Styx: Master of Shadows

【すてぃっくす ますたー おゔ しゃどぅ】

ジャンル ステルスアクション
対応機種 Windows Vista sp2/7/8/10
発売元 パッケージ版: Focus Home Interactive
配信: Cyanide Studio, Nacon*1
開発元 Cyanide Studio
発売日 2014年10月8日
定価 2,980 円(発売時)
プレイ人数 1人
レーティング PEGI:18 (パッケージ版)
PEGI:16(配信版)
廉価版(配信) Steam:2020年11月10日*2/2,050円
参考 Unreal Engine 3使用
判定 良作
ポイント 日本語なし


概要

  • CyanideのアクションRPG『Of Orcs and Men』に登場するゴブリンのStyxの、『Of Orcs and Men』よりも前日譚となっている。
    • 本作はステルスアクションとなっており、敵を倒しても経験値などは得られない。
  • 欧米ではPS4/One版が同日発売となっている。

ストーリー

人間は永らく世界樹を管理していたエルフと協定を結び、空中に浮かぶ世界樹を管理する権限を得た。この事により、世界樹が生み出すamber(琥珀)が人間界で麻薬として流通している。
ゴブリンのStyxは世界樹の心臓を手に入れたいという欲望が抑えられず、人間が世界樹の周りに築いた要塞に侵入したが、人間に捕らえられてしまう。

システム

  • ストーリーは1本道であり、ステージ内の行動によってストーリーが分岐したりしない。
    • ストーリーは分岐しないが、仲間からの「裏切り者を殺して死体を持って帰ってくれ」という依頼(任意)をこなすと、次のミッションのマップ内でその死体が吊るされている、などいうイベントが起こったりする。
  • 本作はHP制となっているが、HPのバー表示はあるものの具体的な数値は表示されない。
    • HPは敵からの攻撃を受けた際に減る他、高すぎる場所からの着地によっても減る。本当に高すぎると即死する。
  • 難易度
    • Easy、Normal、Hard、Goblin Style の4段階がある。ミッション中ですらオプション設定で難易度の変更が可能。
      • そもそも主人公は人間とは全く姿が異なるため、Easyでも至近距離では秒以下の目撃で発見される。変装システムなんて無い。

Styxの能力

  • ステルス能力
    • マップ内には明るいところ、暗いところがあり、暗いところでは敵に見つからずに行動することができる。
      • 十分暗いところではStyxの肩の琥珀の痣が光り、隠れきれていることが分かる。
      • 松明を消すことで暗くすることができる。ただし消せるのは松明だけであり、ランプは消せない。シャンデリアは落とすことができるものがある。
        消した松明に火を点ける敵がいる。『Metro 2033』のようにそのことを利用することもできる。
        砂の玉を投げて、遠くから松明を消すことができる。ただし、持ち歩ける砂の玉は最大5個まで。エリア内に無限に砂が取れるポイントが有る場合がある。
        松明を消すときには音がする。このため、消す時にその行動がバレるという危機がある一方で、砂の玉で消した場合は敵の注意を逸らせる事も可能。
    • カバー状態
      • RT押しっぱなしで壁に張り付くことができる。カバー中はステルス性が増す。
      • スキル解放によりカバー状態からのステルス殺が可能となる。
    • 隠れる
      • クローゼット、箱、壷、マンホールなどに隠れることができる。
      • なお、クローゼット、箱には敵の死体が 1体 収納可能。『HITMAN』シリーズは2体収納可能なので、やや渋い。
        酸を使って死体を溶かすことができる。ただし、酸はマップ内にほとんど落ちていない。
        断崖絶壁から死体を捨てれば同じ場所から何体でも捨てられる。ただし、階下の敵に落ちてゆく死体を見られたら意味がない。
    • スリ
      • 敵に見つかっていない状態で背後から敵のお腰につけたアイテムを盗むことができる。
      • なお、敵のお腰に薬瓶が付いている状態で殺すとビンが割れて使い物にならなくなるだけでなく、ステルス殺で殺してもビンが割れる音が響いて周囲の敵に気づかれてしまう。
  • amber(琥珀)能力
    • 世界樹のamberを消費することで発現可能な能力
      • amber-vision
        敵の位置や、使用可能なギミック、取れるアイテムなどをハイライト表示する。仲間の書き残したサインはこの方法でしか見えない。
        早い話が『HITMAN』のインスティンクト能力である。ただし、ゲーム開始時は『HITMAN』のように壁越しの物までは見えない。スキルのアンロックで壁越しのものまで見えるようになる。
      • クローニング
        自身のクローンを生み出して遠隔操作する。どう使うかはプレイヤー次第。クローンに人権はないのか!?
      • 透明化
        ごく短時間透明になれるが。多量のamberを消費する。なお『Of Orcs and Men』のStyxにも透明化の能力がある。
  • talent(能力)ツリー
    • 本作はステルスアクションとなっており、敵を倒しても経験値などは得られない。一方でミッションタスクを完了することでスキルポイントが得られる。このスキルポイントを消費して能力upが可能。
      • スキルポイントの振り直しは"隠れ家"でのみ可能。
      • ミッションのタスクは、ミッションクリアでメインタスク完了となる他、各所に落ちているtoken*3を収集する、どこかに落ちているTreasureを見つける、仲間からの特別な依頼(おつかい)に応えるなどがある。

評価点

  • 圧倒的な自由度
    • 多彩な殺し方
      • 通常戦闘は『The witcher』のような地味な剣戟アクションとなっている。
        騎士やエルフなどの一部の敵の攻撃は全く受け止めることが出来ず、負け確定となる。
      • ステルス殺
        背後からXボタン押しっぱなしでステルス殺となる。操作方法が『HITMAN』と似ているのは気のせい。
        こちらも騎士には通用しない。
      • 事故死
        シャンデリアを落として下にいる敵を殺したり、壁際にいる敵を突き落としたりするという『HITMAN: BLOOD MONEY』で取り入れられた"事故死"の概念が導入されており、"事故死"した場合は敵による犯人探しは行われないものの、目撃者がそのままずっと現場に張り付くことがある。
      • 毒殺
        食べ物、飲み物に毒を仕込める。こちらは"事故死"とは判定されず、敵は巡回路を警戒シフトに移行する場合がある。また、1度毒が仕込まれた食べ物は他の敵はもう口をつけない。そのため敵の行動パターンに変化がある場合もある。
      • スキルupにより殺し方が増加
        たとえば、カバー状態からのカバー殺が可能になったり、クローンをクローゼットなどに潜ませて、その前を通った敵をクローゼットに引き込んで殺させることができるようになったりする。
    • 広いマップ
      • 各ミッションは3-4個のエリアマップに分割されているが、これが予想外に広く、『HITMAN: BLOOD MONEY』の1つのマップよりやや広く、圧倒的に複雑である。このため、単に脱出が目的である場合でも、どのルートをたどるかを選べたりする。
  • 豊富なボリューム
    • 本作は、序章+7章の計8ミッションもあり、しかも各ミッションが3-4のエリアに分割されている。前述通り1つのエリアが『HITMAN: BLOOD MONEY』の1つのマップよりやや広く、圧倒的に複雑である。
      • ただし、マップの使い回しがあり、マップは14種類で、基本的に往復で2回ずつ通ることになる。それでもこの価格で14種類のマップがあるのは非常に多いと言える。
  • 小気味の良いジャンプアクション
    • 主人公のStyxは小柄なゴブリンなので、身軽であるという設定から驚異的なジャンプ力を有する。このジャンプ力を活かし、マップ内を縦横無尽に飛び回れる。
      • ただし、派手な表現がある『Darksiders II』のジャンプアクションの小気味よさには微妙に届かない。
      • マップ内に意味ありげにフック付きのロープが垂れ下がってるオブジェクトが何箇所もあるが、このオブジェクトに当たり判定はなく、残念ながらワイヤーアクションは出来ない。

問題点

  • ミッションの再プレイの区切りが長すぎる
    • インターミッションの「隠れ家」からミッションの再プレイが可能となっているが、再プレイの範囲がミッションまるまるとなっており、長すぎるボリュームとなっている。
      例えば『Sniper: Ghost Warrior 2』などではミッション内の各ステージごととなっている。ミッション内の1エリアのみの再プレイぐらいのボリュームでないと気軽に再プレイしようと思えない。
      • システム的にミッションの評価がミッション全体を通して評価される仕様のため、リプレイの範囲もミッション全体となるのは仕方のないことではあるが。そもそもミッション全体を通して評価するというシステム自体が長すぎるのではないか。
  • 後半にマップの使いまわしがある
    • 既に攻略済みのマップであるので、勝手が分かっており、新鮮味に欠ける。
    • ただし、敵の警備は強化されているので、ヌルく感じたりはしない。
  • 敵の一部の挙動が理不尽である
    • 巨大ゴキブリはプレイヤーだけを襲い、人間を襲わない。
    • "呪われた魂"の存在そのものが理不尽
      • "呪われた魂"は空中をさまよっており、主人公やクローンが近づくと自爆攻撃を行ってくる。ジャンプやローリングで避けることになる。
      • 投げナイフなどのこちらからの攻撃は全く効かない。
      • 大半の"呪われた魂"は主人公がジャンプするであろうところの上空に配置されており、避けようがない場面が多い。
      • ゲーム内のヒントでは、クローンを偵察に送ってクローンに犠牲になってもらうのが効果的と書かれている。
      • ただただ煩わしいだけの存在であり、ゲームを面白くしているとは到底思えない。

総評

暗殺が目的ではなく、盗みと脱出が主体のステルスアクション。ただし、仲間からの暗殺依頼はある。
どこを通るのか? 敵を殺さずに通過できるか? 殺すならどうやって? 死体はどこへ隠す? そういった判断がすべてプレイヤーに委ねられている自由度の高いステルスアクション。
いろんなステルスアクションの良いとこ取りなシステムも相まって、ステルスゲームが好きな人ならたまらない内容であろう。ただし、Easyでも敵にすぐに発見されるため初心者が最初に手を出すべき難易度ではない。
ストーリーは序盤は伏線のみだが、中盤にあるまさかのどんでん返しはインパクトが有る。

後の展開

  • 2017年3月15日に続編の『Styx: Shards of Darkness』が発売されている。
最終更新:2021年12月12日 23:32

*1 しかし、Steam版でも起動時に Focus Home Interactiveのロゴが出る

*2 値下げ日

*3 ロシア語版はロシア語でコインの意味の語に翻訳されているらしい