007 エブリシング オア ナッシング
【だぶるおーせぶん えぶりしんぐ おあ なっしんぐ】
ジャンル
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TPS
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ プレイステーション2 ゲームボーイアドバンス Xbox(海外のみ)
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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【PS2/GC/Xb】EA Redwood Shores 【GBA】Griptonite Games
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発売日
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2004年2月11日
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定価
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6,800円(税別)
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レーティング
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CERO:15歳以上対象
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判定
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良作
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ポイント
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ピアース・ブロスナンボンドゲー最終作 TPSとステルスアクションの融合 吹き替えの声優陣は豪華 ただしミス・ナガイは棒読み 微妙になった対戦モード
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007シリーズ
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概要
小説及びそれを原作とした映画シリーズ『007』を基にしたゲーム。
シナリオは前作『007 ナイトファイア』と同じくオリジナルであるが、前作とのシナリオ上での繋がりは無い。
FPSであった「ナイトファイア」とは違い、今作はTPSにジャンルが代わっており操作も全く別ゲーになっている。
GBA版は他の機種とは異なり、クォータービューのアクションゲームという仕様になっている。
ジェームズ・ボンドを演じているのは当時の演者だったピアース・ブロスナン。
また、本作のボンドガールの1人として「Q」の片腕である「ミス・ナガイ」役に日本から女優の伊東美咲氏が起用された。
特徴
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難易度は「オペレイティブ(イージー)」「エージェント(ノーマル)」「00エージェント(ハード)」の順に分かれており、難易度によってリザルトスコアの倍率や隠し要素の解禁に関わってくる。
オペレイティブのみでは、ゲームクリアと「ゴールド獲得報酬」はあるものの「チート」は解禁不可。
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ミッション毎の規定スコアに達するとゴールド評価を獲得でき、00エージェントでプラチナ任務にチャレンジ可能。
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「プラチナ」を取得するためには、前作同様にまずゴールド称号を獲得しなければ挑戦権が与えられない。
更に最高難易度である00エージェントで挑み、かつ副任務も含めてこなさくてはいけない。
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「ダメージを一定数以上受けてはいけない」「○分以内にクリアせよ」といったものが多めだが、最初のミッション以外は非常に難しく、ゴールドを難なく取得できても苦戦は免れないほどである。
しかし、配置が同じで基本的に覚えゲーなため、トライ数を重ねていけばクリア可能な難易度である。
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一般的なTPSなどと違い、007ことジェームズ・ボンドはいわゆるスパイであり、無駄な殺人・破壊はしないのが基本。当然無関係の一般人を殺害してはならない。
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そのためかステルスアクションを主体にしたミッションが多く、強引に進めようとすると不利、もしくは任務失敗になる状況になりやすい。
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しかし派手な銃撃戦やハイテクなガジェットが特に多かったピアース・ブロスナン期ということもあってか、そういった展開も多くバリエーションに富んでいる。
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一部では、「ヘリコプターに搭乗し最新兵器を持った敵ヘリを追いかける」「敵戦車に乗り都市侵略を阻止」といった乗り物系ミッションも存在。
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基本的に敵を逐次倒していくのがセオリーだが、銃の攻撃力が高く無策で正面から挑むとアッサリ死んでしまう。
ストロボで目潰しをする・仕掛けを撃って敵を一網打尽・消音型P99で周りの敵にバレずに撃破といったボンドらしいアクションの方が有利である。
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弾数が非常に少ないものの敵を一撃で倒せるダーツガン、そこらへんに置いてあるスパナやバールといった武器も存在。投てき武器に至っては当たると一撃必殺。
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各ミッションではボンドアクションと呼ばれる評価が存在する。特定の場所で特定のアクションをすると獲得でき、1つにつき1万点をもらえる。
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ボンドアクションのヒントは、ポーズを開く毎に画面下に表示される。
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Rボタン(R1)を押すと間近の敵にロックオンすることができ、照準も敵に合わせてくれる。
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敵の状態はロックオンした際に矢印の色の変化によって分かるようになっている。
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赤色=敵との距離が近い、もしくは破壊可能な物。
橙色=敵との距離が遠い。
灰色=敵が隠れているなどで当たらない状態。
緑色=敵が倒れた状態。
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銃を持っていればCボタン(右スティック)で照準を調整することが可能。ヘッドショットや隠れている敵が頭を見せた際に当てることができる。
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近接攻撃も、殴るだけでなくステルス・キルや投げとばしと種類が多くなっている。
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近接攻撃で倒し続けているとパワーモードとなり、近接攻撃の威力が上がる。
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銃を持った状態でも、近づくと銃で殴れる。
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十字ボタンを押すとボンドセンスという名の武器選択画面となるが、この状態ではゲームスピードが非常にスローとなり、またフックがかけられる場所やアクションを起こせる場所が見えるようになる。
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敵に対しても負傷or死亡しているか、こちらに気づいているかどうかがチェックすることで判別できる、慎重に進む上では非常に有用になるシステム。
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今作ではダメージを肩代わりするアーマーゲージが無くなり、アーマーはHPを50%回復するアイテムとなっている。
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「チート」はナイトファイアとは異なり、プラチナ任務をクリアした回数によってチートが順に解放され、ミッション中にポーズ画面でコマンドを入力することで適用される。
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チートを使用すると、そのミッションはクリア扱いにならない。
評価点
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オープニングが非常にカッコいい。
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今作の主題歌は歌手のマイアが担当。今回の敵であるソ連の赤、そして白を基調とした映像、BGMはハイセンス。
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おなじみのガンバレルも、「ダイ・アナザー・デイ」をモチーフにアレンジされてOPに含まれている。
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グラフィック
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前作に比べてボンドの顔のシワなどがクッキリするようになり、モーションも「ボンドの眉を上げる仕草」といった細かい所が分かりやすくなっている。
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本作ではゲームエンジンに『QUAKE III Arena』でも使われていたid Tech 3が使われている。
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シングルプレイのボリューム増加
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シングルではミッション数が(チュートリアルなどを除いて)25個と前作よりも倍以上に増えている。
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代わりに1つ1つのミッションの長さはやや短くなっており、舞台もこぢんまりとしている。
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豪華声優陣による吹き替え
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前作と同じ吹き替え声優であるが、「Q」を除き映画とは全く違う配役。だが、ジェームズ・ボンド役の堀内賢雄氏、ウィリアム・デフォー役の大塚芳忠氏などベテラン揃いであるため、非常に安定した演技かつ役柄のイメージに合っている。
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ただし、後述のミス・ナガイこと伊東氏は(土台が違うものの)演技に難あり。
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強調されたステルス・アクションの進め方
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前作ではステルス部分が「隠れてやり過ごす」か「気づかれないように消音型P99等で殺害」程度であったが、今作は「Q」が開発したガジェットが変更され、ミッション開始時には常に数個は所持するようになった。
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これにより敵の対処方法も様々であり、「Qスパイダーでアイテムを回収しつつ高所から落として爆殺」「ワザと倒れている敵を発見させて近寄った所にスパナを投げて撃破」など、プレイ方法に自由度が増している。
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本作の敵は非常に命中率が高く、変に前に立つと体力をゴリゴリ削られてあっという間に死んでしまう。そのため基本的に気づかれないようにステルスキルするか、隠蔽物に隠れながら銃撃をやり過ごしつつ倒していくことになる。
少なくとも、真正面での撃ち合いになりやすかったFPS作品よりは現実的で緊張感のある攻防バランスと言える。
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ファンサービス
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「私の愛したスパイ」「ムーンレイカー」に登場したジョーズがディアボロに雇われたボスとして出てくる。今作の設定では面識が無いのか映画のようなコミカルさは消えており、不死身性が強調されている。
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本来仕掛けで倒すため、黄金銃やプラチナガンですらほんの少しダメージが通る程度と非常に硬い。
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MI6に戻るたびに新しいガジェットもしくはアップグレードが用意されるのだが、映画同様にバックでガジェットに翻弄される助手たちが見れる。
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実は細かい敵の動作
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敵は中々賢く、ボンドが近づくと後ろに下がりながら撃ってきて、後ろに回って殴りつける、落ちている武器を拾う(入れ替える)など、効率的な行動が多い。
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ボイスやモーションも豊富で、「その程度か!」と言ったりボンドをよろけさせて挑発する。銃持ちの敵とボンドとの間に仲間がいると「お前が邪魔で撃てん!」と撃つのをためらう。
問題点
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伊東氏がやや棒読み
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俳優出演の常ではあるが、やはり気になる程度にはやや棒読みで滑舌もやや拙い部分がある。
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ミス・ナガイが出るムービーはスキップ可能であるが、役柄上武器の説明が全てなので初プレイ時はスキップが非推奨。
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なお、当然ながら海外版のミス・ナガイは英語吹替えなのでこの辺が目立つこともない。
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マルチプレイにはコントローラーが2つ必要・対CPU戦ができない
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ダブル・オーの都合とも考えられるが、ナイトファイアでは1人でも対戦プレイは楽しめる要素が多かったため、1人ではボリュームが少なく感じてしまう。
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コントローラーを複数繋げばプレイ出来なくもないが、特にダブル・オーは1人で無理矢理クリアしようとすると難易度が非常に高くなる。
操作で理解がある友人などが必要不可欠なのがハードルを上げてしまっている。
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対戦が劣化
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アリーナで使用できるキャラはゲームオリジナルのキャラのほとんど、映画シリーズキャラは「死ぬのは奴らだ」に登場するサメディ男爵と「ゴールドフィンガー」のオッド・ジョブのみ。
映画シリーズ登場キャラは今作でボスとして登場するジョーズは何故か使えず、ボンド自体は使えないなどの貧相さ。
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対戦自体の設定項目も「制限時間」と「勝利に必要な撃破数」のみ。キャラクターの強さなどを設定できたナイトファイアと比べると非常に寂しい。
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対戦ではタイマンでのSPAS12やATが猛威を奮う。高確率で転倒させて再度転倒ということがありうる。
ステージ内のトラップもほとんどが即死なのも大味感が強い。
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ラスボスが弱い
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長く、敵が多い道中が鬼門の最終ミッションだが、終盤は直前の安全地帯で拾えるATを数発撃てばアッサリ倒せてしまう。攻撃は威力の高いミサイルを撃ってくるものの、命中率が低くローリングを活用するとまず当たらない。
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ラスボス戦自体よりも、直後のミサイル撃ち落としの際に噴射にうっかり当たって即死、もしくはターレットがどこにあるか分からず任務失敗…という事例の方が遥かに多い。
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007のゲームでは、ラスボスが弱い(or脆い)ことはよくあることだが、映画では黒幕との対決は盛り上がり所であるし、ゲームとしてもシメとして気になるところである。
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一部のプラチナ任務が初見殺し
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「キス・キス・クラブ」ではプラチナ任務「武器を一切使うな」があるが、ムービーを飛ばさずに見るとムービー内でボンドがP99を撃って任務失敗になるという謎仕様がある。
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そのムービーになるまでは短く難所も無いのですぐにやり直せるが、流石にムービーぐらいは範囲外でもよかったのではないだろうか…
総評
前作とはジャンル自体が違うため単純な優劣の比較はできないが、おおよそのプレイヤーは「1人プレイは面白くなっているがマルチプレイは今一つ」という感想を抱きやすい。
マルチプレイでも、ダブル・オーは好評な1人プレイをそのまま昇華しているため楽しめないことはない。
総じて今作は1人でじっくり楽しみたい人にはうってつけの作品と言えるだろう。
余談
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本作のボンドガールの1人として伊東氏を起用した理由については「ハリウッドの女優にも負けない存在感があり、役柄であるQの片腕としては、知性を感じさせるクールなキャラクタが必要と思い、日本法人サイドからEA本社と映画版権を持つMGMに推薦という形で提案したところ、MGM上層部を始め海外のスタッフからもいい評価をもらったことから起用が決まった」とのこと。
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吹き替え故に同一人物でも一人称が変わるのはあまり珍しいことではないが、堀内が演じるボンドは「僕」で通っている。
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ダッシュ中にBを押すとローリングをするのだが、ローリング中に銃を撃った場合撃ったという回数にカウントされない。
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これを利用して武器制限のあるプラチナ任務で武器を使用したり、命中率を1000%以上まで上げてスコアを跳ね上げて楽にゴールド取得などができる。
バグなのか救済措置なのかは不明。
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珍しく007以外の00エージェントが登場する作品。
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他のエージェントといえば「ゴールデンアイ」の006が有名だが、今作では003が登場する。またミッション失敗時に、コードネームだけだが009が挙げられている。
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パッケージデザインについては日本版と海外版で異なっており、ピアースと一緒に写っているのが前者は伊東なのに対し、後者は本作でカトヤ・ナダノバ博士を演じているハイディ・クラムが写っているデザインになっている。
最終更新:2024年06月01日 22:00