いた為に肝心のイベントが簡素化してしまったと言わざるを得ない物が有る。特にカルドに至っては彼のみが台詞を発しフィリスは無言で終わるイベントまである。懐かしのキャラ同士の会話イベントも用意されており、この点は前作ファンには嬉しい点であろう。
    • 会話画面の構造の中にも、3Dキャラがそのまま身振り手振りをする会話画面を表現可能になってから例を見ない程簡素なパターンが存在する。右側と左側にそれぞれ二人ずつしかキャラが表示されず、歩行モーションは一切無く常に棒立ちのままで、カメラワークも無し。更には画面をブラックアウトさせる事によりキャラの出入りを表現するという、あからさまに簡素な物となっている。一応従来通りの会話画面も有るが、大半は先述のように簡素な画面で成り立っている。
    • 今作に於いて重要なキーパーソンとなるソフィーとプラフタだが、今回は何とテーマ曲が用意されていない。シャリーのアトリエ時代のエスカのようなポジションならまだしも、役割的に重要な配置であるにもかかわらずテーマ曲が用意されないのはあまりにも不遇である(同じく続投したオスカー及び他のパーティーメンバーにはリメイク曲及び新曲がしっかり用意されているのだが)。
  • グラフィック
    • 前作ではアーランドシリーズ以降ずっと担当していたフライトユニット製に比べてコーエテクモ内製の3Dキャラモデルのクオリティが低いことでクオリティ格差が目立って話題になった。今作はすべてコーエーテクモ内製になっておりクオリティの高低が統一されている。*1
    • しかし前作までのフライトユニット製に比べると見劣りする。
    • なお内製グラフィックは本作ではまだ発展途上な粗も多かったが、前作より本作、本作より次作と着実にクオリティアップしていった。
  • 追加特性について
    • 前作で「水増し」「リセマラ」などと叩かれた封印されし書架の宝箱マラソンはない。
      • 代わりに公認試験合格後に既存マップに高レベルの敵が出現し、それを倒した際に得られるアイテムに高性能な特性が付いている、といった具合である。
    • この点に関して言えば前作より面倒ではなくなっているのだが問題は追加特性「真理の求道者の記憶」である。
      • バージョンアップで追加された採取地「聖地ベスティエ」にてケモノ系アイコンのNPCに素材アイテム「ツヴァイナッツ」(他の町で店売りしている素材)を渡すクエストが発生するのだが、このクエストの受注中に別マップのケモノ系アイコンの敵を杖で叩くと発生する追加クエスト「ごめんねケモノさん!」のクリア報酬として貰えるアイテムに付いてくる。
      • 効果は全パラメータの大幅上昇という単純だが強力極まりないもので、装飾品にのみ付与出来る。つまりはもらったアイテムを直接調合素材にして付与するしかなく、中和剤等のアイテムを介して増やす事が出来ないのである。
      • 装飾品アイテムは熟練度を最大まで上げた場合で3個出来るため、パーティメンバー8人全員分を揃えようと思うと本編クリア(及びメクレット&アトミナイベント)を最低3周するしかないのである。
    • ちなみにこのクエスト、ケモノ系敵シンボルを叩く時期を間違えると別のクエスト「ごめんねケモノさん」「ごめんねケモノさん…」が発生してしまい報酬品も別のアイテムとなってしまうので気を付けなければならなかったりする。
      • そもそも下調べしていなければ他所の町まで飛んでツヴァイナッツを買い込んで渡して終わりなのでクエストの存在自体に気付かないかもしれないが…
  • レベルアップについて
    • 従来のアトリエシリーズ、及び一般的なRPGと比べ、レベルアップ時のパラメータの上昇のしかたが非常にショボい。従来シリーズや他のRPGはレベルアップ時、HPやMP、攻撃力や防御力など複数のパラメータが同時に幾分か上昇するのだが、今作は何といずれか二つのパラメータがたったの「1」しか上昇しない。レベル上限がせっかく99まであっても、この仕様のせいでレベル上げでステータスを上げようとしても殆ど数値が上がらず、やる価値は薄い。
  • バグ・フリーズに関して
    • 一言で言い表すといつものガストである。
    • 前作ではそこまででもなかったが、今作ではとにかくフリーズが多い。
      • 敵との戦闘に入るとフリーズ、イベントが起こるとフリーズ、マップ移動の為に船に乗るとフリーズ、アイテムの調合をしようと錬金釜に向かって○ボタンを押すとフリーズといった具合である(PS4版Vita版問わず)。
      • うっかりセーブしないままゲームを続けてフリーズした際には多大な被害を被るため、くれぐれも注意して欲しい。
    • サブキャラクター「ルイス」のイベントを進めると突如として謎の空間へと飛ばされる。
      • ランドマークや焚き火跡へのショートカット移動で元の場所に戻れるが、初見ではビックリするだろう。
    • クエスト「ソフィーの薬の秘密」はクリアした際自動的にもう一度受注された状態になり、受注クエスト一覧に残りっぱなしになってしまう。
    • DLC未導入状態で温泉受付嬢のヘンリッカに話しかけ、入浴を断るとDLCキャラのシャノンも込みでの入浴イベントが見られる。
  • その他
    • 発売後およそ半年でsteamでもリリースされた。価格はPSvita版と同様。
      • しっかり日本語にも対応しているためPCゲーマーの皆さんも安心である。
      • PC版ではフリーズバグは改善されている模様。

総評

大きく広げ過ぎたフィールドなど、実験・挑戦的な要素が多く、シリーズファンでも賛否が分かれやすい作品。
不評だった戦闘バランスやアイテム数の不足、イベントスチルの少なさは改善されたものの、調合システムを中心に前作ファンからの批判が集中した。
今作で批判を受けた要素はほぼ全て後作のリディー&スールのアトリエにて改善・削除され、また決して少なくない評価点はきちんと続投された為、結果としてそちらの方はほぼ満場一致で非常に高い評価を得ているということを考慮すると、今作の功績は大きいとも言える。しかし後作の売上は今作の評価のためか大きく落ちてしまっている。
今作単体で見る限りは十分に良作と言い切って問題無い出来ではあるものの、PS4・Vita版ではフリーズやバグが非常に多く、くれぐれもこまめなセーブをこころがけて遊ぶようにしよう。