HITMAN: BLOOD MONEY
【ひっとまん ぶらっど まねー】
| ジャンル | 暗殺ステルスアクション |  
  
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| 対応機種 | Xbox 360 Windows XP/2000
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| 発売元 | Eidos
 Interactive ズー(Win日本語版のみ)
 IO Interactive(Steam/GOG配信版)
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| 開発元 | IO Interactive | 
| 発売日 | 【360】2007年8月30日 【Win日本語版】2007年11月30日
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| 定価 | 【Win日本語版】4,980円 (5%税込) 【Steam】1,220円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:Z(18才以上のみ対象) | 
| 配信 | Steam(日本語なし) :2006年5月30日 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 暗殺アクションシリーズ第4作 「事故死」システム登場
 出来ることが大幅増
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| ヒットマンシリーズ | 
 
概要
要人暗殺を題材とした人気ステルスアクション『HITMAN』シリーズの4作目。
本作が発売された当時、IO InteractiveはEidos Interactiveの傘下会社であった。
事実上、アイドスが買収される前に関わった最後の『HITMAN』シリーズ作品でもある。
ストーリー
アメリカの雑誌記者Rick Hendersonは、米国諜報機関前長官Alexander Leland 'Jack' Cayneのもとにホワイトハウスでの副大統領暗殺事件について取材を行うべく訪れる。
しかしAlexanderはそのことではなく、暗殺を生業とするグローバルな「組織」と、都市伝説として扱われる「エージェント47」というクローンのヒットマンの話について話し始める。
半信半疑のRickに、Alexanderは47の存在する証拠として彼の契約を記した書類を渡す。そこに書かれていた内容は、驚くべき暗殺の数々、そして合衆国で暗躍するある組織の情報だった。
システム
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基本的にはミッションクリア型であり、1つのミッションをクリアする毎に次のミッションが選択可能となる。
アクション
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ワイヤーによる、窓越しまたは頭上からの絞殺が可能となった。
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アイテムを投げる
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一部アイテムの投擲が可能になった。
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ナイフなどを投げての刺殺も可能。投擲で殺害できる得物も豊富に用意されている。
 
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近接攻撃が追加
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素手だけでなく、テイザー銃などの武器を持っての戦闘も可能。
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背後からのステルス抱きつき、そして気絶させることもできれば、人質的な盾にして、他の敵の攻撃を抑止できる。
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正面からもパンチが繰り出せる。ひるんだ敵から武器を奪うことも可能。
 
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リモコン爆弾
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その名の通り、リモコンで遠隔起爆できる爆弾。『HITMAN 2: Silent Assassin』同様、なぜか携帯電話などに偽装されておらず、リモコンだけを持っているだけでもNPCから怪しまれてしまう。
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通信距離には制限があり、爆弾から離れすぎるとリモコンで起爆出来ない。
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例えば、オペラ座の天井裏にあるシャンデリアを吊るすワイヤーのリールに爆弾を仕掛けて、1Fでターゲットの動きを確認しながらリモコンを押しても反応しない。
 
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設置できる場所は限られているが、投げ捨てた爆弾もリモコンで爆破できるため、罠や陽動などにも使える。また、銃撃による爆破も可能。
 
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死体(もしくは気絶したNPC)を隠す
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前作までは下水道など同じ場所に無制限に敵を投げ込み隠すことができた。
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だが、本作ではゴミ箱などが追加され、そこに隠せる身体は各2体までとなった。
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箱やクローゼットを利用しないなら前作同様同じ場所に何人もの身体を積み上げることはできる。
 
 
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変装
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従来通り、殺した敵(本作であれば気絶させた者も含む)の服を奪って変装が可能である。
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観光客など一部NPCからは服は奪えない。
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ただし、銃殺などの殺し方で血の付いた服は変装に使えない。
 
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警備員や作業員などのユニフォームは同じ服を着ているNPCから変装を怪しまれる。至近距離だと変装がバレてしまう。
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なお、ステージ内に47が最初に着ていた服を残して帰還するとスコアから減点される。
 
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最後のチャンスの追加
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前作までは体力が尽きると即座に死亡するが、本作では体力が尽きると一定時間スローモーションになり、時間内に周囲の敵にヘッドショットを5回決めると一度のみ復帰できる。
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一定時間に規定回数のヘッドショットを決められなかったり、復帰後に再度体力が尽きると死亡する。2度目のチャンスはない。
 
 
ミッション評価
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報酬
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ミッションを遂行すると報酬が得られる。スコアによって報酬の金額は変動する。
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報酬によって得られたお金で新規持ち込みアイテムの購入、所持武器のアップグレード、ミッションの情報を買うことなどが出来る。
 
 
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評判
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ミッション後にミッションの内容を報道した新聞記事を見せられるが、そこに容疑者(つまり47)の似顔絵が載っており、目撃者を生存させたまま帰還したり、監視カメラに映ってその映像を消さなかった場合は似顔絵の精度が上がってくる。
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似顔絵の精度が上がると、いくら変装しても怪しまれるようになる。
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ミッション中に非ターゲットの一般人や警官を殺すと評判が悪くなり、ちょっとしたことで一般人が警官に知らせに行くようになる。
 
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報酬で得たお金からマスコミに賄賂を送って似顔絵の精度を下げさせることが出来る。
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ミッション中に新聞や指名手配書などが置かれている場合があるので、拾って(orはがして)見えないところに捨てる必要がある。
 
評価点
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[F1]キーでFPVとTPVがワンタッチで切替可能
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さらに増した自由度の高さ
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前作までの評価点である「いかに行動し任務を果たすか」の自由度がさらに高まり、最高評価である「サイレントアサシン」の取得方法も実質一本道といったことがなくなった。
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今作からできるようになったことが増え、そのシステムを熟知すれば発想次第でさまざまな任務達成方法がある。
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そのため、やりこんだと自負する上級者であっても動画投稿サイトで他者のプレイを見て「そんな方法があったとは知らなかった」というようなことがままある。
 
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前作までは一見自由そうに見えて実際は嫌らしい敵の配置に可能性を潰されていたり、ステージ開始早々ダッシュで行動しないとサイレントアサシンのチャンスが失われてしまったりと、グリッチによってどうにか自由度を担保されてるような部分があった。
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しかし、そうした嫌らしさが軽減され対処法も増えたことで正攻法で自由な攻略を楽しめるようになった。
 
 
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事故死に見せかけることが出来るように
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事故死であればアラート状態にならない。一般人は事故死に見せかけて殺すと評判が下がらない。
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窓際などにいる敵を背後から押して転落死、シャンデリアなどの照明器具を吊り下げるロープや金具を爆破することで落下させ、下にいるNPCを殺害、芝居の小道具の銃を本物の銃にすり替えて殺害、ガス調理器に細工をして爆死、などなど。
 
 
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気絶させるという選択肢が増えた
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首絞めやテイザー銃によって気絶させることが出来るようになった。
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麻酔注射器が追加された。そのまま刺すだけでなく、中身を食べ物に混入しても使える。
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ターゲット以外を殺すとスコアが減点され、一般人の場合は評判も下がるが、気絶させて隠せば減点されない。
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ただし、気絶させる前に顔を見られると似顔絵の精度が上がるため、可能な限りステルスで気絶させる必要がある。
 
 
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アイテムを投げることでNPCをおびき寄せたり注意をそらせるように
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例えば基本装備の1つ「コイン」は投げると落下時に音を立てるため、NPCが拾いに行った隙に死角から潜入したり背後から襲って気絶あるいは殺害するなど戦略の幅が広がった。
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また、コインを投げると現在行われている行動(舞台で行われているリハーサルなど)がキャンセルされ、投げ込んだ47の方向を見つめてくることもあり、終了まで待つ必要があった前作までに比べ時間短縮につながったり、任意のタイミングで終わらせる事で他のNPCと動きをあわせ工作をしやすくする、などやりこみの幅が増している。
 
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ボディチェックがある区域内に区域外からアイテムを投げ入れて"密輸"することも可能。
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敵NPCが武器を見つけた場合は警備員詰め所などに見つけた武器を持って行くが、そうなったとしても警備員詰め所で武器を回収すれば良い。
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逆に、易々と警備員詰め所に入れるのなら、わざと武器を落としておいて敵に回収させて警備員詰め所で敵を待ち伏せするという手もある。
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複数NPCでチームを組んで同じルートを巡回している場合、落ちている武器を見つけた際には1人だけが警備員詰め所に武器を持っていくので、敵を分散させる事が出来る。
 
 
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前作で語られていないことの補完
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前作はほぼすべてのミッションが負傷した47が見る走馬灯であり、幕間のムービーもそれに関連した物のため、第1作のリメイク面が多数ある。
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しかし、なぜ負傷したのかなどの詳細は語られていない。本作のあるミッション終了時に流れる前作へつながるシーンにより補完された。
 
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イースターエッグが多い
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あるミッションにある3軒の酒場にて、とある変装をしている状態でしばらく立っていると47が踊りだす。
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店にかかっている曲がすべて違うため、踊り方も変わるなど芸が細かい。
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他にもイースターエッグが設置されているステージがあり、任務とは無関係だが探す楽しみもある。
 
問題点
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ミッション中のセーブはミッション終了とともに消える
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ミッションの進行度や似顔絵の精度などのシステムデータは当然ながら残るものの、ミッション中のセーブはミッション終了とともに消える。
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ミッション中のセーブは3スロットあるのだが、1つのミッションに予想以上に手間取って時間の余裕がなくなり、泣く泣くミッション中にゲームを終了した場合、ゲームを起動してもミッション中のセーブは残っておらず、またミッションの最初からやり直さねばならない。
 
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このため、まとまった時間がないとプレイできないゲームであり、気軽に遊ぶというわけにはいかないところが難点でもある。
 
 
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チュートリアルが不親切
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アイテムを投げるアクションは本作から導入された新機能であるにもかかわらず、チュートリアルでは「敵の気をそらせ」ぐらいのヒントしか与えられない。
 
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注射器の見分けがつきにくい
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従来の毒物注射器に加え、本作で麻酔注射器が追加された。
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さらに注射器の毒や麻酔は食べ物にも混入させることが可能となっている。
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余談となるが、『HITMAN(2017)』においては注射器の中身を食べ物に混入することはできなくなっている。
 
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しかし、この2種類の注射器のアイコンが見分けがつきにくく、一般人を麻酔で眠らそうとして間違えて殺してしまうミスが発生する。
 
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あまりにも簡単に死ぬNPC
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前述の通り今作からは背後から突き飛ばし転落死させることが出来るが、ほんの少し段差があるだけでNPCは死んでしまう。
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具体的には階段を数段上がった所からやプールにむけて突き落とすだけで即死する。「どこのスペランカーだ?」と言いたくなってしまうレベルである。
 
 
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NPCのラグドールの物理演算
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NPCが死亡するとラグドール状態になるが物理演算が不自然。死亡したとたんに極端にグニャグニャした挙動になってしまう。
 
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評判システムの出来
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新聞記事の出来がやや悪い。まともな文章になっているのは書き出しと締めだけで、多くの内容は殺害者数や発砲数などを強引に羅列しただけで、内容の重複も見られる。日本語訳にも少々難あり。
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人相書きが次のミッションに影響するのは1周目のみ。クリア後のミッション個別のリプレイが主体である本作では死に要素と化している。
 
賛否両論点
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敵を倒しまくっても最高評価が取れてしまうようになった
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邪魔なNPCを大量に気絶させてクリアしても、無殺傷なため最高評価「サイレントアサシン」が取れてしまう。
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倒した敵を隠せる箱もいたるところにあるため、証拠を隠すのも簡単。
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一度隠せば意図的に行動しなければ発見されることはほぼなく、気絶させ身体を隠した者が目覚めることがない。
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そのため、NPCを眠らせ目覚めるまでに手早く行動する、といった必要がなくなったことも上級者から批判される。
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ただ、後の作品でも継続してこの仕様になっているため、一般受けはこちらの方がよかった様子。
 
 
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ステルスゲームとしてはほとんど意味のない報酬制度
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ステージクリア時に報酬がもらえ、それをベースに武器のカスタマイズやアイテムの購入が可能であるが、これがステルスゲームとしてはあまり機能していない。
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武器に関してはハンドガンとショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフルを強化可能だが、ステルス性を重視する場合、ハンドガンとスナイパーライフルくらいしか使い道がない。それらもせいぜいサイレンサーをつける程度で、それ以外の強化は使い道に乏しい。
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アイテムに関してはピッキング速度向上は安定して役立つものの、後は極めて局所的か完全に戦闘用で、ステルス目的では使い道に乏しいものばかり。変装したら効果がなくなるなど、完全に無意味なものもある。
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殲滅プレイやネタプレイをする上ではそれなりに役に立つが、報酬はステルス性が高いほど高くなるため、初心者救済とも言えない微妙な仕様である。
    
    
        | + | しかも…(ネタバレ注意) | 
最終ミッションでは強制的に装備が二丁拳銃になり殲滅がクリア条件になるものの、なぜか無強化で強化アイテム周りもすべて取り外されてしまう。
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総評
既に十分な評価を得ていた『HITMAN』シリーズの4作目。これまでの作品で築いた評価に甘んじず、多くの新機能が採り入れられた。
観光客がいる南米のワイン醸造所、さらに改築中で作業員も入り込んでいるオペラ座などNPCだらけのミッションは軍事施設メインの『メタルギア』シリーズでは味わえない、本作以降のシリーズならではのものである。
新機能の大幅追加による自由度の向上は作品の完成度をさらに高めており、いろいろ試したくなり、ワクワクさせられる作品に仕上がっている。
その後の展開
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2007年にエージェント47が主役のオリジナルストーリーの映画版『HITMAN』が欧米で公開された。ヒットはしなかったが、興行収入は黒字だったそうである。
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2009年にIO Interactiveは親会社のEidos Interactiveごとスクウェア・エニックスに買収され、同社の完全子会社として存続していた。
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そして、2017年にIO Interactiveは経営陣による自社株購入及び親会社の子会社運営撤退によりスクウェア・エニックスから独立している。IO Interactiveにとっては2004年のEidosの買収により傘下会社となってから再び独立した形でもある。
 
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2012年12月に5作目の『Hitman: Absolution』が発売されている。同作で一旦シリーズは一区切りを迎えることになる。
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今作を以てシリーズの楽曲制作を担当していたイェスパー・キッド氏が降板し、次回作よりゲームシステム・UI・ゲームの世界観と雰囲気が一新されるなどしている。
 
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本作のHDリマスター版が『Hitman HD Trilogy』(2013)に、4Kリマスター版が『Hitman HD Enhanced Collection』(2019)に収録されている。
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日本語版は前者は未発売。後者は収録内容のうち 『Absolution』のみ単品販売され本作は未発売。
 
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2023年10月4日に本作のiOS/Android/Switch向け移植版『Hitman: Blood Money Reprisal』が発表された。iOS/Android版は2023年秋、Switch版は同年冬に発売予定。
最終更新:2023年11月03日 19:29