バトルフィールド2042

【ばとるふぃーるど にーぜろよんにー】

ジャンル FPS

対応機種 プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
Windows10/11
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 DICE
発売日 2021年11月19日
定価 スタンダードエディション
【PS5/XSX】9,700円
【PS4/One/Win】8,700円
ゴールドエディション
【PS5/XSX/PS4/One】13,000円
【Win】12,000円
アルティメットエディション
【PS5/XSX/PS4/One】16,000円
【Win】14,500円
プレイ人数 1~128人
レーティング CERO:D(17才以上対象)
備考 PS4/Oneの最大プレイ人数は64人
判定 シリーズファンから不評
ポイント 『BF4』以来の現代戦
最大128人対戦による大規模な戦闘が楽しめる
しかし数多くの問題点が存在し評価は過去最低
バトルフィールドシリーズ


概要

『バトルフィールド』シリーズの14作目。
異常気象や世界恐慌によって混迷を極める西暦2042年を舞台としており、『バトルフィールド4』以来の現代戦がテーマである。
登場人物など『BF4』の後年を思わせる描写も多く、事実上の後継作としての意味合いも強い。
本作は『バトルフィールド バッドカンパニー』以降導入されていたキャンペーンモードが存在せず、マルチプレイのみ実装されている。
ちなみに、舞台である2042年は初代『BF1942』とシリーズ唯一の未来戦作品『BF2142』の丁度中間地点にあたる。


特徴・システム

All-out Warfare(以下AoW)

  • 最大128人(PS4/Oneは最大64人)が2チームに分かれて戦う対戦モード。
  • 「コンクエスト」「ブレークスルー」の2つのルールを選択可能。
    • 「コンクエスト」はシリーズお馴染みのルールで、マップ上に配置された拠点を奪い合う。
      • 各チームにチケットと呼ばれる戦力値が設定され、拠点を占拠するか、死亡したプレイヤーが再出撃すると減少する。相手チームのチケット数を0にする、もしくは制限時間までにチケット数が多いチームが勝利となる。
      • 本作は1~3個程度の拠点を含んだ「セクター」という単位で分かれており、セクター内の拠点を全て制圧するとチケットが減少する仕様となっている。
    • 「ブレークスルー」は『バトルフィールド1』の「オペレーション」の流れを汲むルールで、攻撃側と防衛側に分かれて戦う。
      • 攻撃側はセクター単位で指定された拠点を制圧し、防衛側を後退させ続ける。最終セクターの拠点を制圧できれば、攻撃側の勝利となる。防衛側は攻撃側のプレイヤーを倒し、再出撃するたびに減少するチケット数を0にできれば勝利する。
  • ソロ・協力モードも選択可能で、その場合はAI兵士を相手に戦う。協力モードはプライベートな招待のみ対応している。

ハザードゾーン

  • 4人1組の分隊単位で戦うサバイバルルールのPvPvEモード。最大参加人数は32人。
  • マップ中に散らばった「データドライブ」と呼ばれるアイテムを回収し、時間経過で現れる脱出機に乗って戦闘区域から脱出することを目的とする。
  • 本モードはAI兵士も存在し、敵対チームだけでなくAI兵士とも戦いながら「データドライブ」の回収を目指していく。
  • ハザードゾーンでは、死亡すると「分隊再出撃ビーコン」と呼ばれるアイテムを使わなければ再出撃が出来ない。味方が全員死亡した場合は、その時点でゲーム終了となる。
  • ゲームの結果によってハザードゾーン専用の通貨が貯まり、次回のゲーム参加時に初期装備以外の武器やアイテムの購入に利用できる。

バトルフィールド ポータル(以下ポータル)

  • ルールは公式が用意した「オフィシャルエクスペリエンス」か、ユーザーが設定した「コミュニティエクスペリエンス」のどちらかを選択する。
    • 「コミュニティエクスペリエンス」は、「エクスペリエンスコード」と呼ばれるコード番号が必要になる。コード番号はネット上で共有されているものを使うか、公式の専用サイトから自分でルール設定を行い、出力されたものを使用する。

その他の新しいシステム

  • 本作は「スペシャリスト」と呼ばれる固有の能力を持ったキャラクターを選択する方式が採用されていたが、問題点に記載するようにかなり不評であったため、2023年1月より過去作と同じ「兵科制」に戻された。
  • ただしスペシャリストのキャラクター自体は続投して各兵科に割り振られており、スペシャリスト制のシステムはいくつか引き継がれている。
    • 各キャラクターにはそれぞれ「専門技能」と呼ばれる専用のガジェットと、「特性」という特定条件で発動される固有の能力を持っている。
    • 従来は兵科によって使用できる武器が分かれていたが、本作ではどの兵科を選んでも好きな武器を所持できるようになった。
      • 一方「練達」と呼ばれるシステムが存在し、兵科に合った武器を選択すると特殊効果が付与される。例えば「突撃兵」であれば、アサルトライフルの予備弾倉を他の兵科より多く所持できる。

評価点

  • 最大128人が激突する大規模な戦いが楽しめる。
    • もともと対戦ゲームとしては参加人数が多いシリーズだが、さらに増えたことで激戦区では非常に激しい攻防が繰り広げられる。
    • 賛否両論点に記載するような問題はあるものの、これだけの人数で戦闘が楽しめるのは大きな特徴であると言える。
  • AI兵士の導入で最初からある程度の人数で遊べたり、実戦形式でマップの探索や武器の試し打ちができるようになった。
    • 本作はソロ・協力モードだけでなく、ハザードゾーン以外で人数が足りない場合は、AI兵士が代わりに戦ってくれるようになっている。
    • 過去作ではサーバーに人が集まるまで待ったり、少数でも戦う必要があったが、AI兵士のおかげで最初からある程度の人数で対戦できるようになった。
    • AI兵士は動きがぎこちなく、流石に人間と同じレベルとは言えない。それでも一通りの役割はこなしてくれるので、プレイヤー数に偏りがなければゲームの進行に影響は少ない。
      • アップデートごとに「プレイヤー分隊にも味方AI兵士追加」「簡易チャットに反応して弾薬箱や医療箱をプレイヤーに投げる」といった改善が積み重ねられている。
    • ソロ・協力モードではマップとルールが選べるので、実戦形式でマップの探索や武器の試し打ちができるようになった。
      • さらにAI兵士相手でも武器やビークルのアンロックは進むので、楽しいかは別として気軽にアンロックを進められるようになっている。
  • 工夫次第で様々な遊び方ができるポータル。
    • 特徴に記載した通り、ポータルでは懐かしい過去作のマップを選択して遊べる。
      • マップだけでなく、兵科制や過去作の武器も設定もでき、ゲーム性を従来のバトルフィールドに近づけることができる。
    • ルールは細かく設定でき、AI兵士とプレイヤーで戦うPvEルールといった他のモードでは出来ない遊び方も可能である。
      • ロジックエディターというビジュアルプログラミング機能も搭載されており、マップ縮小を再現したバトルロイヤルモードなどの凝ったルールも作成できる。

賛否両論点

  • 評価点に128人が戦う大規模な戦闘が楽しめると記載したが、対戦人数が増えた弊害も指摘されている。
    • 対戦人数が増加した分だけ互いの攻撃も増えるため、敵味方が密集する激戦区では四方八方から攻撃が飛んできて何が起きているか把握しづらい時がある。
      • 大人数ならではの迫力やお祭り感はあるものの、対戦ゲームとしての戦略性はやや失われている。
    • 過去作以上に個人の影響力が薄く、少数分隊の行動が潰されやすい。
      • 元々『バトルフィールド』は単独行動が推奨されるゲームではないが、戦況を読めれば少数でも手薄な拠点を奪って挟撃するなど、突破口を開くような戦い方は可能だった。
      • しかし本作の対戦人数では、多少前線を離れるプレイヤーが居ても戦況への影響が少なく、少数分隊で手薄な拠点を狙っても、相応の人数で対応されやすくなっている。
      • もちろん、少数分隊による活躍ができないわけではないが、かなり緊密な連携が求められるので過去作に比べるとハードルが高い。
    • 引き気味に戦わないとビークルが破壊されやすい。
      • ビークルの総出撃数は過去作からあまり変わっておらず、対戦人数の増加に伴って攻撃を受けやすくなっている。
      • 空中に逃げられる航空ビークルはまだしも、地上ビークルは集中砲火を受けやすく、特に旋回性能に癖のある戦車はかなり攻めにくくなっている。
    • 128人での大規模な戦闘は確かに派手だが、面白さに寄与しているとは言い切れない部分もある。『バトルフィールド』に128人という対戦人数が本当に適切なのか?といった点で賛否が分かれている。
      • ただし本作は後述するように多くの問題点が存在しており、対戦人数ではなく本作自体のクオリティに問題がある、という意見もある。
      • ゲーム性が異なるので単純な比較できないが、『MASSIVE ACTION GAME』のような対戦人数が多くても評価の高いゲームが、本作を語るにあたり引き合いに出されている。
    • 前作『BFV』は64人対戦だったので参加人数は2倍だが、マップ面積が4倍になったので実質的には誰とも遭遇しない場面のほうが増えている。
  • 昨今の流行に寄せたゲーム性への賛否。
    • 本作の目玉の1つであるハザードゾーンは、2010年代後半から人気のあるバトルロイヤルなどのサバイバル系のゲームを彷彿とさせるルールとなっている。
    • スペシャリストも『Apex Legends』のような、個性を持ったキャラクターを操作する「ヒーローシューター」を意識していると見られている。
    • こうした昨今の流行に寄せた調整が本作には散見される。
      しかし、問題点に記載するスペシャリスト制の弊害など、流行に寄せた調整がこれまで培ってきた『バトルフィールド』のゲーム性に悪影響を与えている側面がある。
    • 多数の不具合といった完成度の怪しい部分も目立っており、全体的なクオリティをおろそかにしてまで流行の要素を取り入れる必要があったのかは疑問が残る。
      • 特にハザードゾーンは個々のプレイヤーの責任が重めなサバイバル系ルールのため、大人数での戦いや味方の支援に徹しても活躍の場があるといった『バトルフィールド』のゲーム性と相反する。
      • 事実、前作『BFV』のバトルロイヤルモード「ファイアストーム」はユーザーに受け入れられず失敗しており、懲りずに似た様なモードを導入することへの懸念があった。
      • 案の定、ハザードゾーンも発売1か月程度で過疎化が進行し、2022年時点でマッチングは極めて厳しい状態となっている。
    • 開発側もハザードゾーンに人気がないことを認めており、事実上の開発終了を宣言している(参照)。
  • クロスプレイにおける格差。
    • PS5/XSX/Winは、初期設定でクロスプレイが有効となっている。
    • しかしPCはキーボードマウスによる緻密なエイム操作が可能であり、家庭用ゲーム機のコントローラーに比べて撃ち合いは有利である。
      • 家庭用ゲーム機向けのエイムアシスト機能は存在するが、あまり効き目は強くない。
    • エイムのみで勝敗が決まるわけではないし、個人の技量に左右されるところではあるが、現状は家庭用ゲーム機プレイヤーがややハンデを背負った状態であることは否めない。
    • とはいえ対戦人数の多い本作ではプレイヤー数が重要であり、人口確保を目的とすれば一概に問題点とは言い切れないのも事実である。
    • ちなみに設定でクロスプレイを無効にもできるが、初期設定ではないのでプレイヤーが集まりづらい。

問題点

  • 大小含め多数の不具合が存在しており、ゲーム進行の妨げとなっていた。
    • 全てを記載すると量が多くなるので一部抜粋するが、「タイトル画面でエラーが発生して進めない」「ビークルから降りるとサイトの覗き込みが出来ない」「ショットガンで20ダメージしか与えることが出来ない*1」などプレイに支障の出る不具合も少なくない。
    • 現在は度重なるアップデートにより、進行に影響のある不具合に遭遇する機会は減った。ただし細かいバグも含めると、完全に解消されたわけではない。
  • 劣悪なマップデザイン。
    • マップが広すぎる。
      • 「カレイドスコープ*2」と言った本作の新規マップは、過去作と比べて倍以上も面積が広がっている*3。しかし128人という対戦人数を踏まえても広げすぎており、移動距離の増加や全体的な戦闘機会の減少を招いている。
      • 特に移動距離は「マラソン」「ウォーキングシミュレーター」などと揶揄されるほどで、下手すると戦闘より拠点に向かって走っている時間の方が長くなることもある。
      • ビークルに乗れば多少は移動時間を短縮できるが、ビークルの数や搭乗人数は限られており、必ず乗れるとは限らない。
    • 拠点間に遮蔽物が少なすぎる。
      • どのマップも拠点間に遮蔽物が少なく、起伏の少ない地形が多い。射線が通りやすい危険な空間が多く存在し、狙撃やビークルの攻撃に対して抵抗し辛い。
      • 前述したようにマップが広いので拠点間も長く、射線の通る空間を避けようと遠回りすると移動距離の長さに拍車がかかる。
      • ビークルも歩兵と同様に身を隠せる空間が少ない。賛否両論点に記載した、対戦人数の増加でビークルが攻撃されやすい問題を助長してしまっている。
      • 遮蔽物の少なさから侵攻ルートが乏しく、戦況を見ながらどういったルートで攻めるか、といった戦略の幅が狭くなっている。
    • 動線が練られていないマップ構造。
      • 過去作には「中央地点で両チームが激突しやすいマップ」など、チーム同士の動線が練られたマップも少なくなかった。
      • 一方本作は拠点の設置場所がマップ全体に点々と置かれているだけで、前述の通り拠点間の遮蔽物が少なくルート選択に乏しいため、チーム同士の動線が考えられているとは言い難い。
        各拠点で戦闘が完結しがちとなり、対戦人数の割に散発的な戦闘に終始する、スケールの小さいゲーム展開になりやすくなっている。
      • 一部のマップでは極端にアクセスの悪い拠点が存在する。
        そのような拠点は取ろうとしても無駄に時間がかかる上に戦況への影響も小さく、ゲーム終了までプレイヤーがほとんど寄り付かないことも多い。
      • 狙う拠点が絞られるブレークスルーであれば、散発的な戦闘という状況は多少改善される。
        もっとも無駄な移動距離の長さや戦略の幅の狭さといったその他の問題はそのままであるが…。
    • プレイヤーを邪魔するだけの天候ギミック。
      • 特定のマップでは天候が変化し、プレイヤーを吹き飛ばす竜巻や視界不良になる砂嵐が発生するというギミックがある。
      • 見た目には派手な演出だが、『BF4』の「Levolution*4」や『BF1』の巨大兵器のように戦況を変化させるような要素ではなく、プレイヤーを邪魔するだけの不快なギミックとなってしまっている。
    • マップデザインは本作で真っ先に批判される問題といっても過言ではなく、前代未聞の新規マップ全改修が行われている。
      • 改修後のマップは拠点間にオブジェクトが追加されるなど、問題点を解消しようとする試みは見られる。しかし根本的に改善されたとは言い難く、「改修前に比べたらマシ」程度の評価に留まっている。
      • シーズンコンテンツで追加されたマップは、前述の批判を意識した設計がなされており、発売当初の新規マップよりは評価が高い。
  • 破壊表現の乏しさ。
    • 様々なオブジェクトを破壊できるのが『バトルフィールド』の特徴であったが、本作は破壊表現が控えめになっており、街灯などの小さなオブジェクトや小屋が壊せる程度に留まっている。
    • 破壊表現は見栄えだけでなく、戦略面における悪影響もある。
      • 例えば建物内に潜む敵を壁や建物ごと破壊して炙り出すといった戦法も、破壊できるオブジェクトが少ない本作では有効ではない場面も多い。
  • 歩兵で使える武器数が過去作に比べて減少した。
    • 本作で使える武器はサブウェポン含め発売当初で22種類。直近のシリーズ作品では最も少なく、選択肢が2種類しかない武器種も存在する。
    • ポータルで使用できる過去作の武器を含めれば全体数は増えるが、AoWやハザードゾーンで使用できなかった。
      • 現在はシーズンコンテンツの追加武器やポータルからの流用もあり、過去作と比べて依然少ないものの、大きく見劣りするほどではなくなった。
      • ただし追加武器の多くは後述のアンロック対象となっており、全ての武器を解放するには時間を要する。
  • 武器やビークルのアンロックで生まれる格差。
    • 本作は試合で獲得できる経験値を溜め、プレイヤーに設定されたレベルを上げることで武器やビークルをアンロックできる。しかし、レベル60まで上げなければ全ての武器とビークルをアンロックできない*5
      • 必要経験値が少ない低レベル台を除くと、コンクエストやブレークスルーでトップレベルの好成績を残しても、せいぜいレベルが1つ上がる程度である。レベル60まで上げようと思えば、当然相応の時間がかかってしまう。
      • 評価点に「ソロ・協力モードでもアンロックが進む」と記載したが、後述する経験値稼ぎ対策の煽りを受けて取得経験値が制限されているので、マルチプレイよりアンロックの効率は悪い。
    • アンロック対象には、チームプレイを支援するガジェットやビークルも含まれている。レベルが低いほど遊びの幅が狭まり、アンロックを済ませたプレイヤーとの格差を生んでしまっている。
    • こうした状況に対してユーザー側で経験値稼ぎの手法が模索されるが、開発側は自分たちが想定していない経験値稼ぎを厳しく取り締まっており、稼ぎ手段が見つかると即座に修正されてしまう。
      • 確かに異常な経験値稼ぎを問題視する意図は理解できるが、本作の数々の問題点を差し置いて修正されたため、プレイヤーから反感を買ってしまった。
  • スペシャリスト制導入による弊害。
    • 特徴・システムに記載した通り、2023年1月にスペシャリスト制の廃止と兵科制の再導入が行われた。しかしいくつかの要素は引き続き残されており、現在も解決されていない問題を記載する。
      • なお改善された問題点は「アップデートで改善・緩和した問題」に記載しているので、兵科制再導入前の状況はそちらを参照されたい。
    • 装備制限の撤廃で発生したデメリット。
      • 従来の兵科制では、狙撃銃を持つ兵科は索敵向けのガジェットしか選べなかった。しかし本作では、弾薬箱や医療箱といった継戦能力を高める組み合わせが可能になってしまった。
        そのため安全な位置から狙撃だけ行なってチームの勝利目的に貢献しようとしない、いわゆる「芋虫」プレイヤーを助長させることに繋がってしまっている。
      • 現在は補給系のガジェットを選べるのは援護兵だけとなったが、武器制限の撤廃は継承されているので、完全な問題解消には至っていない。
    • 歪なバランスとなっているスペシャリストの能力。
      • スペシャリストの1人「マケイ」は専門技能「グラップリングフック」を使って縦横無尽に移動できる。
        高層の建物やオブジェクトが多々存在する関係上、高所から一方的に撃ち下ろしたり、破壊が困難な場所にリスポーン用ビーコンを置けるなど、立ち回りにおいては他を圧倒している。
      • スペシャリスト「サンダンス」は、空中を高速で滑空する特性「ウイングスーツ」により、敵地の裏まですぐに降下できてしまう。
        常に裏取りが可能になるので、他のスペシャリストでは対策がほぼ不可能な状況が作り出されやすい。
    • スペシャリストのキャラクター性が、戦争ゲームとしての雰囲気に合っていない。
      • 『バトルフィールド』は厳密なリアリティを求められているシリーズではないが、戦争ゲームとして雰囲気も重視されてきた。
        実際に『BFV』では、第二次世界大戦が舞台なのに女性兵士が大々的に参戦することにかなり賛否があった*6
      • 本作は敵も味方も使用するスペシャリストは変わらず、同じ見た目のキャラクター同士で戦うため非常に違和感がある。
        装備しているライトバーの色で敵味方の判別はできるが、咄嗟の戦闘では判別し辛いという問題もある。
      • シリーズファンからは名も無き一兵士による戦いを求めている声も多く、余計な個性を付けられたことに抵抗感を感じるプレイヤーも少なくない。
  • 過去作からシステム面が劣化している。
    • 定型文を送れる簡易チャット「コモローズ」は、過去作では付近の味方にも共有されていたが、本作では分隊メンバーにしか共有されない。
      • 分隊メンバー以外の味方に弾薬や回復箱をコモローズを通して要求したり、蘇生してくれた人に御礼を述べるといったことが出来ない。
    • 過去作には存在したスコアボーナスがいくつか削除されている。
      • ビークルへのダメージボーナスや、分隊長の指示通りに拠点を制圧した時に獲得できる「分隊命令ボーナス」など、過去作に存在したスコアボーナスが本作には導入されていない*7
      • 味方とどう協力するのかは個人の問題である。しかしスコアボーナスが協力する上での動機付けになっていたのは間違いなく、プレイヤー同士の連携に悪影響を与えている。
    • 1試合で強制的に解散させられてしまい、連戦ができない。
      • 試合が終われば解散させられるので、同じメンバーで連続して遊べない。
      • 後述するようにサーバーブラウザがポータル以外に存在しないので、再マッチングで同じマップに何度も当たってしまうこともある。
    • 現在稼働しているサーバーを様々な条件で検索できる「サーバーブラウザ」という機能が、ポータルでしか利用できない。
      • AoWとハザードゾーンは自動でサーバーを割り振られるクイックマッチしかなく、好きなマップやルールを検索して遊べない。
      • ポータルにしても他のモードからプレイヤーを誘導する動線に乏しく、ユーザーの分散を招いて人を集めづらくなっている。
      • 2022年9月に開発側からサーバーブラウザ機能をAoWに実装する予定がないと発表され、今後も改善される見込みはない状況である。
  • AI戦に関する宣伝と実情の乖離
    • 発売前はプレイヤー1人でもAI兵士と一緒に128人対戦が体験出来るような触れ込みだったが、実際にAI兵士が同時に出撃できるのは63人まで。これにより、ソロプレイでラージサイズのマップを練習する事ができない。
      • ポータルで設定すればラージサイズのマップでAI兵士と64人対戦を楽しむ事は可能。しかしAI兵士は固まって動きがちなので、特にコンクエストにおけるマップの過疎感は否めない。
    • ビークル、特に航空機で出撃してくる頻度が少なく、対空武器による経験値を溜めにくい。
+ アップデートで改善・緩和した問題
  • 地上ビークルを弱体化させた「C5ドローン特攻」戦法。
    • これはスペシャリスト「キャスパー」の固有ガジェットであるドローンに遠隔起動の爆弾「C5」を複数貼り付け、ドローンごと爆破するというもの。
    • この戦法を使うと、ドローンを操作している姿さえ見られなければ、ほぼノーリスクでビークルを破壊できてしまう。
      • 航空ビークルは高度の関係で当てるのは難しいが、地上ビークルには非常に有効である。この戦法を使われると、前線に出てきた途端にビークルが破壊されることも少なくない。
    • ドローンへ攻撃を加えて破壊できるが、的が非常に小さく、機動力もかなり高いので容易ではない。
    • 現在はアップデートでドローンが対空ミサイルのロックオン対象になったり、C5の設置数によって機動力が低下するといった弱体化が図られた。
  • 兵科制再導入前の問題点。
    • 兵科制の代わりに採用されたスペシャリスト制は、プレイヤー間の連携が取りにくかった。
      • 従来は兵科によって役割が明確となっており、支援タイプに物資を要求したり、チームの状況によって適切な兵科へ変更して援護に回るといった緩やかな連携が可能だった。
      • しかしスペシャリスト制では武器制限が撤廃されたこともあり、支援タイプのスペシャリストでも狙撃銃を担いで狙撃に徹するなど、スペシャリストのタイプに合った行動を取るとは限らない。
      • つまりスペシャリストの見た目だけでは各プレイヤーの役割が判断しづらくなっており、後述するコモローズが分隊以外に共有できない点も相まって、プレイヤー間の連携が取りにくくなっている。
      • 現在は兵科制が改めて採用されたため、スペシャリスト制よりは各プレイヤーの役割がわかりやすくなった。
    • 各スペシャリスト専用のガジェットで装備の枠が1つ埋まっていたので、かえって自由度が狭まっていた。
      • 例えば修理ガジェットを持つスペシャリストは現状存在しないので、修理ガジェットと対ビークル兵器を使って味方ビークルを援護するような遊び方が出来なくなった。
      • 兵科制再導入に伴い、スペシャリスト専用ガジェットは兵科毎のガジェットとは別の枠として扱われるように修正された。
    • 試合終了後に成績トップのプレイヤーが表彰されるが、その際に喋るスペシャリストのセリフが全体的に軽薄で、殺伐とした世界観や雰囲気に合っていない。
      • あまりにも不評だったためか、アップデートで表彰時のセリフはすべて削除されている。

総評

『BF4』以来の現代戦という特徴や、過去最大のプレイ人数など、発売前は多くの期待を受けた作品。
ところが蓋を開けてみると、多数の不具合や劣悪なマップデザインなどの問題点が数多く指摘され、前評判とは裏腹にかなり厳しい評価を下されている。
特にこれまで評価されてきた味方との連携要素など、『バトルフィールド』の特徴的なゲーム性が損なわれており、シリーズファンから「過去最低の出来」と評されることも少なくない。

開発側も本作の低評価を認識しており、品質改善に向けた継続的なアップデートを行っている。
当初は発売から3か月間隔で配信される予定だったシーズンコンテンツの開始を半年延期する、2022年3月時点で同時接続数が過去作を一時下回るといった状況もあり、本作の行く末に暗雲が立ち込めていた(参照)。
アップデートを重ねた現在は、進行に支障の出る不具合も改善が見られ、発売当初の悲惨な状態から持ち直しつつある。

しかし問題点は依然として残っており、残念ながら「過去最低」の汚名を返上できるほどの評価は得られていない。
近年の『バトルフィールド』シリーズは発売されてすぐは評価が低いが、アップデートにより徐々に高評価になっていく傾向があるため、今後に期待したいところではある。


余談

  • 発売元であるEAは、2022年2月の財務報告会にて本作の失敗を認めている(参照1)。
    • EAのCEOいわく、コロナ禍で在宅勤務が続き、厳しい開発状況が続いたことを失敗の理由として挙げている。
      • また、2023年5月末にはDICEの元スタッフが本作の開発は常に締め切りに追われ、もっと開発に時間をかける必要があったにもかかわらず急いでリリースされていたことを自身のTwitterで暴露している(参照2)。
  • 本作の音声仕様は日本語だが、『BF1』『BFV』と異なり英語音声に切り替えることはできず、吹き替えのみとなっている。
    • ただ、ゲーム内全ての音声が吹き替えられているわけではないため、マルチプレイ中には頻繁に外国語(おそらくそれぞれの兵士の母国語)が聞こえてくる。
  • パッケージに描かれている兵士は斥候兵のスペシャリストでインド出身のナヴィン・ラオだが、本編と異なり髭がなく別人に見えるうえ、ゲーム内のラオにはパッケージと同じ戦闘服が実装されていない。
  • 本作に登場するロシア出身のオペレーターであるボリスには「リトル・グリーンメン」というスキンが存在していたのだが、これはロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を占拠した際にロシア軍が名乗っていた偽名である為、後に名称が変更されている(参照1)。
    • 一方で、本作に登場するフランス出身の黒人女性オペレーターであるサンダンスのセクシャリティーはノンバイナリー*8、つまりLGBTであることを公式に明かしており、昨今話題の「ポリティカル・コレクトネス (政治的な正しさ)」がしっかり取り入れられている(参照2)。
    • 問題点で述べたように、前作『BFV』でもポリコレ要素(しかも史実無視)が全面に押し出されていた一方で、ゲーム内のドイツ軍将校にナチスに対抗した実在するレジスタンスと同じ名前を付けると言った配慮の欠片もない行為をしている。
      • これらのことから、シリーズファンの中には「DICEはポリコレには厳格なのに歴史的な配慮には無神経」と不信感を抱く者も少なくない。
  • 2023年2月28日に配信されたシーズン4のアップデートにおいて追加された新マップには、本作と同じDICEが開発した一人称のアクションアドベンチャー『ミラーズエッジ』のイースターエッグがあることが確認されている(参照)。
  • 2023年3月7日から4月3日の期間に発売から僅か1年3ヶ月でPS Plusのフリープレイにて無料配信された。
    • 前作『BFV』も2021年5月にフリープレイで無料配信されたため、シリーズ最新作が2作連続でフリプ落ちしたことになる。
      • なお、『BF』シリーズの次回作は既に開発が始まっていることが公式に明かされており、キャンペーンモードも復活するとのこと(参照)。
    • ちなみに発売時期は2025年4月以降とされているが、本作発表時に「今後は必ず2年おきに『BF』の新作をリリースする」と明言していたにもかかわらず4年も空く現実を考えると、やはり本作の不評はダメージが大きかったものと思われる。
最終更新:2024年02月03日 16:00

*1 最大ヘルスは100+アーマー増加分のため、ショットガンが全く使い物にならない状況となってしまった。

*2 韓国のソンドを舞台としたマップ。マップ名は英語で「万華鏡」を意味する。

*3 『BFV』のマップと比較して2~5倍の広さ。

*4 『BF4』に導入されたシステムで、地形を変化させるほどの大規模な破壊を引き起こし、拠点配置や侵攻ルートを大きく変化させる。

*5 ポータル武器はミッションをクリアすることでアンロックされるが、ミッションに必要な武器はレベルを上げてアンロックしなければならない。

*6 当時もソ連やレジスタンス等に女性兵士は居たが、あらゆる戦線に投下されるほど存在したわけではない。時代背景から考えて、女性兵士がいたるところで戦っている状況はおかしい、という批判が少なくなかった。これに対し開発元であるDICEは「我々には女性兵士を出す信念がある。受け入れられないなら買わなくていい(意訳)」と発言し大炎上した。

*7 アップデートにより分隊ボーナスが追加されたが経験値が多く獲得出来るだけでスコアには影響しない。

*8 体の男女に関わらず性自認が男性でも女性でもない人のこと。日本では歌手の宇多田ヒカル氏がこのノンバイナリーであることを公表している。