勇者のくせになまいきだ:3D

【ゆうしゃのくせになまいきだ すりーでぃー】

ジャンル ダンジョン・マネージメント
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 アクワイア
プレイ人数 1人
プレイ人数 1~2人
発売日 UMD版:2010年3月11日
ダウンロード版:2010年3月11日
価格 UMD版:3,980円(税込)
ダウンロード版:2,800円(税込)
判定 良作
バカゲー
ポイント 相変わらずのパロディ要素
さらに奥深くなった生態系
強すぎる水棲魔物
プレイヤーに有利なバグも追加
勇者のくせになまいきだシリーズ
SIEワールドワイド・スタジオ作品


概要

本編シリーズとしては3作目。
なおタイトルの「3D」はいわゆる3DS等の「3D(Dimension)」(=三次元)ではなく、「3つのダンジョン(Dungeon)」なので3Dとのこと。

新要素・特徴

魔水

  • 特定のブロックをつついて壊す事により、新たな特性を持つ「魔水」が発生。ダンジョンの下方へと流れていき、行き止まりで水溜りとなる。
    • 「魔水」には勇者のスキルを封印する効果もあり、戦略的な配置も重要となってくる。
    • この「水」の概念が追加されたことにより、様々な方向がボリュームアップ。今回の目玉である。
  • 水棲魔物
    • 「魔水」は土と接触すると、養分・魔分を勝手に「もにゅもにゅ」と呼ばれる植物に変える。さらに「もにゅもにゅ」は周りから勝手に養分・魔分を吸収してすくすく成長し、やがて「つぼみ」となると勝手に着水。そのまままたどんどん成長していく。
    • この「つぼみ」をつつくと中から魔物がひょっこり。これが今回の新顔、水棲魔物である。
      • 「つぼみ」がどれぐらい成長しているか、また養分を元にしているか、魔分を元にしているかで誕生する魔物は変化する。さらに特殊な条件を満たすと…
      • 先ほど書いたように勝手に養分を集めて成長してくれる性質があるため、従来の魔物とはまた違った感覚で扱える。管理も楽なので使い勝手も全体的に良い。
  • 知能
    • さらに、「つぼみ」を限界まで成長させると魔物は発生しなくなり、代わりに「レンゲ」が咲く。こいつが咲くとダンジョン内の陸生魔物の知能がアップし、特殊な行動を行ってくれるようになる
      • レンゲ1つにつき知能は1段階アップ。1段階だけだとコケぐらいにしか効果が無いが、どんどん上げればトカゲにまで効果が及ぶ。
      • このおかげで旧来の魔物にも新鮮な要素が増え、新しい活躍をしてくれる。

新モード

  • メインダンジョン
    • いわゆるいつものストーリーモード。「今回はダンジョンの数が3つに!」…と書くとボリュームダウンのように思えるかも知れないが、その分1エリア中のステージ数が増加。
    • さらに今回は特殊条件を満たす事で通常と違った勇者一行がやってくる「エクストラ(EX)ステージ」が発生。総合的なステージ数はかなりのものとなる。
      • EXステージの発生条件はなかなか厳しいものが多く、さらにステージ自体の難易度も高く、一定の挑戦の目安となっており、やり応えがある。
  • まいにちダンジョン
    • 「特定の魔物をn体作る」「特定の物を全て間引く」「土をn個掘る」等のランダムで自動生成されたお題を連続でクリアしていくチャレンジモード。
    • 簡単なお題に見えても突然変異を使いこなす必要があったり、ブロック配置がいやらしくパズルのように上手く攻略する必要があったりと、なかなかの高難度。
    • また、10問ごとに特定の勇者打倒ミッションが発生する。
    • 10問に連続挑戦する「まいにちチャレンジ」と、50問もの課題に連続で挑む「破壊神けんてい」の2種類がある。
  • ファミリーダンジョン
    • 通信機能を使い2人で挑戦できる協力ストーリーモード。このモード専用のストーリーが用意されている。
    • 魔王軍とムスメ軍に分かれ、それぞれの陣地をそれぞれ掘り進めてダンジョンを形成していく。自分の陣地でない土を掘る事も出来るが、掘パワーを非常に多く消費する。
    • 2人それぞれ勝手にダンジョンを好きなように作って行くも良し、コミュニケーションが取れるなら2人で一緒に1つのダンジョンを作ってもよし、もしくは協力するフリをしておきながら相手の変な位置のブロックを掘って邪魔したり、と多様な遊び方が可能。
    • 事前に魔物の派生種を指定しておけるため、最初からある程度好きなようにダンジョンメイクが可能。ただし2人プレイ故か準備時間は少々短め。
    • このモードのみ、ダンジョン内の時間を止めて物を移動させる事ができるツルハシスキル、「ザ・ワーrダンジョン」が使用可能。
  • また、ファミリーダンジョンとメインダンジョンの一部ステージでは魔王とムスメの2人が司令塔として存在するため、片方が連れ去られても30秒以内に勇者を倒してしまえばクリア扱いとなるシステム「魔の30秒」が存在する。
  • リプレイ
    • ステージクリア時にリプレイの保存が可能になったため、後から状況確認を行ったり、面白い事が起きたら撮っておいたり、といった事ができる。
    • また、今作はSELECTボタンを押すといつでもどこでもスクリーンショットが撮れる。

ツルハシスキル

  • ツルハシが10種類に増加し、自由に選んで装備できるようになった。これにより、前作では「ダンジョンクエイク」のみだった掘パワー消費スキルが、「ツルハシスキル」としてバリエーション大幅アップ。
    • 最初はそれこそダンジョンクエイクしか所持していないが、特定の勇者を倒すと落とす「ドラゴンオーブ」をゲットする事で使える種類が増えていく。
      • どっかで見た事がある…なんだか7つ集めるといい事がありそうな気がするオレンジ色の球体なのは気のせいかも知れない。

勇者の強化

  • 魔王軍に便利な変更点ばかりではない。勇者もきっちり強化されており、歯ごたえは十分。
    • 新職業「シャーマン」「僧侶」「武闘家」に加えて前作のDLC専用職だった「鉄人」も正式採用。
      • これらの職業の登場により、魔水を凍らせてきたり、聖水を混ぜてきたりと非常に厳しい攻撃手段を会得しているほか、追い詰めるとスキルで大逆転を狙ってくる職もあるため魔水によるスキル封印が有用であるなど、魔水の扱いも考えてダンジョンを構築する必要がある。
    • またダンジョン内のアイテムや卵を勝手に持っていくようになった。卵のままのしんりゅう等を持ち去られるとかなり涙目。

その他の追加・変更点

  • 土を掘っているとたまに出現するアイテムに「化石」が追加。水に浸けるかつつくかで発生する魔物が変化する。

評価点

  • 突然変異の仕様変更
    • 分かりづらいという前作の批判を受けてか、今回は「死亡すると画面下のストレスゲージが溜まり、右端へ振り切れるとストレスの原因に応じて変異」というシンプルなものに変更。
    • 変異の派生も基本種→基本種と同種でも発生するようになり、単純レベルアップにも便利に。
      • その代わり前作のように少ない犠牲での変異は狙えなくなり、かなりの魔物を死なせる必要が生まれた。
      • ピュア種も外れ変異扱いではなく、ストレスゲージのたまりに応じてランダムで自然発生するようになった。なので、ストレスが多い状態を維持するとピュア種ばかり生まれ、戦力が大きく落ちるデメリットも。
  • 新規魔物の追加
    • 水棲魔物以外も様々な魔物が追加。旧作の魔物から派生するものもあり、使い勝手の向上になっている物も。
  • 相変わらずノスタルジックながらも高レベルなグラフィックとBGM
    • 前作『or2』のDLCで初登場した「ムスメ」が、満を持して本編ストーリーに登場。縦横比のせいか若干ふとましかったor2の頃と比べると見違えるほどに可愛くなっており、愛らしいドットアニメーションもあって彼女に心奪われるツルハシ…もとい破壊神を量産した。
    • ストーリーモードのエンディングも手打ちのドットアニメーションとなっているが、その出来栄えは珠玉の一言に尽きる。
    • BGMで特筆すべきは最終面の「ファイナル・ギャザリング!」と、上述のエンディングで流れる「来たるべきセカイ」。どちらもシリーズ屈指の名曲と評されている。
  • 相変わらず自重していないネタ要素
    • ストーリーモードで攻略するエリアの名前からして「ダダームの塔」「ルドガルアの塔」と一発でパロディ元が分かる代物。外観まで元ネタそっくりである。
    • ステージ名や勇者の名前も、よくもまぁ3作連続でここまで濃いパロディネタを集めたものだと感心せざるを得ない程の物が揃っている。
    • ポップアップ機能が追加されたことにより図鑑中の本文にものすごく細かい注釈が付くようになり、こちらも(主におバカ度が)パワーアップ。
      • ストーリーモード最終盤で戦う事になる「とある勇者*1」の説明文は、別世界で勇者として活躍するような破壊神ならば必見と言えよう。
  • 前作までに確認されたバグの修正
    • 前作・前々作で発生していたバグは、その殆どが一掃された。
      • サたーん・ハイサたーんやゴーレムの特殊能力も、今度こそ絶対に魔物の能力が強化されるようになっている。機会があったら過去作での鬱憤を思う存分晴らさせてあげよう。

問題点

  • シリーズ中でも最高クラスの難易度
    • 「メインダンジョン(ストーリーモード)」はダンジョン数の減少とエリア数の増加により、最初のダンジョンでも結構な難易度になった。
      • 最終ステージは、下記の「入口水地獄」を使わなければ、クリアはかなり難しい。
    • 新モード「まいにちダンジョン」の難易度もかなり高い。
      • 特に「破壊神けんてい」では50問もの課題を連続で攻略しなければならない。失敗したら最初からやり直しとなるためだいぶ心が折れる。
    • 逆に「アドバンス(前作の「チャレンジ」に相当)」は前々作、前作と比べて易しめなものが多く、ボリュームも結構減っているため慣れてきたプレイヤーには物足りない。
      • 難しい問題も無い訳ではないのだが、ボリュームが減った分数は少なくなり、簡単な問題についても「まいにちダンジョン」に形式だけ変わってそのまま出題されるものがかなり多いため内容も大分薄くなってしまった。
      • さらに、トレーニングについてもある程度以降はストーリーをやらないと開放されなくなったため、初心者にも少し厳しくなってしまった。
  • 難易度低下の救済措置が実質機能していない
    • 難易度調整できるようになったのはいいが、難易度の下げ方は「準備時間を延長する」ものとなっている。この為、詰まったと感じて難易度を下げてもさっぱり楽にならないケースが多い。
      • しかも難易度を下げても成績判定の「消費時間」の基準は変化しない。時間を掛ければ掛けるほど、そして時間がある分掘パワーを消費するほどクリア報酬が少なくなっていき、下手をすればジリ貧に。
  • もはやシリーズのお約束となりつつあるバグ
    • 前作までに確認されたバグはほぼ一掃されたものの、新たなバグが大量発生してしまった。
      • ただし今回は前作までとはうって変わって、ユーザーに有利なバグが妙に多い。
    • 本作の新要素のファミリーダンジョンにも同期がズレた状態でゲームが進行するという致命的なバグがある。本モードでしか見られない専用の会話や図鑑の収集要素が用意されているだけに残念である。
  • (主に魔水と水棲魔物を活用した)一部戦法が強すぎる
    • 魔水は「『水の中でしか生きられない』という水棲魔物の仕様上、魔物が密集しやすい」「水棲魔物には勇者の動きを遅くしたり、痺れさせて動きを止めるといった強力な能力を持つものが多い」「魔水による勇者のスキル封印」と、勇者にとっては三重苦の場所となる。
      • ストーリー後半になると前述のとおり魔水を凍らせてくる勇者が出てくるため、水棲魔物だけで攻略できるというわけではない。
        しかしそんな魔水の弱点を克服する最強の戦法がある。その名も「入口水地獄」。
        詳細は外部の攻略wikiを参照していただきたいのだが、決まってしまえば本作ラスボスすらも完封可能である。
    • バグ活用を厭わないのであれば、睡眠中の勇者にミズグモの鈍足攻撃を当てると睡眠時間が大幅に延びるバグを活用したずっとミズグモのターン戦法も強烈。
    • 一応上述した戦法はあくまでこのゲームで採れる戦法の一つに過ぎないため、気になるなら封印は容易ではあるが…前作・前々作で猛威を振るった「しんりゅう」「コケ地獄」「じゃしん」といった魔物や戦術が今作では弱体化しており、お手軽強力戦法としては機能しにくくなっている為、難易度の高さもあって結局魔水を活用した戦法になってしまいがち。
  • 「魔王の部屋」の不満点
    • 本作ではメインメニューから直接魔王の部屋に飛ぶ事ができず、利用方法が少々分かりづらい。
    • 勇者の屍が残らないという仕様が原因で、スケルトン系・マンドラゴラ系の魔物の実験ができない。

総評

根本的なリソース管理の楽しさはそのままに、前作から大幅な変化を遂げた逸品。
細かい調整も良くなされており、バカゲー要素も相変わらずの飛ばしぶりで好評を獲得した。
高難度っぷりも相変わらずだが、困難を乗り越えた先に待つ「最高のバッドエンド」はそこまでの苦労に見合うだけの価値を十二分に有している。是非とも自身の手とツルハシで確かめてみてほしい。


余談

  • タイトル画面であるコマンドを入力すると、アクワイア開発・SCE販売のアクションゲーム『100万トンのバラバラ』の体験版である『100万トンのバラバラ 1万トン体験版』をインストールして遊ぶことができた。
    • 同様に『100万トンのバラバラ』の方でコマンドを入力すると、本作の『のっとられ体験版』がプレイ可能だったりする。
  • 2010年当時のコロコロコミックの巻末で本作の特集記事が組まれたことがあった。この特集で本作の存在を知り、実際に手に取ったという破壊神もそれなりに多かったのではなかろうか。
    • 単なる紹介に留まらず、当時「サルゲッチュ ウキウキ大作戦!」を連載していた後藤英貴による描きおろし4コマ漫画を用意したりといった気合の入れようを見せていた。
    • 会社繋がりなのか、上述した『100万トンのバラバラ』も同様に巻末で特集されたことがあった。
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最終更新:2024年03月07日 17:22

*1 この勇者については、此処では敢えて詳細な説明を控える事にする。…とはいえ、本作クリア済みの破壊神ならどの勇者を指しているか一発で分かる筈