ここでは『マリオのピクロス』と、同機種で発売された続々編『ピクロス2』について紹介する。判定はともに「良作」。
マリオのピクロス
【まりおのぴくろす】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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任天堂
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開発元
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エイプ ジュピター
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発売日
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1995年3月14日
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定価
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3,900円(税別)
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2011年9月11日/411円(税8%込)
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/1,000円/F×2・B×1
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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じっくり考える「オトナのパズル。」 初代でありながら基本部分はほぼ完璧
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マリオシリーズ
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ピクロスシリーズ
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概要
今なお任天堂プラットフォームを中心にロングランヒットを飛ばし続けるピクロスシリーズの第一作。
雑誌に掲載されている「お絵かきロジック」をゲームに落とし込んだ作品である。
パッケージには「オトナのパズル。」と記載。
じっくり数字を見て考えれば解けるシンプルなゲーム内容、問題を解いた時の快感から多くのユーザーに支持され、シリーズを確立させた。
ちなみに『ピクロス』は『ピクチャークロスワード』の略称であり、任天堂の登録商標である。
特徴
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基本ルール
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基本的な「お絵かきロジック」のルールに準じている。
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今作では5×5~15×15マスの方眼紙のような石版が用意されており、タテ・ヨコに書かれているヒント数字の数だけ石版を1マスごと削り、絵を完成させる。
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ヒント数字は「5」のように一つだけの事もあれば、「3 1」のように1列に複数ある事も。
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前者の場合は連続で5つ削れるマスが、後者の場合は連続で3つ削れるマスと間を開けて1つ削れるマスが存在するという意味。
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石版が小さい間は簡単なのだが、15×15のサイズともなると小さいヒントでは確実に削れる部分が少なくなる。
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様々な色に分かれている市販のお絵かきロジック雑誌と異なり、マスは掘った黒マス・そのままの白マスの2種類しか存在しない。
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ゲームボーイが白黒故に仕方ないのだが、それ故にシンプルなルールとなった。
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削ってはいけないマスを削ると残り時間が減少。最初は2分だが、ミスする毎に減少量が大きくなる。制限時間として用意されているリアル30分から差し引きされて行き、0になるとゲームオーバー。
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一度もミスが無くても30分経過するともちろんゲームオーバー。
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削ってはいけないマスには「×」を付ける事が可能。×の付いたマスはうっかり削る心配が無くなる。
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ヒントを元に確実に削れるマスを徐々に削り、塗ってはいけないマスに×を付け、少しずつ詰めて行く事でようやく絵が完成する。
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ゲームモードは「あそびかた」「やさしいピクロス」「ピクロス」の三種類。
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あそびかた:削り方とヒントの説明。最低限の説明のみだが、ほぼそのまま『ピクロス2』にも流用された。
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やさしいピクロス 小さい盤面の簡単な問題のみを遊ぶモード。これだけでも64問が出題されている。
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ピクロス 15×15の本格的なピクロス。「キノココース」だけでも64問。
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全てクリアすると「スターコース」、更にスターコースをクリアすると「タイムトライアル」が解放。
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「タイムトライアル」は回答までの時間を競うモード。問題は全64問からランダムに出題され、間違ったマスを塗ってもタイムは減らないが、間違いは知らされない。後のシリーズで「ワリオのピクロス」と呼ばれるゲームモードに昇格された。
評価点
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最初の作品でありながら基本部分はほぼ完成済み。後のシリーズのベースとなった。
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紙面などで解くのに煩わしさが伴う「お絵かきロジック」をコンピューターゲームに昇華させ、大幅に遊びやすくした。
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お絵かきロジックは、「マスを塗りつぶす」という面倒な作業が必要で筆記具の消耗も激しいため、コンピューターゲーム化する意義は大きい。
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ピクロスだけの特徴ではないが、本作はその操作性やビジュアル、UIなどにおいて他社の既存ソフトとは一線を画しているので特筆する。
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また、携帯機なので場所を選ばず手軽に遊べるのも大きい。
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問題数も64問×4モードで256問と圧倒的。
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難易度もはっきりと分けられており、初心者から熟練者まで満足できる。難しい問題を解いたときの達成感も十分。
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それでいて問題は白黒ドットにもかかわらず分かり易い絵が揃っており、完成が近付くにつれて予測も行え、納得も行く内容。
問題点
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操作性がやや悪い。
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カーソルの動きが固く、引っ掛かるような感じで、思うようにマスを選択できないことがある。
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チュートリアルが最低限すぎて「確定しているマスから塗る」という基本中の基本が教えられていない。
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最初に塗る順番を見ていると何処と無く分かる内容ではあるが、説明は無い。
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クリアした問題の絵柄を選択画面から確認できない。クリア問題にはチェックマークが付くのみ。
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タイムトライアルは自由に問題を選択できない。一度クリアした問題が何度も出る事も。
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それでいてタイムランキングは問題別に記録されないため、タイム狙いの場合はいかに楽に終わる問題が選ばれるかという運ゲー要素も出てしまっている。
総評
1作目でありながら基本的な要素はほぼ揃っており、高い完成度を窺える作品。
大ボリュームの問題数と難問を解いた際の快感は病み付きとなり高い中毒性を秘めている。
若干不便な点もあるものの、それらを帳消しにして余りある傑作と呼べるだろう。
余談
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ジュピターが設立して初のソフトがこのピクロスシリーズで、当初はジュピター側から任天堂への持ち込み企画だった。
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その後ピクロス(ナンクロ)と呼ばれるパズルとして有名になったものの、ジュピターは「自分たちのオリジナルであるピクロスを自社から発売したい」ということで任天堂から許諾を取り、販売もジュピターが行うようになった。
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本作が世界合計でミリオンセラーを記録したことが、ゲームボーイを再び活気づけるきっかけとなっている。
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当時発売から6年が経過し、業界でも「寿命を迎えたハード」という認識があったことからソフト数は大幅に減少。任天堂内部でも新たな携帯機の開発が検討され始めている段階であった。
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その中でのヒットとあって、本作のプロデューサー石原恒和氏は「良質な作品を生み出せばゲームボーイは未だ健在」と、当時開発していた『ポケットモンスター 赤・緑』への自信につながったという。
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その『ポケモン』も大ヒットして、任天堂もゲームボーイを続投させる方針へと転換したことを見るに、ある意味本作は陰の功労者としての側面を持っているとも言える。
ピクロス2
【ぴくろすつー】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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ゲームボーイ
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発売元
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任天堂
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開発元
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クリーチャーズ ジュピター
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発売日
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1996年10月19日
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定価
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3,000円(税別)
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年10月24日/411円(税8%込)
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/1,000円/F×4・B×1
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プレイ人数
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1~2人 |
セーブデータ
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2個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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判定
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良作
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ポイント
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SFC版とは別方向にディープ化 さらに手ごわく、ボリュームは大幅増
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概要(2)
GB版の続編。
SFC版『マリオのスーパーピクロス』の後に発売されており、マリオのピクロスとしては三作目にあたる。
タイトルに「マリオの」と付いていないがパッケージで見る通りマリオは登場しており事実上「マリオのピクロス2」である。
特徴(2)
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15×15で1問の「やさしいピクロス」、15×15に4分割された30×30の巨大ピクロスを解く「マリオのピクロス」がメインモードとなる。
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最終問題は更に大きな60×60の超巨大ピクロスとなる。
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問題選択画面は、前作まではメニュー画面から問題を選択していく形式になっていたが、今作でRPGを彷彿とさせるトップビュー画面から選択する形式に変更された。
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これまでのシリーズではレベル毎の問題は基本的にバラバラだったのだが、今作の問題はレベル毎に設定されたテーマで固定される様になった。例えば「マリオのピクロス」LEVEL 3は童話がテーマになっていて、シンデレラや不思議の国のアリスといったおとぎ話が題材の問題が出題される様になっている。
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また、問題の中には「なにみてんのよ!」「おちゃでもどう?」「このキスマークなに?」といった様にレベルの題材に合わせたシュールな内容の問題も出題される。ワリオが主人公の作品は後にGBCで発売された『ワリオランド』シリーズを経て『メイド イン ワリオ』でバカゲー路線へ舵を切っていくのだが、今作ではその片鱗も垣間見れると言えよう。
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1つのレベルには、最初から選べる問題の他に条件を満たすと出現する隠し問題が存在する。……が、一部の隠し問題の出現条件はかなり厳しい。詳しくは問題点の項目を参照。
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『1』のタイムトライアルがSFC版では「ワリオのピクロス」として改められていたが、今作でも「ワリオのピクロス」として登場。
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「マリオのピクロス」のステージ1をすべてクリアすると遊べるようになる。
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ワリオのピクロス終盤は確定塗りできるマスがどんどん減って行くため、終盤の問題はシリーズ最難関と言っていいほど。隠し問題も全てクリアするなら難易度は更に上がる。
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3レベル毎に8×8の問題を連続で解く「クイックピクロス」が登場。
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ひらがな・カタカナの問題を解いて行き、文章を完成させるというもの。
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答えがわかったら途中で文字を直接指定して答えることも可能だが、間違えた際のペナルティや文字を選ぶ手間等を考えると普通に解いた方が早い。
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今作ではレベル4以降は制限時間が短縮、レベル7以降は完全に解けるまで正解かどうか教えてくれなくなる、といった制限が課せられる。
評価点(2)
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GB版で気になったカーソルの引っ掛かりが解消され、操作性が向上している。
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30×30の巨大イラストとなった事で、より繊細な完成絵を楽しむ事ができる。
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特徴の項にもあるが、レベルによって絵の傾向が決められており、中には雑誌の4コマ風(実は5コマ漫画)のもの、毛筆の漢字など、様々なシチュエーションの問題が収録。ユーザーを飽きさせないような工夫が垣間見える。
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SFC版の便利機能の、塗った行数の鉛筆確認・BGM変更・中断セーブを基本システムとして収録。
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ワリオのピクロスでは仮り塗り機能も使える。
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また前述したプレイ人数欄の通り、スーパーゲームボーイ・同2を使用することによりSFC版同様二人協力プレイも可能となる。
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現在塗ろうとしている列の数字が拡大されるようになった。
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問題選択の形式の変更に伴い、完成した絵をマップ上から確認できるようになった。
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30×30の問題を4分割して4問と考えると凄まじい数の問題(800問を超える!)を収録している。
賛否両論点(2)
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1つのピクロスを解くためには4つのピクロスをクリアする必要があり、1つの問題に長時間費やす事となりモチベーションの維持が難しい。
問題点(2)
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あそびかたが『1』とほぼ同様のため、確定マスから塗る事が教えられていない。
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隠し問題の仕様
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各レベルには隠し問題が用意されているが、
そのうちの1問はそのレベル内で一度でもゲームオーバーになるとそのセーブデータでは二度と出現しない
。故に、ギブアップの項目はほぼ完全に罠。
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ワリオのピクロスではそれに加えて制限時間ありにする必要もある。非常に難易度が高い。
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一応一度出現すればゲームオーバーになっても消えることは無い。
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オートセーブが特定のタイミングにしか行われないことを利用した抜け道もあるにはあるが、あまり正攻法とは言えない。
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隠し問題の存在は『そこに問題のパネルは無いが、主人公がそこにパネルがあるかのように上を向く』程度に示唆されているが、出現条件自体はノーヒント。
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出現時に「デキるあなたにもう1問」と言われるあたり、「ノーミスクリアが当たり前」の上級者へのご褒美として想定されているようだ。
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上記の通り、15×15の問題数自体は増えたものの、イラストの総量は『1』より減少している。
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クイックピクロスの一文字を一つの絵とするなら、100文字近くあるので『1』の絵の総数を超える。
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完成形の問題数とするなら『1』は256問、『2』はやさしいピクロス10問、クイックピクロス30問、最終問題2問含めて計242問と少なくなる。
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言うまでもなく、ボリューム、クリアまでにかかる時間は『2』のほうが圧倒的に大きいが。
総評(2)
GBの画面に合わせた15×15を維持しながらも、『1』よりもボリュームと難易度が増加した上級者向けピクロス。
特に後半の難易度は非常に高く、シリーズ初心者は『1』などの他作品から遊ぶ事を勧める。
逆に熟練者であればSFC版をも凌駕する大ボリュームと解きごたえからイチオシの作品であり、巨大イラスト完成の達成感は非常に大きなものとなるだろう。
余談(2)
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今作の、問題を分割して解く作りはピクロスeシリーズの「ミクロス」に近い。原型になったと見て良いだろう。
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タイトル画面でしばらく放置しているとオートデモが始まるが、タイトル用BGMはそれより長く続いており通常では1ループ分聞くことが出来ない。
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ただゲームボーイタイトルでよく使用される『A+B+START+SELECT』のソフトリセットコマンドを連打し続けると画面が静止したままBGMが流れ続けるため一応1ループ以上聞くことが出来る。ただしテンポは本来のものではなくなる。
最終更新:2025年03月08日 18:03