ドラえもん のび太の新魔界大冒険 DS
【どらえもん のびたのしんまかいだいぼうけん でぃーえす】
| ジャンル | カードバトルRPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売・開発元 | セガ | 
| 発売日 | 2007年3月8日 | 
| 定価 | 5,280円(税込) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ルールがブラッシュアップされテンポが向上 Wi-Fi対戦にも対応していた
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| ドラえもんシリーズ | 
 
概要
2007年に公開されたアニメ映画『ドラえもん のび太の新魔界大冒険』を題材とした作品。
前作『ドラえもん のび太の恐竜2006 DS』からカードゲームの基本システムを引き継ぎつつ、様々な点で改良され遊びやすくなっている。
長年、ドラえもんのゲームソフトはエポック社から発売されるのが恒例だったが、今作から前作で開発を担当したセガ発売となっている。
前作との違い
基本システムは前作ページを参照。
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前作の「恐竜カード」は今作では「魔物カード」という名前になった。
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「パワーアップカード」は廃止。代わりに「魔法カード」が登場。
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魔法カードはポケットに出ているどのキャラクターカードともチームを組むことが可能。
 
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1ターンに何枚のカードでも攻撃できるようになった。最大のルール変更点。
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「じゅんびステップ」と「こうげきステップ」がなくなり、カードのプレイと攻撃の自由度が高まった。
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一部のひみつ道具カードは相手ターンの戦闘に対応して発動できるようになった。
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ムーンサイクルシステムが登場。
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ターン毎に月が満ち欠けし、満月になると「満月チャンス」が発動。お互いの場の魔物カードのパワーが+10される。また魔法カード1枚につき魔力が追加で得られる。
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その他、新月・満月時に効果を発揮するカードも存在する。
 
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初心者・子供向けモードとして、ゲーム開始時に「かんたんモード」を選択できる。
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全カードがハヤテ化(召喚酔い無し)、自分のスペシャルゲージが溜まりやすい、複雑な効果のカードが出てこないなどの違いがある。
 
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インターネット対戦が可能になった。
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ニンテンドーWi-Fiコネクションを通じてランダム対戦とフレンド対戦が可能だった。(※2014年5月20日にニンテンドーDSのネットワークサービスは終了)
 
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今作のプレイヤーキャラはのび太・ドラえもん・ジャイアン・スネ夫・しずか・美代子・ドラミの7人。
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ストーリーパートは、前作はフィールドを移動して探索する形式だったが、今作では移動箇所を選択するだけのシンプルな形となった。
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スペシャルわざは以下の通り。
| ドラえもん | 使用したターンはひみつ道具のコストがなくなる |  
| のび太 | 山札から好きな魔物カードを1枚ポケットに出す |  
| しずか | ポケットのカードの体力を全回復する |  
| スネ夫 | 使用したターンは魔物カードのコストが1減り、出した時に待機中にならなくなる |  
| ジャイアン | カードとチームごとにパワーが30足される |  
| 美代子 | 相手のカードとチームごとに50のダメージを与える |  
| ドラミ | 待機中のカードをすべて回復させる |  
| タウロス | カードごとにパワーを20足す |  
| ウィッチ | 相手の手札2枚を捨て札に送る |  
| シータ | カード1枚にカウンター50のスキルを付ける |  
| イーブル | カード1枚にブロック50のスキルを付ける |  
| メジューサ | 山札から好きな魔物カードを2枚ポケットに出す |  
| デマオン | 相手のチームかカードを2つ手札に戻す |  
 
 
評価点
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ブラッシュアップされたルール
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基本ルールは前作がベースだが、様々な点が改良。
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1ターンで複数カードの攻撃が可能になったため、バトルのテンポが大幅に良くなった。早ければ4~5ターンで決着が付くようになり、サクサク遊べる。
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相手ターンに使えるひみつ道具が登場したことで駆け引きの幅も増加。最後まで気が抜けない戦いを楽しめる。
 
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ネット対戦が可能
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対人戦が醍醐味であるカードゲームとして、対戦相手に困らないのは嬉しい。
 
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しっかり描写されているストーリー
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大筋は映画版をベースにしつつ、魔界での冒険シーンが大幅に増量されている。
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のび太たちの活躍や成長が描かれているのはもちろん、中ボスとなる敵キャラもなかなか個性的な魅力を発揮している。
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映画では「メジューサの出番の確保」といった事情によりカットされた「人魚の島」「帰らずの原」といった場所もしっかり取り入れられている。ただし、「魔界の森」はない。
 
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ストーリーモードとは別に「対戦したい相手」を選んで対戦できるモードも導入された。
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前作ではドルマンスタインと黒マスクと何度も対戦するには周回プレイが必須だった。
 
問題点
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相変わらず盤面に干渉しづらいシステム
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「カウンター」持ちの魔物でない限り攻撃をブロックしても相手にダメージが与えられないため、除去カードが無いと相手のカードを倒すのが難しい。
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結果、特にストーリーモードではお互いにチームを組んだ強いカードで殴り合うという、良くも悪くもシンプルな展開になりがち。
 
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ストーリーモードの難易度が低い
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ラスボスに至るまで、敵があまり強いカードを使ってこないため苦労することは少ない。
 
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周回プレイが面倒
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ストーリークリア後はカードを保持したまま最初からやり直す周回プレイが可能だが、イベントをスキップできないのでテンポが悪い。
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強力なひみつ道具カードなどは1周につき1枚しか入手できないので、通信対戦用などにフル投入するには4周必須となる。
 
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魔物カードのムービーがかなり質素になってしまった。
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まず、ムービーのあるカードが「ボスキャラが切り札として使う魔物カード6種」だけになってしまった。
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リメイク前で印象深さを残した「まかいのにんぎょ」「まかいのハイエナ」「まかいのもうじゅう」といった魔物にもない。「ツノクジラ」は前述の「ボスキャラが切り札として使う魔物カード」の一種の為、ムービーがあるが。
 
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他にも「ドラゴン系のカード」などのかなり攻撃性能の高いカードもあるが、ムービーがない。また、そのムービーも「3か所のアップが映った後、全体像が映るだけ」というだけになってしまった。一応、エフェクトはついているが。
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もっとも、本作は前作と違ってムービーを一から作らなければいけないというのもあるが…
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前作の恐竜カードの3Dグラフィックは色や模様を除いて「古代王者 恐竜キング」から流用していた。ただし、本作発売時点では登場していない恐竜に対しては一からの製作だが。
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ただし、「まかいのハイエナ」「まかいのもうじゅう」は原作漫画の絵に色をつけて流用している事を考えると、「リメイク前の映画を流用」という手も使えたかもしれないが。
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「まかいのにんぎょ」の絵は描きおろし。頭身が下げられている他、赤い髪の個体しか描かれていないが…
 
 
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前作の恐竜カードと比べると、魔物カードの解説が減ってしまった。
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前作の恐竜カードは表に「カードの効果」、裏に「説明文・体長・発掘地・時代・食性」が個別に用意されていたが、今作はそれがカードの表に「カードの効果」と「説明文」が一緒に書かれているだけなり、情報量が少なくなった。
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もっとも、書く事がそんなにない魔物カードもある。「美しい姿の魔物です」といった「マーマリア」など、解説が一言で済まされている魔物カードもある。
 
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過度に強化された「ハヤテ」
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本作ではルールが変更され複数回攻撃可能になったことで、相対的にハヤテが強化、そのため
0コスト
のハヤテ持ちの魔物「あやかしこうもり」が過度に強い。
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また本作には先攻1ターン目は攻撃できないルールは無い、そのため先攻1ターン目でハヤテで攻撃され、そのまま押し切られることもザラ。
 
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相変わらず過度に強力ななひみつ道具「わすれろ草」
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前作で猛威を振るった「どくさいスイッチ」、「バショー扇」はコストが1上がり、さらにはルール変更で複数回攻撃可能になったことで相対的に弱体化したが、わすれろ草は何と
コスト、効果ともにそのまま
。
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本作ではステップがなくなったことで、先述したハヤテで攻撃してからわすれろ草で手札を戻し、再びハヤテ持ちの魔物を出して攻撃する戦術がシンプルながら強力。
 
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本作はカードショップに入店する時に店員のあいさつが入る為、買い物のテンポが悪くなった。
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カードショップ「カードパック購入」と「対戦後のカード入手」では既に「デッキに入れられる最大限の持っているカード」や「シングルカード」の「既に持っているカード」も普通に出る点も共通。
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リセマラはきくが、前述の「入店時のあいさつ」の点により、効率が悪くなった。
 
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前作では「レプリバトルがどういうものかわかりにくい」という点があったが、その点は改善されなかった。
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前作では後に「レプリカードから実体化する」というのがわかるシーンがあったが、今回にはない。
 
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敵側を操作して対戦できるモードは導入されなかった。
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UI面の問題
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カードのコストをカーソルを合わせないと確認できない。
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相手のポケットのカードを確認するための操作が煩雑で面倒。
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また、チームを組むときは「魔物カードを選んで、その次にキャラクターカードを選ぶ」といった方法のため、チームを組むときの操作性が悪くなった。
 
総評
前作からルールがブラッシュアップされ、完成度の高いシステムになっている。
ニンテンドーDSで本格カードゲームが遊べる作品は貴重であり、隠れた良作と評価されることも多い一本である。
最終更新:2023年12月24日 13:56