Takedown:Red Sabre

【ていくだうん れっどさーべる】

ジャンル FPS
対応機種 Windows(Steam)
Xbox360
発売元 505 Games
開発元 Serellan
発売日 【Windows】2013年9月20日
【360】2014年2月21日
定価 Xbox 1,543円(税込)
Steam 498円
判定 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 2014年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門次点
自称「リアルでハードコアなFPS」
完成したのは不自然で理不尽なFPSだった
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧

概要

  • プレイヤーは民間軍事会社「RedSabre」の一員となり、テロリストに占拠された施設に潜入。爆弾解除や人質の救出を行う。
  • ゲームモード
    • ミッション
      • 「キャンペーン」に相当する。ステージごとに設定されたミッションをこなすモード。
      • 解放や順番は無いし、特にストーリー要素も無い。最初から全ステージが遊べる。
      • このモードのみ3人の味方NPCがついてくる。以下の2つは1人でプレイしなければならない。
    • 爆弾解除
      • ステージ内に3カ所設置された爆弾を探し出し解除するモード。
    • 敵殲滅
      • ステージ内の敵を全滅させるモード。
  • オンラインモード
    • 協力モードと対戦モードの2つがある。マップはゲーム中のものと同じ。
      • 協力モードでは6人までのプレイヤーでチームを組みミッションに挑める。NPCは連れて行けない。
      • 対戦モードには12人までが参加できる。3チームに分かれてのチームデスマッチ。
  • カスタマイズ要素
    • 兵科は「リーコン」「アサルト」「ブリーチ」「スナイパー」の4つ。
      • 兵科ごとに初期設定の装備が違う。カスタマイズすれば差は無くなる。
      • カスタマイズできる要素はメインウエポンとサブウエポン、それぞれのアクセサリと弾薬、装甲の重中軽、ガジェット2つ、パッチの国籍。

問題点

ゲームコンセプトとゲームシステムの不一致

  • このゲームの基本的なコンセプトは、「閉所で索敵と作戦立案を的確に行い、能動的に有利な状況を作り出して敵を排除する」というもの。
    • 開発者によれば初代『レインボーシックス』に強く影響を受けたという。
      • テロ対策部隊をテーマにしたFPS。リアル志向で、シビアな体力設定と充実した指揮・作戦要素で人気を博した。
  • こういったゲームでは索敵が非常に重要であるため、身を危険に晒さず偵察できる「ドローン」や壁越しに情報を得られる「ファイバースコープ」「赤外線カメラ」といったハイテク機器が登場することが多い。
    • このゲームには一切無い。
  • また、状況を正確に把握するため、建物見取り図が表示できたり、発見した敵にマークがつけられたり、音の情報に非常にこだわっていることも多い。
    • このゲームには一切無い*1
  • 作戦立案という面では、味方NPCに「待機」「移動場所の指示」「突入口の指定」「攻撃条件の設定」などの詳細な指示が出来ることが多い。
    • このゲームには「全員ついてこい」「全員ここで待て」しか無い。
  • こういった無い無い尽くしの状況で、『レインボーシックス』から引き継いだシビアさをカバーする要素が無い、ただの激辛ゲームになってしまっている。

プレイヤーキャラの問題点

  • 非常に脆い。
    • HPが設定されているが、2-3発程度で死ぬ。HPを回復する手段も無いため撃ち合いになるとリスクが非常に高い。
    • 「高いところから飛び降りると死ぬ」という触れ込みだったが、2階から飛び降りると死ぬ。スペランカーレベルのテロ対策部隊。
  • アクションが非常に少ない。
    • 銃を撃つ、しゃがむといったFPSとして最低限のアクションしか無い。
      • プローン(伏せ撃ち、匍匐前進)すらない。必要性も無いが……
      • 変わったアクションといえばせいぜいリーン程度だが、これも問題含み。
  • 実装されているアクションも不自然で使い勝手が悪い。
    • 壁に近づきすぎると銃を下ろす。
      • 発砲はもちろんエイムも不可能なので極めて鬱陶しい。室内戦が多く、狭い場所で遮蔽物を利用して戦うのでなおさら。
      • リアルな描写だと言えばそうかもしれないが、リアルではそもそも銃を下ろさなければならないほど壁に近づかないのである
    • 足がかなり遅い。ダッシュしても他のゲームの歩行レベル。
      • 一番足が速い軽装甲設定での話である。重装にした場合はなおさら。
    • 通常状態からスコープに移行する際、スコープの視界にズームインする演出が入る。
      • この演出自体はよくあるものなのだが、ズームイン完了に要する時間が長い。ただでさえエイムの速さが要求されるゲーム性なので非常に苛立たしい。
      • 倍率の入るスコープはスコープ外の視界が暗転する。周囲の確認が非常にしづらい。
    • 反動の発生が非常に早い。
      • 着弾の確認が困難。特に倍率入りのスコープを使用している場合顕著。
    • リーン(体を左右に傾け遮蔽物越しに覗き込むアクション)による視点変化が非常に小さく、ほとんど意味が無い。
      • 適当な筒を覗き込み、首だけを45度曲げてみて欲しい。大体そのくらいの変化である。
      • リーンしたまま動くことが出来ない。このため曲がり角に身を隠して狙撃したい場合には
        スコープ→リーン→見えない→スコープ解除→ちょっと右(左)に移動→スコープ→リーン→……
        という繰り返しの調整作業を強いられる。
        前述のスコープ演出や壁際で銃を下ろす問題なども平行して発生し、壁際の攻防が機能しないレベルで不便。
      • さらにグラフィック上では上体を直立させたまま脚で左右にズレる格好をしている*2。実態と合致していないし、見た目もマヌケ。

味方キャラの問題点

  • 一応自律して索敵・応戦をするはずなのだが、AIがアホ。
    • 隊形を組む、遮蔽物を利用するといった行動パターンは一切設定されておらず、のこのこと一列でついてくるだけ。
      • すると、HPが低く撃ち合い不利のバランスから、ゲームの流れとしては
        遮蔽物を利用して索敵→ステルスで処理→次の遮蔽物へ移動→索敵……
        というものになる。後ろからついてくるだけの味方に出番が全くない。
    • プレイヤーが遮蔽物に隠れていても味方は棒立ちで、いつの間にかスナイパーや深追いしないタイプの敵に殺されていることも多い。
    • 指示内容が「全員ついてこい」「全員待て」しかない。
      • 「行け」「やれ」系のコマンドが無いのが問題で、複数箇所から同時に突入したり爆弾解除をさせながら護衛を担当するということができない。
  • 残機として
    • ミッションモードでは、味方NPCは残機でもある。つまり、プレイヤーキャラが死ぬと他のNPCがプレイヤーキャラとなってゲームが続行される。
      • 結果、死ぬたびにプレイヤーの兵科が変更されることになる。装備も完全に変わるため残機として非常に使いにくい。
      • デフォルト装備を変更してもなぜかNPCの装備が変更されないため、この問題はついて回る。
    • AIが非常にアホなので、プレイヤーの死亡演出から他の隊員として復活するまでの間棒立ちしている。
      • NPCは列になっているので、プレイヤーキャラになった瞬間さっき殺された敵にまた殺されるという状況が多発する。特にドアを開けた瞬間の遭遇戦で多い。

敵キャラの問題点

  • 尋常で無く強い。
    • 索敵範囲・エイム精度に限界が無いらしく、とんでもない距離から頭をブチ抜いてくる。
      • しかもキルカメラが無いため、狙撃で殺されると死に覚えすら出来ない。
      • 稀に壁を貫通して撃ってくる超能力者もいる。おそらく判定の無い壁があるのだが、見た目には分からないので回避も反撃も不可能。
    • 当たり判定が不可解で、間違いなく撃ち込んでいると思われるのに死なない、反応もしないケースが多々ある。
  • 一方でAIがアホなのは変わらず、知覚や行動パターンに問題がある。
    • 銃声には反応するものの、追っては来ない。誘導・待ち伏せ戦法が不可能。
    • 反応の基準が不可解で、一歩にじり寄っただけで振り返るエリート兵士も居るが、真後ろについて歩いても反応しないポンコツもいる。
      • 銃声には反応して警戒状態に入るが、音が聞こえなければ目の前の味方が倒れても無反応。もちろん着弾にも反応しない。
      • 他、わざわざこちらに走り寄ってくる敵、逆になぜか逃げ出してから振り向いて撃ってくる敵、遮蔽物を探しているのか壁際をうろうろする敵などよく分からない動きをする敵も多い。

その他の問題点

  • キルカメラが無い
    • 誰にどう殺されたのか分からない。特に狙撃で殺された場合非常に理不尽感が強い。
      • このためオープンスペースのあるマップでは死に覚えをすることすら困難。
  • ガジェット関連
    • グレネードにかかる重力が異常に強く、投擲距離が非常に短い。
      • 曲射で遮蔽物の裏を攻撃するというグレネードの利点が完全に潰れている。
      • 効果範囲も小さいので滅多に自爆しないのが救いか。役立たずに拍車をかけてもいるが……
    • ブリーチングチャージの使い道がほぼ無い。
      • 中身を知る手段が無いのに壁を開けても仕方が無い。
      • 使える壁も非常に少ない。
  • 音関連
    • 音の方向の表現がつたなく、情報として非常に頼りない。
      • 音量が段階的に変化する。ある瞬間いきなり足音が変化するので心臓に悪い。
    • 足音が出る基準も不可解で、おなじような床面・動作なのに鳴ったり鳴らなかったり、音質が違ったりする。
      • 味方AIはアホなのでプレイヤーが足音を抑えるためしゃがんでいても突っ立ってカンカン音を立てながらついてくる。
  • マップについて
    • 公式曰く、「実際の建物を参考にし、専門家の監修を経たリアルな建物」。
      • 結果、小部屋、ドアが非常に多く、リスクの高い遭遇戦が発生しやすくなっている。敵の動きも読みにくい。
      • 一方で開かない飾りのドアも多く、敵の全滅が求められるマップは本当にしらみ潰しに当たらなければならない。
      • 胸丈のカウンターなどの「どうぞ遮蔽物として使ってください」というようなオブジェクトが無く、高難易度に拍車をかけている。
    • 前述したように敵のスナイパーとしての能力が極めて高いため、オープンスペースの危険度が非常に高い。
      • にも関わらず、完全クローズのマップはバイオラボしか無く、他のマップは危険度の高い建物間の移動を強いられる。
  • グラフィックが技術的にも設定的にも稚拙。
    • テクスチャが貧相で、全体にのっぺりしている。影などの描写も不自然。
    • 敵にも装甲の違いがあり、見た目で判別できるのだが、チェストリグが微妙に違う程度で見分ける余裕は無い。
    • 敵はテロリストのはずなのだが、バイオラボでは迷彩服にベレー帽、ヘッドクオーターではシークレットサービス風のスーツ、レーダー基地では特殊部隊風の黒装備など設定的にも不可解なものが目立つ。
  • 「様々な国籍やバックストーリーの隊員が登場する」としていたが、袖の国籍パッチが変えられるだけ。
    • ちなみに隊員達は民間軍事会社の社員であり国家に帰属する兵士ではないため、普通は国籍を表示しない。
  • 爆弾解除モードがあるが、5ステージ中ミッションモードで爆弾でないステージは1カ所だけでほとんど存在する意味が無い。
  • オンラインモードは18年5月ごろからサーバーエラーを吐くようになり遊べなくなった。

評価点

  • とりあえず敵を撃って倒すというFPSとして最低限の機能は持っている。
    • 対戦FPSとしてなら、プレイヤー全員に平等にクソ要素が課せられるためそれなりに遊べる。
      • なお前述の通りオンラインモードは現在機能しない。
  • 銃のカスタマイズ要素が豊富。
    • 同系統の銃でも口径違いなどが無駄に用意されている。
    • 弾薬を選べる。弾薬の違いに着目するゲームはレア。
      • 軽装に有効なホローポイント、重装に有効なフルメタルジャケット、威力は低いが消音効果が高い亜音速弾などがある。

総評

コンセプトだけは良かったが、リアルと称してプレイヤーに理不尽を押しつけるゲームになってしまった。
マップ無し、カメラ無し、3発で死亡、敵は超優秀で味方はアホと来ればシビアを通り越して自殺行為である。
残機のはずなのに棒立ちで殺される味方、キルカメラが無いため死に覚えも困難とわずかな希望も潰してくる。
さらに資金をクラウドファンディングで集めた上、これらの問題点がコミュニティで指摘された後も「仕様である」と開き直った企業姿勢も問題視された。
かろうじてFPSとしての体裁だけは保っており、弾が当たれば敵は死ぬため、遊べないことはない。
しかし、コンセプトが崩壊しており、目標に到達することすら困難なこのゲームを楽しめるプレイヤーはごくわずかだろう。

余談

  • 資金集めの問題点
    • 本ゲームはクラウドファンディングサイトの「KickStarter」で資金を集め制作された。1ヶ月の期間に実に2500万円の資金を集めたことから、期待だけは高かったことが分かる。*3
      • 要するに開発前に購入予定者に代金を先払いしてもらい、その資金で制作されたゲームである。
    • しかし実際のゲームの出来がこの有様だった上、問題点が指摘されてもほとんど全てを「リアルさを表現する仕様である」として大きな修正を行わなかった。
    • 特に事前購入者からは、「メーカーを信頼して資金を託したのに、クソゲーを掴まされて居直られた、ほとんど詐欺だ」と憤る声が聞かれた。
      • 本作はゲームとしてだけでなく、クラウドファンディングという商法のリスクが浮き彫りになった事件として度々話題に上がるようになった。
  • 本作のデベロッパーであるSerellanはかつて『Ghost Recon2』や『Ghostr Recon:Advanced Warfighter』、『Halo:Reach』のリードデザイナーを務めた経験を持つChristian Allen氏が2011年に立ち上げたデベロッパー。*4
    • その後、2015年にはステルス要素強めのタクティカルFPSである『EPSILON』をSteamのアーリーアクセスの形でリリースしたが、開発者の健康状態の悪化などが重なり、2016年9月のアップデートを最後に開発が途絶えている。