うチューしんしゅチュー

【うちゅーしんしゅちゅー】

ジャンル アクション
対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 サクセス
配信開始日 2021年3月18日
定価 800円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1箇所・オートセーブ方式
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 宇宙が舞台の敵全滅系横スクロールアクション
チューで敵を仲間化、そしてボスと和解
アイディアは光るがボリューム不足


概要

サクセス発売によるNintendo Switch専用ダウンロードソフト。同社としては珍しいダウンロード専売のアクションゲームでもある。

ジャンルは敵を全滅させる事が目的の横スクロールアクションゲーム。ただ設定上でいえば全滅ではなく、あくまでも相手の仲間化・和解化が目的といった方が正しい。
宇宙からの侵略者に対し1人の少女「サタデーちゃん」が5つの惑星を舞台に、平和的手段で地球侵略の阻止と宇宙進出を目指すストーリー設定。
その平和的手段とは「チュー」、すなわち侵略者にキスをして虜にしてしまうというもの。突っ込みどころは多々あるが、本当にそういう設定なのだから仕方がない。


ゲームルール

  • ゲームの流れ
    • 「月」「火星」「タイタン」「クリーゼ」「ケプラー」の各惑星を順々に攻略していく。
      • 各惑星は5ステージ構成で、ステージ1~4は通常戦、ステージ5はボス戦でのバトルが行われる。ステージ環境やクリア条件については下記を参照されたし。
      • すべての惑星をクリアすると敵の強化がなされた2周目が始まり、それもクリアすれば黒幕であるラスボスとの最終戦となる。
    • プレイを一旦中断し後に再開する機能はあるが、ステージセレクトは搭載されていない。
  • 操作体系
    • 主な操作はサタデーちゃんの移動とジャンプ、及び攻撃を行う形となる。
      • アナログスティック等で左右移動としゃがみ。ジャンプボタンでジャンプ。上の地形にいる状態にスティック下とジャンプボタン同時押しでそこから降りられる。
      • チューボタンでチュー。投げボタンで敵投げ。選択ボタンで仲間にした敵の選択を行う。どの操作もジャンプ中で行う事も可能。
    • 本作における特徴的な攻撃手段(?)である「チュー」には以下の性能があり、本作を攻略する上での最重要課題となってくる。
      • 操作を行うとサタデーちゃんの前方にチューをし、チューが成功すれば通常敵の場合は仲間化、ボスの場合はハートゲージを1ポイント上昇させる効果。
      • チューはリーチが短い上に隙が大きく、敵の動きを先読みする感じで行わないと大きな危険を伴ってしまう*1
    • 仲間化した敵はストック可能で、「敵投げ」をするとストック消費と引き換えにサタデーちゃん前方へと敵を投げる。
      • 敵投げを行った先にぶつけられた他の敵を停止状態*2にする事ができ、そこからチューのチャンスが狙える。ただし、ボスにぶつけても大きな効果はない。
      • 通常戦における敵は各ステージにつき2~3種類おり、仲間化した敵は最大4種類までストック可能。ストックは次ステージへと持ち越しができる。
  • ステージクリアとミス条件について
    • 通常戦ではすべての通常敵を仲間化した後に「ゲート」を潜れば、ボス戦ではボスの「ハートゲージ」を満タンにさせればステージクリア*3
      • 通常戦ではスクロールが左右方向へとループするため行き止まりは発生せず、ボス戦ではスクロール範囲が狭い。なお、全編通して左右以外のスクロールはない。
    • サタデーちゃんが敵やその攻撃に触れるか落とし穴に転落するとミス。ミス後はステージ最初からのやり直しとなる。
      • ミス後はそれまでストックしていた仲間が全消滅してしまうペナルティ。残機やゲームオーバーの概念はなく、あきらめない限りは何度でもリトライ可能。

評価点

  • チューで万事解決なユニークさ
    • チューという平和的手段で敵を仲間にしていくという発想がバカバカしくて非常にユニーク。
      • あらゆる敵をチューして解決」というほんわかムードの作風であり、グラフィックやキャラクターデザインに関しても可愛らしいもので統一されている。
      • 武力行使抜きな割に「仲間にした敵を投げつけて使い捨てにする」行為が矛盾している気もするが、細かい事は気にしてはいけないのだろう。
      • 異形の異星人に対してチューをしかけるサタデーちゃんの度胸が何気に凄い。地球人の愛情表現が宇宙規模で伝わるチューの万能さもこれまた凄い。
  • コズミック感溢れる良質BGM
    • 曲数はさほど多くないもののBGMの良質さに本腰が入っており、コズミック感溢れるBGMがゲームを盛り上げてくれる。
      • スタッフ側もBGMをプッシュしているのか、公式HPにおいて作中BGMの試聴動画が聴ける。ただし、各曲の演奏時間は短めに収まっている。

問題点

  • プレイボリュームはさほど高くない
    • 25ステージが2周分(+ラスボス)しかなく、思いのほかにあっさり気味にオールクリアできてしまう節がある。
      • 各ステージにおけるクリア時間もさほど長引くものではなく、おおよそ3分前後でクリアできる。ミスの繰り返しも含め、総合プレイ時間は推定2時間ほど。
    • 通常戦における敵の種類は「全惑星に登場する敵1種類」と「惑星別で登場する敵各1~2種類」のみで、どのステージもあまり大きな変化が見られない。
  • ボス戦における運依存率
    • チューの隙が大きい事に加え、ボスの攻撃パターンがランダムである事もありボス戦の攻略が安定しにくい。
      • ボスの怯みモーションが発生せず、チューを決めたとしてもゼロ距離からの回避不能攻撃を容赦なく仕掛けてくる。一撃ミスなのでごり押し撃破もほぼ不可能。
      • 特に火星とケプラーのボスは凶悪で、運任せのチューをしないとまともな撃破は困難。一方でラスボスは攻撃パターンが見極めやすく、楽に撃破できてしまう。
    • 通常戦に関しては敵の配置や動きがほぼ固定であるため運が絡む心配はほとんどないが、敵のすばしっこさもあり慣れない内はミス連発をしてしまいがち。
      • とはいえ敵の動きは規則的に動いているに過ぎず、動きを観察すればチューや敵投げが容易に決められる。制限時間もないため、急ぐ必要は全編通して薄い。
  • やり込み要素やステージセレクトが非搭載
    • スコアやクリア時間の記録などのやり込み要素やステージセレクトが搭載されておらず、一度クリアしてしまうとそれ以上のプレイができなくなる。
      • オールクリア後はプレイデータを初期化しないとゲーム本編がプレイできない。オールクリア後の特典はエンディングの再鑑賞のみ。

総評

チューによる敵の仲間化や和解化でクリアを目指していく設定はユニークで、出オチ気味なゲームタイトルとは裏腹に意欲的な面白みが堪能できる一作。
しかしながらアイディアは光るもののボリュームや作り込みの不足感も散見され、色々と惜しい出来ともいえる。

最終更新:2021年07月29日 05:38

*1 本作における敵は非常にすばしっこく、敵によっては回避困難な攻撃をゼロ距離で放ってくるため、チューがすかると高確率でミスとなりやすい。

*2 敵によっては複数回の敵投げをぶつけないと停止にならない場合もあり。

*3 ボスは仲間化できない代わりにチューによる「和解」という形で倒せる(?)。なお、ボスのハートゲージの上限は後発の惑星になるほどに高くなる(最大で9ポイント分)。