海腹川背Fresh!
【うみはらかわせふれっしゅ】
ジャンル
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ラバーリング探索アクション
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 Windows(Steam)
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発売元
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サクセス
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開発元
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スタジオ最前線
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発売日
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【Switch】2019年4月25日 【PS4】2020年4月23日 【Win】2020年5月28日
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定価
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5,800円 【Win】6,290円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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アクション部分は良くできている それ以外の部分には問題点が多数
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海腹川背シリーズ
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概要
伸び縮みするゴムひもを駆使して道なき道を進むラバーリングアクションゲーム『海腹川背』シリーズの最新作。
面クリア型だった今までのシリーズとは異なり、固定の広大なフィールドにスタート地点とゴール地点(または収集アイテム)が設定されるというオープンワールドに似たシステムになっている。
またキャラクターデザインも変更されてポップでとっつきやすい印象になったほか、会話シーンやシナリオが存在するなど過去作品とは毛色が大きく異なるタイトルとなっている。
グラフィックのテイストとステージ形式が変わったものの、ルアーとゴムロープを使った骨太で奥深い『ラバーリングアクション』がゲームの根幹である事は変わっていない。
あらすじ
魔法世界『ミシュラーナ』で旅をする流しの板前・海腹川背さんは、『キングネス』と呼ばれる街に流れ着く。
いつも夢に出てくる街にそっくりだということが気になった川背さんは、この街のレストラン『ただいま亭』でしばらく働くことに。
来たこともないのに持っている地図、会ったこともないのに知っている人物、そしてキングネスで見るようになった不思議な夢…
女将さんや街の人から様々な依頼を受けるうちに、川背さんは自分の体やキングネスに隠された謎に迫ることになる。
特徴
ラバーリングアクション
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海腹川背シリーズの根幹をなすシステム。
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ルアー(フック)つきのゴムを8方向に発射でき、天井に突き刺してぶら下がり振り子運動で大きくジャンプする、壁に向かって斜め上に連続で突き刺して壁を登る、地面に突き刺してゴムの縮む力を利用してダッシュする、などこれ1つで様々なアクションが可能。
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これらのアクションは非常に繊細なコントローラ入力を要するため、慣れないうちはあらぬ方向へ飛んで行ったり中々思い通りにはいかない。しかしプレイヤーの操作の上達がダイレクトに反映されるため、やればやるほど自由自在に動かせるようになり様々なショートカットや攻略法を発見できるようになる爽快感が魅力の1つとなっている。
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ルアーは移動するだけでなく敵の捕獲や食材収集などにも使用できる。
ステージギミックの追加
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新たなステージギミックとして、空中に浮かんでゆっくり上下に動く「タンポポの綿毛」が追加された。
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ルアーは引っかかるが川背さんの身体は接触しない。これが散在する空中を渡ってゆくステージもある。
過去シリーズとの相違点
面クリア型からクエストクリア型に変化した
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クエストを選択すると会話シーンが挿入され「ある人物のもとへ向かう」「あるアイテムを一定数入手する」といったクリア条件が設定される。
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フィールドも、特別なクエストを除き広大なマップで固定されている。アクションや装備のアンロックが無いゲームなので、その気になれば序盤からどこへでも行ける。
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広いマップを探索する仕様になったがクエスト中はお勧めのルートが矢印で示されるため、目的地が分からず道に迷うことは少ない。
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ただし矢印で示されるルートを大きく外れると矢印は表示されなくなる。
明確なストーリーが追加された
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クエストの前後のみと簡素ではあるが会話シーンが設けられ、女将さんや街の人の依頼を受けながら少しずつキングネスや川背さん自身の謎に迫っていく。
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クエスト後半からは川背さんが不思議な夢を見るようになり、シナリオ・ステージともに不気味な雰囲気を漂わせていく。
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いくらでも荷物を収納できるリュックもシナリオ中で理由が説明され、あるクエストでその設定が活かされる。
料理、体力、空腹値の概念の追加
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本作では体力、空腹値が存在する。体力は敵に触れるなどで減少し、0になると川背さんが死んでしまいクエスト失敗となる。
空腹値は時間経過で減少していき、0になると体力を消費するようになる。ただし、空腹値0による体力低下で餓死することはない。
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これにより、敵に触れて一撃死することが減った。
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ただし敵に触れると弾き飛ばされるか一定時間行動不能になるため、奈落へ落下して迷子になるなどして死んだ方がマシな状況に陥ることも少なくない。
任意でのリトライ・リタイアは可能なのでその面での不便さはない。
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マップに配置された食材や捕獲した敵を組み合わせて料理できる。
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料理を食べることで体力と空腹値を回復できる。
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一部の料理には「移動速度上昇」「ピヨらない」「ジャンプ力が2倍」「2段ジャンプ」などの効果が付属しており、クエスト攻略に大いに役立つ。
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これらの追加効果は、他の料理で上書きするか特定の攻撃で解除されるまで永続する。
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食材は調理せずそのまま食べることもできるが、回復量が控え目になっており追加効果もない。
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なお、体力とは異なるが水中では酸素ゲージも表示され、酸素ゲージがなくなることで体力が減少していく。こちらは溺死する。酸素ゲージは一瞬でも水面から上がれば全快する。
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その他、特定の場所で中間キャンプを設定すると死亡してもそこからやり直せるようになる。総じて初心者に優しい作りになった。
2人の追加キャラクター
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クエストを進めることで2人のプレイアブルキャラクターが追加される。どちらもワイヤーアクションに加えて特殊アクションを使用できる。
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いずれのキャラクターも、川背さんが死亡した際のリトライ時に代打として使用可能。また、タイムアタックやチャレンジでも用いることができる。
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川背さんは特殊アクションを持たないため、2人は純粋に川背さんの上位互換となっている。
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追加キャラクター
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コットン(『コットン Fantastic Night Dreams』)
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箒に乗って空を飛べる魔法少女。発売元のサクセスが1991年に制作したアーケードSTGからのパブリッシャー繋がりによるゲスト参戦。
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特殊アクションで一定時間浮遊できる。ワイヤーの加速と合わせることでかなりの距離を移動できる。
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なお、クエスト進行を待たずともショップで5000Gのコットンチケットを購入すればその時点で開放される。
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カーリー(『洞窟物語』)
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女性型の武装探索ロボット。こちらもゲスト参戦。
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特殊アクションで銃を発射でき、敵を倒したり反動で浮き上がることができる。
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3つのやりこみ要素
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タイムアタック
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クエストと同じクリア条件を、食材や料理なしの状態から開始できる。
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敵を捕獲することで食材は手に入り、多少の空腹を満たすことはできるがレシピがないため料理によるバフ効果を得られない。
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コットンやカーリー専用クエストも川背さんでプレイ可能。ただし難易度は高い。
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チャレンジ
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過去シリーズのような面クリア型のモード。本編の広大なステージを一部だけ切り取ったステージだが、ギミックや敵配置が大きく変更されているものも多い。
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総じて高難易度で、ストーリーモードでは物足りない人やシリーズをしゃぶり尽くしてきた猛者向け。
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無料アップデートで追加された、過去作の再現ステージもこちらに収録されている。
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ゲームシステムは今作のもので、扉が減っているなど変更点もあるので完全再現ではない。
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ライブラリ
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手に入れたことのあるアイテムや捕獲・討伐したことのある生物を閲覧できる。
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「旅の思い出」と呼ばれるアイテムはフィールドの分かりにくいところや到達しにくいところに隠されている。旅の思い出全体で1つの物語になっており、本編のシナリオを補完する内容が書かれている。
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未登録の部分はハテナマークが表示されるため、何を入手していないかが大まかに分かるようになっている。
評価点
ゲーム性の拡充
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今の時代に合わせ、シンプルにステージをアクションで超えていくのみのシンプルな構成だった旧作からゲーム性の拡充が図られており、世界観やキャラクターの刷新に伴うイメージの変化もあって新規ユーザーにもなじみやすくなった。
硬派なラバーリングアクション
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面クリア方式ではなくなったが、複雑な形状の足場が点在しているというステージ形式自体は過去シリーズから大きく変化していない。お馴染みの敵はもちろん、ルアーが刺さらない壁やベルトコンベア、トランポリンなども健在。
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ロープを使ったアクションは、操作の上達とルート開拓によって攻略タイムがぐんぐん縮まり、色々なテクニックを試す楽しさを与えてくれる。
優秀なマップデザイン
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広大なマップの中に、過去作で見たことがあるような地形から全く新しい攻略法を要求される地形、新システムを生かした上下左右に広いアクションの舞台など、飽きない要素が散りばめられている。
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固定マップとなったため同じ箇所を何度も通ることになるが、同じ場所でも順路と逆路で通過する難易度は全く異なる。スタート地点やゴール地点がそれぞれ異なるため攻略ルートも毎回異なるし、クエストによっては敵の配置が一部異なることもありマンネリ感は感じにくい。もちろん、矢印に示された以外のルートを独自に開拓していくこともできる。
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もちろんすでに通ったことのあるルートを通過することも多いが、初めは苦労したルートを労せず通過できるようになると上達を実感できる。
過去作よりも初心者が操作を習熟しやすい
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元々本シリーズは操作にクセがあるうえ、ステージクリア型+一発死+残機制+時間制限有りで基本的には腰を据えて操作を習熟する環境に乏しかった。
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しかし本作では前述の通り、同じマップの中をクエストクリア型で攻略する性質上何度も同じルートを進むため、自然と反復練習ができるようになっている。
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Switch Onlineの月額サービスでシリーズ初代をプレイ可能なことから、初代で挫折したプレイヤーが本作にある程度慣れることでどちらもクリアできるようになった、というケースもある。
良質なBGM
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不思議な世界観になぜかマッチする、ほのぼの系BGMも新しくなって帰ってきた。
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和やかなメロディの中にも哀愁を感じさせる海腹川背ならではのテイストの新曲に加え、通常曲とは明らかに違うメロディラインのボス専用曲、ストーリー進行に合わせた不穏なBGMもあり、音楽の面でも新しい領域に斬り込んでいる。
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また、ルアーを投げた際の「ピシュッ」、ルアーが地形に張り付いた時の「カキッ」という効果音も旧作から変更なく使われており、絵面が大きく変わりつつもさりげなくシリーズらしさの保持に繋がっている。
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旧作BGMの中から数曲が高音質で流用されている。
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ステージBGMとしてではなく、メニュー画面やステージリザルト画面など、ゲームプレイ中以外の画面で用いられている。
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アップデートで追加された旧作再現ステージでは、それぞれのステージの初出作品に合致した曲が使われている。
全てのクエストでタイムアタックが可能
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各クエストにはクリアタイムが表示・保存される。
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料理によるバフ効果があるため料理込みの戦略を組み立てることもできる
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タイムアタックモードでは料理を作れないのでゴムロープ一本で勝負したいユーザーも満足できる。
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この項目は難易度の高さに直結している部分でもあるが、海腹川背シリーズ自体の魅力でもあるため評価点として記載する。
川背さんの板前という設定が本格的に活かされるようになった
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元々、板前という設定はSFC版の発売後に制作者兼プログラマーの酒井潔氏が公開していた裏設定だが、これはあくまでキャライメージの伝達のために書かれたもので公式設定ではなく、DS版シリーズでキャラクターの肩書としてのみ採用されたもの。
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旧作では世界観設定とゲーム性の都合上、料理人らしいところを見せてくれることは皆無だったため、ゲーム性に取り入れる形でうまくキャラクターが活かされるようになった。
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川背さんが女将さんに教えたレシピがレストランの人気メニューになるなど、シナリオでも上手く取り入れられている。
魅力的なキャラクターたち
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女将さんはクエストで最も会話が多い人物であり、基本的に優しく、時に厳しく川背さんを支えてくれる。
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川背さんが来る前は女将さんが配達をしていたため「川背さんのゴム捌きでも難儀するこの世界で配達なんてできたのか」と考えてしまうが、クエストを進めると女将さんの意外な過去が明らかになる。
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敵キャラクターも相変わらず個性的で印象に残るものばかり。
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金魚、ドジョウ、サメ、イカなどお馴染みの面々も居るが、今作では水生生物以外の生き物も敵として登場する。
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豚、鶏などの家畜、ドングリに足が生えたもの、終盤には亡霊のような人型の敵や生物とは思えない異形のものまで現れ、水棲生物縛りだったこれまでのシリーズに目新しさも加えられており、川背さんの料理人設定にもマッチしている。
賛否両論点
広大なフィールドがあまり活かされていない
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本作では面クリア型だった過去作と違って単一の大きなフィールドが用意されているのだが、メトロイドヴァニア型のゲームのような自由な探索は出来ず、クエストを選んでクエストごとに定められたスタート地点からゴール地点まで向かうという仕組みになっており、実質的には過去作と同様の面クリア型のゲームとなっている。
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また、複数のクエストで同じ箇所を繰り返し通ることも多く、マンネリ感を覚える場面もまま有る。
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やりこみ要素の1つである「ライブラリ」で旅の思い出やレアな敵を埋めるには、クエストでは一度も通らないような場所に行く必要がある。それ自体は問題ないが、自由に探索できるモードがないため、クエスト実行中に寄り道をせざるを得ない。
世界観の変化
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本作では典型的な西欧ファンタジー風の世界観に変わり、地面が空に浮いている点のほかは至って普通。
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これまでのシリーズ作品は全て、川辺や海辺の風景に昭和を思わせる様々な都会的オブジェクトが乱雑に配置されるというカオスな世界観が特長だったのだが、旧作の世界観を想起させるものは一切出てこない。
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整って落ち着いた世界にはなったが、シリーズの象徴ともいうべき世界観がなくなったことを惜しむ声もある。
追加ステージの傾向が偏っている
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無料アップデートで過去作の再現ステージが追加されたが、3ステージのうち2つが「3連リュック」と呼ばれる、ルアーが引っかからないアイスブロックに囲まれたごく小さい箇所にルアーを引っ掛ける事を3回連続で要求される最高難度ステージ。
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確かに多くのプレイヤーを悩ませ印象を刻んだステージであろうが、初・中級者が挑むには適していない。(ちなみにFresh本編のステージにも「3連リュック」が何箇所も出てくる)。
ストーリー性の強化に伴うデモの追加
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デモ自体はそこまで長大なものではないとはいえ、アクションステージに向かう前後に挟まれるのでテンポが悪いという声もある。
性格に問題のあるキャラが多い
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キングネスの住人はいずれも動物をモチーフにしたポップでファンシーな外見なのだが、わがままだったり自分勝手だったり、中にはあからさまに冷たい態度を取ってくる者も少なくない。
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最初のクエストで料理を届けることになる少女『ルシピア』からして、ピザを届けてもらったのに川背さんを怪しんでお礼の一言も言ってくれない。
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レストランの従業員という立場上、客からの注文を受ける立場にあるのである程度は仕方ない……と思いきや、仕事とは無関係なプライベートな要求の方が多い。
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レシピクエストではキングネスの住人から料理のレシピを教えて貰えるのだが、その多くは「〇〇を作ってやるから××を取ってこい」というものである。この「取ってこい」というのはクエストアイテムだから取得が必要ということではなく、キャラクターから本当に「取ってこい」と命令される。料理をふるまおうとする者の態度ではない。「住人が料理を振舞おうとしたが材料が足りずに困っているところを川背さんが気を利かせて助けてあげる」という流れであれば問題ないはずなのだが…
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一方、多くのキャラはクエストを進めていくと徐々にデレていったり憎めない一面を見せてくれたりもする。
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特に上記のルシピアは顕著。普段の無愛想な表情から一転した一面を見ることができる。
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身勝手な態度を取りがちな「キャンパー」たちも猫の獣人であるため猫のように気まぐれな性格と肯定的に捉えればどこか子供っぽいかわいらしさも感じられる。
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また性格的に問題はあっても悪意を持った住人はいないので、そういう世界なのだと割り切ることができればそれほど気にならないか。
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どんなに横暴な要求であっても、川背さんは多少嫌な顔をすることはあっても断ったりはしないので、川背さんの人の好さが際立って見える。女将さんが普通に気遣いのできる優しい性格なのも癒しになっている。
最終的にコットンゲーになりやすい
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プレイアブルキャラの1人であるコットンは、前述の通りほうきで空を飛ぶことができる。
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飛べるのは1秒間だが、飛び地を行き来する本作においてその利便性は異常に高く、スピード面でも安全面でも川背さんの完全上位互換となっている。
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しかも飛行中、ルアーを敵か地形に1度刺せば再度飛翔フラグが立つことから、熟練者ともなれば半永久的に飛行できてしまう。
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そのため、特に順路の長いクエストや縦型に進行するクエストでは、開始早々川背さんの死に場所を探し、即リトライでコットンに変えるというプレイスタイルになりやすい。
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とはいえアクションの起点がルアーであることは変わりなく、多くのプレイヤーにとってはジャンプに1秒間の空中移動が加わった程度のものなので、ゲームバランスが大崩壊しているというレベルではない。
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後半のステージは地形と敵の配置がいやらしく、川背さんでの攻略は結構な難度。アクション慣れしていないプレイヤーにとっては長時間の足止めになり得るため、コットンは救済措置として重要な立場でもある。
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あえて川背さんで進む縛りプレイを選んでもいいし、ストーリーを楽しみたいならコットンを使えばよい、という意味でプレイスタイルの幅を広げる存在ともいえる。
問題点
空腹値がほぼ無意味
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一部の食材(主に道中の邪魔になるため捕獲される魚や敵が吐き出す木の実など)は大量に余る。
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料理をせずとも大量に余ったこれらの食材をそのまま食べることで空腹値はいくらでも回復できるため、食材をうまくやりくりして料理するといった楽しみはなく、アクションの合間にいちいちものを食べなければならないだけの煩わしいシステムと化している。
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クエスト序盤でショップが利用できるようになるのだが、クエストで手に入るゴールドは入手しにくい食材だけを購入するには十分な量が得られるので食材のみならず料理も大量に入手できる。
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「寝坊をして朝食を食べ損ねた」という理由で空腹値が低下した状態から始まるクエストもあるが、クエスト開始直後に何か食べればすむことなのでやはり無駄なひと手間にしかなっていない。
操作をじっくり練習できる環境がない
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序盤のクエストでは「延長がけ」「垂直のぼり」「ロケットダッシュ」といったテクニックの操作方法を「このタイミングで下キーを一瞬入力」などと動画つきで丁寧に教えてくれるのだが、その操作をゲーム内で練習するための場所や、練習のためのモードもないためぶっつけ本番で慣れていくしかない。
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そのクエストも、悠長に練習などしているうちにクリアタイムが刻一刻と加算されていくうえに空腹値が減少していく。
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タイムオーバーも空腹による餓死もなく、仮に死んでもすぐリトライできるのでスタート地点で延々と練習しても問題はないのだが、落ち着いた練習はし辛い。クエスト前に「冷めないうちに届けよう」などと言われると尚更である。
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SFC版こそ同様の縛りがあったが、PS版以降は到達した面のみ自由に練習できるプラティクスモードが搭載されていたため、痛い劣化点となっている。
UIが総じて不便。
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マップがない
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広大なフィールドを探索するゲームでありながらワールドマップが存在しない。
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ストーリーパートでは川背さんは地図を所持していて、進行状況に応じて地図が自動的に描き足される…という描写があるのにプレイヤーはそれを見ることができない。
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ライブラリ収集では特に未踏の地を探索することが重要になるため、非常に不便。
料理を1つずつしか作れない
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上述の通り食材は大量に手に入り、大量に調理できる。特に初心者だったりフィールド探索をしている時は時間がかかりすぐ空腹になるため料理の作り置きをしてこまめに食事をとりたいところだが、料理はまとめて作ることができない。
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しかも料理を1つ作るのに決定ボタンを5回も押さなければならない。
「たんぽぽの綿毛」の不安定さ
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まず、ルアーが引っかかる箇所が分かりにくい。丸い綿毛のグラフィックの外周部は引っかからずすり抜けてしまうのだが、その境目が明示されていない。
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ルアーを引っ掛けると、ルアーが綿毛の中心にニュルっと移動する。過去作の「タコ」や「ふぐ」に引っ掛けたような感触だが、アクションに使う空中の支点が強制移動するのは違和感がある。
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ルアーが戻っている最中には引っかからない。
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綿毛地帯では、一発で引っ掛ける事に失敗したら最下段まで落下あるのみ。
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足場として不安定。
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ルアーが掛かっている最中にも上下運動するので支点が揺れることになり、タンポポ捕まり中は振り子を整える事が難しい。
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重みを掛けると下がるという過去作の「乗ったら下がる足場」の要素も入っている。ぶら下がって動きを整えていると、次の支点へ飛ぶための高さが足りなくなる。
上記の仕様から総じて、「綿毛の中心へピンポイントでスナイプを決め、引っ掛けた箇所から支点が変わる事を考慮した上で、重さを掛ける前に1発で次のジャンプを決め、次の支点も正確なスナイプが要求される」という難ギミックとなっている
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なお、前作「さよなら」で新登場したギミック「トランポリン」も動きが不安定で不満点の一つに挙げられたが、今作でもトランポリンが続投している。
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ただしトランポリンが設置されている箇所は非常に少なく、実質的に特定のクエストでしか使用しない。
更新前のタイムや、タイムを何秒更新したかが表示されない
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クエストやタイムアタックをクリアすると「今回のタイム」と「最速のタイム」が表示されるが今回のタイムが最速タイムを上回ってしまうとその時点で最速タイムが上書きされてしまい、今回のタイムと最速タイムに同じ数字が並ぶ。
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つまり最速3:15でクリアしたことのあるクエストを3:12でクリアした場合、「今回のタイムは3:12、最速タイムは3:12」と表示され、「どれくらいか分からないけど更新した」としかわからない。タイムアタックは「前回よりどれくらい早くクリアできたのか」が大きな達成感に繋がるものなので、達成感も半減である。
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結局、更新した秒数を知るためにはユーザー自身で記録を取らなければならない。
リプレイ機能がない
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初代からある機能なだけに、明確に退化してしまったと言わざるを得ない部分。
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公式サイトに「動画はどんどん配信して下さい」といった文言が記載されているにもかかわらずそれらをサポートする機能を削除してしまうのはいただけない。
リトライ周りが不親切
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死んだとき表示される「再挑戦しますか?」の設問でカーソル初期値が「いいえ」。いいえで決定すると設問が消えるだけなので、Aを連打すると設問が永遠ループする。
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チャレンジモードやタイムアタックモード等においても、失敗してリトライしようとすると、まずリスタートがスタートボタンメニューの上から3番目にあり、カーソル移動に時間がかかる。「最初から挑戦しますか?」に対する選択肢が初期で「いいえ」に合っているので「はい」に移動しなくてはならない。
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そこから3~6秒ほどのローディング画面を挟み、スキップできない「START!」演出のあとで再スタートとなるので、リトライしようと思ってからリスタートまで5~10秒ほど掛かってしまう。
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初代PSでリリースされた「旬」では、CDメディアながらローディング時間は一瞬であり、スタート前演出もスキップでき、リトライ性は良好だった。ROMメディアのSFC版「初代」や3DS版「さよなら」とは比べるべくもない。
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アップデートで「-」ボタン長押しでクイックリスタートできるようになったが、1秒間も長押しする必要があるのでやはり時間がかかる。ゲーム内でその事を案内してくれるチュートリアルも無いのでリリースノートを見た人しか使えない。
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クイックリスタートを使ってもなお数秒待たされるので、数十~数百回死ぬ前提の難易度の『死にゲー』であるチャレンジモードや、それ以上のリトライをするタイムアタックが非常にダルくなっている。
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ロード時間が長くなりがちなオープンワールドとリトライ型アクションの相性が悪いのも要因で、リトライシステムも過去作から退化してしまっている。
総評
面クリア方式からクエストクリア方式にシステムを大改修した作品で、プレイヤーの上達によってどんどん自在な動きができるようになり高難度ステージを越えられるようになったり新たなルート構築ができるようになるラバーリングアクションの面白さは健在。
加えて体力による体力や中間キャンプ、料理による追加効果などを導入してゲーム性を拡充することにより、新規プレイヤーへの配慮が施されている。
高難度のチャレンジステージが豊富に用意されており、身につけたテクニックをいかんなく活用して挑戦する新たな遊び場が追加された事は、経験者・上級者にも嬉しい。
アクションゲームとしては十分な完成度なのだが、アクション以外の部分、不便なUIや一部の愛着が湧きにくいキャラクターなどが足を引っ張ってしまっているのは否めないところである。
ゲーム性の面においても、料理の際のボタン連打や、入手できる素材やゴールドとショップ・料理のバランスの調整などはアクション以外の練り込みの甘さが露呈していると言える。
上級者ともなれば料理に頼らずとも自在に駆け回れるようになり、タイムアタックやチャレンジにおいては料理も探索も会話イベントも存在しないため、ラバーリングアクションさえ楽しめれば良いというストイックなファンであれば不満要素も目立たずに楽しめるだろう。
その後の展開
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発売からほどなくしてアーケード版のリリースが告知され、2020年にゲームセンター向けゲーム選択機能つきオンライン配信ゲーム機・SEGA All.net P-las multi で稼働が開始した。
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内容は家庭用とほぼ変わらず、100円あたり7分間遊べる時間制限制。
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ストーリーデモやチュートリアルの場面ではデモ専用のタイマーが追加され、その時間だけはメインのタイマーが減らない仕様になっている。
最終更新:2023年10月07日 12:35