こちら葛飾区亀有公園前派出所 ハイテクビル侵攻阻止作戦!の巻
【こちらかつしかくかめありこうえんまえはしゅつじょ はいてくびるしんこうそしさくせんのまき】
| ジャンル | リアルタイムストラテジー |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | アイシステム東京 | 
| 発売日 | 1997年7月24日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| セーブデータ | 2ブロック使用 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | キャラゲーでは珍しいRTS 容赦のない中川
 原作通り超人的な生命力の両津(※ラスボス)
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| 少年ジャンプ関連作品リンク | 
 
概要
週刊少年ジャンプの長寿連載漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所(以下、こち亀)」初の単独ゲーム化作品。
同時期にセガサターンでもゲームが発売されているが、マルチではなくまったく異なる内容になっている。
PSで発売された本作は中川が建てたハイテクビルのセキュリティの試験(「もし最上階に辿り着けば、賞金を出す」という条件つき)として両津たち4人が最上階を目指して進み、おなじみのキャラクターたちと攻防を繰り広げる。
特徴
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プレイヤーは両さんに…ではなく、侵攻阻止側となり、両津勘吉、ボルボ西郷、麻里愛、電極+の4人全員を撃退するのが目的。
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ハイテクビルは100階層あるが、一つ一つのフロアはかなり狭い。誰か一人でも最上階に辿り着けばゲームオーバーとなる。
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監視カメラの映像を切り替えながらプレイし、ほぼリアルタイムで進行するRTS形式となっている。
 
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ビル内マップにてトラップを仕掛け、両津たちをトラップに嵌めることでダメージを蓄積させ、撃退する。
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ビル内には侵攻ルートが設定されており、トラップはこのルートの特定地点にしか設置出来ない。設置する階は自由に切り替えられるので先回りして仕掛けておくことが出来る。
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各キャラには特性があり、キャラによって効き易い・効き難いトラップが異なる。ただし、有効なトラップでも抜けられてしまうこともあるし、効き難くても成功することもある。
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監視モニターに表示しているキャラが罠にかかると四分割されたモニターに順番に結果が表示されていき、両津たちが罠に嵌る姿が描かれ、成否判定となる。
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なお、このシーン中は時間が止まるため完全なリアルタイムというわけではない。
 
 
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ビルの各階にはガードマンとして原作キャラが配置されており、キャラによってトラップ設置スピードや体力が異なる。
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両津たちがトラップに嵌っている間にガードマンが到着すると侵攻組との対決シーンとなる。
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対決シーンではライオットガンでのガンシューティングや爆弾ボールを投げたり受けるといったミニゲームとなり、相手の体力をゼロに出来ればかなりのダメージを与えられる。
 
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トラップは相手を動揺させる精神系、移動阻害する妨害系、ダメージを与える攻撃系があり、うまく使い分ける必要がある。
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また、レベルが存在し、レベルが上がれば威力も増す。トラップを成功させていけばレベルアップする。
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系列の違うトラップを連続で成功させることでコンボとなり、単独でひっかけるよりも効率が上昇していく。精神系→攻撃系のコンボは基本である。
 
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侵攻側のキャラには隠しパラメータとして怒り度が設定されており、限界を超えるとハイパー化してそれぞれ特殊能力を発揮する。
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特殊能力はどれも非常に強力であり、発動されている最中に侵攻を止めることは難しい。怒り度は連続でトラップを成功させるなどの要因で上昇していく。
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各キャラの体力は監視モニターに表示される名前の色で判別でき、精神状態は横に点灯しているランプの色で判別できる。
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体力がなくなれば撃退となるが、放っておくと回復してしまう。
 
 
評価点
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侵攻役のメンバーはそれぞれ特徴的な動きとアクションを持っており、キャラクター性をうまく再現している。
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元軍人らしく重火器に強いボルボ、力技で突破するマリア、電子戦に強い+といった形。
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両津はたまに予想外の行動を取り、侵攻ルートを外れたりビルの外を上るという反則技を使ってくるなど、一筋縄ではいかない原作らしいワイルドカードな性能となっている。
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侵攻ルートや体力などにも個性がつけられており、それぞれの個性を把握するとトラップに嵌めやすい。
 
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ガードマン側も含めれば登場する原作キャラ数も多め。
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星逃田などもはや懐かしキャラとなっていた人も登場し、原作ファンには感慨深いものがある。
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両津や中川らには当時放送されていたアニメ版に準拠したボイスがついている。ただし、ボルボのみまだアニメ未登場だったため声優が異なる。
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トラップに嵌った際には中川と麗子による実況が行われるが、同じキャラに同じトラップでもいくつかパターンが存在するため毎回異なる展開が楽しめる。
 
 
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トラップの種類が滅茶苦茶でおバカ。
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熱帯ゾーンや番犬、檻などはまだしも、ミサイルを発射したり爆弾を投下したり(ビル内なのに…)、吊天井で潰そうとしたり、レーザーで攻撃したり…何を考えてこんなトラップを仕掛けたのかと問いたくなる。
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中にはゴキブリを出して怖がらせるなどというプレイヤー側が精神的ダメージを受けるようなものも。
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これらに対して侵攻側もミサイルをキックで撃退するマリア、バリアを張って回避するぷらす、事あるごとにマシンガンを乱射するボルボ、体力だけで突破する両津など一筋縄ではいかない行動ばかり。
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中川らのコメントも侵攻組の滅茶苦茶さに呆れたり、たとえミサイルが直撃しようと「かわいそうだけど仕方ない」で済ませてしまう。一応設定上では「ちゃんと深刻なケガをしないように加減してあります」とのことなのだが…。
 
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原作がギャグ漫画だからこそと言える内容である。
 
問題点
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難易度が高い。
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当時の家庭用ゲームではまだ珍しかったRTSということもあって難易度が高く、攻略法を理解する前に脱落するプレイヤーも多かった。
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各キャラの行動を把握し、有効なトラップを連続ヒットさせていくことが重要となる。しかし、基本的に(原作同様)登場人物はみんなタフ(最も体力の低い電極+ですら、1回や2回コンボを炸裂させた程度ではビクともしない)であり、さらに両津とマリアはランダム性が高いので予想が難しい。
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キャラの状態はモニターのグラフィックで判別せねばならないので、どの程度ダメージを与えたのかなど判別しにくい。
 
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たまに発生するランダムイベントのほとんどが、プレイヤーにとって強烈なバッドイベントである事も難易度の高さに拍車をかけている。
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また、体力が一番多く予想外の行動を取って罠を無効化してくる両津の強さが遺憾なく発揮されており、他のメンバーを撃退できても両津だけは倒せずに終わる事も。ある意味原作再現ではあるが…。
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クリア後にはランクが表示されるが、高ランクを取るのは非常に難しく、Bランクが出せれば良い方である。Aランクはほぼ無理なんじゃないか…?というぐらい厳しい。
 
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前述のようにボイス付だが、ボイスがあるのはトラップシーンと捕まえた時のみ。
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OPやEDの会話シーンにはボイスはない。また、捕まえたシーンでボイスがあるのは捕まったキャラだけで中川と麗子はボイスなしと中途半端。
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アニメシーンなどもないためアニメ放送中にしては少々寂しい。
 
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ゲーム中のイラストは全て昔ながらのパソコンに直接描いたドット絵と思われる。時代を考えると少し古めである。
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セーブ出来るのが30F、50F、70F、90Fに到達した時のみなので中断しにくい。
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なぜか「秋本麗子」の名前が「秋山麗子」となっている。
総評
キャラゲーとしては原作再現度も高く、ギャグ漫画らしい要素もあって楽しめるが、
ゲームとしてはRTSゆえの難易度の高さと日本ではジャンル自体がマイナーなので微妙な評価となっており知名度も低い。
こち亀のゲーム自体が珍しいので貴重な一作ではある。興味を持ったら探してみるのもよいだろう。
余談
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本作の発売の際、原作でもゲーム化に関する話として105巻「やったぜ!ゲーム化の巻」で『ファミコンジャンプ』に参戦した時の事をネタにしていた。
最終更新:2024年03月23日 06:26