パワーリーグ
【ぱわーりーぐ】
| ジャンル | 野球 | 
| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | Huカード | 
| 発売元 | ハドソン | 
| 発売日 | 1988年6月24日 | 
| 定価 | 4,900円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 備考 | 第4回キャラバン公認ソフト | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | リアル志向のグラフィック 上方視点のフィールド画面
 | 
 
概要
ハドソンオリジナルの野球ゲーム。
同時期に発売された『ワースタ』とは対照的に、選手の頭身が高いリアルなグラフィックを表現している。
フィールド画面は、あまりお目にかからない上方からの視点となっている。
ゲーム内容
- 
ゲームモードについて
- 
対CPU戦は、1試合のみの「OPEN MODE」とパスワード入力式の11球団総当たり戦となる「PENNANT MODE」の2種類がある。後者は全球団に勝利すると、隠しチームの「Hubees(ヒュービーズ・全員外国人の強力チーム)」と対戦できる。
- 
他には2人対戦可能な「VS MODE」と、CPU同士の対戦を観戦する「WATCH MODE」、各チームの打順や控え選手を入れ替える「EDIT MODE」がある。
 
- 
チーム・選手について
- 
操作可能なのは全12球団だが、コマンド入力で隠しチームも使用可能。各チーム名・選手名は、実在する名前をもじったオリジナル名となっている(例:ホークス→HOPES、清原→キヨマー)
- 
各チームの構成は、野手スタメン8名(パリーグに該当するチームは9名)、控え4名、二軍3名(パリーグ該当チームは2名)、投手先発1名、控え4名、二軍5名の計25名。
- 
二軍選手は試合に参加できない。「EDIT MODE」で入れ替える事が出来る。
 
- 
各野手には打席(両打ちあり)、打率、本塁打が設定されており、数値が高いほど打力が高い。走力、肩力は隠しパロメーターとなっている。
 各投手には利き腕、防御率、勝敗とセーブ数が設定されているが、特に意味はない。球速、右変化、左変化、落ちるボール、スタミナは隠しパロメーターとなっている。
- 
選手のグラフィックは等身大に描かれており、モーションも当時としてはかなりリアルに再現されており、投手はアンダースローも再現されているが、打者はなぜか全員が落合博満のような神主打法の構えである。
- 
金髪の白人や黒人といった外国人選手の区別が付くようになっている。体格はみな一定である。
 
 
- 
操作について
- 
投球はいわゆるファミスタに準拠。投球前にRUNボタンを押しながら十字キーを押す事で、1球ごとに守備シフトを変更できる。
- 
打撃はバッターボックス内を前後左右9箇所で移動可能。スイングの瞬間に十字キーの左右を押す事で、流し打ちや引っ張りが可能となっている。バントはRUNボタンを使用し、当てると同時にIボタンを押すとプッシュバントになる。
- 
守備や走塁の操作もいわゆるファミスタ準拠。ランナーのリードはかなり広く取ることが可能である。
- 
フィールド画面は、上方視点に切り替わる。画面右下にレーダーが示され、ボールやランナー、守備野手の動きが確認できるようになっている。
 
- 
その他
- 
試合終了後はスポーツニュース風の結果画面が表示される。試合成績のほか、PENNANT MODEではパスワードも確認できる。
 
評価点
- 
リアルなグラフィック
- 
旧来の野球ゲームではデフォルメされる事の多かった選手のグラフィックが、等身大に描かれている。
 尚且つ投手や打者のモーション他、観客の動きなども丁寧に描写されており、発売から間もないPCエンジンのハードパワーを遺憾なく発揮している。
- 
フィールド画面でフライが上がった際のボールの縫い目まで確認できる拡大・回転描写は、当時のハード力を考慮すると特筆すべき内容といえる。
- 
これを見せたいがために上方視点を採用したのではないかとも邪推できるが……。
 
 
- 
収録選手数の多さ
- 
二軍制により、出場可能な選手枠こそ少ないが、12+1球団で、1チームあたり25名の収録数は、当時の野球ゲームとしてはかなりの多さである。
- 
チーム名・選手名は実在するものをモチーフにした仮名だが、もじり方が独特で実際の選手名が分かりにくい名前もしばしば見受けられる。中にはGチーム控え野手の「マカデミア」のように原型をとどめていないほどもじられた選手も…。
 
 
賛否両論点
- 
フィールド画面の上方視点
- 
従来の野球ゲームのクォータービュー視点と異なるため、慣れないうちは操作に戸惑う。
- 
フェンスの概念が希薄なため、それほど高くない弾道でもホームランになったり、エンタイトルツーベースになる割合が高い。
- 
なお、上方視点の採用は今作のみで、次作以降は従来の野球ゲームと同じクォータービュー視点に切り替えられている。
 
- 
守備シフトや各種打法
- 
守備シフトの概念は、本来の野球の要素を採り入れた点として評価されるが、切り替えの際の表示がないため、実際に反映されているかどうかが分かりにくい。
- 
流し打ちや引っ張りといった打法についても、特殊なエフェクトがある訳ではないため、実際の効果が認識し辛いのが残念。
 
- 
走者のリード
- 
プレイヤーの任意で、走者のリードをかなり広く取ることが出来る。盗塁には有利だが牽制球でアウトになりやすいという難点がある。
- 
走者の走力や野手の送球スピードによっては、これを逆手にとって牽制球を誘い、先の塁へ進塁してしまうという事も可能である。
- 
これを対戦の駆け引きと取るか、実際の野球からかけ離れた仕様と取るかは、プレイヤー次第であると言えよう。
 
問題点
- 
守備が難しい
- 
ゴロの打球速度が極端なため、遅いと内野手が取って送球しても安打になり易く、速いと守備位置の正面でない限り打球そのものが取れないのが難点。
- 
フライは上方視点であるがゆえに落下点の予測が難しいほか、選手の捕球範囲(STGで言うところの当たり判定)が狭いために、非常に捕球が難しくなっている。
- 
球際で方向キーとIボタンを同時に押すと、選手が横っ飛びをする。いわゆるファインプレーになる場合もあるが、前述の捕球範囲の狭さから、少しでも捕球位置やタイミングがずれるとエラー扱いとなり、選手とボールが数秒間動かなくなってしまうというかなりシビアなもの。
- 
野手の移動をオート仕様にする事も出来るが、オート野手の移動速度がやや遅く、マニュアル仕様の方が結果的に操作がしやすいという側面もある。
 
- 
選手の隠しデータ
- 
走力や守備力、球速や変化球といったデータはゲーム上には表記されないため、地道にプレーして、各選手の特徴を掴むしかない。
 しかしながら、ゲーム上でこれらの特徴を目視で見分けるのはかなり難しく、せっかくの選手の個性が実感し辛いのは非常に残念である。
- 
特に守備力については、送球時のモーションスピードや送球そのもののスピードに直結するため、これが遅い選手がつくポジションによっては、試合の有利不利がかなり変わってくるので、ゲーム上の表記がないのはかなり不親切な設計といえる。
- 
8bitゲーム機ゆえ、致し方ない部分もあるかもしれないが……。
 
 
- 
DH制の有無
- 
12球団はあくまで仮の設定だが、セリーグに該当するチームのオーダーにはDH制の設定がなく、パリーグのチームと戦う際には、先攻後攻を問わず必ず投手が打席に立つ事になる。
 逆にパリーグに該当するチームはDH制のみのオーダーしかないため、セリーグのチームと戦う際には明らかに有利である。
 
- 
オーダーの設定が煩わしい
- 
オーダーの入れ替えはタイトルからの「EDIT MODE」でしか行えないのだが、保存機能がないため、自分好みのオーダーにするには、電源を入れる度に設定をしなくてはいけないのが煩わしい。
- 
守備位置のみの変更が出来ないため、一度控え野手と入れ替えた上で交替させなければならず、手間がかかる点も残念である。
- 
発売当時は、メンバー交代が可能な野球ゲーム自体がさほど多くなかったという点は考慮する余地はあるが、インターフェースとしてイマイチなのは否めない。
 
- 
打撃のインパクト音が地味
- 
強い当たりも弱い当たりも「プッ」という単調なビープ音のみ。爽快感に欠けるほか、守備側としては打球の強弱が掴めないため、初期動作の判断が難しい。
- 
フィールド画面に切り替わった直後に歓声音が入るため、爽快感という点では一応フォローはされている。
 
 
- 
外野の奥行きが狭い
- 
両翼とセンターの奥行きがそれほど無いため、長打コースの当たりがシングルヒットになりやすくなってしまっている。
 
- 
なお、これらの問題点は次作以降で徐々に改善されていく。
キャラバン公認ソフトとして
毎年夏に行われていた、ハドソン主催のキャラバン大会は、それまでの縦型STGから、今作へと対象が変わった。
ハードがファミコンからPCエンジンになっただけでなく、突然の野球ゲーム、さらには個人戦ではなく、攻守交代制による2人1組のチーム戦となったため、当時のキャラバン参加者たちは大いに戸惑った。
主催するハドソン側からすれば、自社が開発に携わったハードの普及のために、PCエンジンのソフトを採用するのは当然といえば当然で、当時はファミコンに於いて『ファミスタ』『燃えプロ』の爆発的ヒットによる野球人気が急激に高まっていたという理由もあるにせよ、まだ発売間もないハードであるがゆえに、従来のスコアアタックを中心としたSTGの開発には至らなかったのではないかと推測される。
結果的に参加人数は前年までとさほど変わらなかった(2人1組なので実質半減ともいえるが)ものの、1ゲームあたりの時間が長くなり、果ては同点の場合はジャンケンで決着をつけるなど、ゲーム性以外の部分でやや難のある大会となってしまった。
実際会場内で高橋名人の問いかけに対して「やっぱりシューティングの個人戦がいい」という声が多く出ていた。
翌年の大会からはPCエンジンの縦型STGが採用される事となったため、キャラバンの歴史としてはかなり異例の大会となった。
総評
操作形態は従来のファミスタを踏襲したものであるためオリジナリティには欠けるが、PCエンジンならではのリアルなグラフィックが、野球ゲームとしての臨場感を高めている点は大きな特長といえる。
独特の上方視点はインパクトこそあれ、操作性がやや大味なものになってしまったのが惜しまれる。
その後の展開
- 
1988年12月にX68000に移植されている
- 
基本的なシステム面での変更はないが、選手データが最新のものに入れ替わっている。
- 
最大の変更点は、審判の音声をあの高橋名人が務めていること。「ストライク」や「ボール」はまだしも、「アウト~!」の甲高い声は、PCエンジン版の電子的な音声を知る者からすると、やや脱力ものである。
 
- 
PCエンジンでは毎年夏の時期には最新作が登場するようになり、計6作が作られる人気シリーズとなった。
その他にもSFCやPC-FX、PSでリリースされるなど、かなり息の長いシリーズ展開となった。
- 
また、その後ハドソンがPCエンジンで製作したスポーツゲームには「パワー」の頭文字がつくようになり、「パワーシリーズ」としても展開されていった。
- 
テレビゲームのリリースが無くなってからも、ハドソンの子会社である未来蜂歌留多協会よりトレーディングカードゲームとしても展開されていた。
余談
- 
同じ上方視点のフィールド画面を持つ野球ゲームとして、セガの『スーパーリーグ』がある。
- 
コンシューマー機では今作の方が先出だが、『スーパーリーグ』はアーケード版の方が今作より先に出ている。
 
- 
当時のテレビCMは、フジテレビ系『珍プレー好プレー』のナレーションでお馴染みだったみのもんたが声のみ出演している。
- 
隠しチームの「ヒュービーズ」は、同じハドソン製作の『スーパー桃太郎電鉄』および『II』にて「札幌ヒュービーズ」として登場している。
- 
後の2000年、第16回として行われた全国キャラバンは本作の関連作であるトレーディングカードゲーム『パワーリーグ 夢のスタジアム2000』で行われた。
- 
これまで夏の恒例イベントだったキャラバンは翌年は開催されず、この後は2006年「ハドソン全国キャラバン'06」(対象ソフト『Touch!ボンバーマンランド』)で復刻的に単発で行われたのみなのでレギュラー開催という意味で最後となった。
- 
本作のような野球ゲームでの開催はまさに異例で、翌年以降このスタイルは引き継がれなかったが最後に思わぬ形でキャラバンは本作に回帰したことになる。
 
 
最終更新:2025年07月20日 18:27