ポパイの英語遊び
【ぽぱいのえいごあそび】
| ジャンル | 教育ソフト アクション
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | ROMカートリッジ | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 発売日 | 1983年11月22日 | 
| 定価 | 4,500 円 | 
| プレイ人数 | 1~2人(同時) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 教育ゲームソフトの先駆け | 
| ポパイシリーズリンク | 
 
概要
先に発売されていた『ポパイ』をベースに、遊びながら英単語の学習が出来る教育ゲーム。
『ドンキーコングJR.の算数遊び』と同じく本体発売と同じ年に発売された。
システム
モードは『WORD PUZZLE A』『WORD PUZZLE B』『WORD CATCHER』の3つ。
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『WORD PUZZLE』はステージ1のマップが舞台。1人用でポパイを操作する。
 まず最初に『ANIMAL』『COUNTRY』『FOOD』『SPORTS』『SCIENCE』『OTHERS』の6つのジャンルから一つを選ぶ。
 選ぶと下二段にアルファベットが一つずつ表示される。(ポパイはこの二段しか移動できない。)更に最上段にいるオリーブがハートを一斉に投げてくる。このハートが下から三段目に並んで四角いマスになり、単語の文字数を現す。
 その後アルファベットを選び、英単語を完成させるのが目的。
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モード『A』だと日本語訳がカタカナで表示されるが、モード『B』はノーヒント。ジャンルと文字数だけを頼りに当てないといけない。
 アルファベットはどんな順番で選んでも構わない。パーフェクトで当てれば100点、1回間違える毎にマイナス10点。ギブアップすると0点。
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正解だとそのアルファベットはハートマークに、間違えるとドクロマークになり、その問題中は選べなくなる。同じアルファベットを複数使っている単語なら、一つ当てれば残りも全部埋まる。
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最上段にはブルートとカゴに乗ったスウィーピーがいて、間にはパンチングボールがある。ポパイが間違えると何故かブルートがパンチングボールを殴ってスウィーピーの乗ったカゴを左方向へ押しやる。10回間違えるとカゴが落ち、それをポパイがキャッチしてゲーム終了となる。その際正解が表示される。
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アルファベットのZの横に『?』があり、これを選ぶと正解が表示されてギブアップになる。
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10問行うとポパイがオリーブの前に行ってハートマークに囲まれる。この時規定の得点以下だとブルートが暴れてハートマークが散ってしまう。更に低いとオリーブの前にブルートが立ってハートに囲まれる。
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『WORD CATCHER』はステージ3の船が舞台。2人同時プレイ専用で、1Pがポパイ、2Pがブルートを操作する。
上空から降ってくるアルファベットから、画面左端に3つ表示されているカタカナに該当する英単語を順番に拾いながら完成させる。
 正しく拾えていれば画面上部に拾った文字が表示されていくが、間違った文字を取るとリセットされてやり直しになる。ジャンル選択は無くランダムに出題される。
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対戦相手と重なる事は出来ても攻撃することは出来ない。あくまで文字を拾うのみ。
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英単語を一つ完成させると該当するカタカナは次の言葉に入れ替わる。カタカナは常に3つ表示されていることになる。
 こうして先に5つ言葉を完成させた方が勝ち。
問題点
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ヒントがカタカナなので、複数の意味がある言葉だと判別しづらい。
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例えば『SCIENCE』で『スイセイ』と出たら、『水星』、『彗星』、『水性』など複数の候補が上がる物もある。
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『ジョウギ』と出たら詳しい人は『RULER』と『SCALE』のどちらか迷う事になる。
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カタカナヒント一つにつき正解は一つしかないが分からなければ取り敢えず何か文字を選ぶしかない。
 
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『WORD PUZZLE B』のシステム的難易度
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上述した通り、カタカナのヒントが出ないのでジャンルと文字数のみで当てなければならない。英単語の知識が豊富であろうと関係なく、勘を頼りに言葉を選ぶというモードAとは別次元での難易度の高さ。
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ハングマンと呼ばれる遊びをこのゲームのシステムに当て嵌めたものとも考えられ、そちらと同様正答を導き出しやすくなる定石が一応あるもの、いずれにせよ教育ゲームとして解答の厳しいモードであることは変わらない。
 
 
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『WORD CATCHER』のシステム的難易度
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大量に降ってくる不必要な文字をかわしながら必要な物だけを確実に取らなければいけない。
 いらない文字が寄って来たり、欲しい文字がなかなか出なかったり、他の文字と重なっていたりする事もある。
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このため英単語の知識がいくらあっても、イライラさせられる場面が多く爽快感に欠けてしまうことが多い。
 
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スウィーピーの扱いがひどい。
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必ずポパイが下でキャッチするので海に落ちる事は無いとは言え、子供にボールをぶつけているので、今では児童虐待と非難されかねない。
 
賛否両論点
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日本ではあまり聴き慣れない英単語もある。
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『セミ(CICADA)』や『リス(SQUIRREL)』の他、外国の国名などは英語表記だと事前知識が無いとまず分からない言葉も多かったりする。
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最初から高得点を狙うならある程度英語の知識がある事が前提となり、想定しているであろう年齢層を考えると、難易度的に少々ずれがあると言わざるを得ない。
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ただしあくまで「教育ソフト」なので、知らない言葉を学習出来るからこそ意味があるとも言える。
 
 
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ゲーム内で使用される英単語の総数自体は少ないため、ヒントの少ない『WORD PUZZLE B』で高得点を狙う場合は出題単語を文字数別にある程度事前に覚えておく(暗記)or単語リストを事前に用意しておく(カンニング)ことで対策出来たりする。
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いわゆる「覚えゲー」となるわけだが、「教育ソフト」という観点で見れば本来の目的に適っているとは言える(さすがにカンニングは現実のテストでは駄目だが)。
 
評価点
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学習での当たり前の作業「何度も繰り返して覚える」をゲームで気軽に楽しめる点は評価できる。
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『WORD PUZZLE A』ならストレスも少なく本来の英単語の勉強に使える。
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ただし知らない単語が出た場合はモードBと同じ状態になってしまうのが欠点。
 
総評
本作はファミコン本体発売の4か月後に発売されている。ただのゲーム機に終わらせず、可能性を模索して展開させていたのはさすが任天堂と言えるだろう。
ただし本作は既存のゲームのシステムを流用することで、元のゲームの感覚で楽しみながら勉強するという試みは斬新であるものの、どうしてもそれ以上の事が出来ない故の不便さ、不自由さが拭えない。日本ではあまり馴染のない英単語の多さや勘を頼りに答えなければならないなど難のある個所もある。
やはり実用性を十分に盛り込むには限界があったようで、この時代の教育ソフトらしく「ハード本体を親にねだるのに都合よいソフト」という意見がもっぱらであった。
先述のようにまずは点数は気にせずゲームを繰り返し遊んで英単語を覚え、次は高得点を目指してまた遊ぶという使い方をすれば、予習復習が一本で出来るのでファミコンでの教育ソフトとしては必要十分と言えるだろう。
最終更新:2025年01月02日 16:59