RESISTANCE 人類没落の日

【れじすたんす じんるいぼつらくのひ】

ジャンル FPS
対応機種 プレイステーション3
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 Insomniac Games
発売日 2006年11月11日
定価 5,980円
レーティング CERO:C(15才以上対象)
廉価版 PlayStation 3 the Best
2008年3月19日/3,800円
2009年12月3日/2,980円
判定 良作
ポイント PS3のローンチタイトル
『RESISTANCE』シリーズ第1作
歴史改変SF調の対キメラ戦争
RESISTANCEシリーズ
人類没落の日 / 2 / 報復の刻 / 3 / アメリカ最後の抵抗
PlayStation Studios作品



人類の運命は、一人の男に委ねられた



ストーリー


1920年代、キメラの脅威は、ロシアからの生科学実験の報告から始まった。

発生源不明で増殖速度が破滅的に早く、さらに感染によって別の生物へと変異してしまう新種のウイルス「キメラ」が漏れ、村々が一夜のうちに壊滅したという知らせがあり、さらには大きな町が滅んだという情報もあった。

1930年代後半。欧州各国は一団となってロシアとの国境を封鎖。漏れ出したキメラ達は、それから10年以上に渡って封印され、静かに潜伏していた。

しかし1949年に、キメラの軍勢は突如として封鎖を破り侵攻を開始。圧倒的物量と謎の超兵器を用いた彼らはたった数週間で欧州全土を制圧し。海を隔てたイギリスすらも3ヵ月で壊滅した。

1951年7月11日。検閲と封鎖によって安全を保っていたアメリカ合衆国はイギリスの残存勢力と交渉し、イギリス領土をキメラから奪還すべく極秘に軍隊を送り込む。その1人、米陸軍軍曹ネイサン・ヘイルは、降下してすぐにキメラの軍勢に襲われウイルスに感染してしまう。

しかし、ネイサンはウイルスに感染しながらもなぜかキメラへと変異を遂げることはなかった。感染によって偶然に得たキメラ固有の能力を活かし、ネイサンはイギリスの奪還に挑む。


概要

PS3のローンチタイトルにして、後に複数の続編が展開された『RESISTANCE』シリーズの第1作。
開発を担当したのはPS『スパイロ・ザ・ドラゴン』や、PS2『ラチェット&クランク』で高い評価を得ていたInsomniac Games。これまで通り、販売はSCEが行った*1
SF作品ではあるが年代設定は1951年となっており、SF的ガジェットと古風な風景の入り混じった独特な世界観を特徴としている。

オンラインサービスは2014年3月27日をもって終了。ファミ通


ゲームシステム

基本システム

  • 操作スタイルはPS2期のFPSをベースにした内容。アナログスティックで移動と視点制御を行い、Xでジャンプ、L2でしゃがむ。

ゲーム進行

  • キメラの蔓延るイギリスに降下したアメリカ陸軍軍曹ネイサン・ヘイルとなり、領土奪還のため奮闘する直線形式のFPS。
    • ゲームはチェックポイント制を採用しており、一定のエリアに到達するごとに進行が記録される。死亡した場合は直前のチェックポイントまで戻される。

体力

  • 体力はポイント制で、ダメージを負うと減少していく。HP表示は4つのブロックに分かれており、右のブロックから順番に消費されていく。
    • 一定時間ダメージを受けずにいると、4つのうちHPが残っているブロックが完全に埋まるまで体力が回復する。
    • 一旦空っぽになったブロックは自然回復できないが、時折入手できる黄色い「キメラ血清」を手に入れることでブロックを満タンにすることが可能。

武器

  • R1でプライマリウェポンを発射し、L1でセカンダリウェポンを発射、R3押し込みでADS(ズーム)視点に切り替え、□でリロードを行う。R2を一回押すと武器が次に切り替わり、R2長押しで直接選択を行う。
    • 武器種は米国陸軍のカービン銃、狙撃銃、ショットガン、ロケットランチャーといった一般的なものに加え、キメラ軍の使用するブルズアイ(アサルトライフル&ホーミング)、オーガー(壁貫通&シールド展開)といった特殊な効果を持つ兵器、火炎放射器や跳弾銃といった試作兵器など11種。
    • また手榴弾も方向キー上下で選択、〇で投擲することができ、接近された場合は△で近接攻撃を繰り出すことができる。

収集要素

  • マップの随所に機密文書が隠されており、収集していくことで文献を通じて世界観やゲーム展開をより深く知ることが可能。
    • 機密文書以外にも武器の取得などにも伴って文書が解禁されることがあり、セレクトボタンでいつでもチェックすることができる。

評価点

美しいグラフィック

  • PS3ローンチタイトルという最初期の作品ながら、グラフィックはそこそこ高品質で後のFPSと比較しても遜色ない出来栄え。
    • 破壊しつくされ土埃の舞う市街地、異質さの漂うキメラの加工基地など、古めかしい映画の質感を意識したイギリスの雰囲気は非常に美しい。

独特なレトロフューチャー世界観

  • 第二次世界大戦が勃発せず、ヨーロッパ各国がキメラに支配された架空の1950年代を題材にした世界観は独特。
    • 登場する兵器類も人間工学を取り入れたストック形状、オスプレイを彷彿とさせるティルトローター機など格好良くも意図的に時代錯誤感のある造形で纏められており、対するキメラ軍の施設造形や武器構造の異質な文明感もしっかりと差別化されている。
    • 人を加工して生み出されるキメラたちの生態系やその製造過程についても、設定から造形までしっかりと練られている。本編中の複数の場面で回想という形で解説されるため、プレイヤーはそのおぞましい変異ぶりを観察しつつ進んでいくことができる。

充実した多人数プレイモード

  • PS3本体と同時発売のローンチタイトルというのもあってか、複数人でプレイ可能なモードも充実している。
    • キャンペーンではシングルプレイはもちろん、画面を分割しての2人協力プレイも可能。このモードのみどちらかのプレイヤーが死亡してももう片方が蘇生することができ、不慣れなプレイヤーであっても相手のサポート次第である程度進めるようになっている。
    • また、オンラインマルチプレイも全6種のルール・最大40人規模での対戦が可能となっているほか、『ゴールデンアイ 007』風の画面分割4人対戦が可能なオフラインマルチプレイも用意されている。

賛否両論点

独特なキー配置

  • 慣れれば問題ない程度だが、操作性はやや独特。L1がADS視点切り替えではなくセカンダリ発射のため、後の『CoD』などのFPSに慣れた大抵のプレイヤーはイギリスに降り立ってまず銃を構えようとしてグレネードを撃つ。
    • R3押し込みによるADS視点は切り替え式だが、L1よりも押す操作が特殊なため頻繁に切り替えるには慣れが必要。
    • こういった仕様上、本作にはADS切り替え時のオートエイムなどの親切機能が搭載されていない。

問題点

やや怪しい翻訳

  • 通信開始を意味する「Sergeant,Come in」を「入りなさい、軍曹」と直訳する、「Welcome to end of the world!」を「戦争へようこそ」と翻訳するなど、プレイに支障はないもののやや怪しい翻訳箇所が複数存在する。

ダッシュ不可

  • 通常時の移動速度が微妙に遅いが、ダッシュすることはできないため後のFPSと比較するとやや機動力に欠ける。

覚醒前の回復手段がない

  • 本作では序盤である程度進めると主人公ネイサン・ヘイルがキメラウイルスに感染し、その後キメラ特有の代謝能力や血清を利用して体力の回復が可能となる。
    • しかしそこに辿り着くまでは体力回復用の血清が配置されていないため、ダメージを負ってブロックを空にしても一度死んでチェックポイントからやり直す以外に回復する方法がない。
    • このせいかやや最序盤の難易度がシビアに設定されており、慣れない間は何度も死ぬ羽目になる。

やや不便な戦車搭乗時の操作

  • 本作ではステージの途中で戦車に乗ることができる場面が存在するのだが、この戦車の操作性が若干悪い。
    • Lスティックで視点方向を基準とした前進・後退、Rスティックで視点移動を行うようになっており、前進・後退を入力した場合は自動的に砲塔が向いている方向に進路を変えつつ視点の先へと進む。このため横方向に移動しながら視界の先を掃射するといった挙動ができず不便。

総評

手堅く作りこまれたローンチタイトルであり、PS3におけるFPS作品の可能性を世に示した作品。
さすがに後の同ハードの多くのFPSと比較すると不完全や不親切な部分も否めないが、PS2向けタイトルとは一線を画すグラフィックや独特な効果を発揮する各種武器、それによってもたらされるオリジナリティのあるゲーム性が評価され高い人気を得た。
PS3向けFPSの陣頭を務めるにふさわしい、良質な作品となっている。


余談

  • 後の作品では存在するブルズアイやオーガーといったキメラ武器用のサイトは本作の通常には搭載されておらず、R3でADSモードに切り替えるとそのまま画面がズームする。このため、オーガーの壁越し射撃にはコツが必要*2

続編・派生作品

  • 『RESISTANCE 2』(PS3 2008年11月13日発売)
    • ナンバリング第2作。本作から2年後となる1953年のアメリカを舞台に、ネイサン・ヘイルの新たな戦いを描く。
    • キャンペーンは分割画面は出来ないが、サブストーリーでオフラインでもオンライン同様のマップで最大8人のCO-OPプレイが出来る。
      • この『2』以降のシリーズ作品は全て日本語吹き替え仕様となっている。
  • 『RESISTANCE ~報復の刻~』(PSP 2009年3月12日発売)
  • 『RESISTANCE 3』(PS3 2011年9月8日発売)
    • ナンバリング第3作。『RESISTANCE』シリーズ3部作の完結編。舞台は『2』から4年後となる1957年。完全にキメラによって支配された世界で、主人公であるジョセフ・カペリがレジスタンスとして戦う。
    • PS Moveでのプレイに対応し、3D映像にも対応している。マルチプレイは2014年4月8日に『RESISTANCE』3部作全てがサーバーをシャットダウンした為、現在『RESISTANCE』シリーズはオンラインを遊ぶことが出来ない。
  • RESISTANCE アメリカ最後の抵抗』(PSV 2012年7月12日発売)
    • シリーズのスピンオフ。開発は『Call of Duty: Black Ops Declassified』を開発したNihilistic Softwareが担当。詳細は作品ページを参照。
    • シリーズとしては本作が最終作となっている。本編開発のInsomniac Gamesは新作を望んでいたようだが、ソニー側がポストアポカリプスのタイトルが自社作品に多過ぎるという理由で開発を承認しなかった模様。
最終更新:2024年11月18日 06:05

*1 当時からInsomniac GamesはPS独占ソフトを数多く手掛けていた為SCE傘下のスタジオだと思われること多かったが、実際にはまだ当時は独立したスタジオでSCEから開発を請け負っていただけだった。

*2 透視スコープこそないものの敵に照準を合わせると照準が赤色に変化するようになっているため、照準の色で壁越しの敵の位置を突き止めることができる。照準が赤い状態で発射すると地形を貫通し、壁の先の敵に命中させることができる。