このページでは、ゲームスタジオ監修移植版の『ウィザードリィ』のカップリング移植にあたるスーパーファミコン版・ゲームボーイカラー版について扱います。判定はいずれも「良作」です。



ウィザードリィI・II・III ストーリーオブリルガミン

【うぃざーどりぃわんつーすりー すとーりーおぶりるがみん】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン(ニンテンドウパワー書き換え専用)
メディア SFメモリカセット
Fブロック×8 (32Mbit)+Bブロック×16(256Kbit)
発売元 メディアファクトリー
開発元 ゲームスタジオ(監修)
Gung-Ho!
発売日 1999年6月1日
定価 3,000円
判定 良作
Wizardryシリーズ

概要(SFC版)

FC版I~IIIの移植。
ゲームスタジオは監修に回り、プログラミング作業はGung-Ho!*1が担当している。また、この作品のみ発売元がアスキーではなくメディアファクトリーとなっている。

特徴(SFC版)

  • FC版を踏襲しつつもバランスを極力壊さないように追加要素を控えめにした移植作品。その上で快適性を向上させる変更が行われている。

評価点(SFC版)

  • BGMにいわゆる「タメ」「モタリ」が再現されており、打ち込みでありながら生演奏に近い音楽を楽しめる。
  • シナリオ1の「ACバグ」「種族倍打、属性抵抗がズレるバグ」、シナリオ2の「ロストバグ*2」等の致命的なバグが一通り修正されている。
  • UIがSFC版#5基準に変更され、戦闘時には敵のグラフィックが画面一杯に表示などハードに則した表現になっている。
    • また、#1の侍系の敵や#2のポレの不確定グラフィックなどの一部の敵の見た目が個性が出る方向で微妙に変更されている。
  • 各シナリオの最深層では迷宮内のBGMが変わり、緊迫感のある雰囲気作りに一役買うようになっている。
    • この要素は後発のGBC版にも存在しないSFC版独自のものである。特に、シナリオ2では原曲とはほぼ別物な新曲とも呼んで良いアレンジバージョンが流れる。
  • キャラメイク時にボーナスポイントの振り直しがワンボタンでできるようになった。
    • 従来だとボーナスポイントの振り直しはキャラの作成からやり直す必要があったため、「あ」という感じの簡素な名前のキャラを延々と作り続けて気に入ったキャラだけ名前を変えて使用するという過程を経る必要があったが、その手間が無くなった。
  • 所持品やキャラリストのソート機能の追加。
    • FC版では存在しなかった並べ替え機能が追加されており、かなりの手間だった所持品の並べ替えが非常に楽になった。更に一度登録したらその位置で固定されていた訓練所におけるキャラクターの並び順も変更可能になり、複数のキャラクターの整理が容易になった。
  • アイテム交換UIの利便性の向上。
    • #5や外伝4まではキャラ同士のアイテムの受け渡しはアイテムを選ぶ→渡すキャラを選ぶという流れの繰り返しで行われていたが、SFC版ではアイテムを交換するキャラ同士を指定してからお互いの所持品欄を確認しながらアイテムの受け渡しをスムーズに行えるようになった。
      • また同じ画面の中で交換先のキャラを変更することも可能であり、アイテムを渡そうとしているキャラがそのアイテムを装備できるかどうかもこの時点で確認できる便利仕様。
  • 盗賊・忍者に#5の隠れるコマンドが追加。
    • #5とほぼ同じ仕様になっており、「隠れることに成功したキャラは後列でも奇襲攻撃で攻撃可能・奇襲攻撃の威力は通常の2倍・隠れたキャラはランダムで発見されることがあり、発見されると以降は奇襲攻撃ができなくなり後列に居ても敵の攻撃対象になる」という効果なので非力な盗賊でも攻撃に参加できるようになっている。1ターン消費する関係で必要性は薄いが忍者で実行すると凄まじい破壊力。
    • 設定でオンオフの切り替えも可能。
  • ターボファイルに相当する「ファイル操作」機能の実装とキャラクターの転生の利便性の向上。
    • シナリオのキャラデータと商店のデータを保存することが可能な機能であり、全シナリオ共用の7つのデータ領域を使用して記録しておくことができる。バックアップ的な使い方が可能で、これを利用するとデータを特定の場面まで巻き戻すことも可能になる。
    • シナリオが異なるデータ間で操作を行おうとすると「キャラクターの転生」となり、移動元のデータのキャラを移動先のシナリオへ転生させることができる。この機能により本来ターボファイルが無ければ不可能だった称号持ちキャラの転生が非常に容易になっている。
      • PS版とは違い、移動元のキャラが消滅することはない。またFC版では不可能だった#3→#1のようにシナリオを遡る転生も可能。
  • シナリオ毎に違う細かい仕様も再現している。シナリオ1ではハマンでも「パーティを守る」が出てくることあり、シナリオ2は状態異常付与呪文の効き目が悪く、シナリオ3のみカドルトを戦闘中に使うことができる等。
  • ヘルプ機能と呪文の説明文が追加されている。
    • ゲーム中にセレクトボタンを押すとその画面で使用できるコントローラーのボタンの解説が見られる。更にキャラメイク中や転職中などの特定の場面では種族や職業の簡単な紹介に切り替わる。
    • 呪文選択時や呪文書の表示中は選択中の呪文の説明文が表示される。攻撃呪文や回復呪文の場合は効果量まできちんと表示される。
  • Marks(敵を撃破した回数)とRip(死亡した回数)の追加。
    • 原作ではシナリオ5から実装されたカウントだが、こちらでも実装されたことでパーティ内の各キャラの活躍度合いや現在のパーティ編成の危険度などの傾向を把握できるようになった。
  • ソフトリセット機能の追加。
    • L+R+スタート+セレクト同時押しでプレイ中のシナリオのタイトル画面まで戻ることができる。今までは何気にGB版の外伝1~外伝3とPCE版以外では行うことができなかった。
    • ソフトリセットした場合はリセット時点でのパーティで冒険を再開するか街に戻るか選択できる。ソフトリセットから冒険を再開する場合は常駐呪文+呪文封じの罠の効果が消えないのが通常のリセットとの違い。
    • 戦闘中にソフトリセットした場合は戦闘に入る前の状態から再開する。全滅して墓場の画面でソフトリセットしても戦闘に入る前の状態からやり直せる。

問題点(SFC版)

  • 「素早さが一定以上になると行動順が最後になってしまう確率が上昇していく*3」というバグが存在する。
    • このバグのためシナリオ#3では素早さの最大値が22となるホビットは著しく不利となる。逆に最大値が15のドワーフはバグを回避しやすい。
    • 素早さが関わる宝箱の調査時にも同様のバグがあり、シナリオ3のホビットの盗賊はやたら罠の調査を外しまくる。
  • 状態異常を付与する呪文の付与確率が微妙におかしく、シナリオ3ではFC版3よりもカティノやモンティノなどの効き目が著しく悪くなっている。*4
    • シナリオ2も同様かつシナリオ3よりも輪にかけて効きにくいが、こちらに関してはFC版2でもその通りなので正しい。
  • 灰化あるいはロストしたキャラがいる状態で宝箱の爆弾の罠を発動させると何故か死亡状態に戻る。 *5
  • 運勢値(セービングスロー)が良い状態の方がガス爆弾や各種ブラスターの罠を食らいやすい仕様は改善されていない。運勢値は運の良さとレベルが高ければ高いほど良くなるのでシナリオ終盤にはガス爆弾の罠に非常に引っかかりやすくなる。
  • GBC版と違いキャラデータがSFC版の中で完結しており、ターボファイルに対応しておらずパスワードも表示できないので他機種への引き継ぎが不可能。
  • シナリオ1で迷宮に入る際のメッセージが「Entering Proving Grounds of the Mad Overload *6」になっていたり麻痺状態の表記が「Palarysed*7」になっていたりSFC版独自の変な誤字がある。
  • メッセージを英語表記にしていてもファイル操作時の文字は日本語のままになる。*8
    • ヘルプと呪文の説明文も英語表記未対応。こちらは不具合の疑いは無く、国内でのみ発売した作品なのでここまで英語表記に拘る必要性も薄いが。

賛否両論点(SFC版)

  • この作品以降の移植作品から、オリジナル開発者の指摘により「ル’ケブレス」が「エル’ケブレス」に修正されている。 しかし長らく「ル’ケブレス」で通してしまったため、未だにオールドファンからは違和感があるとの声もある。
  • 文字フォントが#5基準の太い英数字になっている。また、称号のアイコンが「>」や「*」ではなく独自のアイコンに変更された。また英語の呪文名がFC版2以降とは異なり全て大文字のFC版1仕様になっている。
    • やはりオールドファンからは稀に不評の声が聞かれる。
  • BGMは一応SFCというハードに合わせたものになっており、雰囲気作りを邪魔するほどのものではないが、音質と同時発音数が#5や外伝4と比べて明らかに貧弱。
    • アレンジャーが努力しているため街の各施設のBGMなどの落ち着いた曲は正当なバージョンアップと呼べるものになっているものの、戦闘曲に関しては盛り上がりに欠けるのは否めない。

総評(SFC版)

  • ゲームスタジオ版ウィザードリィの決定版として位置付けられたであろう作品。プレイの際の快適度は他機種版の追随を許さないものであり、GBC版が著しいアレンジを加えられたものであることを考慮すれば本来のバランスに近いFC版1が唯一楽しめる移植作品となっている。それだけに新たに発生したバグと後述の入手難易度の高さが悔やまれる。

余談(SFC版)

  • ウィザードリィの中では最も入手が困難と思われるソフト。ローソンの「Loppi」を利用したNP(SFCロムの書き換えサービス「ニンテンドウパワー」)専用ソフトだが、書き換えサービスはすでに終了し、版権問題を抱えているためVCでの配信も絶望的。出回りは皆無に近くオークション出品時には高値で取引されている上に海賊版も多数存在し*9、正規品の入手はかなり難しい。
  • 恐慌状態*10が廃止されている。元々FC版では鑑定失敗で恐慌状態になることはなく、シナリオ3の若返りの泉を利用した際に低確率で恐慌状態になるのみだったがSFC版では若返りの泉でも恐慌状態にならなくなったので完全に廃止された。SFC版の若返りの泉で本来恐慌状態になる効果を引いた場合は何も起きないようになっている。
  • デバッグモードが存在するのだが、パーティの現在座標を変更するコマンドの名前が「 どこでもドア 」。ある意味パロディに溢れたWizらしいと言えばWizらしい。

ウィザードリィ (GBC)

【うぃざーどりぃ】

ウィザードリィII リルガミンの遺産

【うぃざーどりぃつー りるがみんのいさん】

ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士

【うぃざーどりぃすりー だいやもんどのきし】

ジャンル RPG


対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ
Gung-Ho!
ローカス
発売日 2001年2月23日
定価 各4,500円
判定 良作

概要(GBC版)

FC版『I』~『III』の移植。
「いろんなバージョンが出回っているからもういいだろう」と判断したのか、三作全てにおいて大幅なアレンジが施されている。
それぞれが単独発売で、Gung-Ho!がプログラミング作業を担当しつつも、アレンジ要素やバランス調整をゲームスタジオ、Gung-Ho!、ローカスの3社で分担した。*11

評価点(GBC版)

  • 新規要素の大量追加
    • 三作全てにおいて新アイテム、新モンスター、新規フロアが追加され、ゲームシステム上の変更点も多数。基本システムはSFC版に近いが、もはや別物といえる程のアレンジっぷりである。
    • インターフェイスはFC版を意識しつつも若干の改良点あり。ボタン数はSFC版より少ないにもかかわらず、プレイはかなり快適。
    • ハードの制約により、マップの広さが1フロアあたり16*16に減少した。ただし、EXダンジョンとして大改装されたIのB5~B8Fを除いて、マップの基本形状やイベント箇所とその内容はほぼ同じである。
      • クリア後のEXダンジョンが用意されており、やりこみ要素が大幅増加。 I「王の宝物庫に侵入し、ひたすらアイテムコレクターを目指す」
        II「善と悪のパーティが別々の難関に挑み、協力して最終関門を突破する」
        III「地獄の底まで潜っていき、強力な装備を手に強力モンスターや大ボスと対決する」
        …といった感じで、それぞれの追加マップが別々の特徴を持っている。
    • 新規モンスターはシナリオ#5までの流用が主となっているが、「ハイバンパイアやハイマスター等グラフィックだけでなく性能も別物の敵」「同名異データの敵*12を織り交ぜる」…といった工夫が見られる。また、IIIのB7(FC版の裏B6Fに相当)には、末弥純氏が書き下ろした魔人ダバルプスが中ボスとして出現する。
  • 呪文の性能の見直し
    • シナリオ#5で登場した呪文のうちいくつかが導入、更にリストの割り振りも見直され、三作全てで統一された。
    • ティルトウェイト以外の攻撃呪文に属性(火・冷気・雷・聖)が設定された。弱点属性の攻撃呪文を当てればダメージが倍加、逆に耐性持ちの相手だとダメージが半減する。弱点を突けば下位の攻撃呪文でも大ダメージを与えられるようになり、価値が上昇した。
    • INT(知恵)、PIE(信仰心)ボーナスの導入。魔法使い系の呪文は知恵を16以上、僧侶系の呪文は信仰心を16以上に上げると様々なボーナスが加算されるようになった。
      • 具体的には「攻撃呪文の威力上昇&対象の呪文無効化率の減衰」と「回復魔法の回復量」が変化する。当該ステータスが15の時と20の時では効果に雲泥の差が生じ、さらに特性値の上限が各種族で変化するようになったので、「どの種族を後衛にするのか?」という戦略面においても無視できない変更点である。
  • レジューム機能の追加
    • 通常のオートセーブ機能以外に、もっと細かいタイミングでのオートセーブ機能(オートレジューム機能)が用意されている。この機能は 戦闘中の毎ターン開始時 の状態を保存できるため、リセット技を駆使する前提であれば、他プラットフォーム版よりも難易度が低い。通常のオートセーブとは別に保存される都合、戦闘中にどうしようもなくなったときには通常のオートセーブデータをロードすることで、その戦闘が起きる前からやり直すこともできる。
  • キャラクター転送&転生システムの追加
    • 通信ケーブルを使ったキャラクターの転送が可能。
    • 外伝シリーズで好評だったパスワード転生システムも追加。特にパスワード転生に関しては、10年近く前に発売された『外伝I』『外伝II』の物も使用可能で、称号もきっちり受け継がれる。
    • 最強武器「村正」を入手すると専用の称号が得られる。転生しても称号が引き継がれさらに三作全てで村正称号を所持したキャラを作成すると、強力なアイテムがボルタック商店に並ぶ。
  • 冒険序盤の厳しいバランスが緩和され、初心者向けになっている。
    • 酒場に最初からLv3のキャラがいて、作成したばかりのLv1キャラの師範にできる。救助用パーティーとしても使える。
    • 治療の薬(IIでは傷薬)と毒消しの販売価格が大幅に値下げされている。特にIとIIIでは治療の薬が500G→10G、毒消しが300G→15Gと非常に安価に変更されており、序盤から買い溜めしておく事が可能。
    • マーフィーズゴーストがIIに追加。IIでは序盤のレベル上げと戒律変更がかなり大変だったのだが、マーフィー先生の追加で両者ともにかなり楽になった。
  • BCF(#6)と同様、アイテムのSPで特性値が限界を超えて上昇する。ただし上限は限界値+2または20まで。

賛否両論点(GBC版)

  • 一部の表現がマイルドになっている。
    • 全裸に近いイラストだった「サッキュバス」のデザイン変更や、日本語表記のメッセージやアイテム名において死にまつわる表現の書き換えなど(「くびをはねられた」→「いちげきでたおされた」、「しのゆびわ」→「ほろびのゆびわ」、など)
      • メッセージが英語表記だとクリティカルはしっかりDecapitation(斬首)しており、アイテムの英語表記も以前のままどころか新規で名前が追加されたアイテムに関しても赤錆びた短刀→BLOODY DAGGERと同様の状態になっている。これらのメッセージ関係の変更は同時期にGBCに移植された「ドラゴンクエスト」シリーズ等と比較しても明らかに過剰であり、単なる表現規制だけではない意図があったと思われるが真意は不明。
  • 上記とは別に「聖なる鎧」の名前がPS版の「君主の聖衣」になっていたり手裏剣の名前が「ザ・シュリケン!(英語名:THE SHURIKEN!)」という不可解な名前に変更されている。前者はともかく後者は明らかに浮いており賛否が分かれる。
  • 追加アイテム、追加モンスターに漫画「ベルセルク」からの引用だと思われるもの(IIIの追加アイテムや新モンスター「フェーリス」等)が存在する。
  • 呪文の変更に関する問題点
    • 魔法使いの呪文のレベル2にグループ攻撃呪文のメリトが追加されて強化された一方で、序盤の敵もいきなりメリトを仕掛けてくるようになった。特にIでは地下2階のガスクラウドが唱えてくるようになり、後衛がやられるリスクがかなり高くなっている。
    • 電属性の扱いがやや不遇。というのも雷属性は耐性を持つ敵は多数存在するが、弱点に設定されている敵が1匹もいないためである。最高位の呪文も「マモリト(6~36ダメージ)」止まりで威力も低く、耐性を考慮してモリト系を使うシチューションがあまりない。
    • 敵が唱えても無意味だった呪文「ジルワン(不死系の敵に特大ダメージを与える)」だが、本作では「敵が唱えたジルワンは、こちら側の死亡状態のキャラを灰化状態に変化させる」という仕様が追加され、脅威が格段に増した。
      • 確かに今までのジルワンは敵が唱えても無駄行動になるだけだったが、ロスト一歩手前の状態に陥らせるリスクを背負わせるのはどうなのか。(死者を出しやすい)最強攻撃呪文ティルトウェイトを唱えられる敵は仕様上ジルワンも唱えられるので、Iのワードナ戦やIIのポレ戦の危険度がかなり上がっている。
  • 敵に素早さという名の行動速度補正の概念が設定された。敵の個性付けを強化する要素になっているが、その補正が最も高い敵はこちらの素早さが高くても高確率で先行してくる。そのためシナリオ3のフェアリーなどのごく一部の敵が不当な強さを獲得してしまっている。

問題点(GBC版)

  • 画面が狭く文字が小さいにもかかわらず漢字を使用しているため、つぶれて見づらくなっているところがある。
  • ステータス表示などで一部の英語表記を非常に小さい半角文字で詰めて表示しているので目が悪いと非常に辛いものがある。
  • バグ・不具合が多い。
    • 「レベルアップ時の特性値変動判定の設定ミス*13」というゲームバランスに関わる重大なバグが三作全てに存在する。
      • 特性値の上昇が気に入らない場合はリセットでやり直しが可能。これをやらないとロードや忍者などの上級職になるのはかなり難しい。
    • SFC版同様の素早さバグが三作全てでまたもや発生する。本作では素早さの値20が閾値になっているため、影響を受けるのはホビットのみ。そのため通称「ホビットバグ」と呼ばれる。
    • 三作全てにおいて、「麻痺したキャラがパーティーにいると、その人数分だけ経験値按分の分母が減少する」という不具合が存在する。ただしこれはこちら側に有利な不具合であり、例えば1人健在&5人麻痺の状態で戦闘を終了すると、6人健在時で得られる経験値の6倍の値が各パーティーメンバーに入ってきてしまう。
    • IIにおいて善の水晶を所持していても6Fへの侵入が出来ない。他機種版では可能なので設定ミス。
    • IIIのボルタック商店では「ブラックキャンドル」が売価設定ミスのため陳列できず、リストを埋めることができない。また、「大盗賊のナイフ」「デストラクションブレード」「ナックルブレード」の3アイテムは、店売り後リセットを行うとその都度在庫がゼロになってしまう。
    • IIIのダバルプス戦には、「特定の名前を付けたキャラで遭遇すると、戦闘開始前のやり取りが追加される」という仕様が存在するのだが、フラグ管理ミスのため、このイベントを発生させられない。これは発売直前のスタッフ座談会にてこれ見よがしに匂わせていたため、不具合で発生させられないと知った多くのプレイヤーがガッカリさせられた。
  • 外伝III』以降のパスワードは使えない。本家には新種族がいないので仕方ないのだが。

総評(GBC版)

バグ・不具合こそ多い物の、オリジナルから変更された点はおおむねプレイヤーから歓迎されており、既プレイ者からの評価は高い良アレンジ作品。

余談(GBC版)

  • このGBC版ウィザードリィ3部作は、GBCで発売されたソフトの中でもかなりのプレミアが付いている。と言うのも出回りが少なかった上に良作としてウィズ愛好家が買い求めただけでなく、版権問題のため移植が絶望的であるためである。
    これからシナリオ#1~3をプレイするのであれば最もオススメできる作品ではあるのだが、この問題のせいでプレイするためのハードルが大幅に上がってしまっている。
最終更新:2025年01月30日 13:49

*1 読みは「ガンホー」。『ラグナロクオンライン』等で知られるガンホーとは別会社で、現在は解散している。

*2 全滅時にキャラがロストするとセーブデータが破壊されるバグ

*3 内部的には「乱数+素早さによる補正値」で行動順を決定するのだが、それが低すぎる(早すぎる)と行動順は最初ではなく最後に回されてしまう。素早さ15以上からこの現象が起こりはじめ、素早さ18だと40%、22だと80%の確率で行動順が最後になってしまう。

*4 厳密には術者と対象のレベル差による成功確率の補正が低くなっている。

*5 爆弾発動後にHPが0のキャラを死亡状態にする際、現在の状態を考慮していないのが原因。

*6 正しくはOverlord。

*7 正しくはParalyzed。

*8 内部的にはファイル操作時の英語表記のメッセージが存在するので不具合の可能性あり。

*9 特にNPの正規ロムを用いて不正にデータを焼いたものは判別ができない。

*10 内部的には恐慌状態は残っているが一部の設定が欠落しており早い段階で没になったと思われる。

*11 ゲームスタジオがIを、Gung-Ho!がIIを、ローカスがIIIを担当。

*12 例えばIの「ポイゾンジャイアント」。通常フロアに出現する敵は即死呪文「マカニト」が有効だが、EXダンジョンに出現する個体はマカニトが効かなくなっている等強化されている。

*13 本来は75%の確率で各特性値の変動判定が行われるのだが、設定ミスで確率が反転して25%の確率でしか変動判定が発生しない。