北斗の拳6 激闘伝承拳 覇王への道
【ほくとのけんしっくす げきとうでんしょうけん はおうへのみち】
| ジャンル | 格闘アクションゲーム |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 12MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | 東映動画 | 
| 開発元 | ショウエイシステム オフィス恒環
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| 発売日 | 1992年11月20日 | 
| 定価 | 8,900円(税抜) | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 世紀末クソゲー伝説6作目 原作再現だけは良好
 シンもトキもいないのになぜかいるハート様と黒夜叉
 「しゃがみてぇ!」byラオウ(とハート様)
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| 北斗の拳シリーズ | 
 
概要
人気漫画&アニメ『北斗の拳』を題材にした一作で、ナンバリングタイトルとしては6作目。
当時の格ゲーブームに便乗し、前作までのRPGから格闘アクションゲームへとジャンル変更されている。
システム
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十字キー左右で移動及びガード、下でしゃがみ、上でジャンプ。基本操作は一般的な格闘ゲームと共通。
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Yボタンでパンチ、Bボタンでキック、Xボタンで対空攻撃、Rボタンで特殊技、Lボタンで奥義。
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特殊技は、ボタンを押してすぐ発動するものと、一定時間押しっぱなしから離すことで発動するものがある。後者は、溜めている間ガードができなくなる。
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奥義は、奥義ゲージを消費して発動する、ガード不能の必殺技。自分の攻撃を当てるか相手の攻撃をガードするかでゲージが溜まり(攻撃を食らうと減少)、1ゲージ以上溜まるとキャラがオーラをまとい、奥義が使用可能になる。最大2ゲージまで溜まり、2ゲージ消費するとより強力な奥義を繰り出せる。
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一般的な格ゲーのような、コマンドを入力して発動する必殺技はない。
 
 
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プレイヤーは、ケンシロウ、ハート、レイ、サウザー、ラオウ、ファルコ、黒夜叉、カイオウの8人の中から使用キャラクターを選び、残る7人を原作に沿った順に撃破してクリアを目指す。同キャラ対戦は無い。
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原作の設定を反映して、一部キャラの技が、特定キャラに対して無効となっている。
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制限時間、ラウンド制の概念は無く、どちらかが1本取った時点でそのステージは終了となる。
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ゲームレベルとコンテニュー回数は設定が可能。ノーコンテニューでクリアすると最後に隠しボスが出現する。
登場キャラクター
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ケンシロウ
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言わずと知れた北斗神拳伝承者、世紀末救世主。特殊技は百裂拳、奥義1は天破活殺、奥義2は無想転生。ステージは廃墟の街。
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標準的な性能だが、それ故ストレートに強い。特に百裂拳のゲージ溜め性能が異常に高く、これでゲージを上げ、一定時間完全無敵・ガード不可の無想転生で殴り続けるのが基本戦法となる。
 
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ハート
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原作における最初の強敵、拳法殺しのハート様。特殊技はチョップ、奥義はハート怒号撃。奥義1と2は威力が違う同じ技。ステージはサザンクロス宮殿。
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通常技の攻撃判定が大きく、意外に俊敏。技のバリエーションは狭い。しゃがめないので下段攻撃がない。
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原作通り、ケンシロウの立ちパンチが効かない。その際に拳が腹にめり込む専用グラフィックが用意されている。
 
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レイ
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ケンの盟友である南斗水鳥拳伝承者。前方移動がダッシュ、後方移動がバク宙となっている。特殊技は真空波、奥義1は南斗虎破龍、奥義2は朱雀展翔(TVアニメ版オリジナル奥義)。ステージは牙の谷。
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ジャンプ一回で画面端から画面端まで到着する、異常なほどスピーディな動きが特徴。かわりに攻撃判定がやや小さめでリーチも短い。
 
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サウザー
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南斗最強の聖帝、南斗鳳凰拳伝承者。体力満タン時は通常技でダメージを与えられない。特殊技は見えない踏み込み、奥義1は極星十字拳、奥義2は天翔十字鳳。ステージは聖帝十字陵。
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奥義の攻撃力が低めで、性能にもこれといった強みはない。しかし、いちど特殊技や奥義を当てない限りずっと無敵状態のため、立ち回り次第ではいやらしいキャラとなる。
 
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ラオウ
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北斗の長兄、拳王こと世紀末覇者。特殊技は闘気弾、奥義1は北斗剛掌波、奥義2は天将奔烈。ステージは北斗練気闘座。
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長身で通常技の攻撃判定が大きく、発生速度も非常に速い。基本スペックは間違いなく最強。しゃがめないので下段攻撃がなく、説明書に
「拳王は膝をつかないのでしゃがみ攻撃はありません」
と記されている。
そういう意味じゃねえ。
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レイの朱雀展翔が効かない。原作で断己相殺拳が無効だったかわりか。
 
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ファルコ
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帝都を守護する元斗皇拳伝承者。特殊技は滅殺弾、奥義1は元斗白華弾、奥義2は衝の輪。ステージは夜の帝都。
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ケンと同じく標準的な性能で、ジャンプ攻撃と滅殺弾の判定がかなり強い。地上で立ったままキックを連打すると、原作でケンを追い詰めた多彩な片足蹴り(連射キック)が出る。
 
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黒夜叉
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修羅の国のケンシロウの従者。特殊技はバク宙、奥義1は北斗遊撃爪、奥義2は遊昇凄舞。ステージは羅聖殿。
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小柄なため当たり判定が非常に小さい一方、リーチが短く攻撃力も低い。特に遊昇凄舞は、ほぼ回避不能なかわりに、威力が通常技よりちょっと強い程度。
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原作通り、カイオウの暗琉天破が効かない。
でも役に立つかと言われると。
 
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カイオウ
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ラオウの実兄、修羅の国を支配する北斗琉拳伝承者。特殊技は魔闘気弾、奥義1は凄妙弾烈、奥義2は暗琉天破。ステージは女人像の間。
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スピードが最も遅く基本スペックが低いかわり、暗琉天破が即死技となっている。判定消失バグでカス当たりしない限り、100%相手はしぬ。
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原作通り、ケンの無想転生が効かない。なので百裂拳→無想転生のケン基本戦法が通用しない。
天破活殺の出番だ。
 
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ラスボス
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ダークケンシロウ。北斗琉拳伝承者の無念の集合体で、ノーコンテニューでCPU戦をクリアすると登場し、カイオウステージで対戦する。NPC。
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キャラ性能はケンシロウと全く同じだが、攻撃力とゲージ溜め速度が高くなっており、あっという間に無想転生を繰り出してくる。
 
評価点
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グラフィック、BGMが良い。
特に背景は当時のSFCとしてはかなりの高水準にあり、原作でお馴染みの名所の数々が緻密に描かれ、余すところなく北斗ワールドを再現している。
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全体の動きがなめらかかつスピーディで、
キャラ全員がちゃんと差別化されている上、原作のイメージ通りに動く。
キャラゲーとして一番外せないポイントであるが、これができているゲームはなかなか無い。
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演出がカッコいい。
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CPU戦の試合前のVS画面では、二人のキャラが黒画面をバックにジャンプ攻撃を交錯させ、対戦相手の名前と一緒にキャッチコピーが流れる。原作の飛衛拳vs獄屠拳の名シーンを彷彿とさせ、否が応にも期待が高まる。
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この時自キャラか相手がケンシロウだと、上着が破裂して裸になるおなじみの演出も加わる。
 
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奥義が発動すると一瞬ゲームが止まり、画面がフラッシュする。ヒットするとまた一瞬ゲームが止まり、奥義名が一文字ずつ素早く表示された後、相手はダウンする。これらはTVアニメ版を意識しての演出と思われるが、ヒットストップや後の暗転を彷彿とさせる演出は、当時の格ゲーとしては非常に斬新だった。
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ちなみに奥義が無効になった場合は、ヒットストップのまま「そのような技はきかぬ!」と表示され、ノーダメージで終わる。
 
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全員、奥義を食らうか敗北以外ではダウンしない。おかげで蹴飛ばしても簡単には倒れない強者感に溢れている。ラオウに至っては奥義を食らってすらダウンせず、敗北時は一片の悔いなしポーズで石化する。
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CPU戦の試合開始前と勝利・敗北後に、敵のセリフが流れる。全キャラ分の8×7×3=168パターン+ラスボス3パターンと多彩で、原作の名台詞を引用したものが多く、非常に印象的。
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またCPU戦のエンディングでは、倒した強敵(とも)がひとりずつ言葉を贈ってくれる。体力をどれだけ残して勝ったかで台詞が3パターンあり、圧勝だと絶賛、辛勝だと負けたくせにやたら辛辣なコメントになる。
 
 
問題点
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キャラのチョイスに疑問が残る。容量的に選別する必要があったのはわかるが、シンやトキ、シュウやヒョウを差し置いて、なぜハートと黒夜叉。
特に黒夜叉。
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原作でさほど重要でも人気でもなかった黒夜叉を、ショウエイシステムがこれでもかと推し続けていた理由は、今もって謎である。
 
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システムもゲームバランスも劣悪。対戦ツールとして使い物にならない。
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敵の攻撃をガードしても、ガード音もガードエフェクトも無い。そのため、ガードが成功しているのかわかりにくい。
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ジャンプが非常に速く、そして高い。そのためジャンプ攻撃が戦法の軸になり、バッタみたく飛び回りつつ隙を見て特殊技を撃ち、ゲージが溜まれば奥義をぶっぱなすだけの、雑な闘いになりがち。キャラの差別化が大して意味をなしていない。
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投げ技も削りダメージもない。そのため、画面端でガードを固められると、それだけで攻略が難しくなってしまう。制限時間がないために、永遠にカメになることすら可能。
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一応、しゃがみ攻撃がガード不能な仕様(正確にはしゃがみガードが存在しない)になっており、絶対に崩せないことはない。しかしそのために、しゃがめないラオウとハートは、事実上の最弱キャラとなってしまっている。
 
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評価点の節で「キャラが原作イメージ通りに動く」と書いたが、原作通りに動かすために、格ゲーとしてのバランスを意図的に放棄したようにも見受けられる。
 
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ただ、本作がリリースされた1992年は、格闘ゲーム黎明期。業界全体に格ゲー制作のノウハウがない手探り状態で、まだコンボの概念すら確立されていなかった。
 そんな時代背景を踏まえた上で、一年後にリリースされた次回作と比べると、むしろ
あの東映動画が「魅力はあるが劣悪」で済む程度の作品を出してきたことは瞠目に値する。
総評
原作の雰囲気がうまく再現されており、グラフィックやBGM、演出も悪くない。しかしゲームとして面白いかと言われると、残念ながら、クソゲーと言わざるを得ない。
ただし
東映動画の北斗ゲーの中では傑作といっていい。
雰囲気ゲーとして一人で遊ぶならこれはこれで、かもしれない。
最終更新:2024年01月28日 10:58