このページでは、PS2で発売された『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』及び増補版『SPECIAL EDITION』について解説する。
PS3/360のHD移植については『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』を参照。
【あぬびす ぞーん おぶ えんだーず】※THEは発音しない
ジャンル | ハイスピードロボットアクション | ![]() ![]() |
対応機種 | プレイステーション2 | |
メディア | DVD-ROM 1枚 | |
発売元 | コナミ | |
開発元 | コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(EAST) | |
発売日 |
無印: 2003年2月13日 SPECIAL EDITION: 2004年1月13日 |
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定価 |
無印: 7,140円 SPECIAL EDITION 通常版: 3,465円 SPECIAL EDITION 限定版: 3,675円 |
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プレイ人数 | 1~2人 | |
レーティング | CERO:12歳以上対象 | |
廉価版 | コナミ殿堂セレクション:2005年5月26日/1,890円 | |
判定 | 良作 | |
ZONE OF THE ENDERSシリーズ ZONE OF THE ENDERS / Z.O.E 2173 TESTAMENT / ANUBIS ZONE OF THE ENDERS ZONE OF THE ENDERS HD EDITION / ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS |
僕らは、やっと宇宙で自由になれる。
2001年3月にPS2で発売された1作目 『ZONE OF THE ENDERS』の続編。
コナミのSFロボットゲームを主軸とした企画・シリーズ『ZONE OF THE ENDERS』 における作品の1つである。
「オービタルフレーム(OF)」というロボット兵器による空中戦主体のハイスピードな3Dアクションが楽しめる。
『メタルギア』シリーズを手がける(旧)小島プロダクションの制作となっているが、前作と同様に小島秀夫氏の担当はプロデュース・PV編集といった対外的な活動が中心。
ゲームデザイン・脚本・監督は、今作が初監督作品となる村田周陽氏。
前作は軽快なアクションと美麗なグラフィック、優れたBGMを持ちながらも「冗長な癖に短いストーリー」の為に評価を落してしまっていた。
本作は前作の不満をほぼ全て解消し、長所をさらにグレードアップする形で帰ってきた。
残念ながら前作の不評や発売日のタイミングの悪さなど、全体的な売り上げは振るわなかった(詳しくは後述)。
しかし評価自体は高く、廉価版の発売や口コミで評判が広まった結果、「隠れた名作」(コナミ公認)としてのポジションを確立。
現在ではPS3/360およびPS4/Win(Steam)にて二度のリマスターが行われている。
22世紀。絶大なエネルギーをもたらす鉱物「メタトロン」の発見・利用によって、火星、そして木星圏へ居住域を広げた人類。
しかし太陽系の中心部に戻るにつれ、人々の間には自分達よりも外の宙域に住む人間を「エンダー(田舎者)」と呼んで差別する風潮が広がっていた。
やがてそれは、火星・バシリアカウンティを中心とする過激派の軍事組織「バフラム」の台頭、そして地球圏を中心とする連合宇宙軍とバフラムとの紛争へ発展していく。
バフラムは膨大な戦力を抑止力としている連合軍への対抗手段として、メタトロンをふんだんに用いた新型機動兵器「オービタルフレーム(OF)」を極秘裏に開発し、大規模投入に成功する。
連合軍の主力である旧式の機動兵器「LEV(レヴ)」は最新のファントマ型ですら量産無人OFに歯が立たず、連合軍は苦戦を強いられることとなる。
この状況下において、連合宇宙軍は木星圏のコロニー・アンティリアを武装占拠し、同地で建造されていたバフラムの新型OF二機を奪取する。
この「アヌビス」と「ジェフティ」の二機こそ、バフラムの指導者ノウマン大佐が進める「アーマーン計画」の要となる機体であった。バフラムはただちに奪回部隊を派遣し、アンティリア全域を巻き込んだ戦闘が行われる。
最終的にアヌビスはバフラムに奪回されるが、ジェフティは連合軍の手に残った。偶然ジェフティに乗り込んだ民間人の少年レオ・ステンバックの協力により、ジェフティはレオと共に辛くもアンティリアを脱出したのである(*1)。
連合宇宙軍はジェフティに搭載された独立型戦闘支援ユニット「ADA(エイダ)」に「火星のアーマーン要塞中枢に侵入後、ジェフティを自爆させる」というプログラムを書き込み、アーマーンの内部からの破壊を目論んでいた。
しかし、既に火星圏はアヌビスを手中に収めたバフラムに焼き払われ、完全に掌握されていたのである。
連合軍は火星への侵入は不可能と判断し、やむなくジェフティを木星圏に向けて投棄。バフラムの、そしてノウマンの目から隠した。
暫く後。木星衛星・カリスト。
元バフラム軍人の採掘作業員ディンゴ・イーグリッドは、ある日カリストの地表で不自然なメタトロン反応を探知する。そこには一機のオービタルフレーム――ジェフティの姿があった。
その時、突如襲い来るバフラムの部隊。バフラムの無差別攻撃で自身のLEVを破壊され、仲間を守ろうとジェフティに乗り込むディンゴの心中に、かつての戦いの記憶が蘇り始める。
アヌビスとジェフティ。そしてノウマンとディンゴ。火星圏を舞台に最後の戦いが始まろうとしていた。
パッケージ裏に書かれた「未確認浮遊快感」の文字通り、浮遊するような高速移動を中心とした「簡単・高速・かっこいい」アクションを簡単に実行可能。
ジェットコースターのようなテンポの良いストーリーも絡み合い、ロボットアクションゲームの中でも稀に見るほどの抜群の爽快感が味わえる。
3D酔いは可能な限り押さえられており(*2)、難易度も選択可能でチュートリアルも充実。初心者から上級者まで幅広く対応している。
+ | 「基本攻撃方法の説明を行いますか?」「ああ、頼む」 |
+ | 「ADA、お願いね」「了解。各サブウェポンの説明を行います」 |
グラフィック
デザイン
BGM
ストーリー
演出
2003年発売のゲームでありながら、これほどの爽快感を実現したロボットゲームは、2020年代時点でもそう多くはない。
15年を経て2度のリマスターが行われていることがその証明であり、「ロボットゲームの1つの到達点」とまでいっても過言ではないだろう。
リマスター版が発売されているが、あえて原典のPS2版をプレイする場合でも、スペシャルエディション版の廉価版「コナミ殿堂セレクション」が発売されており、金額的に気軽にプレイしやすいのも長所だろう。
+ | OPムービー(HD版) |
*1 ここまで前作『ZONE OF THE ENDERS』のお話。本作には「PREVIOUS STORY」として10分ほどのダイジェストが収録されている。
*2 開発チーム内で最も酔いやすい小島氏に合わせて調整が行われたらしい。
*3 これも威力の調節が出来るようになった。
*4 元よりそのボスのゼロシフトに対抗する為に取得する。
*5 男性器を「水栓」に見立てた「cock」という俗語・スラングにちなんだ「コックがピット」というシャレらしい。ファンからは「チ◯コックピット」と呼ばれることも。なお、女性型の搭乗機も同じ位置にある…。
*6 ファントマの性能も上がっているが、戦力差はさらに開いている。
*7 「40対1000」でも「1対25」の比率なので、作中設定は流石に誇張されているが、それでも大概である。
*8 OFとファントマでは性能差があり過ぎるので仕方ないのだが。
*9 一応、スタッフのブログにおいて、無印と『ANUBIS』の間の2年間を補完するサイドストーリーが掲載された。これによるとサンダーハートは既に死亡している。セルヴィスはおまけのゾラディウスクリア時に一枚絵で登場している。
*10 「ANUBISよりは上」の域を出ないマーズの売上も相当危険だが。