リトルマスター ライクバーンの伝説

【りとるますたー らいくばーんのでんせつ】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ゲームボーイ
発売元 徳間書店インターメディア
開発元 ツェナワークス
発売日 1991年4月19日
プレイ人数 1人
定価 4,200円
判定 良作
ポイント コミカルなファンタジー系シミュレーションRPG
多彩なギミックとミッションに富んだマップ
ポケモンの先駆者的存在?
コアラは竜(ラスボス含)より強し!
リトルマスターシリーズ
リトルマスター ライクバーンの伝説 / リトルマスター2 雷光の騎士 / リトルマスター~虹色の魔石~


概要

ファンタジー系のシミュレーションRPG。
勇者の少年リイムがたくさんのモンスターを率いて魔王討伐に向かうと言う、当時の王道路線とは一風変わったものになっている。

モンスターを育成したり合体させたりと、先行の『女神転生』の影響*1を窺わせつつ、作風は後の『ポケットモンスター』に通ずる雰囲気もある。
モンスターをはじめキャラはコミカルだが、ストーリーは本格的。


内容

ストーリー

ライナークという小さな王国をはずれに持つラクナマイト大陸。
その地にゲザガインという男が現れ、自ら悪の帝王と名乗り、その恐るべき魔力と、強大なモンスター軍団を率いてラクナマイト大陸の征服に乗り出した。
ラクナマイト大陸の国々は次々と制圧され、ついにライナーク王国にも、その魔手が伸びてきた。

そしてその戦いの中、国王の直属の騎士ライトも命を落とすこととなった。
ライトの息子、少年リイムは勇者として戦う決心をし、父の親友であったミノタウロスのモーモーはじめ仲間とともに勇者軍を結成。
リイムをはじめとする勇者軍の戦いがここに始まった。

システム

  • お互いのターンに1度ずつ移動し、直接攻撃は隣り合った場合に攻撃できる。
    • 間接攻撃可能なユニットは2マスまで有効範囲。
      • 間接攻撃できないユニットは間接攻撃に反撃できない。
      • 戦闘終了時、結果に応じて経験値がもらえる。
  • 経験値は0~99で100になるとレベルが1上がる。
    • レベルの上限値は8。
  • 倒されたユニットは退却(死亡による永遠離脱ではない)する。レベルは下がらないが経験値がゼロになる。
    • 主人公リイムが倒されると全滅扱いになり、最初からリトライを余儀なくされる。
  • HPの回復は魔法陣のみで、その上に乗った状態で自分のターンを迎えるとHPが満タンになる。
    • 魔法陣の上で敵から攻撃を受けたり、魔法陣の上で敵を攻撃したりすると魔法陣が破壊され、荒地に変化し二度と元には戻らない。
  • 全ユニットは「陸」「海」「空」の3属性に分類されている。
    • 「陸」スタンダードなタイプ。
    • 「海」は海を渡ることが出来る。
    • 「空」は飛んでいるので地形の影響を受けず常に消費移動力1で移動出来るが戦闘で地形効果を得られない。
  • 俗に言う「クリテイカルヒット」が2通り。
    • 「会心の一撃」(敵側の場合「怒涛の一撃」)は通常よりも大ダメージを与える。
    • 「必殺の一撃」(敵側の場合「痛恨の一撃」)はHP無関係で敵を一撃で倒す。キャラ毎に発生率が異なる。
      • 聖剣を入手するとリイムの攻撃が全て「会心の一撃」になる。

キャラクター

名前 属性 遠距離 移動力 合体ランク 特徴
固定キャラ
勇者(リイム) × 5 - 主人公
ミノタウロス(モーモー) × 7 - 単純な移動力では最高
剣の魔人(アラビア) × 5 -
汎用モンスター
マウスマン × 6 +1 弱いので合体材料
ゴーレム × 3 +1 橋の代わりになる
チキンマン × 3 +1 初期メンバー
バットマン × 4 +1
トレント 4 +1 初期メンバー
まほうつかい 3 +1
シープマン × 5 +2 初期メンバー
ウルフマン × 5 +2
ワイバーン × 4 +2
サイマン × 5 +2
サイクロス 4 +3
ジャイアント × 3 +3
ドラゴン 4 +3 万能で実質最強
スネイルマン × 4 - 硬さでは一番
フィッシュマン × 6 - 弱そうに見えて攻撃力が抜群
コアラマン × 3 - 最強だが移動力が低くて使い勝手は悪い
  • 合体させて新しい汎用モンスターを作り出す場合、「合体ランク」の分だけ上記の表から下に下がったものになる「例・サイマンにウルフマン(+2)→ジャイアント」。
    • スネイルマン以上になると合体できない(後述のレベル上乗せ合体も不可)。
      • つまりコアラマンを作りたいならドラゴンにサイクロス、ジャイアント、ドラゴンいずれかを合体させるしかない。
  • 元のモンスターのままレベルだけを上乗せすることも可能。この場合、モンスターの種別は問わない。
    • 例えばLv5のドラゴンにLv1のモンスターを合体させてLv6のドラゴンにすることができるが、そのLv1の方はドラゴンだろうがマウスマンだろうが同じ。
  • 「剣の魔人」と汎用キャラは敵としても登場。
    • 汎用モンスターの中でリイムの仲間に最初からいるチキンマン、トレント、シープマンは敵として登場しない。また合体不可のスネイルマン、フィッシュマン、コアラマンも敵として登場しない。
      • 他に敵専用のモンスターユニットが、スカイパイレーツ、ガーゴイル、ゾンビ等多数に存在。
  • 合体すると名前も合体する。(例「イナズマ・ヌーボ」+「ルンバ・ランバ」→「イナズマ・ランバ」等)
  • ゴーレムは意外にも特殊能力があって個性的。
    • 特に「自身が橋の役目」になれるという個性的なものがある。
      • ゴーレム自身は海属性なので川を渡れるが、ゴーレムを川に置くと、その上を陸属性ユニットが渡ることができる。
    • また戦闘面では攻撃力こそ弱いものの「必殺の一撃」が出やすいという特徴もある。防御力は最強のスネイルマンと大差ないほど硬い。
  • シナリオは全15話構成で、11話以降は最新のシナリオしかプレイできない。
    • 例えば13話まで進んでいる場合1~10話と13話のみで11・12話はプレイできない。
      • これは10話クリア以降は進行式のストーリー展開が挟まれるためと思われる。
  • 各シナリオのボスにはドクロのマークがあり、それを倒せばクリアだが、姿を見せていない場合もある。
    • その場合、ミッションらしきものをクリアしてボスを出す必要がある。

評価点

  • キャラクターがかわいい。
    • 戦闘のアクションも満載で、いずれもコミカルで見ていて面白い。
      • ただし、主人公のリイムだけは戦闘時においてはイラストとは似ていない。これは次回作で改善されている。
  • 非常に高い自由度。
    • 序盤から最強モンスターを作って連れていける。
      • シナリオ1ではマウスマンを仲間にできる家があり、シナリオ2から神殿が登場するので合体ができる。
        つまり、これを利用してマウスマンを何体も合体させることで、序盤からLv8のドラゴンを連れていくこともできる。
        勿論、それをやろうと思うと手間も結構なものなので個人の好み。
    • やり方次第では相当なヌルヌル難易度になるが、後述の通りそれでも楽しめる部分が多い。
  • 謎解きになる部分があるが、どれも簡単なものばかりで、プレイヤーを選ばない。
    • ミッションに失敗するものもあるが、失敗したら失敗したでボスが登場するので詰みにならない。
  • マップによるイベントやギミックが多彩で、だれるような展開になりにくい。
    • 特にボスがいないマップではミッションをクリアする必要があり(湖を追いかけたり、墓を破壊したり)、それぞれ違った展開が楽しめる。
    • ボスが最初から見えているマップでもミッションをクリアすると展開を楽にできたりと、非常に多彩なイベントに重要性を持たせている。
      • 前述の通り、序盤から最強のモンスターを連れていると、作業じみてきやすいが、このようにマップのミッションが多彩なので、謎解きをストーリーの一部として楽しむこともできる。
  • BGMはいずれも雰囲気にマッチしており、非常に上質。
    • 見た目のコミカルさに反して、シリアス系ファンタジーRPGのような作りになっており本格的。
    • シナリオの雰囲気にもマッチしたものばかりで気分を盛り上げてくれる。
  • シナリオ11以降の展開が見もの。
    • シナリオ11以降はクリア後に、それぞれ魔王軍とリイムとのやりとりが見えるストーリーパートが挿入されるのだが、これが1話1話で進んでいく本格的なストーリーになっている。
    • しかもグラフィックも解像度の低いゲームボーイながら、非常に良く描けている。

問題点

  • 汎用モンスターの個性が今一つ出し切れていない。また、いろいろステータスにシュールな部分が多い。
    • 下位のモンスターは役に立たないものだらけでサッサとガンガン合体させて上位モンスターにした方が手っ取り早く、下位のまま育成するだけムダになりがちになる。
    • ゴーレムという非常に強い個性を持っているのもいる反面、大体はドラゴンさえいればいいバランスで、他のモンスターは決定的強みを持っていないものが多い。
    • このため、なにか条件をつけて縛りプレイでもしない限り、活躍のチャンスがない。
    • コアラマンが押しも押されもせぬ最強キャラ(攻撃力は最強で守備力もHPも高い)。ただグルグル回りながら体当りするだけで、ドラゴンの炎より高い攻撃力を発揮するというのもシュールである。
      小さな尻尾攻撃で大ダメージ(コアラマンに劣るとはいえ第2位でドラゴンよりも強い)を与えるフィッシュマンにしても同じことが言える。
      • 上記2体についてはラスボスよりも攻撃力が高いというのはやりすぎな感が否めない。
  • 地雷のバグがある。
    • シナリオ11には地雷トラップが登場するる。これは通常時は目に見えず、その上に味方が来ると爆発してHPを半分ゴッソリ持っていくと言うかなり凶悪なモノ。爆発した後はクレーターになっている。
      • この地雷に関して、爆発後にセーブして再開すると、全て最初からクレーター(爆発後の状態)になっており、容易に通り抜けることができてしまう。
  • アラビア(剣の魔人)がお荷物キャラ。
    • 聖剣を前にすると敵として出現し、倒すと仲間になるのだが、中途半端なステータスによりあまり戦闘におけるメリットがない。単に聖剣にくっついてくるオマケでしかない。ユニットも陸属性なので使い勝手もさして良くない。
    • ただ、シナリオを反復するなどのレベル上げをしない場合は、それなりに戦力になる。それでも加入時はレベル5な上に最大のレベル8まで上げてもそれほど強くないので、あくまでも補助的な戦力にとどまる。
  • 死亡による延久離脱がないのが災いして、汎用モンスターのスネイルマン、フィッシュマン、コアラマンを作りすぎてしまうと仲間枠の圧迫になる。
    • 皆そこそこ強いのは良いがクセが強く、特にコアラマンはステータスこそ最強ながら移動では超鈍足なためコアラマンだらけにしようものなら超がつくほどスローモーな展開にイライラさせられること間違いなし。

総評

キャラクターの可愛さから非常にとっつきやすく、戦闘もアクション満載で児童層や女性にも受けがいいものになっている。ゲームシステムも非常に個性的で、既存作では味わえないものがある。
自由度が非常に高く、多くのプレイヤーがそれぞれのスタイルに合ったプレイができ、また過剰なレベル上げを行っても、それぞれのシナリオ特有のギミックなどで楽しめるという点でも抜けがない。
コミカルなキャラクターながらもストーリーは本格的で、終盤の引き込まれる展開は、他社の本格RPGと比較しても見劣りするものではない。
まだまだバランス面で多少の問題はあるが、見た目にしてもシステムにしても斬新さが光る作品と言えるだろう。


その後の展開


余談

  • 「ウルフマン」は名前の通り狼ベースのモンスターだが、狼のイメージにあるような飛びかかって噛みつく攻撃はなく、掌底のような攻撃をしてくる。また太目な体で重そうにドスドスと進んでくるので狼らしさがない。
    • これは『キン肉マン』に登場する相撲取りの超人「ウルフマン*2」のオマージュで、まるで相撲取りのような太めな体つきで、攻撃も相撲の「突き出し」ような動きになっている*3
    • プレイヤーの仲間としてはサッサと合体させて上位化した方が効率的なので使うことは少ないが、敵として高頻度で出てくるので見る機会が多い。
  • 初期メンバーになっている「チキンマン」の「ジョージ・プラム」は神戸に実在するライブハウス「チキンジョージ」が元ネタと思われる。

最終更新:2024年02月25日 17:56

*1 因果関係の度は不明だが、女神転生シリーズの原点と言える小説『デジタル・デビル・ストーリー』の出版も徳間書店である。

*2 モデルは第63代横綱「千代の富士(1973~1991)」で当時大鵬に次ぐ歴代2位の優勝回数31回を誇った。鋭い眼光と食い下がったら離れないしぶとさから「ウルフ」というニックネームで呼ばれた。アニメでは作者が本人に遠慮して自主的に「力士マン」と変名しての登場となった。本作発売当時は末期ながら現役だった(5月に引退)。

*3 ただし「キン肉マン」で登場したウルフマン(力士マン)はこれほどの鈍重ではなかった。更に本物の千代の富士関に至っては細身で筋肉質な体を活かした俊敏な豪快さが持ち味の取り組みスタイルだった。