デッドスペース エクストラクション
【でっどすぺーす えくすとらくしょん】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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Wii プレイステーション3 |
発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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Visceral Games
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発売日
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2009年10月1日
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定価
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5,800円(税抜き)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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全米が吐いた ガンシューになっても相変わらずのグロさ
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概要
日本未発売ながら高い評価を受けていた『Dead Space』の前日談を描いたスピンオフ作品。アニメ版である『Dead Space:Downfall』とほぼ同じ時系列での話となっている。
今作ではジャンルが変わり、『タイムクライシス』や『THE HOUSE OF THE DEAD』のようなレールガンシューティングになっている。
また、シリーズでも珍しく日本向けにローカライズされており、残虐表現はかなり抑えられているものの吹き替えや日本語化がされている。
特徴・変更点
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所持出来る武器はリベットガンを含む4つまで。武器の変更は十字キーで変更することができ、4つ所持している状態で新たな武器を獲得した場合、既に持っている武器の中から交換することになる。
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初期装備は「リベットガン」という、いわゆるネイルガンのような工具。ガンシューティングというジャンルのため弾数は無限である。また、絶対に外せない。何故か捜査官、農業技術者、軍曹でも最初から所持している。
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Wiiリモコンを横向きに捻るとセカンダリが使用可能。
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リロードは照準を時計回りにメーターが回っていくが、淡い青の枠内で再度リロードボタンを押すとクイックリロードが可能。それ以外のところでリロードボタンを押してしまうと、通常よりリロードが遅くなってしまう。
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武器
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本作ではショップが開いていないため、武器は各所で落ちている物を拾うことになる。交換した時は再度拾うことは不可能。
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武器の弾は各所に落ちていたり、ネクロモーフを倒すと稀に落としてくれる。
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『バイオハザード』におけるナイフに近いものとして、Wiiリモコンを振るとレーザーピックを振ることができる。近くの敵にわずかにダメージも与えるが、実質ギミック専用アイテム。
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収集要素
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前述のとおりショップが開いてないのでチャプター各所で拾える青いノードを拾うことで武器がアップグレードされていく。拾った場所に応じて特定の武器がアップグレードされていく。
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ストーリーの背景をうかがえる「ログ」は文章や動画以外にも、Wiiリモコンから直接流れる音声ログが追加された。
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リザルト
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チャプター終了時の評価(被ダメージ、命中率、ログの収集率など)が高いと最大で星が5つ貰える。
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星が多いと、チャプター終了時に最大HP(RIG)が上昇する。
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新ネクロモーフ
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Grabber:下水道で登場する、死体から首だけが動き伸びる敵。胴体部分が水に浸かっているため首しか見えない。ラインガンが効果的。
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Flier:中盤から登場する、人の顔と鋭い尻尾、エイヒレのようなものがついた敵。Infectorに似ているが、死体をネクロモーフに変えることは無い。
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Urchin:下水道で登場するボス。長い触手を数本持つ巨大ネクロモーフで、時折出してくる球体と触手の先端が弱点。後にThe Spiderに成長して再度襲い掛かってくる。
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システムのオミット、仕様変更
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目的地を示してくれるロケーターは、今作では分岐の役割になっている。
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ステイシスは最大3回まで使用可能。また自動回復するようになり、それに併せて回復ポイントやステイシス爆弾が無くなっている。ステイシスパックも特定ポイントで発見される程度。
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宇宙空間での活動に必要なエアーは廃止。窒息死することは無くなり、エアーの補給ポイントやアイテムも無くなった。
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HP表示(RIG)は視点の都合上背中が見えないためか、武器切り替えもしくは増減に合わせて画面端に表示されるようになっている。
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弾数は照準の下に表示され、搭載弾数が少なくなると赤くなる。
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新武器と大きな性能変更がされた武器
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リベットガン
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前述のとおり初期武器で本作オリジナルの工具。
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弾数は無限であるものの、連射が効かず威力も惑星警察制式拳銃より高い程度。サブ武器への繋ぎもしくは弾の節約として扱われることが多い。
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とはいえ、工具なので壊す力は十分に備えているのでネクロモーフが1体程度の状況なら安全に四肢を破壊可能。
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セカンダリはチャージして威力を高める。特定のイベントで珍しく本来の工具として使う場面がある。
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惑星警察制式拳銃
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ウェラー軍曹などが所持している純粋な武器で本作オリジナル。
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リベットガンに比べて連射しやすいが、非常に威力が低く部位破壊がしにくい。意図的に弱くしたと思われる武器で他のサブ武器への繋ぎ。
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セカンダリはチャージして3発の弾丸を一気に撃つ簡易ショットガン。
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パルスライフル
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セカンダリが10発を一気に撃つショットガンになり、前方への火力が増した。これならネクロモーフも木端微塵になるほど。
元々、破壊に関しては不得手な武器なのでセカンダリの方が効率が良い場合もある。
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火炎放射器
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『1』から一転、一気に有用な武器になった。
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ヒットストップが大幅に上がり、撒かれた炎で持続ダメージが与えられる。何より真空空間でも使用可能になった。
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セカンダリは5発消費して前方に爆発する炎を撃ちだし、当たると大ダメージを与える。
弾速は遅いため遠距離の相手には効果が薄い。
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アーク溶接銃
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アーク放電によって溶接する本作オリジナルの工具。
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通常は電撃を前方に放ち、持続的にダメージを与える。
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セカンダリは火炎放射器と似たように電撃の塊を飛ばすが、こちらは飛んでいる電撃の塊は周囲の敵に通電して足止めし、着弾すると爆発して吹き飛ばす。
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リッパー
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Wiiリモコンの動きに連動して距離、角度を調節できるようになった。テレビに近づけるほど奥へ、捻ると傾くなど。
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わざわざ敵に近づく必要がなくなり、安全な距離を保って切断が出来るようになっている。反面、距離を見誤ると咄嗟に反撃しにくい。
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評価点
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良好なローカライズ
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元々日本で発売されない程の残虐表現が特徴であったため、人体の欠損や不自然な規制こそあるものの、吹き替えや丁寧な翻訳は英語の苦手なファンにとって嬉しいものである。
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吹き替え担当についてはキャスト表記が一切ないため不明だが、演技に関しては問題はない。
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武器間のバランス調整
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『1』の時点での火炎放射器のように「買ったら負け」というレベルの武器は調整により惑星警察制式拳銃以外存在しなくなった。
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惑星警察制式拳銃はネクロモーフの弱点である四肢を破壊しにくいという設定から意図的に弱くしているものと思われる。
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隕石シューティングの難易度緩和
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Wii自体がシューティングとの相性が良いということもあり操作性はかなり改善されており、狙いやすくなっている。また、隕石1つ1つのダメージは低くなっている。
代わりにウェラーに怒られるが。
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幻覚をメインにした恐怖演出
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ナンバリングタイトルにおける主人公アイザックと比べ、今作の登場人物はかなり幻覚に苛まれやすい。そのため、あるはずのない物を見せられる展開が度々起こる。
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例を挙げるなら「狂った人の顔が酷く変形する」「死体だらけの部屋で急にドクロの幻覚が顔面に近づき、死体が起き上がる」など、枚挙に暇がない。
ドッキリ系に偏ってはいるが、バリエーションは非常に多く生存者が近くにいることが心底ありがたくなる。
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また、本作にはムービーと言えるものはEDぐらいしかない。全てそのチャプターの主人公から見た目線で展開されるため没入感が大きい。
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ローディングを感じさせる箇所は、起動時とチャプター開始時以外では皆無。
賛否両論点
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B級映画チックな作風
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ほとんどの場面で集団行動し、台詞回しがB級映画のそれなことから、『1』などのような孤独かつ不安感を煽る作風とは変わっているため、それらを期待すると違和感が生じる可能性がある。
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全体的に口が悪くエックハルトに対してマーカー頭と呼ぶこともある点もそういった印象を強めている。ただし翻訳はかなり忠実。
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本作のシナリオも、リスペクト元の「エイリアン」などのように「モブキャラに厳しい」というお約束も備えている。しかし本編に比べて分かりやすく纏まっており、幻覚症状の有無やとある人物の不審な行動といった伏線の建立と回収は後から見返して納得がいくものである。
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また『1』と同じ舞台かつ前日談ということもあって、『1』をプレイした者であればピンとくる箇所は多い。不格好なバリケード、破壊されている壁など『1』では何故こうなっていたのか、何故隕石シューティングで多数のアイザックが散るハメになったのかが判明する。
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『1』の重大なネタバレが存在する
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そのため先に『1』をクリアしておくことを推奨される。
問題点
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ローカライズにおける規制の弊害
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人体の切断は日本で発売する以上仕方ないことではあるが、それでも不自然な描写になっているところが複数存在する。
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死体はどれも傷一つないため血濡れの舞台から見ると不自然。
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ネタバレを含むため格納
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チャプター5で、登場人物が死体(もしくは重傷者)を看たり、ニコールが死体を見て驚愕するシーンでは死体が丸ごと無くなっているのに対し、登場人物のモーション及び台詞は全く改変されていないため不自然。
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チャプター9では、ネイサンがボスのThe spiderの攻撃を受け、トゲが腕を貫いてしまう。更にその腕を自ら切り落とさなければいけないという時限イベントが発生する。やはりというべきか、日本版ではこのイベントが削除されている。
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が、前述の死体削除と同じく削除したイベントの補填はされておらず、ネイサンの腕は全くの無傷。しかし台詞は海外版と同様のため、無傷の腕に対してウェラーが驚愕するという、やはり不自然なシーンになっている。
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また、EDの内容が上記の規制により分かりにくくなっている。
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少ないクリア特典
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本編で通ったエリアの一部を通り、ネクロモーフ相手に得点を稼ぐ「アーケードモード」が解放されるのみ。
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本編に活かされるような特典は無く、またチャプター選択式で首尾よくいけば1周目で収集はコンプリート可能。あとは難易度を上げるかアーケードモードをプレイするしかない。
また、Wi-Fiコネクションには未対応のため競争相手に乏しい。
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本編で収集したログは後で閲覧することが出来ない。ファン向けとしては痛い点。
総評
元々日本未発売シリーズのローカライズであるため、ウリでもあった残虐表現はやや鳴りを潜めているものの、主に『1』のファン向け作品として力の入ったクオリティである。
シナリオの設定上、先に『1』をプレイすることが推奨されるが、日本語化やシューティング面での操作難度の低さから取っておいて悪くない作品である。
余談
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人間に関しては規制が多いものの、ネクロモーフには全く規制及び設定変更がされていない。
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妊婦や胎児の死体から作られたネクロモーフも存在するが…外見から想像しにくいのか、モンスターということで見逃されたのかは不明。
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後に発売されたPS3版はPS MOVE対応だが通常のコントローラーでもプレイ可能。
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海外版である為、日本語は収録されていないが死体や人体の欠損をはじめとした表現描写が無修正の為、上述の問題点で述べているカットシーンの不自然さは解消されている。
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本作が収録されている『2』の各種限定版は所謂プロダクトコードでは無く、ゲームディスクから『Extraction』のゲームデータをHDDにインストールするという形をとっている為、海外アカウントは不要で中古ソフトでも問題無くプレイ可能。『2』の『Limited Edition(初回限定版)』は当時の国内流通量が比較的多く、現在でも入手が割と容易な部類に入るので無規制版がプレイしたいという諸兄は手に取ってみてはいかがだろうか。
最終更新:2024年06月11日 00:43