ザ・スーパー忍
【ざ・すーぱーしのび】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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メガドライブ
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発売・開発元
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セガ・エンタープライゼス
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発売日
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1989年12月2日
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定価
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6,000円
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配信
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バーチャルコンソール:2009年3月10日/600Wiiポイント
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判定
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良作
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忍シリーズリンク
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概要
セガのアーケードゲーム『忍 -SHINOBI-』の続編として発売されたメガドライブ用アクションゲーム。
画面は真横から見た、基本的に奥行きのないスクロール式マップであり、主人公ムサシは多くの場合左から右へと歩いていくという、ごくオーソドックスなジャンプアクションである。
基本的なシステムは前作を踏襲しているが、子供を救出する要素が削除され、新アクションが追加されている。
ストーリー
現代を生きる忍者ジョー・ムサシが、犯罪シンジケート「ZEED」を壊滅させてから3年…。
復活した「NEO ZEED」によりムサシが育った忍の里が急襲されてしまう。
ムサシは攫われた許嫁ナオコを助け出し、NEO ZEEDへ復讐すべく旅立つ。
特徴
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操作は十字ボタンで移動、ABCボタンで忍術の使用、攻撃、ジャンプができる。
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攻撃ボタンは敵と距離が離れていると弾数消費制の手裏剣を投げ、近くだと自動的に近接攻撃に変化する。これらは前作同様。
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パワーアップアイテムを取得すると手裏剣の攻撃力が上昇し、近接攻撃が強力な忍者刀攻撃に変化する。
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また、パワーアップ中は敵の飛び道具を防御する「十字受け」が発動する。ただし、十字受けは歩いている間しか使えず立ち止まると無防備。
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1度でもダメージを受けるとパワーアップ状態は解除される。
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ジャンプの頂点でもう一度ジャンプすると2段ジャンプの「八双飛び」ができるようになった。八双飛び中に攻撃ボタンを押すと、手裏剣を一気に8本消費して広範囲にばらまき大ダメージを与える「八双手裏剣」が出せる。
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しゃがみ移動も健在。
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忍術は最初から4種類所持。ボタンを押した時にどれが発動するかは、ポーズ中に切り替える。
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忍術の使用は1ラウンドにつき1回のみ。いずれかの術を使うと他の術は使用不能になる。
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忍術アイテムを取得するか残機が減ると再度使用可能になる。
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忍術一覧
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雷の術
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雷のバリアを纏い、一定回数攻撃を受けるまで完全無敵になる。
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火龍の術
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浮身の術
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微塵の術
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自爆して敵全てに大ダメージを与える代わりに残機が1つ減るデメリットがある。そのため残機がない時は使用不可。
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道中にある木箱を破壊するとアイテムが出現する。
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中にはトラップの時限爆弾も存在し、一定時間経過かムサシが近づくと爆発する。
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また、手裏剣で攻撃すると出現する隠しアイテムも各地に配置されている。
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ライフ+残機制。ライフはスコアが一定になると上限がアップする。
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死亡時は戻り復活で、中間やボス戦に辿り着けばそこから再開できる。
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残機がなくなるとコンティニューできるが、コンティニューは3回まで。なお、コンティニュー時はラウンドの最初に戻される。
評価点
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グラフィック、BGM
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メガドライブ発売から一年後に発売された初期の作品ながらクオリティは非常に高い。
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ゲーム開始時の実写デモのかっこよさ、派手な忍術の演出に巨大キャラなど見所も多い。もちろん他のグラフィックの描きこみも良好。
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本作の売りとして当時宣伝されていた古代祐三氏によるBGMも良曲揃い。
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忍者屋敷らしく和風の1面、2面後半からは都市部が舞台となるため、それに合わせて曲調も大きく変化し、チャイナタウンでは中華風…など各場面に合わせて変化する曲がよく似合っている。エンディング曲などは古代サウンドらしさが実によく出ている。
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やりがいのあるゲームバランス
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高難易度ながら練習してステージや敵の配置を憶え、攻略法を確立していく事で確実に先へ進めるゲームバランスは絶妙。
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上に乗ると動くスイッチや八双飛びで画面の奥と手前を行き来できるフェンス、定番の雑魚忍者からカンフー使い、マシンガン兵や擲弾兵などステージごとに多彩なギミックと敵キャラが登場し、楽しませてくれる。
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何度もプレイする事で以前は難しかったステージを楽にクリアできるようになっていき、腕前の上達を実感できるため、やりこむほど面白さが増していく。
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後年のディレクターインタビューによれば、全て計算づくで設計されているとの事で、後半のステージではそれを実感できる。
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忍術は使用回数が少ない分、非常に強力な効果が揃っている上にAC版と違って好きな術を使用できるので攻略の大きな助けとなる。
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上手く使えばステージを大幅にショートカットできたり、敵の猛攻を強引に突破したりといった事も可能で、プレイに幅を持たせる要素になっている。
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オプションで難易度や手裏剣の初期弾数、キーアサインを変更可能なので、自分に合った設定で自由に遊べるのも良いところ。手裏剣を無限に撃てるようになる裏技なども用意されている。
問題点
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前述のようにバランス自体は取れているが、素の難易度が高いため挫折もしやすい。
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序盤からこちらの攻撃を的確に防御してくる雑魚・ボスの存在、おなじみのノックバックによる落下死、プレイヤーを先読みして仕掛けられた即死トラップや敵の配置など、死んで憶えることが前提でアクション上級者向けの作風となっている。
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一部雑魚やボスの攻撃は一撃でライフを半分以上吹き飛ばしてくるものもいるので、入念にパターンを構築しないと勝つのは困難。
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特に八双飛びは1段目で早くボタンを離してしまったり、2段目のボタンが早くても遅くても出せないためタイミングを感覚で覚えなければならない。ラウンド2からいきなり八双飛び必須の滝ステージが登場するため、使いこなせないと厳しい。
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十字受けが歩きながらしか使用できないため、咄嗟の防御が難しい。
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慣れないと被弾しやすく、パワーアップできないまま先へ進むことになりやすい。
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忍者のくせに歩く速度が異常に遅く、ダッシュもできない。
総評
メガドライブ初期の作品ながら全体的に高い完成度を持った良作アクション。
当時は古代サウンドなどが注目されていたが、高難易度ながらも何度もトライ&エラーを繰り返すことで上達していける絶妙なゲームバランスも楽しい一作である。
余談
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時代がおおらかだったのか、どこかで見たような姿のボスキャラが多数存在する。
前作にもそれっぽいキャラは存在していたが、本作のそれは著作権ギリギリのレベルでそっくりな代物。
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どこから見てもランボーそっくりな「ロッキー」
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皮膚が緑色に変色するターミネーター「ハルクレス」
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スパイダーマンからバットマンに変身する「メタモルフォーマー」
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背びれがないゴジラ「モンスターG」
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流石にまずいと判断されたのか、後期出荷版ではハルクレスを除きグラフィックが差し替えられた。この後期版は出荷数が少なくレアな代物である。
ただし、スパイダーマンだけはマーベル社から正式に許諾を取ったうえでスパイダーマン本人として登場する。
グラフィックが本人と同じカラーリングに変えられただけでなく、登場演出も変更されている。
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当時セガは『スパイダーマン ザ ビデオゲーム』の制作でスパイダーマンに関する版権を取得しており、同作のプロモーションも兼ねて出演が決まった。
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Wii以降の移植版(以下、最終出荷版と表記する)では版権が切れたため、登場演出はそのままにカラーリングがピンク一色に差し替えられ、再び別人扱いとなった。
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タイトル画面に顔アップで表示されるジョー・ムサシの姿は、衣装も含めて映画『影の軍団』シリーズ主演時の千葉真一氏にそっくりであり、模写といっても過言ではないほど。
当時は特に話題にも問題にもならなかったようだが、最終出荷版では目つきがやや細めに変えられている。
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後にメガCDにて発売されたカップリングソフト『セガクラシック アーケードコレクション』にも収録されている。
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ただしタイトルは海外版の『リベンジ オブ シノビ』名義での収録。同ソフト収録バージョンは後期出荷版(スパイダーマン本人が出演)に準拠している様子。
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又、ジョー・ムサシの忍術使用時の音声とマスクド忍者の笑い声はメガCD側のPCM音源で再生しているためMD版よりもクリアになっている。
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2023年6月28日より『セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online』収録ソフトの一つとして配信開始。
最終更新:2023年06月28日 15:38