DEEMO -Reborn-
【でぃーもりぼーん】
ジャンル
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リズムアクション&アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション4 Windows(Steam) Nintendo Switch
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発売元
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【PS4】株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 【Win/Switch】Rayark
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開発元
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Rayark
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発売日
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【PS4】2019年11月21日 【Win】2020年9月4日 【Switch】2020年12月17日
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定価(税込)
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【PS4】4,378円 【Win(通常版)】2,450円 【Win(Complete Edition)】3,497円 【Switch】2,600円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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PS4/Win
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CERO:A(全年齢対象)
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Switch
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IARC:3+(3歳以上対象)
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判定
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なし
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備考
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PS4版のみパッケージ有り
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ポイント
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原作とはおおよそ別物のゲーム ゲーム性や適するプレイヤー層は異なる タップ操作で音ゲーを遊びたいプレイヤーには劣化が目立つ 謎解き・世界観を楽しみたいプレイヤーにはオススメ
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DEEMOシリーズ DEEMO / DEEMO -Reborn-
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ストーリー
空から舞い降りてきた、過去を思い出せない女の子
そしてひとり木のお城でピアノを弾くDeemo
そんな2人の出会い——
その指先が紡ぐピアノの音色と共に
美しい童話の物語が幕を開ける——
"さよならも言わずに、消えてしまわないで"
概要
シンプルなタップ操作と、音ゲーでありながら部屋の探索を通してシナリオを進める要素を織り交ぜたことで人気を博した『DEEMO』のリメイク作品。
3D描写のマップを自由に歩けるようになり謎解き要素が大幅にボリュームアップしたのが特徴だが、
音楽ゲームとしても大小さまざまな変更点が多く、原作『DEEMO』とはかなり趣きが異なる作品となっている。
尚、PS4/Win版はVRデバイスにも対応しており、そちらでは一味違ったプレイが可能。
本稿は投稿時点でSwitch版に限定した内容を執筆している。
また、本稿ではピアノ演奏者のキャラクターを「Deemo」と、原作『DEEMO』を「原作」という表記で統一させていただく。
原作Switch版からの変更点に比重を置いた記事となるため、『DEEMO』の記事も事前に参照していただきたい。
ゲーム内容
探索パート
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各部屋やキャラクターは全てフルポリゴンになり、自由に歩き回って仕掛けやアイテムを調べられるようになった。
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仮面の少女やDeemoもランダムで部屋に現れる。
基本的には話しかけても簡単なリアクションを取るだけだが、状況によっては高いところにあるアイテムをDeemoに取ってもらうなどのお願いができる。
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探索をしているとアイテムが手に入ることもある。
手持ちのアイテムはメニューから確認できるが使用するコマンドはなく、
必要なアイテムを所有した状態でアイテムが使えるオブジェを調べると自動的に使用する。
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物言わぬDeemoに代わり、案内役としてピンク色の音符のような形をした「精霊」が新キャラクターとして追加された。
と言ってもあまり出番は多くなく、ムービーシーンにのみ登場して少女が置かれている現状を説明するような役割に留まる。
中盤はほとんど空気になってしまう
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探索パートだけではゲーム進行が頭打ちになるため、原作と同じくピアノ演奏を通じて木を成長させる必要がある。
演奏パート
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タッチ操作でプレーする場合は譜面もルールも原作と同様だが、通常のノートと無音ノートの区別がなくなった。
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見た目の違いであって譜面が変わったわけではないが、形状が統一されて見やすくなったため一部の曲は難易度がほんの少し緩和されているかもしれない。
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コントローラ操作は原作Switch版から大幅に変更された。
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ボタン配置が原作は「左手で押す青、右手で押す赤、LRで押すスライド」の3種類だったが、
本作では6つのレーンに各ボタンが割り当てられ、概ね『beatmania』の家庭用に近いプレイ感覚になっている。
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このため、原作では一部の超高難度譜面以外ではほとんどなかった3つ~4つの同時押しが割と普通に出てくる。
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原作の特徴であるスライドノーツは「左か右のスティックをスライド方向に倒す」ことで演奏できるようになった。
いつ倒したかの判定は行われないため、ノートが降ってくる前から傾けておけば成立する。
二重スライドも存在するが、同じ向きのスライドなら片方のスティックだけで両方拾うことができる。
左右のスティックを内内または外外に傾けたままにしておけばどんな複雑なスライド譜面も全て拾うことができるが、
左右の親指が封じられてしまうためタップノーツを拾えなくなってしまうという調整になっている。
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コントローラ操作の譜面も、タップ操作の譜面そのままだった原作とは異なりコントローラ操作専用譜面が全曲に実装されている。
難易度も各曲Easy/Normal/Hardの3譜面用意されており、曲によってはタッチ操作とは難易度も異なっている。
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原作でもピアノは各部屋に3台存在していたが、各ピアノの部屋の解放に伴いプレイ画面の背景も3種類から選べるようになる。
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原作と比べて若干プレイ画面のレイアウトが異なり、原作既プレイのプレイヤーはハイスピードオプションを気持ち高めに設定するとちょうど良い。
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原作同様に演奏を繰り返すことで木が生長しシナリオが進むが、演奏だけでは頭打ちになるため謎解きもする必要がある。
評価点
大きく分けて以下の2項目が挙げられる。
謎解きパートの大幅な強化
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原作の探索は物語の進行に応じて必要な個所をタップして物語を進めたり楽曲を解禁する程度だった。
しかし、本作では絵合わせや記号・文字を組み合わせるもの、オブジェを指定の順番で操作するものなど多くの謎解きが追加されている。
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謎解きの多くは楽曲の解禁のために行われるが、中には新しい部屋に入るために必要なものもある。
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謎解きの内容自体は本格的だが、謎解きをメインにしたゲームではないため難易度は全体的に抑えぎみ。
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原作が音ゲーのため、音楽をテーマにした謎解きも多い。
こちらは音楽の知識や聴力・音感が求められるため難易度が高いものも少なくないが、
総当たりでも攻略できるものが比較的多いという救済措置が用意されている。
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探索パートのフル3D化により、原作の世界観をより現実的に体感できるようになった。
暗くも暖かく美しい城内は見て回るだけでも楽しく、気になるものがあちこちに配置されているので探求心を刺激される。
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少女や仮面の少女、Deemoといったキャラクターも3D化に伴い動くようになった。
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少女のモーションはいずれもかわいらしく、重そうな本を両手で抱えるなど細かいモーションまで作り込まれている。
また、放置していると伸びをしたり独り言を呟いたりする。ちょっとした謎解きのヒントになることも。
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Deemoは部屋を歩き回ったり(部屋を出ていくこともある)、謎のありそうなオブジェを見て考え込んでいたり、本を読んでいることが多い。
話しかけても喋りはしないが少女を撫でようとして思いとどまるなどリアクションを取ってくれる。
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仮面の少女はじっとしていることが多いが、話しかけると喋ってくれるほか、あるイベントでは少女の仕掛けたドッキリに悲鳴をあげて逃げ出すコミカルなシーンも。
ドッキリを仕掛けた少女をDeemoが優しくたしなめる場面もかわいらしい。
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原作では扉を経由して1部屋ずつ移動する必要があったが、本作ではマップから好きな部屋に直行できる。
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原作にはない部屋が追加されており、ストーリー進行に応じて原作の2Dムービーを閲覧できるようになる。
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単に画面が切り替わってムービーが流れるわけではなく、探索画面のスクリーンに映写機で投影されるという凝った作りになっている。
少女を歩かせれば好きな角度(?)からムービーを眺めることができる。
「コントローラ操作での」音ゲーパートの強化
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全曲にコントローラ操作専用譜面が追加されたのは前述の通りだが、とりわけスライドノーツがスティック操作に割り振られたことが
音ゲーパートをコントローラ操作でプレイするにあたってのゲーム性を大きく改善させた。
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スライドノーツがLR(人差し指)で拾えるせいで最初から最後まで押しっぱなしにするだけで成立してしまった原作とは異なり、
本作はスライドノーツが親指でのスティック操作に割り振られたため、基本的には片手でタップノーツとスライドノーツを同時に拾うことができなくなった。
その代わり、スライドノーツは傾ける向きさえ合っていれば左右どちらのスティックを使っても良い。
これにより、タップノーツとスライドノーツの複合譜面の対処にあたり「スライドを左右どちらのスティックで拾うべきか」という判断が求められることになった。
タッチ操作でプレイする場合も基本的には片手でスライドとタップを同時に処理することは難しく通常は左右の手で分担することが多いため、
コントローラ操作でもタッチ操作に近いプレイ感覚を味わえるようになっている。
スライドノーツの折り返しに対しても「右スティック(右手)または左スティック(左手)を左右に往復させるようにして拾う」か
「途中で逆のスティック(逆の手)にバトンタッチする」といった2つの取り方ができるため、これもタッチ操作に近いものとなっている。
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ちなみに、トリル(2つの音を高速で交互に弾く奏法)がスライドノーツになっていることもあるが、その場合は
スティックを左右に振らなくても「最初の2ノートの向き」さえ間違えていなければ傾けたままで繋がる親切設計。
賛否両論点
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選曲画面において、楽曲イラストが動くようになった。
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ダイナミックな演出になった反面、元々一枚のイラストだったものを切り取って動かしているので
静止画像の方がきれいだったというものや、動きに落ち着きがなくイラストを止めて見たいという時には演出が邪魔になることも。
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ポーズメニューから所持品を確認でき、アイテムを自由な角度に回転させることができるが特に謎解きとは関係ない。
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所持品をよく調べるとフタが開くとか裏返すと何かが見つかるとか、そういった要素はなく、ただ眺めるだけ。
一応、一部のアイテムは裏返すと文字が刻印されているのだが、何が刻印されているのかは謎解きの際に少女が読み上げてくれるので所持アイテムを調べる必要はない。
問題点
タッチ操作で遊ぶ音ゲーとしての大幅な劣化が顕著であり、以下の問題点のほとんどがこれにあたる。
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探索のみならず選曲画面までもタッチ操作非対応になった。
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タッチ操作は音ゲーパートの「タッチ用譜面のプレイ中」のみの対応となっている。
これにより、タッチ操作で音ゲーをプレイしたい時でさえリザルト画面や選曲画面でコントローラを使わなければならない。
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また、初回プレイの音ゲーパートのチュートリアルで1曲プレイすることになるが、コントローラ操作限定となっている。
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コントローラ用譜面をタッチ操作で遊ぶこともできない。
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曲数が大幅に減少した。
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有料DLCを含まない曲数は、全66曲。
原作では随時アップデートで楽曲が追加され最終的に280以上もの楽曲が収録されているため、200曲以上も削減されてしまっている。
Reborn追加楽曲はあるものの、プレイできなくなった曲がここまで多いと帳消しにできているとは言い難い。
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プレイ中にまれに処理落ちが発生する。
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音ゲーパートの背景やエフェクトに3Dが用いられているためか。
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選曲画面の曲送りに時間がかかるようになった。
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原作と同じく曲はアルバムごとにまとまっており、アルバム選択はスムーズに動くのだが
アルバムを開いて選曲画面に移ると、1曲ずつカーソルを動かすたびにページをめくる演出が挟まるため煩わしい。
アルバムによっては最大で20曲以上も収録されているため、場合によっては20回以上ページをめくる必要がある。
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どの楽曲がどのアルバムに収録されているかを覚えていないと、目当ての曲を探すのが難しい。
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これは原作にもあった問題点で、本作でも改善されていない。曲のソート機能・検索機能・お気に入りフォルダ等もない。
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謎解きと演奏の両方をこなさなければゲームが進行しない。
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これも原作にもあった問題点だが、本作は探索パートのボリュームアップに伴いこの点が一層強く浮き彫りになっている。
とはいえ謎解き・音ゲーのどちらも良質なので、プレイしていて楽しくないということはない。
問題点はそれを「強要されること」にあると言って良いだろう。
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グリッサンド(ピアノの鍵盤をなぞるようにして音階を奏でること)の爽快感が低下した。
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まずコントローラ操作の場合はレーンが6つになったため、横並びのスライドノーツも最大6つまでに制限されており、音の細かいグリッサンドはほとんど無くなっている。
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タッチ操作であれば高密度なスライドノーツを使ったグリッサンドがあるのだが、ノートが原作よりも薄っぺらくなったせいか、タップ時のエフェクトが控え目になったためか爽快感が薄れている。
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探索パートの視界が悪い部屋が多い。
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なぜか、遠方にボカシが入ったような部屋が多い。
視力が低いプレーヤーなら「裸眼で歩いているような感じ」と言えば非常に分かりやすいだろう。
もちろん、少女が近視という設定があるわけでもない。
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遠くまでくっきりと見える部屋もあり、ぼやけ具合は部屋によって大きく異なる。
部屋の広さや屋内屋外の違いも特に関係しているようには見えず、なぜこのような違いがあるのかは不明。
特に、満天の星空が見える…はずのバルコニーの視界がぼやけているのが非常にもったいない。
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全体的に暗いのは原作再現だとしても、あまりにも暗すぎる部屋も少なくない。
基本的にSwitch本体の明るさは他のゲームよりも上げてプレイすることが求められがち。
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エンディングやシナリオ等のネタバレを含む。
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エンディング後の周回要素(忘れられた時の砂時計)がオミットされている。
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一応、エンディング後に鍵が手に入り、これまで解けなかった謎解きが少しだけ追加されるが、
楽曲を全て解禁してしまうとそのデータの探索パートは散歩しかできなくなってしまう。 楽曲解禁済みの謎解きをもう一度遊ぶこともできず、謎解きを再び遊びたい場合はニューゲームから始めるしかない。
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謎解き要素を全て達成してもエンディング等に変化はない。
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総評
推奨されるプレイヤー層が原作とは大きく異なっており、
基本的に原作譲りの音ゲー目当てのユーザーにお勧めできる作品ではなくなっている。
しかし、音ゲーパートの「コントローラ譜面」については原作よりも面白く仕上がっており、
謎解きのクオリティも高いため、音ゲーは得意ではないが『DEEMO』の世界観が好きだというプレイヤーや、
Switchは持ったままおまけ程度・嗜む程度に音ゲーを挟みつつ謎解きをメインに遊びたいというライトな遊び方であれば楽しめるだろう。
タップ操作の音ゲーとして見るなら『DEEMO』原作の方が圧倒的にクオリティが高いので、音ゲー目当てならそちらをお勧めしたい。
最終更新:2022年07月21日 17:00