Star Wars: Battlefront
【すたー うぉーず ばとるふろんと】
ジャンル
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FPS/TPS
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対応機種
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Windows(Steam) Mac OS プレイステーション2 Xbox
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発売元
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LucasArts
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開発元
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Pandemic Studios 【Mac】Beenox
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発売日
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2004年9月19日
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配信
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Steamにてオンライン販売中
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判定
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良作
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ポイント
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『バトルフィールド』型FPS 映画に登場した激戦を再現 一兵士として銀河大戦を戦う
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スター・ウォーズシリーズ
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概要
『スター・ウォーズ』シリーズを題材に『バトルフィールド』型のシステムを採用し、劇中で行われた激戦を再現したマルチプレイ戦略FPS/TPS。
開発を担当したのは、2002年のGCソフト『スター・ウォーズ クローン戦争』や米国陸軍の市街戦用シミュレーターが原型のリアルタイム戦術SLG『Full Spectrum Warrior』、日本版だけがやたらバカゲーテイストに改変された『Destroy All Humans!』などを手掛けたPandemic Studios。
最大でPC版は64人、コンシューマ版は32人の対戦が可能なマルチプレイ機能を搭載しており、インターネット上のサーバー、もしくはLAN接続でプレイすることが可能。
シングルプレイモードも搭載されており、オンラインに繋がなくてもAIとの対戦が楽しめる。
後にEAから同名のシリーズ続編が発売されたため、Steamでは『Star Wars: Battle Front(Classic 2004)』というタイトルで配信されている。
ゲームシステム
基本システム
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EP1の「ナブー侵略」から、EP6の「エンドアの戦い」まで、EP4~6とEP1~2までの映画に登場した主要な戦場16種類を戦い抜く多人数大戦FPS。
プレイヤーは一人の兵士(またはドロイド)となり、銃や兵器を利用して敵軍兵士と戦闘を行っていく。
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基本的な操作は一般的なFPSと同様で、一部兵科のみバリアを張る、転がる、ジェットパックを使用するといった特殊な動作が可能。
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ベースとなった『バトルフィールド』同様、歩行兵器や武装車両、航空機といった各種兵器が拠点に供給されるようになっており、敵味方問わず搭乗して活用することができる。
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敵味方共に増援ポイント(バトルフィールドにおけるチケットに相当)が250ポイント存在し、死亡して再出撃するごとに増援ポイントが1消費される。
先に増援ポイントが0になるか、全てのコマンドポストを制圧されたまま20秒が経過するとそのチームは敗北となる。
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マップ上には拠点となる5~8ヶ所の「コマンドポスト」が存在し、コマンドポストの範囲内で妨害されずに一定時間留まり続けることでそのコマンドポストを制圧可能。
制圧したコマンドポストは再出撃の際に利用でき、また付近には制圧した勢力の保有する車両・航空機が供給される。また、マップ上の自軍が制圧したコマンドポストが相手より多くなると、戦闘に関係なく増援ポイントが一定数まで減少し、より勝利に近づく。
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兵士が死亡した際にドロップする青いバクタタンクを拾うか、マップの随所に配置されている円筒形の医療ドロイドの前に立つことで体力を回復できる。
また、弾薬箱を拾うか、箱型のGNKパワー・ドロイドの前に立つことで消費した弾薬を補給できる。
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ドロイドにも耐久力が設定されており、被弾すると爆発して使用不能になってしまう。破壊された場合はパイロットユニットが装備するフュージョンカッターで修理すれば、再び使用可能になる。
兵科
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白兵戦を得意とする「ソルジャー」、対車両用の爆発物を装備した「ヘビーウェポン」、狙撃ライフルや偵察ドロイドを持つ「スナイパー」、グレネードランチャー・ショットガン・電撃銃などの特殊な武器を持ち、味方の回復や修理が可能な「パイロット」、特殊な「スペシャルユニット」の合計5つの兵科が存在。
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どの兵科で参戦するかは出撃時に選択でき、大型兵器の量や交戦距離といった現在の戦況に応じて使い分けていく。
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スペシャルユニットは各勢力によって固定されており、クローン兵はジェットパックで飛行する「ジェットトルーパー」、独立星系連合は一定時間バリアを張れる「ドロイディカ」、反乱同盟軍は強力なボウキャスターを使用する「ウーキー密輸業者」、帝国軍はジャンプパックで大きく跳ねることができ、落下ダメージを受けない「ダーク・トルーパー」となっている。
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どれも戦局を左右する特殊な能力を持つが万能というわけでもなく、使いこなすには慣れが必要。
登場兵器
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Xウイング、TIEファイター、スノースピーダーといった航空戦力、AT-ATやAT-ST、AT-TEといった歩行兵器、スピーダー・バイクのような高速移動用車両などさまざまな兵器が登場。
敵味方問わず使用することができ、敵陣地に乗り込んで強奪することもできればパイロットだけを撃ち落として鹵獲することも可能。
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どの兵器も高い攻撃性能を持ち、生身の兵士であれば簡単に倒していくことが可能。しかし、砲台やヘビーウェポンユニットからの攻撃で破壊されることもあり、単に乗り込めば勝てるというわけではない。
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一部乗り物には特殊な攻撃が可能となっており、スノースピーダーの場合はAT-ATの脚にケーブルを巻くことで残り耐久力に関わらず破壊できる。
登場勢力・キャラクター
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旧三部作からは銀河帝国軍と反乱同盟軍が、新三部作からは銀河共和国軍(クローン・トルーパー)と独立星系連合(バトル・ドロイド)がそれぞれ勢力として登場。
また、マップごとにタスケン・レイダー、ウーキー族、ジャワ族といった第三勢力が登場することもある。
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キャンペーンミッションではNPCとして帝国軍にダース・ベイダー、反乱軍にルーク・スカイウォーカー、共和国軍にメイス・ウィンドゥ、独立星系連合にドゥークー伯爵の4キャラクターが登場し、戦闘に参加する。
キャンペーンミッション
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映画5作品を題材に、本編映像を挟みながらストーリー順に戦地を進んでいく「ヒストリカル・キャンペーン」、2勢力に分かれて星を奪い合う「ギャラクティック・コンクエスト」、マップや勢力を自由に選べる「インスタント・アクション」の3モードが存在。
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どれもマルチプレイと同様のルール、相手であり実質マルチプレイ練習用とも言える内容だが、ナブー危機ではグンガン族vsドロイド軍だったり、ホスの戦いではシールド・ジェネレーターの防衛が任務だったりと一部マップのみ特殊なルールとなっている。
評価点
徹底した原作再現
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それまでのスター・ウォーズのゲーム作品では部分的にしか再現されなかった劇中の激戦を、多人数マルチ対戦という形で極めて高いレベルで実現。
ホスの戦いでAT-ATにワイヤーを巻きつけたり、エンドアの戦いでスピーダー・バイクに乗って偵察したり、反乱軍を探してモス・アイズリーの市街地を探し回ったりと、映画本編で描かれたさまざまな戦場を舞台に戦うことができる。
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ドロイドとなって戦う、AT-ATでシールド・ジェネレーターを破壊する、エンドアの森をAT-STで闊歩するといった、対戦型FPSだからこそ初めて実現したシチュエーションも多い。それまでのスター・ウォーズ作品では描かれなかった戦場を楽しむことができ、ファンからは高い評価を得た。
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ダーク・トルーパーやセイバー級ファイター・タンクなど原作映画ではなくレジェンズ作品由来のマニアックなネタも採用されている。
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当時公開前だったEP3で初登場したドロイド・ガンシップも本作で先駆けて登場している。(なお、造形はEP3とやや異なっている)
戦略性・爽快感の高い車両システム
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歩兵は基本的に兵器の攻撃に対してもろいため、敵陣に繰り出して殲滅していく爽快感は非常に高い。
しかしただ単独行動を取っていても敵からの集中砲火を食らって破壊されてしまうため、異なる兵科・兵器同士の連携が必須となる。
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1つのマップ上に同時に参戦可能な兵士も多いため、うまく弱点を補い合って戦略的に優位に立てた時の達成感は髄一。それまでのスター・ウォーズ作品にあったただのチームデスマッチでは味わえない、よりリアリティのある戦場が楽しめる。
簡単な操作性
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兵科によって性能がきちんと差別化されており初見でもとっつきやすく、キャラクターの操作も極めて簡単。
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また、登場ユニットは映画本編のものをしっかり再現しているため「スーパー・バトル・ドロイドは強化型」「AT-ATは転倒させて倒す」「ドロイディカはバリアを張るので厄介」といった原作知識がそのまま生かせる。
徹底した原作再現のおかげで、ファンであればあるほどゲームシステムをより直感的に理解できるようになっている。
賛否両論点
主要キャラの欠如
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本作では劇中の主要人物は特定マップで限定的に出没するのみで、プレイヤー自身が操作することはできない。
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人数も各勢力に1人のみとやや寂しく、ジェダイやシスといったスター・ウォーズシリーズにおけるミリタリー面以外の側面を期待しているとやや殺風景に感じる内容。
一部戦力が非対称
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共和国軍と独立星系連合の車両はそれぞれ近いものが存在するため両軍ともにさほど戦力差はないが、反乱同盟軍にはAT-ATやAT-STに相当する地上戦力がほとんど存在しない。
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このため、単に地上兵器の火力でごり押されると巻き返すのが難しい。帝国軍と比べて余分にヘビーウェポンユニットの参戦が必要なため白兵戦に十分な人数が割けず、大型兵器の対応中に拠点を占領されてしまうことも。
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特にホスでこの傾向が強いが、ケーブルさえ巻けばAT-ATを一発で破壊できるスノースピーダー、他マップより高性能に設定された2種類の砲塔の配備による救済措置は用意されている。また、反乱軍はヘビーウェポンとパイロットユニットの性能が他勢力よりやや優遇されている。
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ただし反乱同盟軍自体が主にゲリラ戦で帝国に対抗している勢力なので、そういう意味では原作を再現している。
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共和国軍はソルジャーとパイロットユニットの性能が低めで、独立星系連合のドロイディカは高性能となっている関係で基本的に連合側が有利な傾向がある。
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しかし、共和国も優秀なヘビーウェポンとスペシャルユニットを活用してドロイディカを対策できれば十分勝算はある。また、ジオノーシスのみ共和国が非常に有利な構成となっている。
問題点
シングルプレイヤーがマルチの流用のみ
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シングルプレイヤーモードの内容は、マルチプレイのルールを微妙に変化させて合間に映画の1シーンを追加したもの。一般的なシングルプレイFPSと比べるとやや面白みに欠ける内容であり、映画的なシングルプレイを実現していたジェダイナイトシリーズなどのファンからは批判された。
マヌケなAI
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シングルプレイモードの主な相手であるAIの出来はルールが複雑とはいえさほど良くはなく、命令に従わなかったり極端に弱かったり、無謀な突撃を繰り返したり、特定の場所でスタックしたりとプレイヤーの足を引っ張るような行動をする場合がある。(ただし、味方側のAIだけが弱いわけではない)
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スタックについては、ルークなどのヒーローキャラクターですら陥ることがある。
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AIはドロイディカのバリアの対処が(ジェダイや人数によるごり押しを除いて)できないため、AI同士の戦闘ではドロイディカの高性能ぶりが際立っている。シングルプレイモードで共和国をプレイする場合、常にプレイヤーがヘビーウェポンかスペシャルユニットでドロイディカ対策を担当しないと勝つのが難しいことが多い。
その他
総評
「究極のファンの夢」というプロデューサーの謳い文句に偽りはなく、極めて高いレベルで原作を再現した多人数マルチプレイ作品。
スター・ウォーズの映画で描かれながらも、これまでゲームでは完全な形では遊べなかった数々の戦場を実装し、映画ファンの抱いた期待に応えた。
ヒーローシステムの不在などミリタリー面以外の部分は弱いものの、奥深い戦略性や戦闘規模の大きさなどから批評家・プレイヤー共に高い評価を獲得。
2007年までに400万部を超す大ヒットを記録し、以降『バトルフロント』シリーズとして複数の続編が発売されることとなった。
余談
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2012年にgamespyとの契約終了によりマルチプレイのサポートが終了したが、なんと閉鎖から8年後、発売から16年後の2020年5月1日にはSteam版のマルチプレイヤーサポート再開が発表された。
その後の展開
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本作と続編「Star Wars: BattlefrontⅡ」のリマスター版のカップリングソフト『Star Wars Battlefront Classic Collection』が2024年3月14日に発売された。
最終更新:2025年04月22日 14:08