おーちゃんのお絵かきロジック (WS)

【おーちゃんのおえかきろじっく】

ジャンル パズル
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 ワンダースワン
発売元 サンソフト
開発元 サンタクロース
発売日 2000年1月6日
定価 3,990円(税抜)
プレイ人数 1人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント へべれけ』シリーズとお絵描きロジックのコラボ5作目
ストーリーモードあり
伊達ではない上級問題の難易度
ピクロスシリーズ


概要

世界文化社監修の元に発売されたゲーム機でのお絵描きロジックであり、サンソフト製のお絵描きロジックとしては5作目に当たる。
カラー問題を収録した『おーちゃんのお絵かきロジック2 カラーもありますわ』、世界文化社直々にニンテンドウパワーで配信されたお絵描きロジック2作を経てユーザビリティ等に調整が入っており、前作までで不評だった要素の改善やストーリーモードの導入などの新要素が加えられている。
しかし難易度調整を誤ったのか、個性豊かなキャラクターとは裏腹に、完全クリアには高度なテクニックの多用が必要な上級者向けのお絵描きロジックとなってしまった。

収録モード

  • おえかきロジックであそびますわ!
    • 4段階の難易度で分けられた全300問の問題を解くモード。サイズは5×5から始まり、25×15が最大サイズの問題となっている。
      • おーちゃんのお絵かきロジック (SFC)』での画面スクロールは削除されており、全ての問題が画面内に収まっている。余白の部分には『へべれけ』キャラクター達のイラスト、初心者向けの5×5の問題ではそれに加えて各ボタンの役割を表示している。
      • 15×15までの問題のサイズは正方形、それ以上の問題の縦サイズは15マスで固定されている。
  • 問題数内訳
    難易度\サイズ 5 10 15 20 25 合計
    初級 9 25 26 14 15 89問
    中級 - 8 48 15 19 90問
    上級 - - 29 18 23 70問
    超上級 - - 5 20 26 51問
    合計 9 33 108 67 83 300問
    問題サイズ自体は初級からいきなり最大サイズの25×15が顔を見せているが、確定マスを導く手順自体は基本さえマスターしていればそこまで難しくはない。
    むしろ小さいサイズの問題を難しくしようとすると初期状態で導ける確定マスが極端に少なくなり、しらみ潰しで総当たりする複雑な仮定法を使わざるを得ないため、初級の25×15より超上級の15×15の方が難しくなっている。
  • ストーリーモードをあそびますわ!
    • おーちゃんが『へべれけ』シリーズのキャラクターが出してくる問題を解くモード。
      • 対戦相手1人につき15×15のサイズの問題が9分割されており、それらを好きな順番で解いていき、45×45サイズのイラストを完成させていく。
      • このモードでは1問につき30分の制限時間があり、後述するオプション機能の「ひんとだよ」が使えない。
    • 対戦相手は以下のとおり。
      + 対戦順 隠しキャラは白塗り へべ、すけざえもん、ぢぇにふぁー、ぼーぼーどり、ぺんちゃん、うつーじん、うにょーん、(???(へべ)
  • おえかきロジックってなんですの?
    • お絵描きロジックの「基本中の基本」となるルールを(全自動で進行しながら)説明するモード。
      • 本当に「基本中の基本」しか教えてくれず、ガイド役のおーちゃんもシメに「これでみなさんもおえかきロジックマスターですわ!」と言ってくるのだが、これだけでは上級以上の問題はまず解けないどころかストーリーモードのクリアも厳しい。詳細は後述の問題点にて。

プレイ中の操作及びメニューの詳細

  • 基本操作
    • Aボタンでマスを黒塗り、Bボタンで×マークをつける。本体左上にあるYボタンで仮置きすることもできる。
      • ABYボタンに対応した役割が最優先される仕様は『おーちゃんのお絵かきロジック (SFC)』と同じだが、マスが対応した役割と同じ状態の場合は消しゴムアイコンになり、ボタンを離すまで他のマスも消せるようになる。
  • メニュー
    • めもですわ
      • 現在の盤面の状態を「一時的に」記憶する。一見何のためにあるのか疑問に思うかもしれないが、実は難問を解く際にはほぼ必須の機能とも言える。詳細は後述の賛否両論点にて。
    • ひんとだよ
      • 指定したマスが黒塗りマスか×マスかを教えてくれる。ただし、ペナルティとしてクリアタイムが記録されなくなる。使用回数に制限はないが、ストーリーモードでは制限時間との兼ね合いもあってか例外的に使えない。
    • やりなおし
      • 現在の盤面を白紙に戻す。経過時間はリセットされない。
    • せーぶする
      • 現在の盤面の状態を「恒久的に」記録する。記録した状態は難易度選択画面で「とちゅうから」を選ぶと続きから再開できる。ただし、ストーリーモードでは記録できない。詳細は後述の賛否両論点にて。
    • おしまいよ
      • いわゆるギブアップ。これまでのプレイデータをセーブするか決めてから問題選択画面に戻る。
    • おぷしょん
      • BGMの変更などの細かい設定を行う。
        + おぷしょんの詳細
      • せんきょく
        • BGMを6種類+無音の7種類から選曲する。
      • こうかおん
        • プレイ中に鳴らす効果音を設定する。
          • 効果音の種類は普通のSE、無音、おーちゃんのボイスの3種類から選べる。
          • おーちゃんのボイスはほぼネタ要素な物だが、塗り間違いによるペナルティはないので一度は選んで遊んでみるのもまた一興。
      • ひんとまーかー
        • 現時点で矛盾していないヒント数字を強調する機能。
          • あくまで「今の盤面の状態で矛盾していないかどうか」だけを判断しているので、必ずしも黒マスに対応するヒント数字が正答であるとは限らない点に注意。
          • また、該当するヒント数字の値より小さい長さの黒マスの塊は認識してくれない。*1

評価点

  • 完成したイラストの全体像を(モノクロとはいえ)完成時に鑑賞できるようになった。
    • そもそも『マリオのピクロス』の時点で実現できていたのだから当たり前のように思えるが、『おーちゃんのお絵かきロジック (SFC)』ではそれができていなかっただけにありがたい。
      • とはいえ、問題選択画面でイラストを見返せないのは相変わらず。
  • 各種ユーザビリティの改善。
    • 具体的には、画面スクロールの廃止、同じ役割のボタンでのマスの状態の相殺、過去作で画面左下に立っていたおーちゃんが画面左上に移動している、など。
      • 特におーちゃんのしぐさは見ているだけで可愛らしい。ストーリーモードではタイムオーバーが近づくと焦ったり、タイムオーバーすると背中を向けてしょんぼりする、などといった意外な一面も。

賛否両論点

  • 全てのデータを初期化できるようになった。
    • とは言っても300問分のクリアデータをまとめて初期化する意味はほとんどなく、ストーリーモードを最初からやり直すぐらいしか存在意義がない。
      • 「とちゅうから」のデータはストーリーモードで「せーぶする」を選ぶとデータが消える。見方を変えればストーリーモードでは解きかけの問題の状態を記録できないということでもあり、不評となり得る。
  • 「めもですわ」の使い道。
    • この機能は『マリオのスーパーピクロス』の「?スタート」とほぼ同等の役割を担っている。つまり、背理法で矛盾を導くのに使う役目こそがこの機能の真価である。
      • しかし、この使い道はゲーム内では全く説明されない。それどころかそもそも背理法自体説明されない。この機能の真価にいかに早く気づけるか、背理法というテクニックを理解できるかが初心者脱却への第一歩と言えよう。
  • 完成時のイラストがモノクロ。
    • これはワンダースワンの仕様上仕方がないのだが、スーパーファミコンでのお絵描きロジックの完成時のイラストがカラーばかりだったのを考えると寂しく感じる。
      • それでも白黒2色ではなくコントラストがある分『マリオのピクロス』や『ピクロス2』よりはまだいい方。
      • ちなみに今作発売の約1年後にカラー対応のワンダースワンカラーが発売されている。もし今作がカラーで発売されていたらと思うと非常に惜しい。

問題点

  • オートセーブ機能がない。
    • 問題を解くたびにセーブするか聞いてくるのだが、隠しキャラがいるストーリーモードはともかく普通の問題ぐらいはオートセーブでもよかったのではなかろうか。
      • 難問を苦労して解いてセーブしないまま電池切れなどになった日には泣くに泣けない。
      • ちなみにクリアタイムの記録は常に最短の記録が優先される。しかし記録を更新できなくてもセーブするか聞いてくる。ますますオートセーブ不採用の理由がわからない。
  • 塗り間違いの自動修正やヒントルーレットがない。
    • 今作は特に上級以上の難易度の問題が難問揃いで、初心者どころかベテランプレイヤーでも苦戦するほど。
      • 特に超上級の問題は確定マスが恐ろしいほど少なく、高度な背理法を使ってやっと解けるぐらいの難易度。
      • ストーリーモードでは制限時間があるのだから、『マリオのスーパーピクロス』のようにペナルティ付きで塗り間違いの自動修正があってもよかったのではなかろうか。
      • 頼みの綱の「ひんとだよ」もクリアタイムが記録されない悔しさが残り、ストーリーモードでは前述のとおり使用不可。
  • 簡単な問題と難しい問題との落差。
    • 初級の問題程度なら初心者でも完全クリアは難しくないのだが、上級以上ともなると複雑な背理法が必要になってくる。
      • そんなときこそ「めもですわ」が役に立つのだが、運悪く矛盾しない仮置きをしてしまって背理法が入れ子になったり、仮置きしても手掛かりが途絶えてしまう可能性もある。
      • ベテランプレイヤーでさえ30分以上費やしてようやく完成まで到達する問題があるほど。お絵描きロジックに慣れていないプレイヤーにとっては敷居がかなり高い。
    • ストーリーモードも終盤を迎える頃には上級、超上級クラスの問題が出てくる。「めもですわ」の使い道がわかっていないとスタッフロールを見るのはほぼ不可能。
  • ストーリーモードの展開
    + ネタバレ注意
  • ストーリーモードはうにょーんに勝った時点で一区切りとなる展開なのだが、その後に出てくる自称隠しキャラに勝つことでスタッフロールが流れる。
    • 問題はその隠しキャラに勝った後の展開である。隠しキャラに勝つことでおーちゃんがその正体に気づくようなセリフを言うのだが、そこでエンディングという尻切れトンボな展開となる。
    • 隠しキャラの正体自体は口調などから「へべ」であることが察せるのだが、せめて正体に気づいた後にもう一勝負して決着をつけてほしかったところ。
  • チュートリアルの説明不足。
    • 今作では高度な背理法を必要とする問題が上級問題の途中辺りから出てくるのだが、前述のとおりそういった高度なテクニックは一切教えてくれない。
    • そもそも5×5のサイズの例題を解いただけでお絵描きロジックマスター扱いとする時点で身の程知らずもいいとこである。
      ……というより、チュートリアルの内容が『おーちゃんのお絵かきロジック (SFC)』のほぼ使い回しという時点で教える気が感じられない。
    • 仮に高度なテクニックのチュートリアルを入れるだけの余裕がなかったとしても、それならば高度なテクニックが必要な問題を極力入れなければいいだけの話である。その辺は監修元である世界文化社の監督不行き届きとも言える。
  • ストーリーモードの作品名が不明のまま。
    • ストーリーモードでは9分割された問題を好きな順番で解けるため、どの問題を解いても作品名は「???」で固定。
    • しかし、9問全部解いて完成したイラストの作品名は不明のままストーリーが進行していく。特に『へべれけ』シリーズに馴染みのないプレイヤーにとってはよくわからないまま次の問題を解かされるのですっきりしない。
  • 問題作成機能と対戦モードのオミット。
    • 対戦モードはハードの性能を考えると仕方ないかもしれないが、通信機能で自作した問題を共有したりできないのは残念。
  • ボイスがおーちゃんのボイスしか収録されていない。
    • 容量の都合もあったのだろうが、ストーリーモードがあるのだから対戦前後に何かボイスを入れてほしかったところ。
      • 問題クリア時の「完成よ!」「新記録!」はともかく、マスの状態を変更する際の効果音の1パターンとして「ぬりぬり」「チェック!」「消し消し」を採用するあたり、サンソフトのスタッフの力の入れ様は謎が多い。
  • 一度300問完全クリアすると1問解くたびに流れるスタッフロール。
    • 一度解いた問題に再チャレンジしたいプレイヤーにとってはスキップできないだけに厄介者であるほか、そもそもスタッフロール自体何度も見たいかと言われると……。
    • ストーリーモードクリア後に「つづきから」を選んでも小芝居の後にスタッフロールが流れる。

総評

サンソフトにとっては『おーちゃんのお絵かきロジック2 カラーもありますわ』から約3年ぶりに発売できたお絵描きロジック。
カラー問題こそ収録できなかったものの、前作までの問題点を可能な限り解消し、ストーリーモードという新たな試みに足を踏み入れたが、最初から解ける300問の問題は後半になるにつれて難易度が上がっていき、ゲーム内のチュートリアルだけでは完全クリアは到底難しい、経験者かつ上級者向けのロジックパズルとなってしまった。
ニンテンドウパワーで『ピクロスNPシリーズ』配信真っただ中、今作発売約2か月後にライバルハードであるゲームボーイでも『マリオのピクロス』『ピクロス2』配信開始、と逆風にさらされており、結局マイナーゲームの域からは出られなかった。
しかしユーザビリティは概ね良好で、『マリオのスーパーピクロス』のキャッチコピーを借りるなら「かなり手強い300問+α」とも言える。
当時の任天堂のピクロスと比較するならば「『ピクロス2』でも物足りない人向け」と言えよう。


余談

  • 本作と同名のソフトがプレイステーション、セガサターン、スーパーファミコンの3機種でも発売されており、概要で書いたとおり本作は5作目に当たる。
  • 携帯ゲーム機での本家お絵描きロジックは今作が第1作目だったが、携帯ゲーム機での本家お絵描きロジックの新作は約7年後(2006年末)の『DSパズラー ナンプレファン&お絵かきロジック』まで待つこととなった。
    • また、サンソフト製のお絵描きロジックは今作発売から約1年後の『Value1500 おーちゃんのお絵かきロジック3』を最後に途絶えている。
最終更新:2024年03月09日 10:50

*1 例えばヒント数字が3の列に黒マスの塊が2マス以下しか塗られていない場合は認識しない