マリオゴルフ ファミリーツアー

【まりおごるふ ふぁみりーつあー】

ジャンル ゴルフゲーム
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 任天堂
開発元 キャメロット
発売日 2003年9月5日
定価 5,524円(税別)
プレイ人数 1~4人
メモリーカード使用ブロック数 13
レーティング CERO:全年齢対象
対応周辺機器 GBAケーブル
判定 良作
ポイント マリオゴルフ64の正統進化
充実したモード数
前作よりも遊びやすい
よりテクニカルなプレイが可能
いまだ難易度は高め
一部ステージにはマリオらしいギミックを搭載
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

ゲームキューブ向けに作られた『マリオゴルフ64』の続編。

前作は高い評価を受けた反面、開発会社であるキャメロットの元には操作性の難しさを指摘する声が多く届いたという。(参考)

本作はファミリー層でも楽しく遊べるゲーム性を目指しつつ、奥深いゲーム性を両立させる方向で調整が進められた。また、次世代機になったことでグラフィックが向上し、様々な追加要素が搭載された。

特徴

  • ゲームモード
    • 大まかなモードは前作と共通しているので、そちらの記事も参照。
    • 新モードとして「コインショット」「ミニゲーム」「ニアピンコンテスト」が登場した。
    • コインショット(1~4人用)
      • ステージに散らばったコインを集めて、その量を競うモード。コインはボールが近くを通過すると吸い寄せられる。
    • ミニゲーム(1~4人用)
      • 練習用のトレーニングや変則ルールでの対戦ができるモード。これを遊ぶことで解禁される隠しキャラも存在する。
    • ニアピンコンテスト(1~4人用)
      • PAR3のコースを次々と遊んでいき、ピンに寄せた距離で勝敗を競う。
    • 続投したモードの変更点
      • トーナメントモードを全部クリアすると、難易度の高い隠しモード「スタートーナメント」が解禁されるようになった。
      • 前作のキャラゲットに相当する「キャラマッチ」をクリアすると、該当キャラの飛距離が強化された「スターキャラクター」が使えるようになる。
      • リングショットが対戦可能になった。
      • クラブスロットに「4スロット」モードが登場。4つ目のドラムの出目により、風がなくなったりマリガン回数がもらえたりするなどのギミックが追加される。
    • 前作は一人プレイ時に選べるキャラクターが制限されていたが、本作は隠しキャラで無い限り全員使用可能。
  • 前作からの変更点
    • ボール着地地点までの軌道が表示されるようになった。
      • 前作は打ち出し直後のみの軌道が見える他は着地点周辺にグリッドが表示されるだけだったが、これによって弾道が予測しやすくなり、テクニカルなプレイが可能に。
      • 空中の軌道もはっきり出るため、木のそばをかするようなプレイングも可能で、ピンチから立て直しやすい。
      • オプションを使用すれば、ボールの軌道を消したり、はたまたバウンド後の軌道まで表示させたりすることが可能。ハンデとして、プレイヤーごとに変更ができる。
    • 数ヤード単位で飛距離を調整できるマーカーを搭載。ショット前に着地地点を調整し、飛距離メーターの目標部分に目印をつけることができる。
      • 前作は飛ばしたい位置を目測で調整する必要があったが、今作は飛ばしたい位置をピンポイントに狙いやすくなった。
      • マーカーの位置でショットを成功させると、ナイスショットになる。このため、パワーショットを全開で撃つ必要がなくなり、回数を温存しやすくなった。
    • ライ(地形)による飛距離補正の仕様が大幅に変更。先述した軌道の可視化も含めて実際に打った場合の目安となる飛距離が視覚的に判りやすくなった。
      • 従来作ではショット操作で決定した飛距離に対する百分率の範囲でランダムに飛距離が変化するという仕様*1。ライが悪い状況では狙う場所に応じて減衰を考慮した上で最大飛距離の大きいクラブを選択しなければならず、軌道の把握も困難であった。
      • 今作ではライの状態によって飛距離メーターの長さ自体が変わることで実際に飛ばせる目安の距離が目に見えるようになった。同時に飛距離のブレがプラスマイナス●%という形で誤差が発生し、悪条件であるほどブレの範囲が大きくなるという形式に変わり、地形が悪いと不利という点はそのままにプレイアビリティの向上に繋がっている。
    • ショットの種類
      • ミートタイミングを自動決定する「かんたんショット」を搭載。飛距離を決定する際にAボタンを押すことで、精度の決定をコンピューターが自動で行ってくれる。
      • 飛距離決定の際にBボタンを押すと、従来通りの「テクニカルショット」となる。
      • かんたんショットの細かい精密性はオートミートエリアの範囲内でランダムであり、細かい着地点はズレが生じやすい。同時にかんたんショットでは後述のスピンを使えない。このため、上級者はテクニカルショット一択。
      • また、ラフやバンカーなどライの悪い位置でウッドなどのような飛距離の大きいクラブを使用するとオートミートエリアよりもミートエリア*2が狭い場合があり、その場合はかんたんショットでもミスショットになる可能性がある。
    • スピン
      • ストロークの精度を決定する際、AやBを二回押すことで「トップスピン」「バックスピン」をかけることができる。着地点の微修正が可能。
      • 説明書には書かれていないが、二つのボタンを組み合わせることでスピン距離を増大させる隠しコマンドも存在する。
  • キャラクター
    • ベビィマリオとオリジナルキャラ5人がリストラされ、新たにデイジー・ノコノコ・ディディーコング・ワルイージ・キャサリンが参戦。
    • 本作がシリーズの転換点となったキャラクターもいる。
      • ディディーコングはマリオシリーズ初登場。任天堂が前年にレア社から権利を手に入れた為、晴れて参戦となった。『スーパーマリオカート』や『マリオテニス64』で活躍していたドンキーコングJR.に代わり、以降はドンキーコングの相棒としてパーティゲームの常連となる。
      • デイジーの声優は本作からディアナ・マスタードに変更。以降のシリーズでも彼女の声が使用されている。
        + 隠しキャラ
      • 隠しキャラとして、クッパJr.・テレサ・ニセマリオ・ボスパックンも参戦。
        • クッパJr.とニセマリオは同一人物だが、別枠で登場。
        • 隠しキャラに限り、スターキャラクターは最初から解禁済み。
  • ステージギミック
    • 一部のステージには特殊なギミックが登場。食べられると一発OBになるワンワン、特定の位置にワープできるドカン、ボールを埋めて次のショットを不利にするドッスンなど、マリオらしさにあふれている。
  • その他の変更点
    • PAR3のショートコースのみで構成されたコース「ドンキージャングル」が新登場し、最初からプレイ可能。
    • おじゃまボイスを発すると、画面上にキャラクターごとのメッセージが出現するようになった。
    • レッスンモードでは動画による解説が入り、わかりやすくなった。
    • コースの解禁は、トーナメントのクリアでのみ可能。
      • 前作はポイントをためることでステージが解禁されていたが、トーナメント優勝以外で解禁するのが困難であった。このため、形骸化していた要素が廃止されたのに近い。
    • ハンデ機能の搭載。先述のボール軌道表示以外に、マリガン*3が実行できるようになった。
  • 連動要素
    • 前作に引き続き、携帯機作品で育成したキャラを持ち込むことが可能。
    • 詳しくは『マリオゴルフ GBAツアー』の項目を参照。

評価点

  • 遊びやすく、テクニカルになったゲーム性
    • かんたんショット搭載に加え、前作より弾道や着地点の予測が親切になったので、フェアウェイにボールを運びやすくなり、初心者でも遊びやすくなった。
    • 弾道が可視化されたからといって、ヌルゲー化したということは無い。スピンを使って着地点を微修正できるなど、むしろゲーム性が向上している。
      • たとえばロングコースの場合、ありえないルートを使った大胆なボール運びも気軽にできるようになった。
      • 前作同様ボールの打点を変えられるのだが、それによって変わる軌道が可視化されるので、有用性がアップした。
    • また、風の強さも前作より緩和されている。
  • 隠し要素の緩和。前作が難しく感じたプレイヤーも、気軽に遊べる仕様に仕上がっている。
    • 難易度が下がったためトーナメントで優勝しやすくなり、初心者でも新コースを気軽に入手できるようになった。
      • 前作の場合、慣れないプレイヤーはコース入手もままならず、限られたコースを繰り返し遊ぶしかなかった。
      • 裏モードも搭載されているので、通常トーナメントじゃ物足りない上級者も満足。
    • 隠しキャラの出現条件も易しめ。プラクティスをクリアすると、最大飛距離のキャラも気軽に入手できる。
    • 一人プレイ時、全てのキャラクターが使用可能になった。
  • ボリュームの厚さも本作の魅力。
    • モード数の充実は、ゲームキューブの定番ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズDX』にも匹敵する。一本のソフトで遊べる要素が多く、一人でも多人数でも多彩な楽しみ方が出来る。
    • 新モード「コインショット」は、従来のモードには無い楽しさ。コース内のボール運びやショットの正確性が試され、普段と違ったゲーム性に。
    • 「クラブスロット」の4スロットモードも、パーティゲームにぴったり。多種多様なイベントが発生するので、みんなでワイワイ盛り上がるのに向いている。
      • 引き当てて有利になるイベントが多く、中にはチートまがいの物もでてきたりするので、一喜一憂よりも嬉しさの方が大きい物になっている。
  • コース5「ピーチキャッスル」とコース6「クッパワールド」
    • 先述したギミックはこのコースに登場する。他のコースと異なりマリオらしいステージデザインとなっていて、マリオファンにとって魅力的。
    • いずれも、BGMは『スーパーマリオ64」のアレンジ曲。
    • ピーチ城を再現した場所や「ボムへいのせんじょう」の再現ホール、見栄えが映えるクッパ城ホールや巨大クッパクラウンにボールを乗せるホールなど、見ているだけでも楽しいものばかり。どのホールも、デザインが工夫されている。
  • 『マリオゴルフ64』のメタルマリオのように海外版だけに実装される要素はない。

賛否両論点

  • ステージギミック
    • 楽しさの点ではマリオらしいが、本格的なゴルフゲームが遊びたいプレイヤーにとっては不要な要素。後半のコース2つはギミック中心に構成されるので、ギミックを邪道と考えるプレイヤーにとって本作は不向きといえるかもしれない。
  • コース数は現在からすると少なめ
    • 本作の収録コースは通常コース6つ+ショートホールのみのコースが1つ。ボリューム面は前作と殆ど変わっておらず、当時のゴルフゲームにおける水準としては決して少ないわけではない。
    • しかし同時期にPS2で出た『みんなのGOLF4』は12ものコースを収録している。あちらと比較すると、当時の水準でも見劣りするかもしれない。
    • CMや説明書ではギミックの存在がアピールされているのだが、遊べるようになるのはゲーム後半、それも一部のステージだけである。ギミックが登場したと思ったらほどなくしてエンディングになるため、これを理由に肩透かしをくらったプレイヤーもいると思われる。

問題点

  • 本作も難易度は高め。前作に比べると楽になったが、終盤のコースは特に苦戦しがち。
  • パターゴルフの廃止
    • 通常プレイに行き詰った時など、いつもと違うプレイを小休止的にたのしむ事ができたパターゴルフだが、本作には登場しない。
    • 代わりにショートホールのみのコースが搭載されたものの、ゲーム性は通常のホールと変わらないため、パターゴルフに代わる魅力があるとは言い難い。
  • 同キャラ対戦が不可能
    • 前作は色違いキャラを使って同キャラ対戦が可能だったが、本作は何故か廃止。
    • 『マリオパーティ』シリーズと違い性能差が顕著に出るゲームなので、使いたいキャラが被った場合の問題は大きい。
  • ボールの軌道
    • 前作のように、大まかな軌道だけを表示できない。
    • 着地点を表示させない場合、軌道そのものが見えなくなり、前作よりも難易度が上がってしまう。
  • CPUが使用不可能になった
    • 前作では隠しコマンドを入力することで、一部モードに限りCPUを参加させることができたが、本作は不可能。
      • 特定のモードでしか使えず、もともと有用性のある機能では無かったので、あまり支障はないとも言えるが。
  • カメラワークが前作より劣化している。
  • スイング中にキャラクターが喋るため、気が散ってショットに集中できなくなりやすい。
  • パットの時に十字キーを使って方向調整することができない。
  • パターで打ったボールが地形の影響でジャンプして本来の距離より飛びすぎてしまうことが起こる。
  • パットの時にキャラクターが半透明にならないため、ラインが見づらい。
  • スピードゴルフではギブアップできない。
  • ショットを途中でキャンセルできない。
  • 打点を左右にずらしてショットを打つと飛距離が落ちるので、計算が狂いやすい。
  • ウッドの距離のPAR4やPAR5なのにピン位置によって初期選択クラブがショートアイアンやウェッジになったりする。障害物のあるホールで起こりやすい。
  • 地形や障害物の影響でキャラクターが半透明になるとパワーゲージの長さが半分になってショットが打ちづらくなる。
  • 地形によってハマることがある。
  • 64版と違ってクラブを固定しながらの打点変更ができないため、打点変更をしようとしたら間違えてクラブを変更してしまうことが起こりやすい。
  • 1m未満のショートパットが難しい。

総評

特徴で触れた通り、本作は「ファミリーで遊べるゲーム性」と「奥深さ」の両立を目標に作られている。本作も難易度は十分高めだが、前作よりも遊びやすく、奥が深いゲーム性として完成されている。

一人でガッツリ遊ぶにもモードが充実しており、家族やゲーム仲間がいない時でさえも、十分満足できる出来栄えである。

「コインショット」「クラブスロット(4スロット)」はパーティゲームとしての完成度も高く、みんなで遊べば盛り上がること間違いなし。ハンデ機能の充実もあって新規プレイヤーにも敷居が低いので、未プレイの仲間も気軽に誘える。

ゴルフゲームという特殊なジャンルゆえ、つい敬遠してしまうプレイヤーもいるかもしれないが、その出来は他の定番パーティゲームと比べても謙遜ない。ゲームキューブ向けのパーティゲームを揃えたい人は、視野に入れてみてはいかがだろう。

余談

  • 花畑にボールを突っ込むと、ピクミンが飛び散る。
  • トレーニングモードでは風を10mまで吹かせることができるのだが、ゲーム中は一切発生しない。
  • 説明書には、キャラ選択画面に隠しキャラ全員が映りこんでいるページがある。ちょっとしたサービスなのか、スタッフのミスなのか、真相は不明。
  • 本作は、マリオたちがセリフを発する珍しい作品である。
    • 上記のおじゃまボイス以外にも、キャラマッチ開始時にキャラクター達の書いた手紙を見られる。
    • ただし、クッパの一人称が「ワシ」である*4といった気になる部分も存在している。
  • 本作を語るうえで欠かせないのが、起動時のオープニングムービー。
    • ワリオとワルイージによる憎めない寸劇は必見。ムービーのクオリティも高く、次回作『マリオテニスGC』のムービーと共に、キャメロットのワルイージ愛が見える内容としてファンから親しまれている。
    • なお、ゲーム開始時に発売元と開発元を読み上げるのもワリオとワルイージ。このシーンは飛ばせないため、起動時に必ず目にすることになる。
  • キャラクター選択画面において、各キャラクターにカーソルを合わせると個々に異なる待機動作を行うという妙に凝った仕様となっている。
    • 特にルイージは奇妙な動作をしつつ癖のある掛け声をする点もあって一部ではネタにされることがある。
最終更新:2022年08月23日 16:20

*1 例えばティーショットなら98~100%だが、バンカーに埋まってしまうと40~60%になる、など

*2 この範囲外だとミスショットとなり、飛距離がガタ落ちする上に明後日の方向にボールが飛んでしまう

*3 一度打った球を打ちなおすルール。現実のゴルフにも存在する。

*4 本来の彼の一人称は「ワガハイ」であり、『スーパーマリオRPG』から定着されてきた。