東京2020オリンピック The Official Video Game

【とうきょうにーぜろにーぜろおりんぴっく じ おふぃしゃる びでお げーむ】

ジャンル スポーツ

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
発売・開発元 セガゲームス
発売日 2019年7月24日
定価 4,990円 (税別)*1
プレイ人数 オフライン:1~2人
オンライン:最大8人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル
判定 なし
ポイント 久々の非『マリソニ』五輪ゲーム
ゲームとしては堅実な内容
システム面に残念さあり
妙に充実したアバタークリエイト



遊びつくせ、東京2020 !



概要

2020年夏に開催が予定されていた東京オリンピックの公式ゲーム第1弾としてセガゲームスからリリースされたゲーム。
オリンピックゲームは2008年に『北京オリンピック 2008』(PS3/360)以来長らく『マリオ&ソニック』シリーズのみリリースされていた*2
しかし、本作は日本では実に11年ぶりとなる非『マリソニ』のオリンピックゲームかつリアル路線のオリンピックゲームとなる。


モード紹介

  • オリンピックゲームス
    • 本作のメインモード。CPUや他プレイヤー相手にメダル獲得を目指す。1種目のみをプレイする「クイックマッチ」、テーマに沿ってあらかじめ決められた内容の競技を連続でプレイする「メドレープリセット」、任意の競技を連続でプレイする「メドレーカスタム」がある。
  • ランクゲームス
    • インターネットで種目ごとに上位ランクを目指すモード。
      • なおプレイできる競技は時間ごとに決まっている。
  • トレーニング
    • 練習モード。CPUの難易度や試合時間などの変更も可能。
    • 「トップアスリートに挑戦!」と銘打ち期間限定で実在の名選手を模したアバターと戦うことができる競技もある。
      • なお実在選手はかなり強く設定されており勝つのは大変だが、勝つと累積勝ち数に応じて称号が貰える。
      • 実在選手には声も付いているので例えば卓球の福原愛選手の場合スマッシュを決めた時には有名な「サアッ!」という雄たけびを上げてきたりもする。同じセガから発売された『龍が如く 極』に出演経験のある柔道の篠原信一選手も登場。
      • また時期によっては本作のアンバサダーで女子レスリングで圧倒的な強さを誇り「霊長類最強女子」の異名を取った吉田沙保里元選手が全競技で登場、こちらでも圧倒的な強さを見せつける。
  • アスリート
    • 選手の見た目や能力(パワー・スピード・テクニックの3系統で合計9種)や国籍、称号*3を変更することができる。
    • 選手は自キャラ1人と集団競技のチームメイト15人の計16人。その他「ロッカールーム」に100人の選手を保存できる。なおチームメイトの能力は自キャラと比較し若干抑えられている。
    • 後述するが、ある意味本作のもう1つのメインモードと言える。
  • ウェア
    • 種目・選手ごとのウェアを設定できる。
    • これもある意味本作のもう1つのメインモードと言える。
  • マイデータ
    • これまでの成績、ネットランキング、オプション設定、要素のコンプ率、スタッフロールといったことが確認できる。

評価点

  • 収録競技数、内容のバランスが取れている。
    • 収録競技は陸上・水泳といった定番から野球やサッカーのような球技、BMXのような新興の競技に至るまでバランスが取れており収録競技数もそこそこ多い。
      • またそれらに加えて2020年4月までに追加で4種の競技が無料DLCという形で配信されている。第1弾として9月に7人制ラグビーが配信されているが、ちょうど日本でラグビーワールドカップ*4が開催され日本代表が初のベスト8に入るなどラグビー人気が盛り上がっている時期であり、日本でプレイできる数少ないラグビーゲームとしての側面もあり貴重。
      • さらに、こちらも追加配信競技である柔道は『ビッグチャレンジ! 柔道選手権』などゲーム自体が少ない。
    • ただし、体操やアーティスティックスイミング*5といった「演技系」や射撃やアーチェリーといった「的当て系」の競技は未収録。
    • 先述した通り、現在は『マリソニ』が並行して展開中であり、現に『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』が同年11月に発売されている関係もあって、ある程度収録競技の振り分けがなされている模様。
  • 操作体系が多彩かつ直感的。
    • 操作体系も競技の内容に合わせて「ボタンの連打」「スティックの回転」「ボタンやスティックのタイミングの良い入力」といった要素が上手く組み合わされており、直感的で分かりやすく、とっつきやすい。
    • 上級者向けにフェイントやマニュアル操作といった高度な操作も用意されている。それらは競技を一定回数こなすことで解禁される「Tips」でも確認できる。
  • グラフィックや音楽の質が高い。
    • 公式ゲームということで競技会場は実際の大会で使われる予定の物が収録されており、その完成度も高い。
      • ロード時間には競技会場についての簡単な解説が流れるのも芸が細かい。
    • 選手の挙動もリアルで、ガッツポーズなどのリアクションも豊富。
    • BGMは本作オリジナルだがいかにもオリンピック気分を盛り上げてくれる曲調の物が揃っている。特にテーマソングの『ONE』は琴で和風のアレンジを効かせつつオリンピックという一大イベントに向かっていく雄大なムードを感じさせてくれる良曲である。

おバカな点

  • 本作ではプレイヤーキャラクターとしてアバターの設定ができるのだが、そのアバタークリエイトが妙に充実している。
    • 多彩な体型・肌の色・顔立ち・髪型・声が用意されており、競技によっては利き腕・足の設定も可能。ということで自分や実在選手を再現するといった正統派の遊び方でも充分楽しめるのだが…。
    • 体型には「普通」「筋肉質」「どっしり」の3種類があるのだが、体型調整の幅が広く、極端に小柄だったり太った体型だったりといったアバターにすることもできてしまう。
      • アバターの見た目は能力に全く影響しないので「100メートルを9秒で駆け抜けるあんこ体型の力士*6」や「ムキムキのマッチョマンをボクシングで殴り飛ばす幼女」といったシュールな光景も…。
    • 顔には「フェイスペイント」の設定もできる。「ほっぺに国旗」といったオーソドックスな物もあるが「ピエロ」「隈取」といったインパクトの強い物も用意されている。
      • ちなみに隈取は歌舞伎の興行を手掛ける松竹の監修を得たガチなものである。
    • 衣装も各競技ごとに複数種類用意されていることに加えて細かい色の調整にも対応しており、好みのデザインのユニフォームでビシッと決めることも可能、なのだが…。
      • 衣装はどの競技でも共通して使えるので「競泳水着で野球」「ビキニ(女子のビーチバレーの衣装)姿でボクシング」「サッカーユニフォームで水泳」などということもできてしまう。 パワプロも真っ青である*7
      • また電子マニュアルでも「おもしろ衣装」と言及されているようにスーツやメイド服、ドレスといった競技と関係のない衣装も多数用意されている。
      • 上述のフェイスペイントと組み合わせると「宇宙服を着た歌舞伎役者」などといった意味不明な格好にさせることもできたりする。
      • 衣装の中には2020年東京オリンピックの公式マスコットキャラクター「ミライトワ」の着ぐるみも用意されており、「全員ミライトワのサッカーチーム」といったカオスな状況にも…。
    • そういった要素の数々が祟ったか、本作はスポーツゲームであるにもかかわらずレーティングがCERO:B(12歳以上対象)となっている*8

賛否両論点

  • ゲーム内容としてはシンプル。
    • アバタークリエイトはともかく、ゲームの内容としては「オリンピック競技をプレイすること」に特化しており、『マリソニ』にあったような「ドリーム競技」や「ストーリーモード」といった要素は無い。
      • リアル志向のオリンピックゲームとしては無難な設定なのかもしれないが、「ストーリーモード」くらいはあっても良かったはずである。

問題点

  • 多数競技収録のスポーツゲームなだけあり、競技によっては単独競技のゲームにクオリティ面で及ばない。
    • 特に野球・サッカー・バスケットボールといった集団の球技でその傾向が顕著。それらの競技については試合途中での選手交代もできない(ポジションチェンジは可能)ので、戦略面などでかなりの物足りなさがある。
    • サッカーの場合オウンゴールの発生頻度も不自然に高い。ただこの種のゲームにありがちな人数が削減されるようなこともなくきちんと1チーム11人でプレイできる点は評価点。
  • システム面での問題。
    • 「アスリート」モードでの選手管理において、選手の並びを変える操作を行った際に見た目は入れ替わるものの名前・利き手・声が入れ替わらない仕様がある。
      • そのため、並びを変えた後に名前などをいじらなくてはならず面倒。一応、これらは後のアップデートで改善された。
      • ただし、それ以外にも選手の設定がキャラに紐付けされている部分と場所に紐付けされている部分が混在し扱いづらい。
    • また、Switch版ではロードが異様に長かったりオンライン対戦時にラグが多発したりといった問題もある。
    • オプションが「言語設定」しかない。

総評

アバタークリエイトに凝り出すと途端にシュールでカオスな光景が展開されるものの、「オリンピックを題材にしたスポーツゲーム」としては良くも悪くも堅実な出来に仕上がっている。
若干の煮詰めの甘さやプレイ目的の見失いやすさやシステム面での不安は散見されるものの、気軽にオリンピック気分を味わいたい場合には十分楽しめるゲームであると言える。
また、東京オリンピック終了後は安価で購入できるようにもなったためサクっと気軽に遊べるスポーツゲームとしても結構おススメできる。


余談

  • 本作発売後、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに伴い、東京オリンピック自体が1年間延期されることが決定した。それに伴いオープニング画面の開催までのカウントダウンの日数も修正されている。
    • そして1年後の2021年7月23日、緊急事態宣言下で史上初の無観客という異例の状況ではあるが予定どおり東京オリンピックが開催され、本作は幻のオリンピックゲームになるのを免れた。
      • なお、大会期間中にはお笑いコンビ・チョコレートプラネットが本作をプレイするCMも放映されていた。
  • 本作は日本・アジアで先行発売され、欧米では2021年6月22日に発売された。本来は2020年中に発売される予定であったが、前述のパンデミックの影響で発売延期となり、開催1ヶ月前ギリギリの発売となった。
    • 欧米ではSwitch/PS4に加え、One/WinとStadia版も発売された。なお、Steamで配信されているWin版には日本語が収録されている。
      • 先行で発売されたSwitch/PS4日本版の無料アップデートで追加された4種目*9は最初から収録済み。
最終更新:2023年11月04日 17:17

*1 ダウンロード版は2021年11月1日より2,970円に値下げされている。

*2 海外では2012年にPS3/360/Winで『London 2012』が発売されている。

*3 競技ごとに条件を満たすと貰える。

*4 こちらのラグビーはオリンピックと異なり「ラグビーユニオン」と呼ばれる1チーム15人で行うルールの物である。

*5 旧称は「シンクロナイズドスイミング」で、2017年7月22日に国際水泳連盟(FINA)により改名された。

*6 アップデートで大銀杏と廻しも追加された。

*7 ちなみにスピンオフ作品パワサカでは、マネージャーでもハロウィン衣装やドレスなどを着ていればスキンとして使用可能

*8 ただし、格闘技のゲームではCERO:B(12歳以上対象)やCERO:C(15歳以上対象)である場合も多い。

*9 ラグビー、柔道、スポーツクライミング、4×100mリレーの4種目。