ぱらだいすお~しゃん

【ぱらだいすおーしゃん】

ジャンル 大航海恋愛S-ADV
対応機種 Windows 7/8.1/10
発売・開発元 PIXEL MINT
発売日 2018年3月30日
定価 限定版:12,800円
通常版:9,800円(共に税別)
配信 2018年4月13日/9,981円
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント 船上が舞台
ミニゲームがトゥルーの足枷に
ぺんしる作品リンク


概要

プロダクションぺんしるのグラフィッカー洗面きぬ子氏を中心とした、新ブランドPIXEL MINTブランドの処女作。2016年末にブランドが発表され、2018年に発売された。
公式の略称は「ぱらしゃん」。公式ジャンル名の「S-ADV」は「シミュレーションアドベンチャー」の略称である。

ティンクル☆くるせいだーす』『プリンセスうぃっちぃず』のシナリオライターの一人であるしげた氏が企画・一部シナリオを担当しており、ミニゲーム要素のあるADVという点が共通している。

早期予約特典は『ぱらしゃんボイスドラマ』と『プリンセスうぃっちぃず EXCELLENT 高音質版』を収録したディスク。後者は本作限定のバージョンで、完全版である。

限定版には『ティンクル☆くるせいだーす』『パティシエなにゃんこ』が同梱されている。

ストーリー

――航海、先に立たず――
青くきらめく海の上を走る学園船『パラダイスオーシャン号』。
安い学費で豪華なクルーズ気分を味わえると思って乗り込む新入生達。
しかし、そんな美味しい話なんてものはあるはずもなく……
学費や生活費を捻出する為に、豪華クルーズ船のクルーとして○制労働させられるというブラック学園だった!
外界から閉ざされた絶望空間の中、頼れる楽しい仲間と共に希望の藁を掴みとれ!(公式サイトより抜粋)

特徴

  • テキストウインドウに表示される文字を読み進めるオーソドックスな読み物が土台。
    • ヒロイン4人の誰のイベントを見るかが時々表示され、選択に応じて話が進行する。
    • 同じヒロインを選択すれば個別ルートに入る簡単仕様。選択肢を散らした場合はハーレムエンドとなる。
    • 条件を満たすとタイトル画面に「らくえんモード」が解禁。Trueエンド的位置づけである。
  • ミニゲーム
    • 本作最大の特徴。ゲーム進行に応じて解禁されていく。
    • プレイ時にキャラクターのレベルが上がり、得られる資金効率が良くなる。ゲームを起動していない時でも進行しており、次回プレイ時にまとめて資金を得られる。
    • 一部ミニゲームはスコアをTwitterに投稿可能。
+ ミニゲームリスト
  • ぱらだいす倉庫整理
    • パズル。『倉庫番』のアレンジ版。制限時間内に画面内の全ての樽を出口へ運べばクリア。全10ステージ。
    • 回数制限はあるが、SMASHコマンドを使うと樽を一気に動かせる。
  • クリーニングお~しゃん
    • アクション。画面内にある汚れをクリックで掃除する。
    • 掃除機・ブラシ等をクリックして切り替え可能。ケセランパサランには掃除機・ラクガキにはブラシといったように、ごみに応じて有効な道具を使うと早く処理できる。
  • フィッシングオーシャン
    • アクション。エサと場所を選び魚を釣る。
    • 魚が食いついたらクリックして、ドラッグしながら回して釣り上げる。
    • コレクション要素があり、釣った魚が記録される。
  • ぱらだいすハンターT
    • 放置ゲー。作戦・装備・目的地を選択して放置すると成功判定が行われる。
    • 成功するとお宝を入手でき、記録される。
    • 『ぱらだいすダンジョン』とは連動要素あり。
  • みゅ~じっくおーしゃん
  • 音ゲー。四方八方から飛んでくる音符マークが画面中央に来た瞬間にクリック。オレンジ色の音符はロングノーツなのでクリックし続ける。判定は「もうちょっと!」~「ぱらだいす!」の5段階。
    • 本作の主題歌と過去作の歌で計12曲。マニュアルにはアップデートで曲を追加予定!? とあるが、追加はなかった。
+ 曲リスト
ゲーム名 曲名
ぱらだいすお~しゃん Ocean Topaz
プリンセスうぃっちぃず Refrain
パンドラの夢 鳥のように抱いて
プリズム☆ま~じカル 幻想の宝石
プリズム・ハート Heart of Prism
プリズム☆ま~じカル プリズム☆ま~じカル
パティシエなにゃんこ 放課後のパティシエ
プリズム・アーク 贖罪のラプソディー
プリズム・アーク 現在のレクイエム
PIZZICATO POLKA ~彗星幻夜~ Lost in Love
プリンセスうぃっちぃず I'll try my best!!
夏の終わりのニルヴァーナ 夏の終わりのニルヴァーナ
  • ぱらだいすクラッシュ!
    • シューティング。船を操縦して、難破船や氷山に体当たりしてスコアを稼ぐ。ただし、魚雷等は避ける必要がある。
    • パワーアップアイテムとしてカレーが海に浮いているなどツッコミどころ満載であり、ゲーム内でも突っ込まれている。
  • ぱらだいすダンジョン
    • 探索型RPG。所謂ポチポチゲーである。
    • 装備や技を決めてステージを選択。「明るい通路+1%」「怪しい通路+10%」等を選択していき、100%に達するとステージクリア。

以前はこういったミニゲームの付いたファンディスクのエロゲも多かったが、発売当時には既にミニゲームを採用した商業のADVエロゲ自体が希少となっている。

  • ショップ
    • ミニゲームの資金を使用。ミニゲームで使用できるアイテムや追加エロシーン等を購入可能。
  • その他
    • 初体験エロシーンでは上着や下着の脱衣箇所を選択可能。次の一枚絵で全裸になるので、あんまり機能していないが……
    • SEやマウスアイコンをヒロイン仕様に変更可能。
    • エロゲーのプレイ画面を隠す用の機能として、Backspaceを押すと危機回避モードとして猿の実写画像等が表示される。4種類から設定可能。

評価点

  • 基本的には明るいドタバタ劇
    • 明るい色調のコメディタッチな絵柄や賑やかし要員のサブキャラにより、日常パートが楽しく仕上がっている。
    • 強制労働ネタや対立もそこまで激しくないため、過剰にヘイトを溜めるキャラはいない。
  • 佐倉紗織氏歌唱のOP曲「Ocean Topaz」は勢いのあるキャラクターカットインが楽し気な空気を作っている。
  • ミニゲーム
    • ちびキャラが動き回るため、ファンディスクのような感覚で楽しめる。
    • 紙芝居ADVは性質上ダレやすいため、気分転換できるミニゲームとの相性は良い。プレイしていない間に資金が貯まる放置ゲー的な数値の変動も楽しめる。
    • 「みゅ~じっくお~しゃん」は商業エロゲにおいて希少な音ゲーである。近い年代だと他は『カスタムオーダーメイド3D2』くらいしかない。
      • 過去作の人気曲を収録しているためアルバム的なファンサービスも兼ねている。
  • らくえんモードの一部演出
+ ネタバレ
  • ギャグとしか思えないネタエンドが意外な伏線となっている。
  • ここで初めて使用される楽曲や、ヒロインの名前だけが表示された灰色の選択肢など。
    • ゆるい雰囲気の本編との差異による緊張感の高まりを演出している。
  • 主人公が絶望したところで、ヒロイン達が過去の経験を思い出させ、巨大な敵に立ち向かう熱い展開。
    • 定番ではあるが、ラストに相応しい流れである。

問題点

ミニゲーム

  • ミニゲームのクオリティが低め
    • いずれもシンプルなルールであり、奥深さはあまりない。例えば「みゅ~じっくお~しゃん」はクリックのみのシンプル仕様で難易度もない。
      「Ocean Topaz」は105ノーツであり、5段階の判定のうち下から二番目の「のーまる!」判定でもコンボが繋がる。音ゲー慣れしていれば初見パーフェクトも余裕なレベルである。
    • キャラゲー的な側面はあるが、ミニゲームとしての面白さを求めて熱中するのは難しい。
  • らくえんモードの解禁条件
    • トゥルー的位置付けのルートに入るのにミニゲームで入手できるアイテムと資金が必要。テキストを読みたければ、ミニゲームに向き合う必要がある。
    • 放置で勝手に資金が貯まるため、「それなら必須アイテム入手したら、ミニゲームやらなくていいや」という感想を持たれやすかった。
    • 貯めた資金を使う演出があり、真面目にプレイした人ほど感慨深いが、努力に見合うとは言い難い。

ユーザビリティが低い

  • 画面の三分の一程度しかミニゲームの枠がない。
    • プレイ中は画面のほとんどがデッドスペースとなる。集中してプレイするには不向き。
  • 一部ミニゲームはタブレットでのプレイを前提で作られたのか、パソコンだとかなり操作しにくい。
    • 例えば「フィッシングオーシャン」はリールを巻く必要があるが、マウスやパッドでは円を書くような動きは難しい。

ストーリー

  • 個別ルート
    • エロシーンが連続的に挟まれるため、キャラの掘り下げが弱く、怪しげな要素の解明はらくえんモードまで待たされる。
    • そのため薄い・エロばかりという印象を持たれやすい。
  • らくえんモード
    • ここに至るまでの伏線や流れは皆無ではないが、突飛気味でもある。
+ ネタバレ
  • 「海とどう向き合うか?」という問いに、ヒロイン達はそれなりに無難に回答する。ここだけを切り取ればそう悪いものではない。だが、その思想に至るまでの過程の描写が本編では薄いため、説得力を感じにくい。

総評

ミニゲーム・放置ゲー要素を取り入れたノベルゲーム。
過去作ではミニゲームが好評を博していたが、本作ではトゥルーエンドの足枷と捉えられやすく、残念ながらマイナスのイメージが強くなってしまっている。

余談

  • 制作期間もあってプログラムソースが10万行を超えている。
  • もののあはれは彩の頃。』でシナリオを担当していた冬茜トム氏は、本作のゲストライターとして、〆のらくえんモードのシナリオを担当している。
  • 体験版では一部ミニゲームやエッチシーンが収録されている。
  • カスタムメイド3D2』『カスタムオーダーメイド3D2』の有料DLCとして本作のコラボ衣装が配信されている。
  • 「TECH GIAN 2021年7月号」の付録の一つとして、本作が収録されている。
    • セーブ機能が動作しない可能性があるためインストール時の諸注意がTwitterに掲載されている。
最終更新:2025年03月09日 02:34