ドラゴンボールZ 悟空飛翔伝

【どらごんぼーるぜっと ごくうひしょうでん】

ジャンル タクティカルRPG
対応機種 ゲームボーイ
発売元 バンダイ
発売日 1994年11月25日
定価 4,660円(税別)
判定 なし
ポイント DBゲーム初の戦略性重視のRPG
GBでは高水準のグラフィック
戦闘中のキャラ絵が豊富
ドラゴンボールゲームリンク


概要

人気TVアニメ『ドラゴンボールZ』のGBゲーム化初作品。
第23回天下一武道会開始前の天界での修行から始まり、地球に襲来したベジータを追い返すまでをRPG化している。


特徴

  • 基本はアドベンチャーゲームのようにテキスト形式で進んでいき、ある程度フラグを成立させると先に進め戦闘を繰り返す。 また修行として数種類のミニゲーム的なモードの他、蛇の道を突き進むアクションゲームも存在する。

戦闘

  • 本作は旧来のカード式バトルと違い、決められたフィールド内で戦闘を行うタクティカルRPGであり、自分のターンで行動コマンドを繰り返して攻撃などを行う。
  • 戦闘ではインターフェイス中央のゲージがMAXになると攻撃権が得られ悟空は以下のコマンドを組み合わせて戦う。悟空の行動には「移動」と「気合溜め」を除き全て『KI』を消費して行い、KIの現在値が消費KIを下回っていると攻撃が出来なくなる。最初は3つまでしか組み合わせられないがストーリーが進むにつれて最大で7つ組み合わせられる。
      • 「拳」と「蹴」の2種類があり、最初はLV1の攻撃しかできないが命中回数に合わせてLV3までの「拳」と「蹴」技が使えるようになる。LVが高くなるほど威力と消費KIが増える。
      • +2~-2まである他、どんな位置からでも相手の背後をとれる「後」コマンドがある。正の数なら数値の数だけ相手に近づき、負の数なら相手と距離をおく。相手との距離が近いほど攻撃の威力・命中率が上がり、遠いほど下がる。「後」はどんな距離からでも一瞬で相手の背後に回れるが失敗する場合もあり、その場合は距離は縮まらない。
      • KIを最大値の1/4回復。
      • 仙豆を使い、HPとKIを最大値まで回復させる。二十三回天下一武闘会前に1粒、界王との修行を終えサイヤ人襲来の地に向かう前にカリンさまから貰う1粒の計2粒だけなので、2戦目以降のバトルで最大2回まで使うことができる切り札的コマンド。
      • 「気」気功波。最初は「エネルギーだん」と「かめはめは」だけだが、ストーリーが進むと「超かめはめは」*1と「元気玉」*2が増える。打撃技と比べ消費KIが多いが、距離が離れていても命中が落ちないという強みがある*3
      • 「太」太陽拳。使用ターンは相手の回避率と移動力・スピードが落ちる。
      • 「残」残像拳。使用から3ターンの間、悟空の回避率が上がり敵の攻撃が当たりにくくなる。シナリオを進めていくほどに残像数が増える。
      • 「界」界王拳。使用ターンは自身のBPが倍率分高くなるが、使用するとその戦闘の間だけKIのMAX値が下がる。最大4倍まであり、界王の修行の成功に応じて倍率も高くなる。
      • 「他」その他。「拳」「蹴」とは違う行動で最初は「投げる」だけだが、「投げる」の命中回数に応じて「頭突き」「体当たり」と強力な技を習得する。「投げる」は成功すると相手との距離を大きく開けることができるが、組み技ゆえ相手と隣接していないと絶対に命中しないという特殊な技。
      • 「終」行動終了。攻撃コマンドの回数がまだ残されているうちに戦闘に入る事ができる。残っている攻撃回数は次のターンのスピードに加算される。
  • 敵が攻撃権を得たときは悟空は以下の行動で防御行動を行う。
      • 防御。素早く動くメーターを中央付近で止めると防御成功。中央付近の黒いマス内で止めると大きくダメージを軽減できるが中央から離れたマスだと軽減率が落ち、端付近の白いマスだと防御失敗となり通常ダメージを受ける。
      • 回避。2~5回、点滅する矢印を的確に押していくと成功。ダメージを0にすることができるが、一度でも失敗すると通常ダメージを受ける。
      • 反撃。一定確率で反撃してダメージを与える。ただし成功率は低く、失敗したら無条件で通常ダメージを受ける。
  • これらを繰り返し敵のHPを0にすると勝利。戦闘内容に応じて悟空のステータスが上がっていく。

修業

  • ラディッツ襲来前に3回まで修行を行え能力を上げられる。これは前述した戦闘項の防御行動を行うだけのものだが、ラディッツ撃破後には戦闘パートは暫く無くなり「修行」モードのミニゲームパートとなる。
    • ヘビのみち
      • 100万キロと言われている長い蛇の道を走り、界王星を目指して走るスーパーマリオブラザーズ風のミニゲーム。Bボタンでダッシュし、Aボタンのジャンプの時にAボタンを押しっぱなしにするとエネルギーを消費し舞空術ができる。
      • クリアタイムにより界王星で行える修行回数に影響が出るが、最大修行回数ができるタイムは恐ろしいほどにシビア(後述)
    • レンガをうて
      • 界王様が操るレンガに元気玉を当てる修行。真ん中のカーソルに合わせてタイミングよく発射してレンガを破壊する。一定回数をクリアすると悟空のKIが上がる。
    • バブルスをつかまえろ
      • A・Bボタンを交互に連打してバブルスくんを捕まえるミニゲーム。成功回数に応じて初期のバブルス君の位置と移動速度が上がる。一定回数をクリアすると悟空のスピードが上がる。
    • かいおうをこえろ
      • 界王印の点滅に合わせてABボタンを押すことによりゲージを満タンにし、左右から来る光に合わせてA・Bボタンをタイミングよく押ししてい回数分続けることができたらOK。どれだけ成功させたかによって界王拳の倍率が上がる。

評価点

  • 原作再現度がかなり高め。容量の都合でカットされているセリフや描写は多いものの、要点を押さえて原作のストーリーをなぞっている。
    • ただし本作はあくまで悟空中心のストーリー展開なので色々設定が変わっている所もあり、そのせいで特にピッコロの扱いが凄まじく悪くなってしまっている(後述)。
  • 天下一武道会での分岐
    • 第1部の天下一武道会ではクジを選んで対戦相手が決まる。原作再現のため悟空はどれを選んでも第1試合か第2試合にあたるが、組み合わせによっては原作では当たっていないキャラ(桃白白、ヤムチャ、クリリン)とも戦闘可能。
      • 戦闘中も状況に合わせて原作に準拠した台詞を喋ってくれるので、場を盛り上げてくれる。
    • 原作同様に匿名希望(チチ)と当たった場合は、最初の数ターンは罵声と共に一方的に攻撃されるなど凝った原作再現も。
      • 武道会で当たらなかった場合はピッコロ戦の後に心配して駆けつけ、 そのまま正体を明かして結婚する
  • 戦闘時の立ち絵が非常に豊富。キャラクターが行動すると画面上部のグラフィックもそれに応じて変化し、ほぼすべての絵が原作で見た事のある絵なので原作ファンならニヤリとするだろう。
    • 一例を上げれば悟空の「パンチ1」なら3倍界王拳でベジータの腹に強烈な一撃を叩き込むコマ、「かめはめは」はナッパの口から発射されたエネルギー波を切り返すコマなど全ての技が原作で見たコマを参考にして描かれている。
      • 原作ではダメージを受けて道着が破れている状態の絵*4でも道着アリで描かれているため新鮮味も感じることができる。
  • 非常に戦略性の高いバトルシステム
    • 今までのドラゴンボールのバトルゲームはカードの星の数で攻撃権が決まったり運要素の非常に強いゲームやお助けカードなどを駆使して押し切るなどの物が多かったが、本作では非常に高い戦略性を出すことに成功している。だからと言ってとっつきにくいなんてことはなく、システムを理解していれば誰でも楽しめる程度の難易度に収めている。
  • 一定のコマンドを組み合わせる事による特殊技の存在
    • 悟空なら「P1」→「P2」→「P3」、ベジータなら「P1」→「K2」→「P2」とコマンドを組むことで「ラッシュ」が、ヤムチャなら「狼」→「P1」→「K1」で「新・狼牙風風拳」、天津飯なら「溜」→「気」で「気功砲」や行動の最後に「溜」を選択して防御側コマンドで「防」を成功させると発動する「気合返し」*5など、一部のキャラを除いて一定のコマンドを組むことで強力な技を繰り出せる隠し要素がある。
  • 悟空の育成要
    • 悟空は戦闘で使用した攻撃方法に応じてそのアクションでの攻撃補正が大きくなる。「拳」を使えばパンチが、「蹴」を使えばキックの補正がどんどん高くなり個性を出すことができる。
  • 良質なBGM
    • 山田耕治氏によるBGMはいずれも耳に残りやすい良曲ぞろい。
  • SFC周辺機器であるスーパーゲームボーイ使用時の場合
    • ピクチャーフレームが本作専用になるだけでなく、背景や各キャラの絵なども原作・アニメに準した色彩になる。色の階調が少なめであるSGBとしてはなかなか頑張っている。
    • 全ての効果音がSFC音源になり、非常に迫力あるSEに変化する。
      • 通常のGBでプレイした場合だと殆ど聞こえない防御時の効果音もはっきりと大きな音になるうえ、クリリンの代名詞ともいえる切断技「気円斬」も切れ味鋭そうな回転音になるなど全てのSEが比較にならないほど格好よくなるので、SGB持っている人はプレイする価値が大いにあるといえる。
    • スーパーゲームボーイ使用時専用モードである対戦モードで遊ぶことができる。
      • ただし1P側は主人公である孫悟空で固定、キャラを選択できるのは2Pのみ。

賛否両論点

  • 地球戦士の活躍の場が少ない。
    • あくまで悟空中心のストーリー展開なので悟空以外の出番は第23回天下一武道会まで。対戦モードの「天下一武道会」モードでなら2Pサイド限定で戦うことができるが、シナリオの進行状態で敵がどんどん更新されてしまうため、最終的に出てくるのはベジータ、ナッパ、サイバイマン、ラディッツ、ピッコロ、天津飯、クリリンの7人となりヤムチャの出番は無くなる*6
      • せっかく全員に細かく攻撃絵が用意されているので「使いたかった」という意見は多い。
      • 特に天津飯は数ターン回避・命中・スピードアップの「四身の拳」や、成功させればすべての打撃・気光波を確実に跳ね返す反撃技「気合返し」、高ダメージ率の「気功砲」を持ち、悟空を除けばベジータに次ぐ強キャラで出来る行動も多いため、シナリオでも使いたかったとの意見は多かった。
      • 悟飯は原作のサイヤ人編での戦闘シーンがほぼないため、本作ではNPCである。

問題点

  • 悟空中心のストーリーによる原作の微改変によるしわ寄せ
    • 前述したように本作は「悟空中心のストーリー」となっているため、悟空以外のメンバーの扱いは非常に悪い。中でもピッコロの扱いの悪さは本作プレイヤーには語り草である。
    • まずラディッツ編では原作通り悟空と一緒にラディッツと戦うことになり、悟空とラディッツが激闘を繰り広げる中、ピッコロも一定ターン事にラディッツを攻撃するが彼の攻撃は絶対にラディッツに当たることは無い。それどころか攻撃する毎にしかし ラディッツによゆうでかわされてしまった!!(原文ママ)と表示され一人だけ明らかに格下扱いされてしまっている。
      • ラディッツ襲来時におけるピッコロは紛れもなく悟空と肩を並べる地球最強の戦士であり、悟空が(ゲーム上は)戦えている相手に手も足も出せないというのはやたら弱く見えてしまう。
  • ベジータの大猿化について
    • ベジータは残りHPが少なくなると原作通り大猿化をする。
    • だが戦闘力は変化せず、攻撃力も防御力も変化しない。それどころか特殊技「ラッシュ」も「ギャリック砲」も撃てなくなるのでパワーアップイベントのように見えて大ざるになると弱体化する。
    • しかし原作のように大幅にパワーアップをしては勝つことが困難になってしまい、ゲームバランスが崩れてしまうため仕方ない事ではあるが…。
  • 界王拳のリスク
    • 界王さまが最後にちょこっと言ってくれるだけで詳しく語られないが、本作の界王拳は使用するたびにその戦闘に限り「倍率×10」だけ最大KIが低下してしまう。本作では攻撃方法は全てKIを消費するため、考え無しに界王拳を使ってしまうと最大KIが大きく下がってしまい大技が使えなくなるほか、攻撃数も大きく低下してしまう。
    • 界王拳で上がるのはあくまで攻撃力のみなので、敵との位置や回避率の高いサイバイマンなどが相手だと使ったところで攻撃がほとんどあたらず、最大KIだけ下がってしまうのはザラという非常にリスキーな技になっている。
    • 原作ではマスターしたとされているはずの「2倍界王拳」でも容赦なく最大KIが下がるので使用するには細心の注意が必要となる。
    • 特にKIを130消費する「元気玉」や150消費の「超元気玉」*7は一回でも界王拳を使ったら使うことが出来なくなってしまう。
  • 防御行動の一つ「反撃」がほぼ死んでいる。
    • あくまで確率で判定しているため、どんなに戦闘力をあげようが位置取りが良かろうが、太陽拳を使おうが常に確率は一定。おみくじで例えるなら「凶」と「大凶」しか無い中に1つだけ「大吉」があるようなもので全くあてにならない。
    • 悟空のHPとBPの成長率が「1回の戦闘でどれだけダメージを受けたか」で判定されるため、「反撃」を選ぶ意味は故意にHPを減らすためと言われるほど、反撃する確率は極々低確率である。
  • 「ヘビのみち」が異常に高難易度。
    • まず悟空の操作性が非常に悪く、ジャンプ後の位置調整が非常に困難なのに対して中盤以降は1マスしかない足場を渡っていくというエリアが非常に多い。舞空術ゲージ無しで進むのは困難を極める。
    • しかも悟空はダッシュ中に僅かな段差にでもぶつかるとゴロゴロ後方に転がって行ってしまう。
    • そのくせ界王さまとの修行を最大の5回熟すにはこの長い道を169カウント以内に踏破しなくてはならない。TAS動画において検証したところ全ての無駄を省いて出たタイムは142カウントであり、最大回数である5回の修行を熟すにはTAS動画に匹敵する程のプレイスキルが求められる。
      • 幸い界王拳の使用フラグとなる「かいおうをこえろ」以外の修行は全てステータス強化なのでステータスに拘らなければゴールさえできればよいのが救い。*8
  • 最終ボスであるベジータが放つギャリック砲が異常なまでに強すぎる。
    • 防御・回避失敗などでまともに喰らった場合、4000~5000位の大ダメージを受ける。ベジータ戦時の悟空のHPは高くても8000台であるため、一撃で半分以上減らされる。もしも怒涛の一撃*9になった場合、1発でゲームオーバーになる。
    • いくらラスボスとはいえ、即死の危険がある攻撃はいささか行き過ぎと思われる。
    • ただし上記の通り大猿に変身すれば使用しなくなるため、追いつめてから逆転負けという事態にはならないのが救いか。

総評

ストーリーはやや端折られている所もあるが、ほぼ原作通りに進めることができ戦闘中の立ち絵もゲームボーイの低解像度の中でよく原作絵を再現している。
また戦闘結果で意図した能力を上げられ悟空をカスタマイズする楽しさがあり完成度は高い作品である。
ただし、悟空中心のストーリー故、ピッコロを筆頭に多くの仲間の扱いが悪くなってしまっている事に不満が出てしまったほか、タクティカルRPGの戦闘システムは子供にはやや難しかったのも事実である。

余談

  • ナッパ戦で悟空は「いまのいっぱつは、ちゃおずのうらみだ!」と言うが、本編で餃子の出番は'このテキストだけである。自爆シーンはもちろんのこと、桃白白に倒される展開はおろか立ち絵すらないのでADVパートの会話イベントすらない。本編では存在そのものが抹消されているのである。スタッフロールに表示される1枚絵にのみその存在を確認できる。