本記事では『まーじゃんバニラシンドローム』のAC版/PCE版/PC98版を扱っています。判定はいずれも「なし」です。
まーじゃんバニラシンドローム
【まーじゃんばにらしんどろーむ】
ジャンル
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麻雀+アドベンチャー
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対応機種
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アーケード
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発売・開発元
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日本物産
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稼働開始日
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1991年
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判定
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なし
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概要
脱衣麻雀でおなじみのニチブツこと日本物産が手掛けた麻雀ゲームの一作。
人気を獲得した同社の『麻雀殺人事件』と同じくアドベンチャー要素を取り入れている。
キャラクターデザインに『うる星やつら』の作画監督を務めたアニメーター西島克彦氏を起用しているのが最大の特徴。
ストーリー
デートの待ち合わせに急いでいた一人の青年が、森の中に立っている不思議な扉を見つけた。
好奇心で扉を開いた彼は異次元に落ちてしまい、様々な世界に繋がる「パラレルターミナル」に辿り着いた。
ターミナルの管理人のバニーガール・バニラと出会った彼は、バニラに麻雀勝負を挑まれる。
勝負に勝てば異世界へ繋がる扉を1つだけ開けて元の世界への帰り道を探していいというのだが…。
特徴
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麻雀部分はごく普通の2人打ち麻雀。違いは点棒がニンジンになっている事くらい。
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一度でも和了すると勝利となり、鍵を選択する画面になる。選んだ鍵によって様々な世界へ行くことができる(ご褒美グラフィックを兼ねている)。
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それぞれの世界の女性キャラと会話し、アイテムや情報を貰いながら次に行くべき世界を探すことになる。
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次の麻雀勝負の前にイカサマアイテムを購入することができる。
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アイテムは所持しているニンジンを消費して購入する。前述のようにニンジンは点棒を兼ねているため、ゼロになるとリーチできなくなる(一発アイテムを使った場合は可能)。
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相手のリーチを消す、相手の手牌を見る、10回だけ先ヅモする、リーチ時に高確率で一発、果ては積み込みまで様々なイカサマが可能。
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ゲームオーバーになった後、コンティニューせずに終わるとパスワードが表示される。ゲーム開始時にそのパスワードを入力すれば続きからプレイ可能。
評価点
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西島克彦氏デザインのキャラクターは良好。ご褒美CGも美麗。
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登場するヒロイン達は人魚や天狗などのケモノ系キャラも登場し、バラエティ豊か。
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オニ族の国のヒロインは名前が「レム」で口調が「だっちゃ」だったり、主人公の容姿があたるそっくりで名前も「諸星康介」といったパロディ要素も。
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脱衣要素はないが、各ヒロインの服は際どいデザインで、ほとんどのキャラがバストが出ているため際どいCGを見たいだけなら手軽。
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長いゲームゆえ、パスワードコンティニューで中断できるのは良心的だった。
問題点
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エンディングを目指すと非常に長いプレイが必要になる。
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どの世界でどのアイテムを持っていくのか、各世界のヒロイン達のヒントを逐次メモしながら進める必要があり、まともにクリアしようとするとかなり面倒。
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得られる情報も「あの世界に行け、その前にあの世界でアイテムを貰え」といった感じで、とにかくたらい回しにされまくる。あらかじめメモっておけば手順は省略可能だが。
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そもそも行ける世界は20以上存在し、どの鍵でどの世界へ行けるかは鍵の形を見て判断しなければならない。
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何となく察せる鍵もあれば、何の世界なのか開けるまでわからない鍵も存在するため、せっかくヒントを貰ってもどの鍵で行ける世界かわからない場合もある。当然選択には時間制限があるので迷っている暇はない。
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ストーリーはこれといって山もオチもなく、やや微妙。
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メインヒロインのバニラは麻雀の相手をするだけで、ご褒美CGもなく、特に主人公と結ばれたりすることもないので、やや扱いが悪い。
総評
キャラクターデザインを重視した一発屋的なタイトル。
キャラデザやCGは良好で、知名度こそ高いもののゲームとしては平凡な出来だったと言える。
まーじゃんバニラシンドローム (PCE)
【まーじゃんばにらしんどろーむ】
対応機種
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PCエンジン CD-ROM2/SUPER CD-ROM2両対応
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発売日
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1991年10月25日
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定価
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6,900円
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配信
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プロジェクトEGG:2013年1月22日/500円(全て税抜)
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判定
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なし
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概要(PCE)
PCエンジンへの移植版。ニチブツのCD-ROM対応タイトル第1弾でもある。
CD-ROMらしくボイスやアニメーション対応が行われており、冒頭のOPムービーで言及される通りアダルト要素は削除されている。
新たにバニラの姉のミントと妹のチェリーが登場し、三姉妹設定が定着した。
ゲームモードはAC版に手を加えた「アドベンチャーモード」、各ヒロイン達と対戦できる「トーナメント」「フリー対戦」が用意されている。
評価点(PCE)
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移植度は良好。
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さすがに解像度こそ落ちているものの、CGはAC版の雰囲気を保っており、露出の修正や色味の変更が加えられた以外はかなり忠実。
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さらに会話シーンはフルボイス。声優もバニラ役に日高のり子氏の他、島津冴子氏、島本須美氏という豪華な声優陣を採用している。
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主人公にもボイスがついたのだが、諸星あたる役の古川登志夫氏を起用するという狙った配役になっている。ちなみにあたるに比べて真面目そうな演技になっている。
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対戦相手がバニラに加えてミントとチェリー、さらにAC版ではADVパートのみの出番だったヒロイン達も追加され、それぞれ専用アクションも用意されており賑やかになった。
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「アドベンチャーモード」はAC版のように鍵を選ぶ必要がなくなり、指定した世界へ直接行けるようになった。
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また、ある程度順番が固定されるため、AC版のように迷わずスムーズに進められるようになった。
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なお、このモードでもバニラ達三姉妹から対戦相手を選択可能になった。対戦相手選択時にセーブできるようになったので、中断もしやすくなった。
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BGMはCD-DAによるアレンジに強化。クオリティが大きく向上している。
問題点(PCE)
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「アドベンチャーモード」で各世界に行くと、マップを虫メガネで調査しないとならなくなった。
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マップの中からヒロインを探し出して会話するだけなので、あまり意味のないシステムで逆に面倒なだけである。
総評(PCE)
家庭用への移植に際して色々と強化された良移植。ゲームとしての完成度が向上しており、かなり遊べるゲームになった。
普通に遊ぶだけならPCE版が一番遊びやすいだろう。
まーじゃんバニラシンドローム (PC98)
【まーじゃんばにらしんどろーむ】
対応機種
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PC-9801 VM/UV以降
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発売日
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1993年1月
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定価
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9,800円
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配信
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プロジェクトEGG:2009年3月10日/500円(全て税抜)
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判定
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なし
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概要 (PC)
AC版から2年後に発売されたPC98移植版。
AC版をほぼ完全移植しており、PCE版のミントとチェリーも追加されている。
ゲームモードはAC版を忠実に再現した「アーケードモード」と三姉妹と対戦する「対戦モード」が用意されている。
評価点(PC)
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音楽やフォントサイズを除けばゲーム部分はほぼ完全移植。
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もちろんPCE版と違ってアダルト要素もそのまま。
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AC版より解像度が向上しており、色使いが薄かったAC版より色鮮やかになった。若干手抜きだった背景も描きこまれるなど、CGはより美麗になっている。
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選択の時間制限やパスワードはなくなり、PCE版同様のセーブ方式になったいいとこどり。
問題点(PC)
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扉を開ける際のムービーのコマ数が落とされているなど、若干の劣化は存在する。
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システムはAC版そのままのため、セーブできるのもゲームオーバーになった時だけ。セーブするのにわざと点数がなくなるまで負け続ける必要があり、中断しにくい。
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三姉妹以外のヒロイン達とは対戦できず、この点ではPCE版に劣っている。
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AC版もそうだったため仕方ないが、音声もないので少々寂しい。
総評(PC)
ゲーム自体はAC版の忠実な移植だが、PCE版の要素を一部輸入しつつ改善する部分は改善された良好な移植。
全体的にAC版のアップデート版と言ってよく、AC版にこだわるプレイヤーにお薦めできるバージョンと言えよう。
現在はPCE版と共にプロジェクトEGGで配信されているので、ニチブツのAC麻雀ゲーとしては遊びやすいタイトルである。
最終更新:2025年01月02日 09:25