ビッグチャレンジ! 柔道選手権

【びっぐちゃれんじ!じゅうどうせんしゅけん】

ジャンル スポーツ(柔道)
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 ジャレコ
発売日
()は書換開始日
1988年8月10日(1988年9月23日)
プレイ人数 1~2人
定価 3,200円
判定 なし
ポイント どう見ても「一本」なのに「有効」?
元々難しい柔道を再現しようとした意欲作
連射パッドを使うとゲームにならないので厳禁
ビッグチャレンジシリーズ
柔道選手権 / ドッグファイトスピリット / ガンファイター / GOGOボウリング


概要

1988年8月に発売されたゲーム史上初の柔道ゲームであり、現在でも数少ない柔道のゲームの1つである。
また、同時にこれから10ヶ月という短期間に4本ながら続く『ビッグチャレンジシリーズ』の1作目でもある。
柔道自体、ファミコンの性能では再現が難しいものだが、それに挑戦した姿勢はまさにビッグなチャレンジをしたと言えるだろう。

元々は『燃えろ!!シリーズ』の1つとして『燃えろ!!柔道選手権』というタイトルで予定されていた。


内容

  • 実際の柔道の試合同様1対1で対戦。
    • 組んでから「押し引き」で相手の体力を奪い、足技や投げ技で一本などを奪いに行く。
    • 相手が倒れている場合、寝技に持ち込むことができ、かけている側は連打で締め、かけられている側も連打することで振りほどく。

試合のルール

  • 試合時間2分間で、実際のルールとはかなり異なる。
    • 3点を取ると勝ちとなり、時間切れになった場合その時点の点数で決まる。
      • 「有効」が1点、「技あり」が2点、「一本」が3点。つまり、一本を取るか、「技あり」+「有効」、「有効」3回で勝ちと言うことになる*1
    • 投げ技は決まり度合いによって「有効」「技あり」「一本」の判定がされる。
    • 押さえ込み(寝技)は5秒以上で「技あり」、10秒で「一本」となる。

ゲームモード

1P

  • 練習試合
    • 「練習試合」というより「昇段試合」と言った方が正しい。
      • 1人勝つごとに段位が上がり、最高は6段。
  • 日本選手権
    • 10人中の8人に勝つことで下記の「世界選手権」に進める。
  • 世界選手権
    • 世界の強豪10人と対戦し、全勝するとエンディングとなる。

2P

  • 5対5の団体戦を行う。
    • 勝ち抜きではなく、1人ずつ総当り方式。

評価点

  • 対戦相手に、いずれもそれなりの個性的な動きが出せている。
    • 大体のゲームでは、とにかく猛然と向かってくるものが多いのだが、こちらから仕掛けようとしても後ずさりしたりする者がいたりで、本物の柔道選手のスタイルはある程度取り込めている。
  • 押し引きで体力を消耗させたり、相手に体力があるうちは投げることが非常に難しい点はよく再現できている。
    • 巴投げや背負い投げに関しては相手の体力があるとまず決まらない。
    • 連打ゲーのようなイメージは否めないが前年の『つっぱり大相撲』(テクモ)の柔道版と思えばわかりやすいだろう。
  • 柔道好きならついついモデルを思い出してしまうネタがある。
    • 世界選手権の決勝相手(いわゆるラスボス)の「やましか」は1984年のロサンゼルスオリンピック無差別級(結果的に無差別級はこの回が最後*2)金メダリストの山下泰裕*3
      • ちなみに画面上ではむしろ主人公の方が山下泰裕に似ている。
    • また、その山下泰裕と上記大会の決勝で戦ったモハメド・ラシュワンをモデルとした「ラシアン」という選手が登場する(ただし本物のラシュワンはエジプト代表だったがゲームではアメリカ代表)。
    • 世界選手権の初戦の相手はオランダの「ヘイシン」。これは勿論1964年の東京オリンピックの無差別級金メダリスト、アントン・ヘーシンクである。彼の詳細は個人で検索していただきたいが「彼ほどの偉大な柔道家は初戦の相手ではなく、ラスボスにした方がいいのでは?」と疑問は残る。

問題点

  • まだ表現力が乏しいファミコンゲームとして落とし込んだ都合上多少仕方ない部分があるが、見た目の不自然さがある。
    • 性能的に仕方ない部分ではあるが、初見では「技あり」や「有効」すら一本に見える。
      • 勿論、「有効」よりも「技あり」の投げが決まると派手に飛ばし「一本」になるような投げの場合は激しくフラッシュするなど演出で差別化しているのだが初見ではどうしようもない。
    • 巴投げにしても、一度完全に横になった姿勢から一瞬で直立に戻るというのも、かなり不自然な挙動ではある。
  • 客席が不気味。
    • 満員の武道館をイメージしているのはいいが、顔だけが斜めにズレて並ぶ様はまるで「デビルマン」に登場する「ジンメン」の甲羅を見ているようで不気味。
  • カタカナひらがな両方とも使用されているのに何故かそれぞれ別々に使われている。
    • ゲーム(試合)中では選手名や「ユウコウ」「ワザアリ」「アカ カチ」など片仮名表記なのに、ストーリーのパートでは平仮名表記。
    • この当時は、平仮名、片仮名をフルに使えないゲームが多かったが、両方を使えていながら表記で使い分けられていないというのは容量のムダでしかない。
  • 連打に偏りすぎたゲームバランス。

総評

元々柔道自体、表現の限られたファミコンで完全な再現は難しいのはわかるがいかんせん簡略化しすぎて少々雑に見られる部分の多さは否めない。
ただの連打ゲーと言われればそれまでだが、各選手がそれぞれ違うスタイルで戦ってくるなど、それなりにキャラの個性は出せている点は評価出来る。
1つの対戦型ゲームとしてはそれなりに成り立っており、クソゲーと呼ぶほどひどいものではないが、柔道らしさがしっかり表現できているとは言いにくい完成度ではある。


その後の展開

  • ビッグチャレンジシリーズとしては同年10月にガラリとゲームスタイルを変えた『ビッグチャレンジ! ドッグファイトスピリット』をディスクカードで発売。
    • こちらは少々物足りないがシューティングゲームとして無難な仕上がりになっている。
  • 柔道ゲームとしては『燃えろ!!シリーズ』野球以外での最終作となった1990年6月に『燃えろ!!柔道WARRIORS』を発売。
    • こちらはより現実のルールに近づけた*5ものになっている
    • ただやはり現実のような微妙な差で「一本」「技あり」「有効」を決めるのはファミコンでは無理があったようだ。

余談

  • 本作のエンディングは「オリンピック出場決定!」という新聞記事だけで非常に地味。「やっとこ出場だけかよ!」と思いたくなるだろう。
    • ちなみにこの年はソウルオリンピック開催の年であり、日本柔道は度重なる不可解な判定で敗退を繰り返し、前大会金メダリストの細川俊之ら3人の銅メダル止まりで初の金メダルゼロの危機だったが、最後の95キロ超級(重量級)で斉藤仁が執念で金メダルをもぎ取り日本柔道の威信を守ったことで有名である。
      • その斉藤仁は大会前からケガに悩まされ、オリンピック出場もやっとの思いで勝ち取ったこともあり、このゲームのエンディングのイメージにかぶるところがある。
  • 柔道の技のスコアについては当時は「一本」「技あり」「有効」「効果」の4種類で、「一本」もしくは「技あり」2つによる「合せて一本」になった場合その時点で試合終了、試合時間内に決着しない場合にはそれまでの技のスコアの差に基づき勝敗を決める、というものであった。
    • その後2009年1月1日から「効果」、2017年1月1日からは「有効」がそれぞれ廃止となり「一本」「技あり」の2種類となっている。また、2017年のみ試験的に「合せて一本」が廃止されていたこともある。
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最終更新:2024年01月06日 06:02

*1 実際の柔道では当時「有効」の下に「効果」という区分があったがゲームでは適用されていない。

*2 1972年(ミュンヘン)のルスカ、1980年(モスクワ)のバアリジなど無差別級は重量級との重複が多く、ロサンゼルスは重複エントリーこそ禁止したものの重量級との差が感じられないという結論に至りこの年のソウル大会から廃止された。

*3 203連勝という大金字塔を打ち立て対外国人に対して無敗のまま現役を終えたことで有名。1980年のモオスクウワ大会では重量級・無差別級の代表に選ばれていながら日本自体のボイコットにより出場すらできなかった。

*4 「モンテイ(モンティーのドキドキ大脱走)」と「エルロン(伝説の騎士エルロンド)」はそれぞれ別のメーカーが版権を持っている

*5 「技あり」2つで「合せて一本」、時間切れの場合「技ありの有無」>「有効の数」で決定。