闇の仕事人 KAGE
【やみのしごとにん かげ】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| 発売・開発元 | ナツメ | 
| 発売日 | 1990年8月10日 | 
| 定価 | 5,900円(税抜) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要
隠れた良作メーカーであるナツメが開発した、忍者を操作する二人同時プレイ可能なアクションゲーム。
本作は外箱や取扱説明書、カセットラベルなどでのタイトル表記が『闇の仕事人 KAGE』『KAGE』『スーパーリアリズムアクション・カゲ』といった具合に一定していない。
本項ではおそらく正式名称とされる『闇の仕事人 KAGE』をページ名とする。
特徴
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『忍者龍剣伝』と『バットマン』を足して2で割ったような雰囲気の、ライフ制アクション。ライフはあるが残機は無く、ライフが尽きた時点でゲームオーバーとなる。コンティニューは回数制限があるため、回復アイテムを温存しつつゴリ押ししない確実なプレイが求められる。
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ちなみに、アクションゲームではおなじみの「画面下の穴」に落ちた場合はライフが数マス減るのみに収まっている。それでも大ダメージには違いないので穴に落ちる事は原則許されない。
 
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プレイヤーは忍者の「ハヤテ」又はくのいちの「カエデ」を操作する。
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どちらを操作するかはゲーム開始時に選択。性能は両者同じなので、選ぶ意味は外見の趣味。
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二人プレイの場合は同キャラ選択不可。1Pがどちらを使用するか選択する。
 
 
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武器は目の前を斬る刀と、十字ボタン同時押しで上や斜め上に飛ばす鎖鎌の二種類あり、同じ武器(アイテム)を取る事で強化できる。
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武器とは別に投擲アイテムもあり、横にまっすぐ投げる手裏剣と、放物線を描いて投げる手榴弾の2種類が存在。
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体力が一定値以上ある時に攻撃ボタンを長押しすると、体力の消費と引き替えに画面全体に雷を落としてダメージを与える忍術が使える。
 
評価点
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基本的なアクションが多彩で目を見張るモノがある。
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天井に捕まって十字ボタン上で登ったりしゃがみながらAで足場を降りたりと、ファミコンのアクションの水準では比較的複雑な部類の操作がある。
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敵はあまり多くないが巧妙に配置されており、ゴリ押しが効かない決して単調にならないちょうど良い難易度となっている。
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ステージは背景や仕掛けが多くめまぐるしく変化し、ゲームが単調にならないようにうまく工夫してある。
 
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二人で同時に遊べる。
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二人同時プレイに対応したファミコンソフトは初期の任天堂作品や『魂斗羅』や『ミュータントタートルズ』などがあるが、ファミコン全体で見れば少ない。
 
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BGMは疾走感に溢れた名曲揃いで、どこかダーティな印象があり独特の良さがある。
問題点
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全体的に良くまとまっているゲームではあるが、このゲームならではといった「売り」はない。世界観もシステムも割とよくあるタイプ。
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残機が無く、1機アウトでゲームオーバー。コンティニューは5回、増やすアイテムも無い。なので、全6機で最後までクリアしなければならない。難易度の高いゲームではキツい。
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忍術が極めてピーキーな性能で、よほどの上級者か「体力に余裕がある際のボス撃破直前」などでない限りリスクが大きすぎる。
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絶大な威力を誇る技だが、ため時間がかかる上に体力が大幅に減少するリスクが痛い。一回使うと体力を回復するまで使えない。
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このゲームは先述されているようにごり押しがきかない難易度である上、体力の回復手段が限られているので、そのリスクを冒してまで使う価値があるかと言われると微妙。
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まったくのノーリスクで使えるのは「ラスボスへのトドメ」に使用する時だけ。ラスボスをこれで倒すと最高に格好いいのだが。
 
 
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二人プレイの時は画面左側に上下に並べられた二つのライフバーが高速で交互に表示されるという仕様で(おそらくは一度に画面に表示するスプライト数を削減する為)、半透明のような見え方になり少々見づらい。
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本作はライフバー等プレイヤーの状態を表示する部分にスプライトのみを使用しているが、その範囲でファミコンのハードウェア仕様上の観点から言えば無難な措置ではある。
 
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本編とは関係ないが、カセットラベルは前衛芸術のようで人によっては生理的嫌悪感を催す。
総評
名だたる忍者ゲーの陰に隠れ、地味で埋もれてしまった感はあるがナツメの実力をまざまざと見せつけた秀作。
初心者にはあまり向いてないかもしれないが、二人プレイが可能というだけでも手に入れて損はない。
余談
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本作は後に、キャラクターを忍者龍剣伝のリュウ・ハヤブサに変えてゲームボーイにアレンジ移植された。その名もズバリ『忍者龍剣伝GB 摩天楼決戦』。詳細は下記にて。
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後期ファミコンソフトの宿命か、入手困難。
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だったが海外では「Limited Run」という限定生産専門パブリッシャーによってNES版と下記のGB版が限定復刻販売されている。
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また、ナツメアタリによりリメイク第4弾として本作が選ばれ『闇の仕事人KAGE Shadow of The Ninja』として開発中である事が発表された。
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当初2024年春販売だったが夏に延期、2024年8月29日となった。
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何故か販売元がセガになっている。
 
 
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北米では『Shadow of the Ninja』、欧州ではタイトーから『Blue Shadow』の名義で発売されている。
忍者龍剣伝GB 摩天楼決戦
【にんじゃりゅうけんでんじーびー まてんろうけっせん】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売元 | テクモ | 
| 開発元 | ナツメ | 
| 発売日 | 1991年12月13日 | 
| 定価 | 3,800円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 闇の仕事人 RYU | 
| 忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ | 
 
概要(GB)
『闇の仕事人 KAGE』のキャラを『忍者龍剣伝』のものに差し替えたアレンジ移植作品。
時系列は本編の3年前で、リュウ・ハヤブサの修行時代ということになっている。『NINJA GAIDEN』を含めたシリーズでも最も過去に当たる。
自由の女神を象徴とした都市に脅威が迫るのは共通で『KAGE』は2029年を舞台にしているが、本作は1985年という事になっている。
舞台は最も古い時代だが、国産としては『NINJA GAIDEN』が出るまで長期間に渡ってシリーズ最新作だった。他社作かつ海外版を考慮するなら翌年SMS版に更新される。
特徴(GB)
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主人公はお馴染みのリュウ・ハヤブサだが本作ではまだ修行時代で、『忍者龍剣伝』や『NINJA GAIDEN』以前の姿が描かれる。
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忍術は対空の炎飛ばしのみ、壁には貼り付けないなど。ただし、一部の地形を掴んだり、本作独自のワイヤーで天井に上がる事も可能。
 
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シリーズでは唯一、HPが1になると警告がなる。
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FC三部作にあったような制限時間はない。
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差し替え版ではあるが、ステージ構成や敵の動きなど『KAGE』と異なる点も多い。
評価点(GB)
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『KAGE』をベースに再現したオープニングデモ
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迫りくる脅威、それに抗う主人公の姿が描写。BGMは『II』のオープニングデモが使われており盛り上がりから〆方までの構成が素晴らしい。
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フォントも漢字が使われている。ただし「邪鬼王」は「じゃき王」となっているのは残念。
 
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GBながら凝った演出
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序盤は街の多重スクロールに水面の質感、雲の多重スクロールなどが用意されている。
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ボス撃破の演出も『KAGE』寄り且つ、本家より更に爆発が派手になった事で爽快感がある。
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後述するようにデモシーンこそ無いものの、ステージクリア時にはリュウがボスを斬り伏せるアイキャッチが入る。さっき爆発したよね?とツッコんではいけない。
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ボスは斬鉄剣よろしく細かく分断され、スタイリッシュなBGMも相俟って格好良い演出になっている。
 
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エンディングでは城が崩壊し、それを背にリュウが歩きながらスタッフロールが流れる感慨深い演出となっている。『メトロイドII』『ロックマン7』などでも見られる手法である。
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ステージ3のボスは銃撃の際に薬莢が落ちるなど細かい。
 
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過去作に劣らずクオリティの高いBGM。一部は過去3部作からのものだが、GBながら本家のBGMを上手く再現している。
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前述の通りオープニングデモは『II』から「Chaosium Sword」、ステージ3はあの人気曲「鮮烈のリュウ」、ステージ5は『III』から「ステージ4-1/7-1」が使用、ステージイントロやボス曲、ゲームオーバー曲もおなじみのものでありファンにはうれしいチョイスとなっている。
 新規のBGMも高評価である。
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ラスボス曲や、効果音のほとんどは『KAGE』のものとなっている。
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今作でも裏技でサウンドテストが可能。
 
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ゲーム性も充実
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横スクロール、縦スクロールが複合して立体感がある。斜めスクロールはない。
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迫りくるデストラップ、暗闇、強制スクロールなどギミックも豊富に用意されている。
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良作『KAGE』がベースなだけあり、基本的な面白さは折り紙付きである。
 
賛否両論点(GB)
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難易度は高め
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特にラスボスは色々な攻撃を繰り出す。クリアして達成感に浸るか、それとも断念してしまうかはプレーヤー次第と言えよう。
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ただ、これでも『KAGE』や『忍者龍剣伝』本編シリーズと比べれば「敵の動きがあまり速くない」「立ち止まって銃器を使う敵が多数登場するが、大半はしゃがむだけで弾を回避できる」など全体的に控えめな難易度設定となっており、携帯機向けのライトなアクションとして楽しめる出来に仕上がっている。
 
問題点(GB)
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画面の制約の為か本編と違ってボスのHPが表示されない。『忍者龍剣伝』も『KAGE』もちゃんと表示されていたのだが…。
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点滅はするのでダメージを与えているのは分かるが、残りHPが分からないのは本家に慣れていると少々不便。
 
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GBの性能上仕方ない話ではあるのだが、リュウの動きは本家や『KAGE』に比べてかなりもっさり。更にジャンプ力も低い。
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ワイヤーを駆使したアクションなど、本家とはゲーム性が異なる部分がある為に単純比較は出来ないが、本家のような疾走感は期待出来ない。
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「修行中のハヤブサ」という設定もその辺に理由の一端があるようだ。
 
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シリーズ伝統のステージ間のストーリー描写、デモシーンが無い。
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『KAGE』の差し替え版であり、テクモシアター作品でもないので仕方ないところではあるが、シリーズの売りが無いのはファンとしては寂しい所。
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テキスト付きのイベントはオープニングのみで、ボスは淡々と斬り伏せていくのみ。リュウも無駄口を一切叩かないストイックなキャラになっている。
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リュウが寡黙な時期である『NINJA GAIDEN』シリーズ(特に『1』『2』)よりも過去の出来事と考えると、(結果的にだが)自然とも言える。
 
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ステージ名の副題も無く、『KAGE』同様にただSTAGE1,2,3と数字が進むのみ。
 
総評(GB)
『KAGE』の差し替え版とは言え、本作はGB上に忍者龍剣伝を集約する事に成功したと言えるだろう。
同じ携帯機のゲームギア版も独自の味わいがあるが甲乙つけ難い。
ファンなら本作でリュウ・ハヤブサの最初の戦いを追ってみるのも悪くない。
余談(GB)
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パッケージに描かれているリュウは顔を晒し、装束に袖とマフラーまで付いているような本編とかけ離れたデザインだが、これは『III』と同様、OVA版のカットを流用しているためである。
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ステージ2ボスは大型のグラサンマッチョと更に小型キャラもいて、戸愚呂兄弟としてネタにされる。
最終更新:2025年10月05日 16:40