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マリオゴルフ スーパーラッシュ

【まりおごるふ すーぱーらっしゅ】

ジャンル ゴルフゲーム
対応機種 Nintendo Switch
メディア Nintendo Switch専用ゲームカード
ダウンロード販売
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2021年6月25日
定価 6,578円
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント Joy-Conによる体感プレイも可能
新機軸を多く取り入れた18年ぶりの据置機向け復帰作
一方でかゆいところに手が届かない点が多数
マリオシリーズリンク


概要

キャメロットがゴルフゲームを手掛けた任天堂向け作品としては2017年に3DSで発売された『マリオスポーツ スーパースターズ』*1が存在したが、マリオゴルフシリーズとしては2014年に3DSで発売の『マリオゴルフ ワールドツアー』以来、据置機向けに限れば2003年のGCで発売された『マリオゴルフ ファミリーツアー』以来となる完全新作である。
簡単操作でプレイできるという点は継承しつつも、過去作から大きく仕様も趣向も変わった作品であるといえる。


特徴

ゲームシステム

ショット操作

  • 今作はショットゲージが縦向きであり、ボタンによる操作はパワーおよびスピン(トップスピン、バックスピンなど)を決定する1タイミングのみである。
    64』以来「最初にパワー決定、次に精度の決定」という点において大枠での変化がなかった根幹のシステム部分へ大きな仕様変更がなされた。
    • ショットの精度を直接決定させなくなった代わりにそれを左右する要素として「セーフティエリア」「リスキーエリア」の概念がある。
      簡潔にいえば、飛距離を出すために目一杯のパワーで打とうとするとブレやすくなり、加減して打てばほぼ正確なショットになるという具合である。
    • リスキーエリアは「番手の大きいクラブである」「ライの状態が悪い」といった要因で広くなっていき、安全にプレーできる飛距離が短くなっていく。
      これらの場合はショットゲージの長さも短くなり、最大飛距離自体も下がるという点においては旧作から変わりない。
    • 以上の仕様変更から、従来のような精度決定時に許容外のズレが生じることによる極端なミスショットは基本的に発生しなくなった。
      ただしバンカーやラフなど極端に悪いライで無理に飛ばそうとすると、やはり大幅なズレが発生する可能性が高くなる。
  • パワー決定後、ボールを打つまでの間にスティックか方向キーを入力することで弾道を変化させる「カーブショット」を打つことができる。
    従来でもショット時に打点を変えることで変化を付けることができたが、その仕組みをより発展させたシステムである。
    • キャラクターのスピン能力が高いほど大きな変化を付けられるほか、一定以上のスピン能力があればショットのパワーに応じて最大で2~4回変化方向を入力できる「スーパーカーブショット」も使うことができる。
      これを駆使することで、ある程度狙ったタイミングでのみ打球を曲げたり、ヘビのように文字通り蛇行したり、果てには飛翔中に急上昇する曲芸のようなショットすら打てるようになる。
    • 距離計および高度計が実装され、現在地点から見える特定のポイントまでの距離および高低差、地形を調べる機能がこれらに集約された。
      従来からクラブを選択した際に目安となる着弾地点の高低差や地形を知ることができたが、それに準じた機能となる。
      • その特性上、現在地から見えない場所を調べることはできない。ただし例外的にグリーン上のホールが切られている地点は遮蔽物があっても調べることができる。

新しくなったスピードゴルフ

  • 従来から対戦モードの1つとしてスピードゴルフ自体は存在したが、今作は大きく装いを変えた上で核となるゲームモードの1つになった。
    今作ではボールを打ったら次にプレーする地点まで自分で走って辿り着かなければならない。
    打つ→ゴルフバッグを担ぐ→走る→また打つ→……のてんやわんや振りに、とんねるずが正月特番でやっていたアレを想起した人もいるとかいないとか
  • ラフやウエストエリアなどといった道悪地形だとキャラクターの移動速度も落ちるほか、湖や奈落など原則進入できないエリアもある。
    そのため通常のストロークプレイではショートカットして最短距離を攻めた方が有利なコースでも、スピードゴルフで同じように有利になるとは限らない。
  • キャラクターごとにスタミナが設定されており、それを消費してより速く走ることができる。
    更にスタミナを一度に大きく消費する代わりにキャラクターごとに固有のスペシャルダッシュを使用することもできる。
    スタミナが切れると最低速度でしか走れないが、ダッシュせずにいれば時間経過で回復する。
    • スペシャルダッシュは触れた対戦相手を転倒させることができるうえ、進路上にボールがあった場合はそれも吹き飛ばしてしまう。
      なお、他人のスペシャルダッシュによってボールがペナルティエリア内に入った場合は1打罰を受けずに近くから続行できる救済措置を受けられる。
    • コース上で対戦相手のすぐ後方をしばらく走っていると、スリップストリームによって一時的にスタミナを使わずダッシュすることができる。
  • スピードゴルフの成績は(経過時間)+(打数×30秒)で算出する。
    1ホールごとの順位に応じた順位点の合計、または規定ホール数終了時の総合タイムのどちらかで競う。
  • 通常のゴルフではパターを含めた14本のクラブを持ち込んでプレーするが、スピードゴルフでは原則7本(パターを除くと6本)でプレーする。
    実在する競技としてのスピードゴルフも最大7本のクラブでプレーするというルールになっている(参考:日本スピードゴルフ協会 競技規則)。

カップ争奪戦

  • 特設スタジアム内にある9つのカップを早い者勝ちで奪取し、誰よりも早く3ヶ所のカップを獲得したプレイヤーが優勝となる超短期決戦のスピードゴルフモード。
    • コース内にはワンワンやドッスン、ボムへいなど様々なコースギミックがあり、単純にボールを打つだけで完結しないモードになっている。
      マリオカートシリーズでいうバトルモードのような性格に近い。
  • ギミック等が少ないレイアウトと高低差が大きくギミックも多いレイアウトの2通りが存在する。
  • シリーズおなじみとなったオープニングムービーだが、今作はこのカップ争奪戦が舞台になっている。

アドベンチャーモード

  • 「未完の大器」であるMiiが主人公となってゴルフの腕を磨きながら各地で起きている問題を解決していく。
    • コースをプレーしたり、練習を重ねることで経験値を獲得でき、「パワー」「スタミナ」「足の速さ」「コントロール」「スピン」の5分野を好みに合わせて成長させられる。
  • 今作はティーショットやアプローチ、パッティングの練習などといったパートがこのモードに集約されており、総じてゲーム全体のチュートリアルという側面が強くなっている。
  • スピードゴルフのようにリアルタイムで移動する機会が多いため、基本的にクラブはパターを含めた7本でプレーする。
    8本以上装備することもできるが、増やせば増やすほど重くなる、ということで移動速度が落ちてしまう。
    • 特定のライでコントロールが上がったり、低弾道の水切りショットができる、といった一風変わった効果をもつクラブも存在する。
  • このモードで育てたMiiは他モードでも使用できる。ただし特殊クラブは使用できず、基本のクラブセッティングで固定となる。
    • 3つまでデータを作ることができ、それぞれ別々にキャラデータを保持できる。

スペシャルショット

  • エナジーを最大までためることでキャラクターごとに必殺技となるスペシャルショットを打つことができるようになる。
    低い弾道で一直線に飛んでいくものや逆に高く打ち上げて着弾点付近で急降下するもの、コースコンディションを変化させるものなど様々なバリエーションがある。
    • いずれも最大飛距離が概ね1~2割程度増加するが、代わりにカーブショットなどは使えない。
      また、通常のショットと同じくリスキーエリアでは大きな誤差が出る可能性もある。
    • 多くにおいて打球そのものに攻撃判定があり、対戦相手やボールを大きく吹き飛ばすこともある。
      アドレスに入っている対戦相手にも有効で、ショットを強制中断させてしまう。
  • エナジーはホールアウトするごとに一定量たまる他、コース上に落ちているコインを回収することで少量回復できる。
    逆に対戦相手の攻撃やコースギミックによってダメージを受けるとコインを落としてしまい、エナジーが減ってしまう。
  • なお、従来の作品にあった回数制で飛距離を増加させられるパワーショットは廃止された。

スイング操作モード

  • Joy-Conをゴルフクラブに見立てて実際にスイングすることでボールを打つ操作スタイルが新たに実装された。
    • インパクト時のJoy-Conの角度によってクラブフェースの向きが変わってボールの打ち出しも変わるなど、実物のゴルフクラブで打つ時の飛び方に即したレスポンスである。
    • ボールを打つ前に素振りでパワーや曲がり方の確認をすることもできる。
    • スピードゴルフでもスイング操作でプレーすることが可能。
      その場合はボールを打ってからの移動がセミオートになり、特別な操作をしなくてもボールがある方向へ向かってくれるが、
      Joy-Conを振ることでスタミナを消費してダッシュすることもできる。ここまでくると軽い運動のようなものである。
    • 以上の特性上Joy-Con片手持ち専用の操作となり、Switchの携帯モードやProコントローラなどでは遊べない。

その他の仕様変更など

  • 脱出が困難な地形へボールが入ってしまった時などに救済を受けられる「アンプレヤブル宣言」ができるようになった。
    1打罰を受ける代わりに直前にボールがあった地点から打ち直すことができる。
    • ウォーターハザードなどで1打罰を受けた後、付近のドロップ地点から再開ではなく打ち直しを選択したい場合にも使える。この場合は改めて1打罰を受ける必要はない。
    • OB(プレー禁止区域)の場合は従来通り1打罰での打ち直しである。
    • スピードゴルフにおいて、高低差がある地形で崖下に転落するなどしてボールがある地点に到達するのが困難になった場合、ペナルティなしで操作キャラだけを直前にプレーした場所へ戻すことができる。
  • 従来から性能抑え目な代わりに比較的扱いやすいノーマルキャラとキャラクター毎の個性が大きく出るスターキャラという2通りの設定があったが、今作はクラブセットという形で3段階に強さが設定されている。
    ノーマルセット、スタークラブセット、スーパースタークラブセットの3段階で、1段階ごとに飛距離30ヤードアップ・スピン性能アップの代わりにコントロールが低下する。
    • 各キャラクターを使っていくとたまるキャラクターポイントが一定値を超える毎に1段階アンロックされる。
      そのため今作はとりあえず使っていけばそのうち解放される、という具合である。
  • ウェッジ(PW、AW、SWといった高弾道で飛距離の短いショットが可能なクラブ)を使用する際、ショットゲージはそのままで最大飛距離が半分になるハーフショットを選択できるようになった。
    旧作でいう残り距離60ヤード以下の時に使用できたアプローチショットモードの代替にあたる。
    • より細かいパワー調整が必要な場合や、短い距離で複数回ボールを曲げるスーパーカーブショットを使用したいときに有効である。
  • 各ホールのピンフラッグが常に刺された状態になり、グリーン上でプレーしてる際も除去されなくなった。
  • 1ヤード未満の短いパットの場合、カップへ向けて打つ際にパワー決定しなくても1ボタンでタップインできるようになった。
  • 通常のストロークプレイでもスピードゴルフのように複数プレイヤーが同時進行できるオプションが追加された。
    従来は手番が来るまで待つ必要があったが、これを適用することで待ち時間なく次のショットへ進められるようになり、時間短縮にもなっている。
  • グリーン上でパター以外のクラブを持つことができるようになった。

コース

今作はリリース初期に6コース、後の無料アップデートで追加されたものを含めると11コース実装されている(Ver.4.0.0現在)。

+ コース一覧
  • エントリーコース
    • アドベンチャーモードの最初の舞台となるセンアンスコCC(後述)に併設された初心者用のコンパクトなコース。
      • 全長が短くPar 4のコースでもある程度の飛距離があるキャラクターは1オンを狙いやすいホールが多い。
        また初心者用ということもあってペナルティエリアがなく、コース外縁部を越えなければOBになることもない。
    • 狭い土地の中を縦横無尽に進んでいくようなコース設計であり、一部のグリーンは複数のホールで使用する場合がある。
  • センアンスコCC
    • 丘陵地帯にある広々としたコース。晴天時は多くのギャラリーがプレーを見守る。
      • ティーショットの飛距離に近いエリアにフェアウェイバンカーが配置されたオーソドックスなレイアウトになっている。
    • このコースのみレディースティーより前方にシニアティーが設定されており、幅広い層をターゲットにしたコースであることがうかがえる。
  • レイクバレーGC
    • 崖と湖に囲まれた高低差の激しいコース。全体的に風が強く、注意してプレーしないと所々にいるビューゴーがボールを吹き飛ばしてしまうことがある。
      • フロントナインは水辺すなわちペナルティエリアとなる地形が多く、一方でバックナインでは入り組んだ地形ですぐそこが崖という場合が多い。どちらもコースを外れると大幅なロスに繋がってしまうため、慎重なプレーが要求される。
        なお、わざと狙わない限りOBとなるエリアはほぼ存在しない。
      • 各所に竜巻があり、触れたボールが高々と舞い上がる。スピードゴルフでは崖下から上層に移動するための手段としても利用できる。
  • ビゴ・ゴルフ&リゾート
    • シリーズ恒例の砂漠地帯にあるコース。所々に湖のあるオアシスも存在するが、時折砂嵐が発生することもある過酷な環境である。
      • 言うまでもなくバンカーが非常に多く、フェアウェイから少し離れただけで何もない砂地ということもザラである。
        特にフェアウェイバンカーの配置が厳しめで、ティーショットはかなり気を遣うことになる。
      • 一部ホールには流砂地帯が存在し、ボールが入ると即ペナルティエリア扱いとなり1打罰。キャラクターが進入すると移動速度がガタ落ちする上にジャンプ連打しないと抜け出せなくなる、厄介な地形である。
  • モンスーンフォレスト
    • 森林地帯を切り開いて作られたコース。限られたゴルファーのみがプレーを許される、格式の高いコースとされる。
    • 他のコースと比べても天候が不安定で、高い確率で雨が降る上に時折雷雲が出ることもある。
      雷雲が出ているエリアではショット時にパワーを抑えないと振り上げたクラブに落雷して感電してしまう。
      どう考えてもプレー続行していい天候ではない。大きく振ることがまずないパターでも感電するがそこを気にしてもいけない。
      • 落雷を受けるとスタンしてエナジーが減少するうえ、ホールアウトまでの間パワー調整が困難になってしまう。
    • 晴れているか雨が降っているかによって水位が変わり、それに応じてペナルティエリアの広さや移動可能な場所も大きく変わる。
    • 池や湖が多い分、フェアウェイバンカーは後半のコースとしては少なめな部類。
    • ショットの邪魔になる木が多く、人によってはクッパボルケーノより難しく感じることもある。
  • クッパボルケーノ
    • クッパがマリオと勝負するために作ったコース。序盤と終盤の数コースは高低差の大きい山岳コースだが、それ以外は大半のコースが溶岩地帯の中を進んでいく。
      どちらもフェアウェイを外すとたちまち急斜面に飲み込まれ、そのまま溶岩にダイブしてしまうこともザラ。
      • キラーやボムへい、ドッスンにバッタン、溶岩地帯ではバブルやウンババなどとシリーズおなじみのキャラも多い。
      • 従来は溶岩エリアがOB扱いであることが多かったが、今作は原則ペナルティエリア扱いとなり再開は1打罰でドロップ可能な場所になる。
    • グリーンも寄せが難しい砲台型が多く、一部にはグリーンと周囲の高低差が10mにも達する難地形が存在する。
      クッパの名にふさわしく、あらゆるショットに最大級の精度が求められる難関コースである。
  • ニュードンク・シティ(Ver.2.0.0で追加)
    • スーパーマリオ オデッセイ』でマリオが冒険した舞台の1つに特設ティーとグリーンを配置した、全ホールがPar 3の特別コース。
      ビル街の中を縦横無尽に走り回り飛び回る、作中でも特に異彩を放つコースである。
    • このコースにはセッティングが「かんたん」「むずかしい」の2パターン存在する。「かんたん」ではある程度直線的なコースが大半でグリーンもほとんどが平坦だが、「むずかしい」ではカーブショット前提のレイアウトだったり、ビルの屋上から別のビルの屋上へピンポイントで打つシチュエーションがあるなどかなり難しめ。
    • 原作同様にコース外は即奈落だがOB扱いの場所はなく、ボールが転落した場合は1打罰で特定の再開ポイントからのプレーとなる。
      また、ビル屋上にカップがある場合、ボールが地面に落ちると復帰が事実上不可能となるため、それらの場合もペナルティエリア扱いとして強制的に再開ポイントへの移動となる。
  • ビューゴースノー(Ver.3.0.0で追加)
    • その名の通りあらゆる場所にビューゴーが居座り、断続的に強風が吹きつける雪山のコース。
    • コースの広さそのものはエントリーコースより少し大きい程度だが、高低差や先述のビューゴー、障害物としての木や深く掘られたバンカーなどと厄介な要素が多く、難易度には大きな差がある。
  • ガボンデザート(Ver.3.0.0で追加)
    • こちらはガボンが多く棲息するコース。コースを大きく3つに分断するように流れる河川が特徴。
    • フェアウェイの面積自体は比較的広いが、岩山や絶妙な配置の木々、すぐ近くに川という地形によって有効に使えるエリアがかなり少なく、見た目以上に難解なコースである。
      • 川をまたぐ移動は所々に架けられた石橋や竜巻を使う必要があり、特にスピードゴルフでは移動経路も熟慮した上でプレーしないと好記録は出ない。
  • ショートマスター(Ver.4.0.0で追加)
    • 高山の岩場に作られた小規模なコース。ノコノコの石像や小さな家などが設けられ、天空の仙人が住む世界を思わせる。
    • コンセプトはニュードンク・シティと同様であり、全てのホールがPar 3かつ、コース配置が「かんたん」「むずかしい」の2種類がある。
    • ニュードンク・シティよりも見通しがきくホールが多いが、その分高低差も大きく、繊細なコントロールが求められる。
  • スペシャルコース(Ver.4.0.0で追加)
    • マリオ、キノピオらキャラクターをかたどったフィールドに設けられたコース。コース外は全て奈落であり、キャラクター同士を渡る必要がある場合は風の影響にも十分注意を要する。
    • 障害物として、空中にレンガブロックが設置されている。木と違い、一度ボールが当たると消滅する。
    • キャラクターの再現上、一見するとフェアウェイもグリーンも広めに作られているが、実際のプレーで経由する箇所についてはかなり狭め。バンカーや石畳が広く設置されており、少しでも外れると細かなプレーは難しくなる。

評価点

  • タップインの導入
    • これまでのシリーズではカップそばにボールが止まってもメーターを操作してパットせねばならず、操作ミスでパット失敗もあった。
    • タップインはボタン一つでカップそばのボールを必ず入れる事が出来る。
    • これは実際のゴルフ選手もやっているプレイであり、便利になった。
  • 実際に存在するゴルフ場を回っているかのような体験ができる。
    • 従来の作品では各コースは1ホールごとに独立していて、コースから離れると基本的にOBとなってしまっていた。だが 今作は各コースの18ホールがごく一部を除いて全て行き来できる形で繋がっており、ホール間の接続も視覚的にわかりやすくなっている。
      • これにより、見た目上の演出的効果だけでなく、一部ホールでは別のホールのフェアウェイを使ってショートカットを狙うなどという戦略も取れるようになった。
  • ストロークプレイとは違う戦略性をもつスピードゴルフの存在。
    • 移動時間を含めてのタイムレースとなったことで、単純に最短距離に打つのが最適解であるとは限らなくなり、より戦略性が増した。
  • 良質なBGM
    • 桜庭統氏が手掛ける音楽は今作においても高品質でゲームプレイに華を添える。
      • 同じコースでもストロークプレイとスピードゴルフで曲調が少し変わり、後者はより疾走感のあるスタイルであることが雰囲気にマッチしている。
  • 記録が細かく残るようになった。
    • ホール毎のベストスコアやベストタイムが残るようになったので、フリー対戦の詳細ルールでスタートホールを変えて記録を狙うプレイができるようになった。

賛否両論点

  • ショットシステムの変更
    • 上述の通り、ショットの精度という点においてプレイヤーが関与できる要素は大幅に減っている。
      • 初心者~中級者にとっては操作ミスによる大幅なミスショットのリスクがほぼなくなるという点で優しくなっているが、左右に寸分の狂いもないショットを打つことができなくもなっている。
    • しかし実際のプロゴルファーでも狙った場所に打つのは難しく、寸分の狂いもなく打てたこれまでのシリーズが現実と乖離していたとも言える。
  • コース設計
    • 本作は全体的にリアルテイストを重視したコースレイアウトであり、『ファミリーツアー』にあったボムへいのせんじょうを再現したようなホールなど、トリッキーな構造をしたレイアウトは少ない。
    • ただし発売後の無料アップデートで追加された4コースを含めれば、面白い構造のコースは複数実装されている。

問題点

過去作から廃止された・劣化した要素

  • ゲームモード
    • リングショットやクラブスロットなどといったシリーズ特有の遊び方が大幅に削減されてしまった。
      本シリーズがパーティーゲームの一面も併せ持っていたことを考えると勿体ないリストラであると言えよう。
    • トレーニングモードもなく、特定のホールでコースコンディションを変えつつ様々なキャラで集中して練習したりということができない。
  • ショットのUI
    • 『ファミリーツアー』以降の標準仕様だったショットゲージの距離マーカーが廃止され、弾道も64時代の打ち出し直後しか見えない仕様に退化してしまった。
      • 打ち出し直後に地形や障害物に衝突するかどうかという観点ではよりわかりづらくなってしまい、見方によっては64時代より劣化している。
    • 地形を調べる機能が距離計・高度計に集約された影響で打ちたい場所の地形を調べられないケースが増えてしまった。
      低地から高地へ打ち上げるコースや、木など障害物越しでは物理的に視認できないため確認不能。
    • トップビューでの自由なカメラ移動もできなくなっている。
      • 最も不便なのが距離の長いパッティングで、トップビュー視点だとズームしていく中心がカップのある地点であり途中の傾斜を視認しづらい。

対COMプレイヤー戦の問題

  • COMの思考強度が4人同時プレイを前提に設計されているのか、交代プレイかつ2人戦にすると理不尽な強さになることがある。
    • COMの強さはふつう・つよい・さいきょう(※Ver.2.0.0で実装)の3段階で設定できるが、ふつうのCOMが150ヤード前後の距離でチップインを1ラウンド中に何度も決める光景が不自然なレベルで頻発する。
  • スピードゴルフにおいて、「ナイスオン」や「ピンショット」などといったシステムボイスが出ている間はアドレスに入れない仕様になっているが、COMはその仕様を無視する。
    • 特にアプローチなど短距離のショットではボールの停止地点にプレイヤーが先回りできるため、この不利をモロに食らってしまう。
      • 「ニュードンク・シティ」では全ホールPar 3かつ多くのホールが極端に短いという特性上、相対的に不利をより受けやすい。

スペシャルショットの問題

  • 直接カップにねじ込まない限り、そもそもが極端に後出し有利なシステムである。
  • 個別で見ると、着弾地点付近のボールに悪影響を及ぼすヨッシー・テレサ・ロゼッタが極めて凶悪。
    • いずれも共通して「次の1打でボールが真っ直ぐ転がらなくなる(浮き球の場合はイレギュラーバウンドする)」という効果があり、グリーン上でこれを受けると1m前後の極端に短いパットでもない限り1パットでのホールアウトが絶望的になる。
      • 一応SWのハーフショットで打ってピンに当てて入れる方法もあるが、それを知らない場合は脅威となる。
  • 地面にあるボールがスペシャルショットによってペナルティエリアへ追いやられた場合は自己責任とはみなされず1打罰なしで再開できるが、同時プレイ中にバウンドしていない打球がスペシャルショットによってペナルティエリアへ飛ばされた場合は1打罰を受けなければならない。これも凶悪な仕様の1つである。
  • フリー対戦ではオフにできるのが幸い。

総評

WiiやWii U向け新作が出なかったこともあり据置機向けとしては久々のマリオゴルフとなった本作は、根幹のゲームシステムを含んだ仕様変更以外にJoy-Conの特性も活かした遊び方を開拓するなど、現状維持ではなく大きく毛色を変えるという新たなチャレンジを追求した作品となった。
より戦略性の増したスピードゴルフを始めとした新要素を歓迎する層が一定数存在するのも事実である。

しかし新機軸を追い求めるがあまりマリオゴルフシリーズ特有の一風変わった遊び方がオミットされるなど、シリーズの強みや独自性といった点が犠牲となってしまった。
根幹たるゴルフゲームとしてのプレイフィールで見ても、現代では当たり前にあって然るべき要素が欠けているなど、肝心の部分での作り込みが甘い点も評価を下げている要因の1つである。

決して土台から出来が悪いわけではなくチューニング次第でより高評価になり得るポテンシャルはあるだけに、様々な面で「もったいない」と評するのが妥当であろう。


余談

  • デイジーの肌の色が、「やや褐色になっている」ということで一時話題となった(参考)。
    • 一応、3Dモデル化され2000年の「マリオテニス64」に初登場を果たした際もイメージイラストでは褐色だった(参考)。
最終更新:2024年04月25日 00:21

*1 テニスパートもキャメロットが担当した。