機動戦士ガンダム EX REVUE

【きどうせんしがんだむ えっくすれう゛ゅー】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(専用基板)
販売元 バンプレスト
開発元 アルュメ
稼働開始日 1994年8月下旬
プレイ人数 1人~2人
判定 なし
ポイント システムも 既視感(パクリ)もパワーアップ
オリジナルMS「ドルメル」の存在だけは有名に
「格闘ゲーム異種格闘技戦」という呼び名あり
一周回ってそれなりの対戦バランス
ガンダムゲームリンク


概要

テレビアニメおよび劇場作品『機動戦士ガンダム』を題材にした対戦格闘アクション。
前年の1993年に発売された対戦格闘ゲーム『機動戦士ガンダム』(原作と同じタイトル)に続く、シリーズ2作目となる作品である。
前作は格闘ゲームとして多くの問題を抱えていたが、本作では他社の格ゲーの優れた点を貪欲に取り込んでおり、大幅にブラッシュアップされて十分に楽しめる作品に仕上がっている。

ユーザーからは基本的に 「イーエックスレビュー」 と呼ばれるが、
基板の取扱説明書においては 「エックスレヴュー」 と記載されているため、本ページはそちらの表記に準拠する。
また、技のモーションやアイデアを主に『ストリートファイターII』や『サムライスピリッツ』から豪快にパクっている。
さらに突き詰めると多数あることが確認されているが、その印象の深さから「ストリートファイターガンダム」、略して「ストガン」とも呼ばれる。


特徴・ゲームシステム及び前作からの変更点

  • 8方向レバーと4ボタン制の対戦格闘ゲーム。4つのボタンにはそれぞれ弱中強攻撃と投げが割り振られている。
    投げに関しては間合い外で押してもすかりモーション等は出ない。間合い内で押した場合に投げが成立する。
    • 前作は弱と強の2ボタン制であり、投げは存在しなかった。
  • 登場MSはボスキャラの2機も含めて全11機から全14機に増加。更に前作と異なり同MSでの対戦が可能となった。
    • 前作では同性能の機体が多く存在していた*1が、同MS戦の導入に伴い、シャア専用機と量産型の性能に大きな差別化が行われた。
      なお、セイラ専用のガンダムはリストラされ、アムロ機の2Pカラー扱いとなっている。
  • 前作ではガンダムやシャア専用機等の一部MSのみ可能であった前ダッシュが、バックステップと合わせて全キャラに実装。更に一部のMSは2段ジャンプが可能になった。
  • 前作にあった攻撃同士の相殺は削除され、代わりに気絶やレバー入力を確認出来るイージーコンソールと、特定条件で出る残像演出が追加された。
    • ちなみに気絶するとMSの頭上をマスコットロボ「ハロ」がグルグルと回る。
  • 前作の場合は決着時にガンダムやシャア専用機以外は爆発する演出があったが、そちらはカット。
    代わりに決着後に台詞と共に勝利したMSのアップ絵とパイロットカットインが大きく表示され、その背後で負けたMSが爆発*2するシーンが挿入されるようになった。
  • パイロットとナレーションの声が追加された。
  • 1人プレイでは同MS戦含む全14戦。対戦する順番は固定で、対戦前には原作のサブタイトルが表示されるが、対戦順と原作の時系列は一致しない。
    • 対戦順はガンキャノン、シャアズゴッグ、グフ、ズゴック、ザク、アッガイ、ドム、ゲルググ、ギャン、シャアザク、ガンダム、シャアゲルググ、ジオング、ドルメル。

使用可能MS

本作では陸戦用MSも他のMSと同様に宇宙でも戦う事が可能。 CVが明記されていないパイロットの声は、開発スタッフが担当している。

+ 前作から続投のMS

ガンダム

  • お馴染み原作主人公機。パイロットはもちろんアムロ・レイ(CV:古谷徹)。
  • 飛び道具の「ビームライフル」、対空技の「ビームサーベル」とオーソドックスな必殺技がある一方で、突進技の「ダブルビームサーベル」や打撃技の「ガンダムハンマー」はやや癖がある。
  • 投げ技では原作の初陣で行ったザクの頭部パイプを引きちぎるシーンが再現されている。ただし相手がどのMSであっても 手にはパイプを握っている。 通称パイプスルー。
  • 技の暴発のしやすさから評価が低いが、的確に技が出せるようになると本作最強のギャンの飛び道具に押し勝てるようになり、一気に上位評価になる。よって使い手によって強さが大きく上下する。
  • 決着後の画面で表示される「こんな敵ならガンタンクで良かったんだ!ブライトさんにはまだ戦術がわからないんだ!」という台詞は、ガンタンクが参戦していない事も含めてネタにされる事が多い。

ザク

  • お馴染みのジオン軍の量産型MS。パイロットはジーン改め「SOLDIER1*3
  • 脚部にはミサイルポッドを装備しており、そちらを使った飛び道具や、対空技のスパイククラッシュ、突進技のダブルスピンキックがあり、ガンダム同様に使い易い性能となっている。
  • ただし、前作にあったクラッカー投げは削除されたが、対空に強い大斬りなどもなかなか優秀。なお、シャアザクもそうだが投げは何故かリュウのモーションのパクリ。

シャア専用ザク

  • 赤くてツノが付いたザク。名前の通り、シャア・アズナブル(CV:池田秀一)が搭乗する。
    • 原作の名セリフを引用した勝利台詞があるのだが、途中で切られてしまう*4
  • 前作では前ダッシュが出来る事以外は通常のザクと同じであったが、本作では技構成が大きく変更され、脚部のミサイルポッドも無くなった。
  • 飛び道具である「ザクマシンガン」は普通の性能だが、急降下攻撃の「スパイラルアタック」と、突進技の「ショルダータックル」はなかなか癖がある。
  • しゃがみ弱攻撃に関してはやたら発生が早く、練習こそ必要であるが しゃがみ弱→前歩き→しゃがみ弱という無限コンボが可能 。このため最強キャラとされるが、それ以外の技や性能は弱くギャンの総合力に大きく劣る。
    • この無限コンボ自体、全て完璧に決めるのは不可能に近く、少しでも隙を作れば投げで簡単に返されてしまう。

グフ

  • ザクとは違う事で有名な青い陸戦用MS。パイロットはランバ・ラル。
  • 普通な性能のフィンガーバルカンによる飛び道具「ショットガン」や、対空技の「ヒートサーベル」がある一方で、リーチの長い「ヒートロッド」、 地中に潜った後に飛び出して攻撃する「サンドワープ」 といった技を持つ。
    • 念のため「サンドワープ」についてフォローを入れておくと、原作では砂漠の砂を利用した奇襲でセイラが操縦していたガンダムに奇襲を仕掛けるシーンは自体は存在している。…まあこのゲームの場合は ガウの上だろうと平気で潜るが
  • 前作と同様、ジャンプモーションなどですら露骨にダルシムの動きをトレースしている。前作では最強機だったが、本作では大幅に弱体化された。

ドム

  • ホバー移動が特徴的な高機動型の陸戦用MS。パイロットは黒い三連星のリーダーであるガイア。
  • 飛び道具の「ジャイアントバズ」、弧月斬の様なモーションで放つ対空の「ヒートサーベル」の他に、バイソンの様なボタン貯め突進技の「フラッシュビーム」、そして黒い三連星の得意技である「ジェットストリームアタック」がある。
  • 原作では3機のドムによる連携攻撃だった「ジェットストリームアタック」は、本作においては 分身を出しながらドム1機で発動し、押したボタンによって本物が異なるかく乱技となっている
  • 前作から続投したMSの中では唯一グラフィックが大幅に書き直され、バズーカが印象的な機体でありながらヒートサーベルに常に手を置く剣豪キャラと化した。これが妙にかっこいいから困る。一応背中から引き抜くのは原作再現ではあるが。

ズゴック

  • 水陸両用MS。パイロットはアカハナ改め「SOLDIER2」。声は「SOLDIER1」と共通。
  • ボタン連打よる「スクリュークロー」や、溜めコマンドによる急降下攻撃の「オーバーヘッド」、頭突き突進技「ヘッドアタック」と、何処かエドモンド本田を思わせる技構成となっている。
  • またヘッドアタックに近いモーションで放つ「ヘッドミサイル」も存在している。

シャア専用ズゴック

  • シャア仕様の赤いズゴック。ボタン連打よる「スクリュークロー」は通常のズゴックと同じだが、それ以外の技はコマンドは同じでも技が大きく変わっている。
  • 急降下攻撃の「オーバーヘッド」は対空技の「パワークロー」に、頭突き突進技の「ヘッドアタック」はジムを貫いた名場面を思わせる突進技「ダッシュクロー」に、「ヘッドミサイル」はオーソドックスな射撃技の「メガ粒子砲」になっている。
  • 格闘ゲーム的に見れば「波動拳が撃てるバイソン」という面白い構成である。

ゲルググ

  • 一年戦争後期に実戦投入された高性能な量産型MS。パイロットはザクと同じく「SOLDIER1」。
  • 飛び道具の「ビームライフル」や、突進技の「グランカッター」は溜めコマンド。ボタン連打でズゴックの「スクリュークロー」の様な「百裂突き」、弱中強同時押しでその場で薙刀を振り回す「ビームナギナタ」が使える。
    • ビームライフルのエフェクトがソニックブームをやや思わせるが、三日月型というよりブーメラン型のエフェクトなので一応独自性は保っている。
+ パイロットについて(ネタバレ注意)
  • ザク、ズゴッグ、アッガイとは違い固有のエンディングが用意されており、そこで正体が『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のライバルキャラクターであるアナベル・ガトーだったことが判明する。
    • それを考慮してなのか2Pカラーは、ガトーが搭乗していた青いゲルググを思わせる物になっている。

シャア専用ゲルググ

  • シャア専用に赤く塗られツノが付いたゲルググ。量産型と異なり2段ジャンプが可能。
  • 「ビームライフル」と「百裂突き」、「ビームナギナタ」は性能に違いはあれど量産型と同様の技であるが、対空技の「ゼロクラッシュ」が追加されている。
  • ちなみにこの「ゼロクラッシュ」は、シャアを演じる池田氏が技名を叫んでくれるという珍しい物となっている。
  • 2Pカラーは手足が赤で胴体が黒というカラーリングになっており、一見してジョニー・ライデン専用機を連想させる。

ジオング

  • シャアが最終決戦において使用した、腕を伸ばす事による遠隔攻撃が可能な足の無いMS。
    • 前作ではCPU専用のラスボスだったが、本作では中ボスに変更され、稼働から一定時間が経過する事で使用可能となった。
  • 通常技は腕を伸ばしているため、リーチの長い技が多い。一方でコマンド技については、腕を伸ばさず口や指からのビームを使った技が多い。
  • 足が無いMSではあるが、グラフィック上の区別が付かないだけで、しゃがみ自体は他のMSと同様にちゃんと出来る。 いつぞやの世紀末覇者とは違う。
    • ちなみに立ちガードとしゃがみガードでは、片腕で防御している位置が変わる。
+ 新規参戦のMS

ガンキャノン

  • ガンダムと共に開発された、キャノン砲が特徴的な連邦軍のMS。パイロットはカイ・シデン(CV:古川登志夫)。
    • 前作では原作を再現したオープニングにのみ登場していたが、本作ではプレイアブルに昇格。
    • ちなみに本作での古川登志夫氏はやたら気合が入っているように聞こえ、技の掛け声や悲鳴がとても大きい。
  • 原作ではビームライフルも所持していたが、本作では使用せず、キャノン砲と肉弾戦のみで戦う。キャノン砲は上段と下段に撃ち分けられるのでサガットのタイガーショット由来と推測されている。
  • 先のキャノンによる上下段の揺さぶりと、対空技の「エルボータックル」、そして大ジャンプからの対地攻撃である「グランドボム」を持つ。グランドボムによる仕様を利用した防御無効テクニックがかなり強烈である。

アッガイ

  • 何処か愛嬌を感じさせる水陸両用MS。パイロットはズゴックと同じく「SOLDIER2」。
    • 前作では連邦軍基地であるジャブロー内部ステージの背景に居たが、本作ではプレイアブルに昇格。さすがに『連ジ』程マスコット化はされていないが。
  • ボタン連打による射程が極端に短い「頭部バルカン」、溜めコマンドによる突進技「クローダウン」、同じく溜めコマンドによる対空技の「対空ローリングクロー」といった技構成は、何処かブランカを彷彿。対空ローリングクローのエフェクトは不知火幻庵を思わせる。
    • 何気にどの技も強力で、特にローリングクローの当たり方次第ではピヨリ確定による理論上の10割コンボに持ち込める。
  • 一方で天井にぶら下がる「パワークロー」は上昇時に無敵がある上にぶら下がった後に移動が可能で、押したボタンによって急降下攻撃の方向が変わるという、トリッキーな技である。

ギャン

  • 試作型白兵戦用MS。パイロットはマ・クベ(CV:塩沢兼人)。
  • フェンシングスタイルで戦い、盾からは飛び道具の「ペンシルミサイル」と、機雷の設置技である「ハイドボンブ」が使える。二段ジャンプ可能。
  • 対空技の「パワーレーザー」や、連続突きをしながら突進する「パワースラッシュ」は、技内容やエフェクトも含め、何処かシャルロットを思わせる。
  • シャアザクと双璧を成すぶっ壊れキャラ。飛び道具として最強なペンシルミサイルや各種強行動から、一芸特化のシャアザクと比べて総合力が頭抜けて高い。
    • 二段ジャンプから繰り出される対地のジャンプ突きと投げの二択がとにかく強く、一回攻めを通されるとかなり酷いハメを食らう。よって触らせないことが最大の対策となる。
  • 塩沢氏による技名シャウトや高笑いも合わさり、非常に楽しいキャラに仕上がっている。

ドルメル

  • 本作の看板MSと呼んでも差し支えない存在感を放つオリジナルMS。 型式番号はMS-19*5。パイロットはオリジナルキャラで女性のラムイコ・シュタイン
  • 極秘に開発されていた高性能MSであり、本作のラスボスを務める。ラスボスらしく性能は高めに設定されているが、他MSより一回り大きい当たり判定を持つ。
    • 全体的にベガっぽく作られており、特に 立ちポーズに関しては完全にベガのそれ である。 ラスボスだけにか。
  • 腕から放つ飛び道具の「マルチランチャー」、両腕を交差させ射程の短い飛び道具を放つ「メガスラッシュ」、突進技の「ヒートパイル」を持つ。
  • ジオングと同様、稼働から一定時間が経過する事で使用可能になる。

問題点

  • さらに露骨になった技パクリ
    • 前作も酷かったが、本作も現在目線で見るとかなり問題のあるパクり方をしており、元ネタ作品も拡大化してさらに傷が深くなっている。
    • 例を挙げるならば、グフのスライディング攻撃は姿勢や手の位置がダルシムのそれとほぼ一致していたり、アッガイのしゃがみ攻撃も姿勢に関してブランカの物と酷似していたりする。唯一他の格ゲーとの既視感を感じないのは特殊なMS過ぎるジオングくらいである。
      • ちなみにガンダムのビーム・ライフルは、前作では普通のビームだったが、本作では 明らかに銃口よりも大きい上に、ほぼまんま波動拳と同じ形のビームに書き換えられている 。シャアズゴックなどは普通のビームなのに。
  • 技の暴発や一部コマンドについて
    • 前作においては技が出し辛いという問題点があったが、本作は逆に技が暴発しやすいという問題点が生まれてしまった。
    • ガンダムで例えるならオーソドックスな飛び道具で波動拳コマンドの「ビームライフル」と、隙が大きく癖の強いヨガコマンドの「ガンダムハンマー」がある訳だが、後ろ方向への入力がちょっとあった後に波動拳コマンドを入れると「ガンダムハンマー」が暴発する事がよくある。普通の飛び道具を撃ちたかった筈だが隙の大きいハンマーが出てピンチ…なんて事も起きうる。
    • またシャア専用ザクの様に「ザクマシンガン」は波動拳コマンドだが、「スパイラルアタック」は波動拳コマンドの後に斜め上に入れるという、癖が強い上に被りのあるコマンドもある。
    • ついでにドムの「ジェットストリームアタック」に関してはコマンド入力が複雑ではあるが、技自体がその難しさに反して発生等の問題で死に技になっていたりもする。
  • CPUが超反応
    • この時代の格闘ゲームにおいてはある意味お約束とも言えるのだが、一人プレイで対戦するCPUは超反応気味。
    • 一戦目で戦うガンキャノンの時点で「エルボータックル」による正確な対空を決めてくるので、ガンダムが好きでコインを入れた格ゲー初心者がここで振るい落される事が多々ある。
    • 更にその後に続くシャア専用ズゴックも同じ様に超反応の対空を決めてくるし、その次のグフも「サンドワープ」による嫌らしい攻めを仕掛けてくる。無論ボスであるジオングやドルメルも超反応を感じさせる強さである。
  • タイムの減少が異様に早い
    • 別に攻撃力が高いわけではないのにもかかわらず、カウントの減りが『ストII』並に速く*6、実際の制限時間は50秒しかない。そのため気付いたらタイムアップ…なんて事もよくある。
  • 特に意味をなさない新要素
    • 前述したイージーコンソールについてだがあくまでレバーを何処に入力しているか分かる、 それだけである。 残像演出に関してもコンボなどが決まっている時にただ出るだけなので存在感は薄い。
      • イージーコンソールに関しては、人の試合をみてどの様なレバー入力をしているか?という観察が出来ないわけではない。
  • フレームレートが低い
    • 前作では一般的な格ゲーと同様に60fpsで動いていたが、本作では30fpsに低下してしまっている。まるで処理落ちが常時発生しているかのよう。
  • 地球連邦軍の機体が少ない
    • 前作のOPに登場していたガンキャノンが追加されたものの、同じ待遇だったガンタンクや、格闘ゲーム的には出しても良さそうなジムは追加されなかった。*7
      • 原作の時点でも連邦側の機体が少ない*8とはいうものの、だからこそ抜かさないでほしかったところ。ガンタンクは台詞で、ジムはシャアズゴッグのモーションを見るに存在が認知されていないということはない。
    • 前作に居たセイラ専用ガンダムはガンダムの2Pカラー化している。流石に捏造機体はまずいとなったためだろうが…。
    • 一方でジオン公国軍は完全網羅に近い状態*9のため、ジオンのMSで1人プレイを行うと ほぼ内乱状態になる 。例えばザク、ズゴッグ、アッガイのいずれかでプレイすると、SOLDIERがシャアやラル等の自軍エースだけでなく、ジオンの戦況打開のために導入されたドルメルまでも撃破する…が、 エンディングではジオンの英雄としてギレンから賞賛されるという奇妙な光景が起きる
  • 一部キャラのCVについて
    • SOLDIER達やオリジナルキャラであるラムイコは仕方ないとして、原作において強敵として印象深いラルやガイアまでスタッフが担当しているのは、キャラゲーとしてはややマイナスポイントとも言える。一応スタッフにしては上手いのだが…。

評価点

  • 格闘ゲームとしてシステム、演出共にパワーアップしている
    • 前作は同キャラ対戦不可だったために救済措置として水増しともいえるMSが多かったり、キャラボイスが無く地味、相殺の影響で試合がグダグダになりやすいという面があったが、それらが軒並み改善された。
      • 本作においては同キャラ対戦が可能になったことで性能が差別化されたMSが増えたり、キャラボイスや勝利画面といった演出の強化、システムも相殺が無くなり使用ボタンや技の増加、ダッシュや投げの追加で格ゲーらしい面が増え、対戦格闘ゲームとしてそれなりに遊べる出来へと進化した。
    • 本作が先駆け的に搭載されているシステムもいくつか存在する。
  • ドット絵のグラフィックのクオリティは高い
    • 別の格ゲーで見たことある様なモーションは見られるものの、各モーションはダイナミックで見栄えはなかなかに良い。
    • 新規参戦MSや大幅に書き直されたドムは勿論、前作から続投したMSも新規モーションや細部の描き直しが行われているケースが多く、スタッフの気合が感じられる。
      • 一見、原作無視や既視感のある技が多い様にも思われるが、ガンダムの投げ技やガンキャノンの下段砲撃、シャア専用ズゴックの突進技突き等、原作の再現が行われている技もないわけではない。
      • また原作のワンシーンを技として取り込むという点においては後のVS.シリーズに通じる物がある。
    • なお効果音などは概ねアニメと同じものを使っており、戦闘BGMにおいても原作のBGMや「シャアが来る」をアレンジした物が多く使われている。
      • ちなみに前作ではアニメの映像を再現したOPに使われていた主題歌「翔べ!ガンダム」はコイン投入後のタイトル画面で使用されている。
  • ガンダムの皮を被った格闘ゲーム異種格闘技戦という楽しみ方
    • パクリ自体は問題だったが、当時は互いにしのぎを削っていただけにコラボなど夢のまた夢だった格闘ゲーム業界において、本作は(意図せずではあるが)格闘ゲーム同士の夢のコラボを実現させた形となっている。
    • 一部壊れ機体はいるが、やりこみ次第でどの機体も十分やれる能力は有しており、当時の対戦ゲームとしては対戦バランスは盛り上がれるレベルの調整なのも好感が持てる。
  • オリジナルMS「ドルメル」
    • 原作アニメにおいてもメカニックデザインを務めた大河原邦男氏によるデザインが行われた本機は、その重厚なデザインやパイロットのラムイコも含めて、現在においてもコアなファンが多い。
      • 「一年戦争のMSらしくない」との意見もあったが、後の外伝漫画やゲームで様々なオリジナルMSが追加された現在においては、その違和感も薄れていると言える。
    • 唯一の欠点はラスボスという設定のためかやたら大きくされた当たり判定。ガンダムとほぼ同じ機体全長*10なのに明らかにガンダムより一回り大きい。

総評

「格ゲーブームに便乗して作られた一作」と言ってしまえばそれまでの作品であるかもしれないが、前作よりも格ゲーらしさが増し、それなりに遊べる作品となった。
既視感に溢れるモーションはあれど不思議な魅力を備えており、コアなファンが存在しているのは確かである。
また本作が生み出したMS「ドルメル」も根強い人気があり、現在も立体化などの声が止むことがない。
なお、都内の有名ゲームセンターでは不定期ながら大会も開催され続けている*11。もしもガンダムが好きで格ゲーも嗜んでいるのであれば遊んでみる価値はあるかもしれない。


余談

  • 本作に登場したドルメルであるが、開発元などの権利関係からかコアな機体まで網羅している『SDガンダム Gジェネレーションシリーズ』等にも登場せず、立体化などに恵まれずにいるが、漫画雑誌『ガンダムエース』で連載されていた漫画『機動戦士ガンダム カタナ』に登場しており、更に改良機である「ドルメル・ドゥーエ」も登場している。
    • そして2023年5月に『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』にてついにドルメルが参戦した
      武装や攻撃モーションも本作のものが再現されている。
      配信当初は『機動戦士ガンダム カタナ』名義での参戦となっていたが大元のオリジナルはこちらが先であり、他のガンダムゲームにおいて念願の初参戦を果たす事となった。令和の時代に3Dで復活したドルメルは一見の価値がある事だろう。
      なお、実装当日に後日『EX REVUE』名義に変更されることがアナウンスされた。
    • また、同日にはAC版『マジンガーZ』が漫画・アニメ版権作品として初めてのアーケードアーカイブスでの配信が開始されており、本作の開発元・アルュメの権利に関してもアーケードアーカイブスの販売元であるハムスターが所有している事もあり、本作の移植への期待も高まっている。ドルメルは前述のバトルオペレーション2に参戦した事から権利関係がいくらかクリアになった物と推測されるため、今後は他のガンダムゲームへの出演も夢ではないのかもしれない。
  • 特定条件を満たすとスタッフロール後にΖガンダムのシルエットが登場する。続編の計画もあったと思われるがこちらに関しては結局出る事はなかった。
    • Wikipediaに書かれた情報によると、本作の続編としてサンライズロボットアニメの格闘ゲームの構想があり、そのラスボス機体「ガーシュイン」のデザインが大河原氏に発注されていたらしい。
  • 本作は起動時に特定の操作を行うとデバッグモードを起動することが出来る。体力やタイムを減らさない設定にして対戦を行う事が可能なので疑似的なトレーニングモードとしても使用可能である。
  • 某ゲームセンターでは本ゲームの大会が不定期に開催されており、うち一人の大会プレイヤーが本作の同人誌として攻略本を作成、同店で販売している。
    • ちなみに一冊では情報が収まらなかったため、なんと2巻構成である。中身は流石にガチプレイヤーということもあってかなり濃い内容で、本作の当たり判定等や仕様について等にも細かく触れている。
  • 模型誌「電撃ホビーマガジン」を継いだWebサイト「電撃ホビーウェブ」では度々ガンダムシリーズの食玩立体モデル「Gフレーム」のレビューが行われているが、何故かドムを始めとした一年戦争のMSが本作を意識したポーズで撮影されたものがチラホラ見られる*12。この事はネタが通じる一部ファンの間では話題になった。

最終更新:2024年09月28日 17:53

*1 セイラが搭乗する赤いガンダムと、前ダッシュが可能なシャア専用の3機で、グフとドムのみ同キャラ戦が不可能だった。

*2 ガンダムとガンキャノンは大破、シャア専用機は中破。

*3 顔つきや「敵を倒すのは速ければ速いほどいいってね。」という勝利セリフから、どう考えてもジーンである。

*4 おそらく音声ライブラリの流用と思われるが、編集ミスかそれ以外の理由かは定かではない。

*5 因みに同じ形式番号のMS-19の機体はガンダム漫画作品『アウターガンダム』と『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』にも登場する。当然ドルメルと全く姿が違うが。

*6 「99」から始まり、1秒あたり2カウントずつ減っていく

*7 msvシリーズになってしまうが明確なパイロットが存在しており原作の描写からも格ゲー向きなパーフェクトガンダムも出れなかった

*8 上記の2体の他に出ていないのはボールのみ。

*9 旧型ザク、ゴッグ、ゾック(+リック・ドム)以外は全て参戦している。

*10 設定では全高17.9m。18mのガンダムと僅かな差でしかない。

*11 YouTubeでアーカイブ映像を観ることも可能。

*12 ドムの記事には、両手で剣を高く振りかざした「弧月斬」や、片手を背中の剣の柄に添えた「服部半蔵のニュートラルポーズ」などの姿勢を取らせた写真が掲載されている。アニメ作品しか知らない人には意味不明なポージングだが、本作プレイヤーなら気づくものである。