ウルトラマン 怪獣帝国の逆襲
【うるとらまん かいじゅうていこくのぎゃくしゅう】
| ジャンル | アクション・シューティング |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 発売日 ()は書換開始日
 | 1987年1月29日(1987年3月26日) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 定価 | 3,300円 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ウルトラマン初のゲーム ウルトラマン、怪獣とも高い再現度
 ハヤタ・ウルトラマンとも見せ場が多い
 やたらと非力なダン&ウルトラセブン(セブンファン文句ブーブー)
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| ウルトラマンシリーズ | 
 
概要
円谷プロによって1966(昭和41)年に生み出された日本の特撮を代表する巨大ヒーロー『ウルトラマン』初のゲーム化作品。
横ベルトスクロールのステージクリア型アクションゲーム。
ステージ開始時はハヤタから始まり、エネルギーを集めてウルトラマンに変身して巨大な怪獣と戦う。
本作のクレジットは「BANDAI 1986」となっており、ウルトラマン生誕20周年を狙って制作されたものだが、結果として1986年内の発売は叶わなかったようだ。
ストーリー
あの数々の激闘を終えたウルトラマンは今、故郷のM78星雲に帰っていた。
そして時は流れ現代、かつてウルトラマンに倒された怪獣たちが全宇宙の星々で蘇り、ゼットンに率いられ怪獣帝国を築き上げ、今ここに全宇宙征服を企む怪獣帝国の進撃が始まった。
先に飛び立ったウルトラマンジャック、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウはことごとく罠にはまり捕らえられた。
それを知ったウルトラマンは兄弟たちを助け出すべくM78星雲を後にし、再び地球へ向かいハヤタと融合。新たな戦いに出るのであった。
内容
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ステージはハヤタ(海や空ならハヤタの乗る「S21号」「ビートル」)から始まり、エネルギー球を集める。
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変身前は一発被弾で即死。ハヤタ単身なら左右移動とジャンプ、「S21号」「ビートル」なら上下左右に移動できる。敵に対してはビームガン系の武器で戦い、隠されている科特隊マークを取るとスパイダーショット(連射弾)とマルス133(威力が高く敵を貫通する)が使えるようになる。
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エネルギー球の集め方はそれを牽引している敵を倒したり、倒した敵がランダムで落としたり、敵は落とさないが特定の部分を撃つことで出現したりとステージごとに異なる。
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満タンになると、ウルトラマンに変身できるようになり、ライフ+ダメージ制になる。
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ただし、原作同様に3分間の時間制限が発生し、時間切れで死んでしまうし、穴に落ちても即死。
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変身後はチョップとキックといった肉弾戦とバリアで戦い、残り時間が1分を切るとカラータイマーが鳴り出し同時に「スペシウム光線」「八つ裂き光輪」が使えるようになる。
 
 
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各ステージにボスとして大型怪獣が1~3体おり、それを倒すと次に進める。
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ラストステージ(ゼットン戦)ではハナからエネルギーは満タンですぐ変身できるが、最初にハヤタで頭にペンシル爆弾を当てないとゼットンにダメージを与えられない。しかもこのステージでハヤタはペンシル爆弾を1発しか撃てない。
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外したり撃たないうちに変身したりすると詰みなので自殺してやり直すしかない。残機がなければゲームオーバー確定。
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しかもゼットンに攻撃が通るのは胸のみでジャンプしないと攻撃が届かない。これはスペシウム光線と八つ裂き光輪も同じ。
 
 
登場キャラ
ウルトラ兄弟
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ウルトラマン
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ウルトラセブン
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ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)
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ウルトラマンエース
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ウルトラマンタロウ
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ジャック、エース、タロウの3人はあるステージでボスを倒すと姿を現すだけで操作は出来ない。
 
怪獣(大型)
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ガボラ
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テレスドン
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ゴモラ
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ペスター
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レッドキング
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ジェロニモン
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シーボーズ
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ザンボラー
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アントラー
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チャンドラー
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ドラコ
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ニセウルトラマン
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ザラブ星人
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キーラ
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バルタン星人
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ゼットン
評価点
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キャラゲーとしての出来が良く原作再現度もなかなか高い。
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ハヤタ、ウルトラマンともに活躍でき、またその棲み分けも出来ている。
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ウルトラマンの代名詞「スペシウム光線」「八つ裂き光輪」が使えるのだが、それは1分を切って「ピコーンピコーン」と鳴りだしてから。
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BGMもタイトルからウルトラマン変身中まで、しっかりテレビ放送時のものが再現されている。
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ただし、書き換え版では一部オリジナル曲に差し替えられている。
 
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怪獣にしても、まず飛行スタイルで戦い、倒すと陸上戦で戦うバルタン星人、ニセウルトラマンを倒すと正体を現して引き続き戦闘になるザラブ星人など、ちゃんと特徴を生かしてゲームに落とし込めている。
 
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ウルトラマンにしても怪獣にしても高頭身で、よく描けている。
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しかも、動きも滑らかで操作性も良い。
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特にラスボスのゼットンのグラフィックはファン必見と言えるほどリアルだった。
 
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変化のある展開。
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変身前の状態では陸のようにジャンプを織り交ぜたアクションが中心ながら、海や空のようにシューティングに近いものになるなど、そんなステージが入り組んでいる。
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上述の通り、エネルギー球の出し方も異なるので単調さが無い。
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またステージ5のように、のっけから大型怪獣のシーボーズが走り回っているパターンもある。
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「ひとまず今はやりすごす」という発想ができなければ必死に倒そうとしても倒せず苦汁を味わうことになるが、その発想ができれば先に進んでザンボラーを倒し、クリアにならないことでシーボーズを思い出し倒しに戻る…という攻略法は見いだせる。
 
 
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適切な難易度。
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当時はまだ「容量的な足りなさ」から高難度な傾向にあったが、本作の難易度はそこまで極端なものではなく、比較的広い年齢層がクリアの達成感を得やすい。1ステージごとにセーブできコンティニューも無限にできる。
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ウルトラセブンに交代する2周目は、ヌルいと思った人にとってはやりごたえ充分。
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一通りクリアすると2周目はキャラがウルトラセブン(モロボシダン)になり、敵の耐久力が2倍になるのでグンと難しくなる。
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それが如実に現れるのがザコ敵で、ハヤタでは1発で倒せていたザコ敵でも2発当てなければならないのが効いて非常に難しくなる。
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ザコ敵でも2発当てなければならないのは水中又は空中のウルトラセブンでも同じなのだが、マルス133だと1発で倒せてしまうという矛盾点も出てくる。
 
 
賛否両論点
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相対的にボスにあたる巨大怪獣系が弱く感じる。
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ザコ敵はわりと素早いのがいるのに対し、大型怪獣は鈍いのもいる。
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大型怪獣と戦う場合はライフ制のウルトラマンなので喰らいながらゴリ押すことも可能。片や変身前は一発即死。
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「スペシウム光線」などを使わなくてもチョップ連打で案外ゴリ押せてしまう。
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ウラを返せばこれはウルトラマンが強いというイメージにもつながっている。ただスペシウム光線を撃つまでもなくチョップやキックだけで倒せるのはイマイチ盛り上がりに欠けるかも…
 
 
問題点
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全体的な再現度は高いがゲームとしてバランスを取った分、少々原作を壊している部分がある。
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カラータイマーを取ると1分延長になるのだが、これでは4分戦えてしまう。
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ウルトラマンの3分は象徴的なものなので、これを壊してしまうのは特に大問題ではないだろうか。
 
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ゼットンがでかすぎること。
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実際でかいとは言えウルトラマンの40mに対してゼットンは60mなので1.5倍程度だがゲームでは3倍ほどもある(ウルトラマンの40mと相対的に計れば120mクラスになる)。
 
 
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シューティングステージではウルトラマンが相対的に弱く感じられる。
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飛行状態のウルトラマンはビームを撃つのだが、「S21号」や「ビートル」が撃っていたのと威力が変わらない。
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ゲームでは同じ大きさだが、ハヤタが手で持つビームガンを思えば「S21号」や「ビートル」のそれは大きいはずなのでそう考えれば違和感はないのだが、それでもウルトラマンだからもっと強くあってほしいところ。
 
 
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時々敵怪獣の攻撃が多段ヒットして理不尽な大ダメージを受けてしまうことがある。
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よく発生するのが10面のバルタン星人の飛行形態と戦っているときで、満タンから一気に6~8目盛りくらい減ってしまう。
 
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上記の通り2周目は難易度が爆上がりになるのだが、相対的にウルトラセブンが極端に弱く見えてしまう。
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特にドラコ戦はシューティングステージでお互い飛んでおり、肉弾戦が出来ないので飛び回る相手にチマチマとビームや必殺技を当てねばならず、かなり上手くやらないと火力不足でタイムアップになりかねない。
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もちろんこれもセブンやダンが弱いのではなく敵が強いと考えるべきなのだが。
 
総評
約1メガ弱という限られた容量の中で、キャラゲーとしての再現度も高く難易度もやたら高すぎもせずかといって簡単すぎることもなく適切な難易度と均整の取れたゲーム性。
高難度な部分は割と変身前の部分に集約し、ウルトラマンのパートは純粋に強さを堪能すると言った作りになっているのも強さの象徴的なウルトラマンのイメージを壊さないものであり、キャラゲーとしてもなかなかの仕上り。
ゲーム化する上で、原作の設定を守り切れていない点は少々あり派手さに欠ける部分はあれども、国民的ヒーローであるウルトラマンのゲームデビュー作として充分恥ずかしくないものになった。
その後の展開
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同年末の12月18日に続編の『ウルトラマン2 出撃科特隊』が発売。
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25周年となる1991年にはスーパーファミコンソフトで『ウルトラマン』が発売。
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その後もさすがは日本の象徴的ヒーローということもあって、様々なハードでSDも含め多くの作品が、主にバンダイから発売された。
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またバンダイ系ハード『てれびっこ』『プレイディア』『ピピアットマーク』ではもれなく発売されている。これらはソフト自体が少ないのでウルトラマンの占有率が必然的に高い。
 
余談
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ファミコン通信1987年7号「禁断の秘儀」で「巨大なウルトラマン出現だ!」という裏技が紹介された。
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段差を降りるときや、ゼットン戦でハヤタとして落ちてくる時にスタートを押しっぱなしにしているとこうなるのだが、大きいと言うより胴体と足が切り離されているようにしか見えない。
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ゼットン戦でやると最初のペンシル爆弾を当てられないので詰みになる。
 
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ゼットンを倒したとき頭が爆発して消えてから体が爆発して消えるという演出があるのだが、体が爆発しているときに攻撃するとその度に演出が最初からになり(頭は消えたままだが、頭があった所から爆発しなおす形)消えずにいつまでも爆発し続け時間切れまで叩き続けられる。全く意味はないが。
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ハヤタ状態の難易度の高さを考慮してか、簡単なコマンドで無敵になれる裏技がある。
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あくまで無敵状態なのはハヤタの時のみであり、ウルトラマンに変身すると効果は切れる。また、最終面のゼットンの攻撃のみ無敵状態でも即死する。
 
最終更新:2023年10月28日 15:51