この項目では『drummania』のアーケード版と移植版のPS2版について解説しています。
判定はいずれも「なし」です。
drummania
【どらむまにあ】
概要
『GUITARFREAKS』(GF)から暫く経ってからリリースされた、ドラム演奏をモチーフとする『BEMANIシリーズ』第5弾タイトル。
本作はGFと共に楽器演奏を体感する要素を強く押し出した作品となった。
『drummania』シリーズ共通の特徴
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YAMAHA公認のドラムパッド
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筐体にはYAMAHA製のDTXPRESSと同じ、本物のシンセドラムのパッドを使用。叩くと縁(ふち)のカラーライトが光り、さらなる臨場感を生む。
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GUITARFREAKSとのセッションプレー
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相互機種である『GUITARFREAKS』と有線通信を行い、セッションプレーが行える。
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『GF2nd』がリリースされていた当時はセッション専用曲もあった為、今よりはセッションプレーの需要が高かった。
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イメージクリップ
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プレー画面の右側(『GUITARFREAKS』では画面中央)に流れている映像で、1曲に1つ用意されている。
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基本的に使い回しはほとんど無く、その曲独自のイメージクリップが味わえるのも評価が高い。
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『DMXG2』 / 『V8』で描き下ろしクリップが廃止されるまで、全ての曲に作られた。
初代dm特有の特徴・評価点
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フィルインボーナス
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特定のフィルイン(曲展開の合間に入るキメのフレーズ、音楽用語で言う"オカズ")を上手く演奏すると、歓声が上がりボーナス点が入る。
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GF側のワイリングと対になるシステムとして導入されたが、次作で廃止となってしまった。
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コンボ表示について
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当時のBEMANIで浸透しつつあったコンボ名は、初期のdmのみ作風を反映してか「COMBO」でなく「HITS!」にされている。
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本作でのコンボはGREAT以上でHITS!が繋がる仕様になっている。GOODに関しては、増減はなし。また、エキサイトゲージも横である。
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余談だが2nd以降からは、GOOD以上でも繋がる仕様に変更されている。
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モードによってバスドラムの判定が緩くなる
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本作は難易度(PRACTICE、NORMAL)によって、バスドラムの譜面チップの太さが異なり、下の難易度ほど太くなり、判定が緩くなる。
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処女作ということもあってか、まだ当時はユーザー育成が始まったばかりで、足を使った操作に慣れない人への配慮と思われる。
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セッション専用曲
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dm単体で選べる曲とは別に、セッション専用時に登場する曲も存在する。
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現在のアミューズメント事情とは異なり、飛び入りのセッションも盛んに行われていた。
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『dm2nd』では通常曲として、セッションを通さなくてもプレー出来るようになった。また現行作であるGITADORAにもセッション専用曲(「FIFTH GIG TYPEII」)は存在する。
収録曲について
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『GUITARFREAKS』と同様バンド要素との親和性が高く、ロックスタイルの曲が多いのが特徴。
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GFからは「cutie pie」「Hypnotica」「Happy Man」がセッション対応曲として移植。
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dmオリジナルは入門ポジションの「Eyes of Kids」と、NAOKI氏によるバラード「When I dream of you」を収録。
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Jimmy Wecklは「Onion Man」「Look at me」「Road for Thunder」「Across the Nightmare」「WAZA」の5曲を担当。
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特に「Across the Nightmare」は打倒泉陸奥彦をコンセプトに作られ現在でも人気が高く、侍のイメージと共に根強くユーザーの印象に残っている。
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外部アーティストからの楽曲提供はこの頃から行われており、Shige Kawagoe(河越重義)氏による「River Crossin'」、vacciness(ワクチンズ)からは本作唯一の日本語ボーカル曲である「Ultimate Power」が提供された。
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また、ユーザーからの評価が特に高かった楽曲として、桜井敏郎氏が担当した「Depend on me」が挙げられる。
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本曲はREALモード専用曲であったため、この曲を目標に上達を志したプレーヤーも多い。
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人気の高さ故にサントラではロングバージョンが収録された。これに加えて『GF5th&dm4th』では新曲としてサントラ収録のロングバージョンとそれをショートサイズにリカットしたバージョンも共にプレイアブル収録された。
賛否両論点
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デフォルメされすぎたパッド配置
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本作品は実際のドラムに近い体感プレーを行えるが、筐体サイズに収めるためパッドの配置に若干デフォルメが加わっている。
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第一にハイハットとスネアの高低差が無く、生ドラムを経験して高低差に慣れると尚更厳しい。
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ハイハットペダルが存在しない、これにより左足でハイハットの音を打ち分ける動作が全て省略。
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フロアタムが無い為、該当する音は全てロータム(赤タム)に振り分けられている。
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さらにシンバルも1枚だけ。シンバルの少なさを補うためか、ハイハットでシンバル音を代わりに鳴らす譜面も存在する。
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幾つかの相違点は後の『DrumManiaXG』にて解消されることになったが、その間もどかしい思いをしたプレーヤーも少なからず存在した。
問題点
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メンテナンス維持の難しさ
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他のBEMANIシリーズと比べると、パッドをスティックで叩いたりペダルを足で踏んだりする関係上、物理的なモーションが大きくなりやすい。
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その分各デバイスの消耗が激しく、ベストメンテナンスの状態を維持しようとすると、コストが割高になりがちである。
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特にハイハット、シンバルといった扇型のパッドは、薄めの形状となっており破損率が高い。
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その上、パッドを叩くのに力みすぎるプレーヤーが続出し、プレーに支障をきたすほどボロボロになりやすい。
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人気の「天体観測」等、bass drumペダルを破壊する原因とされる楽曲があると言われている。因果関係は定かではないが、bass drumペダルを酷使する曲は人気曲と重なっている場合が多い。
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パッドの反応の鈍さ
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本筐体はYAMAHA純正のパッドを用いているが、筐体生産によるコスト削減のため、DTXPRESS純正のセンサーではなく、汎用性の高い感圧センサーを用いてる。
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このため純正のセンサーに比べると、反応抜けが多発する。加えて一定の強さを超えると、次のショットの反応が漏れてしまいやすい。
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特に高密度の連打(16分間隔以上)で多発する事が多く、力みがちな傾向にあるプレーヤーはそこでミスする事が多い。
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『DrumManiaXG』ではセンサー周りが改善され、キャリブレーション設定(パッドの反応閾値を調節するオペレータープション。)も追加された。
初代dm特有の短所
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オプションがコマンド必須
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GF側でもそうだったのだが、同作とセッション対応する本作も初期のBEMANIシリーズ群の大半と同じように、オプションの使用に関してはコマンド入力を通す必要がある、所謂「隠し要素」扱いであった。
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本作の最高難度モードであるEXPERT REALやプレー時の視認性アップに役立つハイスピードオプションを始め、HIDDENやMIRRORオプションもクレジット毎にコマンド入力が必要となっている。
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ハイスピードは二倍速までしかなく、高速スクロールに慣れた現在のプレーヤーには辛いだろう。
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またMIRRORオプションは譜面が左右反転するのだが、あまりにもドラムとはかけ離れすぎたせいでDMV5まで廃止となった。
総評
『BEMANI』シリーズではありそうで無かった、ドラム演奏を題材にした音楽ゲーム。
初代作故に所々粗も見受けられるが、『GUITARFREAKS』以上にバンド体験をより可能にしたのは、本作の最大の功績と言えるだろう。
その後の展開
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2000年3月4日にPS2にて家庭用移植版が発売。詳しくは後述を参照。
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本作稼働の翌年に次回作である『drummania 2ndMIX』が稼働開始。
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同作までは全ての楽曲でセッションが出来ず、それによりdm独特の作風を醸し出していたのが特徴的だった。
余談
2018年2月に発売された雑誌『BEMANIぴあ』によると、『パンチマニア 北斗の拳』の筐体は本作の物を改造して稼働していたとの事。
drummania(PS2版)
【どらむまにあ】
ジャンル
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音楽ゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(WEST)
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発売日
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2000年3月4日
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定価
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6,980円
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プレー人数
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1人~3人
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備考
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専用コントローラー付属
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判定
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なし
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ポイント
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コナミ初のPS2作品であると同時に『BEMANI』PS2進出 ACとはかけ離れた専用コントローラー EDITモード実装に加え版権曲の登場 ギターとのセッションも可能(※要友人)
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概要(PS2)
アーケードで人気を博したdrummaniaの家庭用移植作品。
これまでロンチの代表格だった『グラディウスシリーズ』を押しのけてPS2のロンチタイトルとして発売された当作は、アーケードに近い操作性をウリにしていたが…。
評価点(PS2)
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新ハードへの進出
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これまでの『BEMANI』シリーズ作品はプレイステーションで販売されていたが、ハード後期での発売だったためか、時を経るにつれて音質やムービー内容などの様々な制約や問題が浮き彫りになっていた。
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とはいえ、今作はスペックが向上したPS2で発売されたことによって、極めてアーケードに近い出来となったのは十分に評価できる点だろう。
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ゲーム機はいくらハードの性能が良くてもソフトがないと宝の持ち腐れであるので、メーカー側としてもとりあえず新作ソフトを1本発売したいという考えがあったと思われる。
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EDITモードの搭載
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本作では移植にあたって当時の家庭用『GUITARFREAKS』シリーズとほぼ同様の譜面EDITモードが追加された。
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EDITモードではGF側と同様に音色を作成する事が出来る。
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ただ、本作のEDITではドラムの音を叩く形式であるため、GF側程自由度が高いという訳では無いのが玉に瑕。
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次回作以降の作品ではカップリング収録によるディスク容量の問題なのか、同モードは残念ながら収録が見送られている。
よって、dm側のEDITモードは本作独自の持ち味といっても過言では無い。
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家庭用オリジナル曲の収録
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本作か家庭用ハードに移植されるに当たって、CS版オリジナル楽曲も収録された。
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CS曲はAC版の雰囲気を再現した書き下ろしがメインだが、『GF2nd』からの移植曲やオリジナル版権曲も収録。
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その中でも特に注目を集めたのは「恋のダイヤル6700」。同曲は「シノラー」ブームで人気だったタレントの篠原ともえ氏による歌唱に加えて、GFdmシリーズでは初だった版権曲という点が話題になった。
賛否両論点(PS2)
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おまけとしてギターとのセッションプレーも可能。
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別売りのGUITARFREAKS専用コントローラを用意すれば、アーケードのようなセッションプレーがソフト1本でプレーできる。
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ただし本作はあくまでも『drummania』であるため、ギター単体のみでのプレーは不可。
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また当然ながらセッションであるためソロでのプレーは無謀。セッション専用曲を埋めるには複数人での協力プレーが必要となる。
問題点(PS2・主に専用コントローラー関連)
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AC版から大幅にスケールダウンした専用コントローラー
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打面もゴムパッドではなくプラスチック板を使っており、叩くと物理的な音が大きく目立つ。
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あまりにもACとはギャップがありすぎる為、専用コントローラーを買うより同じ金でACで練習したほうがマシ、とまで言われている。
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パッドの配置がACと大幅に異なっている
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AC版ではハイハットとスネアは隣り合っているが、専用コントローラーではスネアの上にハイハットが配置されていたりと全く異なっている。
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ACでもハイハットとスネアの高低差に対する指摘は多いが、こちらは高低差が全く存在しない。他のパッドも平面的な配置。
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ただ限られたコストと家庭用という条件で、ACのような操作性を再現するのは困難故致し方ない、という意見もちらほら見られる。
総評(PS2)
家庭用『BEMANI』シリーズにおける新たな船出となった一作。
専用コントローラーの出来に関してはアーケードの物を再現しているとは言いがたい。
しかし、これまで主にPSで活動していた家庭用『BEMANI』シリーズを本作で次世代ハードであるPS2に移させたことは、十分に成功と言えるだろう。
その後の展開(PS2)
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本作の発売以降は他の『BEMANI』機種も徐々にプラットフォームをPS2に移行し、最終的にはほぼ全ての『BEMANI』機種がPS2を中心に家庭用シリーズを展開していくことになった。
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本作の発売が影響したのか、これまで家庭用BEMANIシリーズが得意としていた「アペンドディスク商法」は鳴りを潜めはじめ、同年12月21日に発売されたPS『beatmania APPEND ClubMIX』をもって廃止された。
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事前にキーディスクを用意しないとプレーできない等の問題点があり、ユーザーに不評だったためだと思われる。
最終更新:2024年06月30日 14:38