Bloodstained: Curse of the Moon 2

【ぶらっどすていんど: かーすおぶざむーんつー】

ジャンル アクション
対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One
Windows(Steam)
発売元 インティ・クリエイツ
開発元 インティ・クリエイツ
ArtPlay
発売日 2020年7月10日
定価 1,480円(税込)
判定 良作
ポイント IGAヴァニア外伝まさかの続編
難易度も含め前作からパワーアップ
Bloodstainedシリーズ
Curse of the Moon / Curse of the Moon2 / Ritual of the Night


概要

ファミコンテイストで作られた『Bloodstained: Curse of the Moon』(以下「前作」)の正統続編。 インティクリエイツ曰く前作の好評をうけ、まさかの続編の開発が決まったとのこと。

本編の『Bloodstained: Ritual of the Night』(以下『RotN』)とのストーリー的な繋がりはないが、前作未登場のドミニクがプレイアブル化を果たしている。


ストーリー

東から来た最強の退魔士「斬月」
彼は復讐の旅の中で出会った同士と共に
時に協力し合い時には反目し合いながら
絆を深め、ついには大いなる悪魔を打倒した

だがそれは終わりではなかった…

教会から来た、悪魔に復讐を誓うという
謎の修道者「ドミニク」
彼女がもたらした情報は驚くべきものだった
現代の技術では到底建造不可能な塔が
一夜にして、このイギリスの地に出現したというのだ。

教会はこれを「魔塔」と名付けた。

魔塔の出現と呼応するように、新たに現れる悪魔の城
それは呪いの縛鎖か月の戯れか。

今再び斬月の刀が月夜に閃く

(エピソード1のプロローグより)


特徴

  • 前作同様の仕様はここでは省くこととする。
    • スコアは数値による表記ではなくゲージ式になり、一杯になると残機が1増える。
  • 本作はエピソード形式となっており、クリアするごとに解禁されていく。
    • エピソードごとにプレイアブルキャラの編成や一部ストーリー等は異なる。
    • また、一部エピソードは分岐となっており、条件によって解禁されるエピソードが異なる。
  • 本作では協力プレイが可能となった。同キャラを使用することも可能(同キャラを選択した場合は2Pカラーとなる)。
    • 片方のキャラが戦闘不能の場合は生存キャラを選択することで復活することが可能。
    • 他プレイアブルキャラに乗ることで活動範囲を広げる、苦手なステージはボタンを押すことでステージに干渉しない姿となり、避けるなど協力プレイによりステージ攻略の戦略の幅が広まる。
  • リトライの追加
    • ミスにより仲間が欠けてしまってもリトライにより残機が減り中間ポイントまで戻される代わりに元の全員が生存している状態に戻すことが可能。

新プレイアブルキャラクター解説

  • ドミニク
    • 本作のヒロイン的立ち位置。前作のミリアムに近い性能。上突きの『バーティカルストライク』で上空の敵をジャンプせず倒せる他、下突きの『ホッピングストライク』で敵を踏みつけることによりロックマン ゼロ3のリコイルロッドを彷彿とさせる2段ジャンプが可能。
    • サブウェポンは回復アイテムを実らせる『ヒーリングプラント』、戦闘不能となったキャラを復活させる『リザレクトアンセム』と前作では前例のない回復系を持つ。
    • それ以外にも上方向へ発射し、天井で左右へと拡散する『エレクトロクロウラー』、地面を沿って進み上空の敵を捉えると上昇する『ライジングウインド』、下方向の敵を踏みつけ、『ホッピングストライク』以上の大ジャンプをする『インパクトランス』と計5種類。
  • ロバート
    • 斬月とは昔の戦友の元軍人。体力は少なめだが銃を用いて遠距離の敵を攻撃することが可能な他、地面に伏せ、低位置の敵を攻撃したり狭い通路を通れる『匍匐』、ロックマンXスーパーマリオ64を彷彿とさせる壁キックをする『キッククライム』を持つ。
      • サブウェポンは斜め上空目掛け槍を2本放つ『パルチザン』、地形をそって転がり、壁で反射する『手投げ弾』、反動で若干後退させられる貫通弾の『ドレイクキャノン』、ボタンを長押しすることで連射する『ラピッドスカーフ』の4種類。
  • ハチ
    • 魔導アーマーに搭乗する斬月の愛犬。見た目通り当たり判定が大きく、特にノックバックの存在するスタイルでは他キャラ以上に被弾に注意する必要がある。『ワイルドフッド』により棘地帯を破壊したり、『スチームホバー』で滑空することにより足場の悪い場所で真価が発揮される。
    • それ以外にも『ヘビースタンプ』により、普段は攻撃の届かない足場の下に貼り付いた敵への攻撃も可能。
    • サブウェポンは時間経過でWPが消費される代わりに落下や溶岩以外の全てのダメージを無効化する『アイアンボディ』の計1種類。

これら以外にもエピソードを進めていくことで前作で仲間だったミリアム、アルフレッド、ジーベルを使用することが可能。 3人とも既存のアクションの一部に新たな特性が加わっている。

アップデートによる追加要素

  • Ver.1.2.0
    • 『ボスラッシュ』モードの追加。
  • Ver.1.3.0
    • 『LEGEND HUNTER』スタイルの追加。
    • 新たに追加された新難易度。『ベテラン』スタイルの残機制やノックバック制の他に従来のファミコンアクションゲームのように画面外で敵が復活する他、仲間が一人でも戦闘不能になると残機が減り、中間地点へと戻される。
    • 敵キャラの配置も全体的に増量されており、難易度が急上昇している箇所も。
    • 更にステージ毎に制限時間が設けられるようになる*1。スタートからボス撃破までノーミスで突破するならこれも意識する必要がある。

評価点

  • 前作の正統続編と言える内容
    • 前作から新要素が複数追加され、前作プレイ済みの人でも十分満足のいく内容となっている。
    • また、前作プレイ済みのユーザーを意識してか、難易度が歯ごたえのあるものと変化している。
  • 前作から大幅にアップしたボリューム
    • エピソードのクリアだけなら数時間程度で終わるが本作には複数のエピソードが用意されている。
    • 上述の通りエピソードによって異なるストーリーやプレイアブルキャラ(それに伴う進行ルート)が用意されており、飽きさせない。
  • BGMも前作同様良質なものが揃っている。
  • 前作以上に鮮明に描かれる仲間同士の描写
    • マップ画面や各種イベント等で鮮明に描かれており、ストーリー性は薄いながらも仲間達への絆を感じ取れる。
  • 斬月の使い勝手向上
    • ステージ中のどこかにあるアイテムを入手することで斬月刀が強化され、特殊アクションを使うことが可能となる。
    • 一応前作でも存在したが、その場合は単騎で進む必要があった。本作では正規の方法で取得することが可能。

賛否両論点

  • ドミニクの描写について
    • 派生元となる『RotN』クリア済みの人はドミニクのキャラ描写について首をかしげてしまうかもしれない。あくまで別作品と受け止めるべきだろう。
      + 本作及び『RotN』のネタバレを含むので折り畳み 『RotN』では黒幕であり、残忍かつヒステリックな裏側を持つ。しかし本作ではそんな描写が全くなく、母性の溢れる正統派ヒロインキャラとなっている。
  • 斬月の描写について
    • 本作の斬月は前作と比較して驚くほど仲間に対して友好的に接する。性格が丸くなった「満月おじさん」などと呼ばれる事も。
    • この変化に対して好意的に受け止めるプレイヤーもいるが、「急に変わり過ぎ」と戸惑う意見も見られる。

問題点

  • エピソードごとにストーリーは異なるが、結局のところ一部を除いてステージ自体は同じ。
    • プレイアブルキャラに変更がある為、完全に同じことをやらされるわけではないが、何周もプレイすることになるため、飽きることは否めない。
  • やられるとその仲間を失った状態で最終セーブポイントに戻される仕様は前作のまま。他の仲間のライフが回復しない点も全く改善されていない。
    • ドミニクが回復と蘇生の能力を持っているため、一定程度改善されていると言えるが、該当するサブウェポンを持っていないと使えないし、そもそもドミニクがやられてしまったら無意味。さらに、蘇生の技はあまり手に入らないうえに1回きりの使い捨て。
    • ポーズメニューで「RETRY」を選ぶと全員復活して最終セーブポイントから再開できるが、全員のサブウェポンが初期装備に戻ってしまうという、別の難点も。
  • ミリアムとドミニク、ジャンプ力は同じでリーチはミリアムの方が長くスライディングも使えるため、両方いる状況でドミニクを使うメリットは回復と蘇生以外あまり無く、アクションでは少々影が薄くなりがち。
  • クリア済みのステージをプレイすると仲間の加入状態がリセットされる点は前作と何も変わっていない。
    • しかし、今作では入手したパワーアップアイテムは保持されるため、いちおう一定の改善はなされている。
  • ファイナルの終盤、なぜかシューティングステージがある。
    • 難易度はそれほど高くないが、ステージ自体はわりと長く、シューティングが苦手な人にとっては面倒この上ない。クリアしても、ゲームを やめて再開すると、最終ステージではなくシューティングステージからやり直しなのも面倒(最終ステージの方はそれほど長くないのが救いだが)
    • こちらの武器が強力なのはいいが、激し過ぎて逆に敵の弾がかぶって見えづらくなる、という難点も。
    • やられてもパワーダウンせずその場から再開できるのは有難いが、パワーダウンしないということはスピードも落ちない、ということ。そのため、スピードを上げ過ぎると下げる方法が無いため、ツラくなる場合がある。しかも、アイテムはかなり多く出るため、うっかり取って上げ過ぎてしまうことも少なくない。
      • そもそも、このゲームにシューティング要素自体、必要性が無い。「乗り物に乗って最終ステージに向かう」という点では「コナミワイワイワールド」に似た感じはあるが…向こうと違ってシリアスで中世的な雰囲気の今作には、相応しいとは思えない。
  • いちおう他作品に登場しているドミニクはまだしも、シリーズ初登場のロバートとハチは、斬月と面識があるといきなり言われても、プレイヤーは全く理解できない。(前作で仲間になった3人は全員斬月と初対面だった)
  • キャラのアクション
    • 特定のモードで使える斬月のダッシュ、それほど速くないうえに一定距離しか走れない(しかも短い)ので、イマイチ頼りない。
    • ハチのスチームホバー、滑空は確かに便利だが、少しボタンを押し続けただけで発動するため、足場渡りで着地するつもりがホバーが暴発してミスる、なんてことが起こりやすい。
  • セリフ等の文字が粗い。
    • 特に画数の多い漢字は潰れてしまっていて、非常に読みにくい。

総評

前作『Curse of the Moon』から様々な要素が追加され、続編として正当に進化した作品。
前作をプレイ済みのユーザーは勿論、新規でも十分に楽しむことができる一作。


余談

  • 2023年7月13日に前作とのカップリング移植である『Bloodstained: Curse of the Moon Chronicles』がPS4/Switchで発売された。
    • 限定版には設定資料集や両作のサウンドトラックが付属している。

その後の展開

  • 2023年2月23日に『Grim Guardians:Demon Purge』がSwitch/Win(Steam)/PS5/PS4/Oneのマルチプラットフォームで発売された。
    • 同作は『ぎゃる☆がんシリーズ』のスピオンオフという形ではあるものの、2D横スクロールアクション・ゴシックホラー調の作風という事に加え、今作をベースとしつつも更に改良した点も見られる事から、『ぎゃる☆がん』の関連作品でありながら事実上の『Curse of the Moon 3』という様な作品になっている。
    • なお、同作は更に続編として『Servants of the Dark』の製作が決定。一方でBloodstained側も続編の製作が決定している事から、結果的に『高橋名人の冒険島シリーズ』と『ワンダーボーイシリーズ』の様な関係になると思われる。
最終更新:2025年01月05日 15:38

*1 既存のスタイルでも∞(無制限)という形で表示されているため、制限時間のある本スタイルの実装は最初から決定していた事が窺える。