ゼロ・ツアーズ
【ぜろつあーず】
ジャンル
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コミュニケーションRPG
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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発売元
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メディアリング
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開発元
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アメディオ
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発売日
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2001年7月27日
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定価
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5,754円(税5%込)
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プレイ人数
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1人~2人
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セーブデータ
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1個
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周辺機器
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GBA専用通信ケーブル、モバイルアダプタGB対応
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判定
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なし
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ポイント
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GBA唯一のモバイルピアtoピア対応作 可愛らしい絵柄と熱いBGM 難易度は低く、シナリオも単調
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概要
GBA黎明期にメディアリングが世に出したRPG。
モバイルアダプタGB対応ソフトの中でも、数少ないモバイルピアtoピア対応作品の一つである。
ストーリー
ひろーいひろい世界…キグルミを着て生活している「キグルミアン」と呼ばれる者達の世界
そこでは いくつもの種族が ひっそりと暮らしていました…
はるか昔…そんな平和な世界にも 大きな争いがありました
この戦いは 謎の秘密組織が この世界を支配するために 起こした争いでした
しかし キグルミアンたちは力をあわせ この戦いに勝利しました
戦いの記憶もうすらいだ頃 「希望の里」にふたりの赤ん坊が預けられるコトになりました…
… 竜のお守りとともに …
(本作オープニングデモより引用)
特徴
一本道と思いきや、複数分岐の存在するシナリオ
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プレイヤーは双子の「ブルーベリィ・ジャム(男の子)」「ストロベリィ・パフェ(女の子)」のどちらかを主人公として選び、お店で売る為の珍しい品を求めて世界を旅することになる。
双子なのになんで苗字が違うんだとかツッコんではいけない
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ゲーム内ではもっぱら「ジャム」「パフェ」と呼ばれるので、苗字というよりは2つセットで名前なのだろう。主人公に選んだ方に限り名前(「ジャム/パフェ」の部分のみ)を変更可能。
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ちなみに選ばなかった方の主人公はずっと店番を担当しており、本編での出番は最初と最後を除けばほぼ無きに等しい。
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冒険の流れとしては「まだ訪れていない里の情報を聞く→里を訪問し、ダンジョンの情報を聞く→ダンジョンを攻略する→里に戻って、別のダンジョンや他の里の情報を聞く…」の繰り返し。
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新しい里の情報を聞く際に、どの住人から情報を得るかによって次に訪れる里や、そこで出会える仲間の種族・性別が大幅に変化する。一度情報を聞くとルート変更はできないので、後悔したくない場合はセーブをお忘れなく。
自分のお店
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ダンジョンで入手したアイテムは自分で装備or使用する他に、自分のお店で売りに出す事もできる。
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売値は定価・1割引・4割引の3種類から選択可能で、店に並べたアイテムはある程度プレイを進めると自動で売却され、売値分の資金が得られる。基本的に売値が安ければ安いほど早く売れる。一度商品として店に並べたアイテムは回収できないので、操作ミスには注意。
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本作ではモンスターを倒しても資金を得ることができず、入手したアイテムを他の里にある店で売却する事も不可能。資金は原則自分のお店を活用して得る事になる。
仲間になるモンスター「ヌイグルミン」
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ダンジョンで徘徊するモンスターは二種類存在しており、そのうち片方の「ヌイグルミン」は撃破後に確率で仲間に加える事ができる。
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仲間と言っても共に戦う訳ではなく、実際には装備品的な扱い。主人公以外の仲間(キグルミアン)に装備させる事で、ヌイグルミンに応じた特技を使えるようになる。仲間1人につき、最大2体まで装備可能。
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ヌイグルミンを装備したまま戦うとヌイグルミンにも経験値が入り、一定以上の経験値が溜まればレベルアップ。新たな特技を覚える事がある。
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主人公はヌイグルミンを装備できないが、その代わり自身のレベルに応じて「装備中の武器に応じて属性が変化する必殺技」を習得できる。
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一部のヌイグルミンは、同時に装備する事で合体技を使用できるようになる。通常の特技よりも強烈な威力を誇り、使えるようになればかなり強力。
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仲間にしたヌイグルミンとは、自分の店の「ヌイグルミンマンション」で腕試しとして戦うこともできる。自分が仲間にしたヌイグルミンと戦っても、精々成長の限界に達しているかどうかを確認できる程度だが…
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仲間にできるヌイグルミンの上限は72体。72体仲間にした状態で新しいヌイグルミンを仲間に加える事はできないので、ヌイグルミンマンションで「わかれる」を選択し不要なヌイグルミンを逃がす必要がある。もっとも、余程大量に同種のヌイグルミンを仲間にでもしない限り上限に達する事はほぼありえないと言いきってしまっても差し支えないのだが。
成長する武器
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「なもなきけん」「なもなきグローブ」のように各武器種ごとに用意されている。入手した時点で好きな名前を付けることができるが、一度付けた名前は変更不可能。予めそれっぽい名前を考えておきたい。
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入手時点での性能はそれこそ最初期の装備と大差無い程度だが、戦闘で経験値を得てレベルアップするという特徴を持っており、最終的には他の武器の倍以上の攻撃力になる。
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本編では終盤のダンジョンで低確率で手に入るおまけ的な要素だが、下記モバイルセンターとの通信で開放できるダンジョンを使えば早期且つ大量入手も可能であった。
通信要素
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通信ケーブルを使った通信プレイによって他のプレイヤーがお店に並べている商品の購入やツアーレコーダーの交換、更に他のプレイヤーのヌイグルミンマンションのコピーを貰ったりできる。
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他プレイヤーのお店で買うことができるのは、専用の棚に並べられた品のみ。通信専用の棚に並べたアイテムは自動売却される事は無い。
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2つ目のダンジョン攻略後に仲間となるツアーレコーダーを交換する事によって、他のプレイヤーが訪れた事のある里の情報を入手可能。
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シナリオ分岐で選ばなかった里を訪れても仲間は増えないが、隠しダンジョンの情報を得る事ができる。強力なアイテムや新たなヌイグルミン入手のチャンス。
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レコーダーを交換した相手が自分よりシナリオを進めていれば、シナリオ進行上まだ行くべきではない里へ一足先にお邪魔する事だってできる。キチンとシナリオを進めなければイベントが発生せず仲間となるキャラも登場しないので、シーケンスブレイクはできない。
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貰ったヌイグルミンマンションのコピーは2号館として保存される。マンション2号館にいるヌイグルミンは、戦闘で勝てば通常のヌイグルミン同様確率で仲間にできてしまえる。
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しかも仲間にしても2号館からはいなくならないので、その気になれば同種のヌイグルミンを複数仲間にする事だって可能。
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既にヌイグルミンマンションのコピーを貰っている状態で新しいコピーを受け取ると上書きされる。貴重なヌイグルミンのデータを上書きしない様に注意されたし。
モバイルアダプタGBを使用したオンラインサービス
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本作はモバイルアダプタGBを使ったオンラインサービスに対応しており、モバイルセンターと通信する事で以下の要素を開放する事ができた。
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通常では一つの種族の仲間につきどちらか片方の性別のキャラしか仲間にならないが、モバイルセンターのデータを受け取れば両方のキャラを仲間にできた。
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更に、分岐で選ばなかった里のキャラを仲間にできるようになったり、通常では絶対に出現しない仲間が出現するようになったりと至れり尽くせり。
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モバイルセンターとの通信限定で情報が解禁される里やダンジョンにいけるようになった。この方法でしか入手できないアイテムやヌイグルミンも多数存在している。
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上述通りGBAでは唯一、携帯ソフト全般を見渡しても本作の他は『ポケットモンスター クリスタルバージョン』のみというモバイルピアtoピア対応ソフトであり、相手の携帯電話の番号さえ知っていれば遠隔地でもサーバーを介さずに通信プレイが可能だった。
評価点
可愛らしく、個性的なキャラクター
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主人公の双子は勿論、ツアーコンダクターとして旅に同行する妖精の「ハッピィ」や、初期PTメンバーでもある腹ペコ系幼馴染「ニャンキチ」と一行の知恵袋「ワンタ」など非常に個性的、且つ可愛らしいキャラが多い。
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他の仲間も、男性キャラはクールな二枚目の青年や武闘派のオッサン、女性キャラは元気娘から気性の荒いオレっ子まで幅広くジャンルを揃えており、何れのデザインも(極一部を除いて)秀逸。
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特に人気が高いのは上述のワンタの他に、ウシ族のお姉さん「ミル」、そしてサカナ族のおっとり巫女「サシミ」。ミルとサシミを同時に仲間にするには、モバイルセンターのデータが必要なのが泣き所か。
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しかもただデザインが秀逸なだけではなく、戦闘中は画面下部でデフォルメキャラのドット絵がよく動く。ドット絵アニメーションもキャラそれぞれの性格をキチンと反映しており、見ているだけでも楽しい。
分かりやすく、親切なシステム
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戦闘はシンボルエンカウント。敵シンボルはダンジョン内にある小部屋のドアを開けるまでは動かず、また本編中盤辺りまではドアを開けてもゆっくりとしか動かない。
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更にシンボルが「動く竜巻」なら風属性の敵、「浮遊する岩」なら地属性の敵…といった具合に、シンボルの種類によって敵の属性を類推可能。装備の変更や回復など、十分な準備をしてから戦闘に挑める安心仕様となっている。
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通信限定を除けばほとんどのダンジョンで敵の属性は統一されている。特定のダンジョンでは、このシンボル変化によって敵がヌイグルミンかどうかを見分けられるケースまである。
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戦闘ではターン開始時、最初に「コマンド」「集中攻撃」「にげる」のいずれかを選択する。
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「コマンド」を選んだ場合は通常攻撃・アタックポイント(AP)を消費して特技or必殺技を使用・事前に持たせた道具を使用・防御のいずれかの行動をメンバー毎に選択可能。
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APはダンジョン突入時は0固定だが、戦闘中はターン開始時or戦闘終了後に1ずつ回復していく。
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防御を選んだ際はダメージを軽減するだけでなく、APを更に回復可能。ボス戦などでは通常攻撃で敵体力を削るだけではなく、一旦APを溜めて次のターンで強力な特技を使用…という戦法も取れる。
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「集中攻撃」を選んだ場合は、選択した敵1体にPTメンバーが一斉に通常攻撃を仕掛ける。この際、味方側と敵側それぞれの素早さの平均値を比べ、高い側から先に一斉攻撃が可能。
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弱い雑魚敵ならメンバー毎のコマンドを入力する手間を省いた上で、一気に敵戦力を削りきり戦闘を終わらせる事だってできてしまう。しかし逆に一気に壊滅させられるケースもあるので注意。
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「にげる」はその名の通り。一度選べば確実にその戦闘から離脱できる。確率で何名かのキャラが逃げ遅れてしまい、敵の総攻撃を喰らってしまう事もある。
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戦闘で負けてしまった場合でも、ペナルティはダンジョンの外に出されるだけ。リセットをせずとも装備やアイテムを整えての再挑戦がしやすい。
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メニュー画面ではパーティの状態確認や装備・所持道具の変更、隊列の変更の他に「やすむ」「いどう」等のコマンドを実行可能。
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「やすむ」を選べば、それまでの戦闘で溜まったAPが1まで減るのと引き換えに体力を全回復できる。アイテムや特技に頼らずとも戦力を維持可能なのは中々に便利。
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「いどう」は現在いる里やダンジョンを瞬時に離脱し、ワールドマップへと移動できる。敵に囲まれた状況であろうと、メニュー画面を開けさえすれば即座に緊急脱出可能。
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ワールドマップまで戻れば、体力回復だけでなく戦闘不能となったキャラもアイテム・特技無しで復活する。覚えておいて損は無い。
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時折いどうコマンドが使えなくなる場合があるが、これは階段を上る等のエリア移動によって何らかのイベントが発生するという予兆。慌てず騒がず来た道を戻ってみよう。
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セーブはメニュー画面の一番下にある「オプション」から。こちらも、イベント発生の予兆がある時以外はいつでもどこでもセーブ可能。
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ただし、再開時の仕様には少しばかり難がある。詳細は問題点の項にて。
高クオリティのBGM
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場面場面に合ったBGMについては好評の声が多い。
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特に評価が高いのは戦闘時のBGM。雑魚戦・ボス戦共に、ほのぼのとした世界観からは想像もできない熱いメロディで戦闘を盛り上げてくれる。
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ちなみにサウンド担当は、スーパーロボット大戦シリーズでもおなじみのサラマンダーファクトリーに所属する鶴山尚史氏と花岡拓也氏。
賛否両論点
良くも悪くも単調なストーリー
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上の記述で察した方も多いだろうが、シナリオは基本的に里とダンジョンの往復のみ。非常に単調で、人によっては飽きも早い。
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シナリオの内容も良く言えば「低年齢層でも理解しやすい王道」、悪く言えば「先が完全に読めてしまう陳腐」な展開。
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仲間になったキャラクターは、周辺ダンジョンでのイベントを終えると全く出てこなくなる。フラグ管理の事情もあるとはいえ、個性的な仲間がぽっと出でシナリオに絡んでこないのは中々に寂しい。
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物語後半の展開についてネタバレしています。閲覧注意
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物語が進むにつれて「ドラゴニックエナジー」と「てくのろじぃ」という二つの力が出てくるが、完全にドラゴニックエナジーが善、それを蝕むてくのろじぃが悪として描写されている。
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終盤になって訪れる敵対集団の拠点には、てくのろじぃを利用し生活している住人が多数存在している。此方から住人に話しかけると、彼らはてくのろじぃを生活に使っているだけで、本質的には他の里の住人と変わらないという事が窺える。
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最終的には敵対集団と和解し、てくのろじぃを完全に放棄するという形で纏まるのだが…自分自身に置き換えて考えてみてほしい。いきなりパソコンやスマホ、車に家電、その他生活に必要な文明の利器を「地球の環境に害を及ぼすから」と言われて取り上げられ、中世ヨーロッパ辺りの技術水準での生活を強要される破目になったならば貴方はどんな事を考えるだろうか?
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敵対集団の拠点以外にも、旅の途中で訪れる里の中にはてくのろじぃ側に属すると推測可能な技術を使用している里が存在しているが、そちらについては最初に訪れた際に「変わった里」と流されるだけで以降一切触れられる事は無い。
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一度こうした点が気になりだすと、シナリオの其処彼処で出てくるてくのろじぃ悪玉論がやたら鼻につくようになってしまう。所詮は低年齢層向け作品のストーリーだから、と流す事も可能ではあるが…。
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上述したキャラのぽっと出は、ダンジョン内に居る敵対集団の構成員にも当てはまる。基本的に彼らがけしかけてくるモンスターを倒したら、その時点で出番終了と考えていい。
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一応バストアップ絵や戦闘後のちゃんとした会話が存在する幹部クラスはまだ扱いが良い方で、それ以外は個性的な外見をしているにも拘らずバストアップ絵が用意されておらず、また戦闘後の負け惜しみや断末魔の叫び、撤退の様子なども描写されない。誇張抜きに戦闘前の短い掛け合いが終わったらいつの間にか影も形も無く消えていた…というあんまりな扱いである。
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作中でぞんざいに扱われている設定が幾つか存在している。
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とある里の長老との会話で、敵対集団の構成員の中にはアンドロイドが含まれている事が明かされるのだが、どの構成員がアンドロイドなのかについての判断材料があまりにも少なすぎる為、事実上の死に設定となってしまっている。
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「モンスターを操っているのがアンドロイド」と説明はされるものの、その程度であれば後に登場する幹部やボスなども普通に行っている。特にボスについては「自身のドラゴニックエナジーを吸収され衰弱する」という描写が存在しており、実は彼もアンドロイドでしたという説は考えにくい。
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「秘密組織」という敵対集団を指す単語についても、メインシナリオ中で出てくるのは上述した長老との会話のみ。
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というか、作中でこの秘密組織という単語が出てくるのが、長老との会話以外だと別の里の住人との会話(任意)とオープニングデモ位しか無い。おまけに秘密組織という単語を口にする住人がいる里では、住人からの情報収集ではなく重要NPCとの強制イベントによって次に向かうべきダンジョンや里の情報が手に入ってしまう。気付かない人は本当に気付かない。
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ちなみにこの単語、長老が口に出す前にハッピィの口からさらりと出てくる。上述の里での情報収集を怠った場合、彼女がそれまで影も形も見られなかった単語をあたかも既知の情報であるかのように唐突に口にする…という描写に見えてしまう。
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ちなみにシナリオ担当は園田英樹氏とおかざきじゅんこ氏。この情報についてどう解釈するかは閲覧者諸氏に委ねたい。
極一部を除き、低年齢層向けのマイルドな難易度
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序盤はA連打のタコ殴りでも割と安定してダンジョン内の敵に勝てる程度の難易度。ある程度物語が進んでからでも、予め敵の弱点属性に装備を変更してさえおけば然程苦戦はしない戦闘バランスとなっている。
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消耗した場合でもメニュー画面を開けるのであれば、APと引き換えの体力全回復や、ダンジョンからの脱出を実行可能。余程無謀な突撃をしなければ余裕を持ってダンジョンを攻略できる。
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但し、一部のダンジョンに存在する「状態異常付与攻撃を使ってくる敵」との戦闘は話が別。しっかりメンバーを鍛えた上で、可能であれば状態異常耐性を有する装備か回復アイテムを揃えておき、その上で相手の弱点を突く短期決戦を挑まないとあっさり全滅しかねない。
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特に怖いのはコマンドを無視して同士討ち、或いは自傷を行うようになる「混乱」と、混乱の効果に加えて継続ダメージを受ける「燃え」の2種類。
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よりにもよって序盤のとあるダンジョンに燃え状態付与攻撃を撒いてくる敵が存在しており、4体の群れやボスの取り巻きとして度々登場し此方を燃やしにかかってくる。前後で燃え効果対策のアクセサリを入手可能なダンジョンがあるものの入手確率は極めて低く、またこの時点では燃え状態を回復するアイテム・特技は登場していない為、つらいと感じたら一つ前のダンジョンでレベル上げに励む位しか対策が無い。
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中盤のとあるボス敵は混乱の状態異常を撒いてくる非常に厄介な相手なのだが、何とコイツ、最終盤のダンジョンで雑魚敵として大量に出現する。ラスボスと真正面から殴り合いができるPTが複数体の敵から混乱を貰い、そのまま同士討ちor自傷で壊滅した…というケースも少なからず報告されている。
自動生成?ダンジョン
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一応パッケージには自動生成と書かれてはいるものの、その実態は1フロアにつき1~4個の大部屋と、大部屋内に存在する複数の小部屋を組み合わせた程度の簡素なもの。
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小部屋の中に配置されるのは敵・宝箱・階段のみ。階段はフロアに1つしかないので完全に一本道である。
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ダンジョン内の仕掛けも「5つ目のダンジョン以降は、小部屋の中がドアを開けるまで見えなくなる」位しかない。
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組み合わせのパターンも単純で変化に乏しく、おかげでダンジョン攻略に詰まる事はほぼありえないが、普通に進めるだけでも幾度と無く既視感に襲われる破目に。
微妙に分かり辛い属性間の相性
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一般的なRPGと同様、本作にも属性の概念が存在しており、武器や特技、そして敵が持つ属性によってダメージが増減するのだが…。
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属性の相性は「光→闇→地→風→水→火→無→光…」といった具合。特に「無属性が光に強く、火に弱い」という点が分かり辛いという意見が目立つ。
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本作と同様に属性の概念を持つGBA作品とは異なり、属性間の相性は基本的にWebサイトか説明書で確認するしかない。
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相性が悪くてもダメージが減ったりはしない。全体的なバランスとしては「有利な属性を選べば効率的に戦えるが、属性を気にせずに数値の高い武器を優先しても十分戦える」といった具合。
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最終的に最強武器となる「なもなき」シリーズは無属性しかない。
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戦闘中のメッセージでは敵の攻撃にも属性があるかのように表示されるが、実際は敵側の攻撃属性は一切機能していない。主人公達の能力や防具に、属性のパラメータが設定されていない時点でお察しではあるが。
問題点
モバイルアダプタGB対応ソフト故の、割と致命的な問題
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モバイルシステムGBが2002年12月14日をもってサービス終了してしまった為、上述したオンラインサービスは現在利用不可能となってしまっている。
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モバイルセンター限定の里やダンジョンについては、データ入手済のプレイヤーとツアーレコーダーを交換する事によって開放は可能。現時点でデータ入手済のソフトを保存しているプレイヤーを探す事から始めなければならない為ハードルはかなり高いが、それでも開放手段が現存しているだけマシな方である。
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仲間については最早どうしようもない。別の性別のキャラや分岐で選ばなかった里のキャラはともかく、モバイル限定のキャラは(正規の手段では)作中でその姿を拝む事すら不可能。
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説明書にキャラ絵が載っているネコ族の「ミィーコ」、イヌ族の「キャン」、トリ族の「スズメ」以上3名がモバイル限定というのがこれまた酷い。3名とも中々に可愛いデザインであり、この有様では詐欺と誹られても反論できない。
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モバイルピアtoピアの方はサーバーを介さない為サービス終了後も使用可能であったが、現在では携帯電話の通信方式の変化によって利用できなくなっている可能性が高い。
分岐選択に応じて二者択一となる要素の存在
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モバイルを利用しない限り、一つの種族につき仲間になるのは男女どちらか一人のみ。気に入ったキャラがいても、分岐選択の順番を間違えた場合は全く別のキャラに出迎えられる破目に陥ってしまう。
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特定の分岐ルートを選ばなければ訪れる事のできない里が存在している。
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分岐の具体的な情報を記載しています。ネタバレ注意
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2番目の分岐で「飛空の里」を選び、そこで「ファルコン」を仲間にするとイベント攻略後に「ライトカントリー」に行けるようになる。この方法以外でライトカントリーへ向かうには、他プレイヤーのツアーレコーダーを頼るしかない。
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ご丁寧な事に、飛空の里経由でライトカントリーに向かった場合に情報を聞けるダンジョンには最強装備候補となるヌイグルミンが存在している。行けるのであれば是非とも仲間にしておきたい。
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但しライトカントリーへ進む為の分岐ルートと、一部の仲間加入はモバイルを使わない限り両立不可能。更にモバイルを使用した場合でも、仲間にできるのはライトカントリー到達までに選んだ分岐に対応した1名だけで、他のキャラは絶対に仲間にできない。
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分岐以外にも存在する、取り返しのつかない要素
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上述の通り、ヌイグルミンが仲間になるかどうかは確率であり運次第。これの何が問題かというと、シナリオ中に一度しか遭遇機会が無いボスクラスのヌイグルミンにもこのルールが適用される為、運次第では倒したっきりで二度と仲間にできなくなってしまうのである。
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万が一ボスヌイグルミンを仲間にしそびれた場合、そのヌイグルミンを仲間にした他プレイヤーからヌイグルミンマンションのコピーを譲ってもらうしか挽回する方法が無い。ダンジョンのボスに挑む際は事前セーブを忘れずに。
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主人公以外の仲間キャラには、それぞれ特定の属性のヌイグルミンと相性が良く、PTに入れていればその属性のヌイグルミンを仲間にしやすいという特徴がある。相性の良いメンバーを厳選して挑めば、ある程度は楽になるだろう。しかし分岐ルート次第では、その時点のPTメンバー全員がヌイグルミンを仲間にする確率を上げられないという事態も発生しうる。
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仲間にし損ねた際に「迷っている」と表記されたのであれば、PT内の誰かがそのヌイグルミンの属性と相性の良いキャラであるという証拠。一方「こちらにきょうみがないようだ」の場合は良相性のキャラがいない状態であり、この状態で粘るのであれば相当数の試行が必要となる。
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ほとんどのヌイグルミンは初期メンバーのニャンキチとワンタ、そしてどの分岐を選んでも必ず加入する「ゴンタロー」の3名のうちいずれかで仲間になる確率を上げられる。しかし闇属性のヌイグルミンだけは必ず加入するメンバー中に良相性のキャラが居ない為、上述した「誰も確率を上げられない」事態が発生しやすい。
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「ボスヌイグルミンを仲間にするチャンスは一度だけ」「仲間になるかどうかは運次第」「ヌイグルミンの仲間判定には相性がある」という情報は、ゲーム内では一切語られない。重要度の高い情報だけに、それこそ最初のダンジョン攻略までに複数回挟まれる強制イベントで説明するか、目立つ箇所に解説用のNPCを配置するかしておいた方が良かったのではなかろうか。
その他、細かい問題点
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戦闘中に特技の詳細を確認する事ができない。
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「すこしなおるぅ」「ぐっどもーにんぐ」など効果を把握しやすい名前の特技が多く、また全体に効果がある特技は消費AP量が多い点から効果について大体の判断は可能だが、痒い所に手が届かない印象は否めない。
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クリア後のオマケ要素は存在せず、やりこみ要素もモバイルを使わないのであれば上述した「成長する武器」程度しかない。
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難易度の選択が可能だが、これが主人公の選択と紐付けされてしまっている。
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パフェを選んだ場合はイージーモードとなり、ジャムよりもレベルアップに必要な経験値が少なくなる。また加入した仲間のレベルが少し高くなる為即戦力として投入しやすい。
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但し、同じレベルでの基本パラメータは耐魔(魔法防御)を除いてジャムの方が高い。特にHPと防御が顕著。
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セーブデータをロードした際、何処でセーブをしたかに関わらずワールドマップからの再開となる。
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ダンジョンの中でセーブした場合でもワールドマップからやり直し。上述通りダンジョンの中身はさほど複雑ではなく、一部の雑魚戦を除けばそれ程攻略の手間はかからないのが救いか。
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画面切り替えの際に少々時間がかかる。
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切り替えの際には画面が白くなり、音楽も途切れてしまう。流石に一時期見られたローディング地獄という程ではないが、里やダンジョンでは度々画面切り替えが発生する為探索時のテンポは若干悪い。
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パッケージや説明書のイラストと、作中のグラフィックで明らかにデザインや雰囲気の異なるキャラがいる。担当者間での設定のすり合わせが上手くいかなかったのだろうか?
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特にギャップがあるのはウシ族男性の「ストマック」で、説明書のイラストではいかにも荒くれ者のような雰囲気だが、ゲーム内では見た目も性格も穏やかな好青年となっている。
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可愛らしいデザインの多い作品だが、中にはかなり人を選ぶデザインも存在している。具体的にはダンジョン内にいるもう一種類のモンスター「コンチューン」と、男性仲間キャラ2名。
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コンチューンは文字通り昆虫をモチーフとしたモンスター。全体的にある程度デフォルメされてはいるものの、モチーフの昆虫ほぼそのままの姿で登場するモノも何種類か存在している。人によっては嫌悪感を抱いてもおかしくない。
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男性キャラクターで人を選ぶデザインとなっているのはサカナ族の「シオヤキ」とブタ族の「ボンレス」。正しく前者は半魚人、後者は豚人間と形容すべき風貌となっており、購入したユーザーをして「悪意を感じる程にキモイ」「生み出された事自体が不憫」とまで言わしめた。
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シオヤキに対応する女性キャラがよりにもよって上述のサシミ、そしてボンレスに対応する女性キャラクターの「プーコ」も余程の物好きでもない限りこちらを選ぶであろう程度には可愛らしいデザインになっているという点もまた、彼等の哀愁を誘う…。
総評
芸の細かいドット絵アニメーションや高クオリティのBGMなど、良作となりうる要素は十分備えてはいる。
しかしダンジョン探索やシナリオの面において決定的に詰めが足りず、結局は隠れた佳作止まりとなってしまった。
当時は斬新であったモバイルシステムGB関連の要素について、サービス終了後のフォローに乏しい点もいただけない。
とはいえモバイル関連の要素を度外視すれば「ゲームは一日一時間」でも問題無くクリアまで楽しめる為、空き時間にゆるく遊ぶ分には自信を持ってオススメ可能な作品である。
惜しむらくは発売元が同じとあるバカゲーと同様、権利の所在が不明な所為でVC配信が絶望的であり、現状では実機で遊ぶしかないという点だろうか…。
余談
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開発当初は『無限奇行 ゼロ・ツアーズ』というタイトルであり、ゲーム雑誌の初報でも同タイトルで掲載されていたが、いつの間にかタイトルが変更されていた。
最終更新:2024年12月14日 23:47