バトルフィールド3
【ばとるふぃーるどすりー】
| ジャンル | FPS |  
  
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| 対応機種 | プレイステーション3 Xbox 360
 Windows
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| 発売元 | エレクトロニック・アーツ | 
| 開発元 | DICE | 
| 発売日 | 2011年11月2日 | 
| 定価 | オープン価格 | 
| プレイ人数 | 【Win】1人~64人 【PS3/360】1人~24人
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| レーティング | CERO:D(17才以上対象) | 
| 廉価版 | 【PS3】PlayStation3 the Best 【360】プラチナコレクション
 【Win】EA BEST HITS
 全て2013年7月11日/3,675円
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| 判定 | 良作 | 
| バトルフィールドシリーズ | 
 
概要
前作『2』から数えて6年のブランクを経てリリースされた大人気本格戦場FPS。
『バッドカンパニー2』に続きPS3/360/Winの3プラットフォームでの発売となる。
西暦2014年の中東・中央アジアを舞台にアメリカ海兵隊による武装勢力PLRやロシア軍との武力衝突を描く。
『バッドカンパニー』シリーズより採用されたFrostbiteエンジンがリニューアルされ、パワーアップしたグラフィックにより迫力ある破壊表現を実現。
PCシリーズファンの5年越しの待望と新世代の戦場を待ちわびる家庭用ゲームファンの期待を受けて、国内外のメディアからも大きく注目を浴びた。
特徴
Frostbite2エンジン
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ゲームエンジンがFrostBite2にアップグレードされ、よりグラフィックの写実性が増した。砲撃とともに巻き起こる土煙、焼けてむせ返るような火災の様子から、木々から漏れる陽光の照り返しまで細かい描写も戦場に華を添える。
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画質の向上にとどまらず物体の挙動までが細かくなっており、銃を撃てば薬莢が舞い散り、人物の動作モーションはかなり改善されており、兵士が屈んだり伏せたりする動作や柵等を飛び越えるアニメーションもがより自然な挙動をするようになった。
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特筆すべきは破壊表現で、戦闘に巻き込まれた樹木が倒れたり、建物の壁が吹き飛んで穴が開き破片は四方へ飛び散り、崩壊する建物に巻き込まれると押しつぶされて死ぬなどといった環境の変化がよりパワーアップしており、戦場が変化することで常に新しい試合展開が生まれるゲーム性を生み出している。
 
シングルプレイ
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今作では家庭用機もセールス対象である為、シングルシリーズも力が入れられている。
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作風がコメディ路線の『BFBC』シリーズとは異なり、シリアス路線となっている。
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『バトルフィールド』シリーズらしく戦車や戦闘機など登場兵器も豊富で、どんな兵器でも簡単操作で使える『BF』シリーズの特色は健在。
 
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ストーリー
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アメリカ海兵隊第1海兵師団第1偵察大隊 ヘンリー・ブラックバーン軍曹は、テロリズムの疑いを受けて尋問を受けていた。
 その内容はロシアの小型核爆弾が、彼の手に渡っていたとの疑いによるものだった。
 尋問の中で過去を遡り、イランでのPLR掃討作戦から始まる全ての出来事、核爆弾はどこ行ったのか、ブラックバーンは何を行ったのか…
 話の中で浮かび上がる1人のロシア人の存在…その場に居合わせた兵士たちの視線を交えて語られる。
 
 
マルチプレイ
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広大かつバリエーションに飛んだ新たな戦場の数々
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砂漠地帯にある燃え上がる製油所、緑あふれる起伏に飛んだカスピ海近くの平原、パリの市街地と地下鉄駅…などといった、野戦/市街戦など多種多様のシチュエーションが登場。
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Win版では最大64人対戦に対応したマップが登場。
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歩兵専用のマップサイズもあるが、車両も交えた戦闘用マップともなると端から端まで歩くのに結構な時間がかかるほど広大。
 
 
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更にパワーアップした銃器や登場兵器の数々。
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銃器と搭乗兵器はカスタマイズが可能。バッドカンパニーシリーズにあった要素だが、選択肢が大幅に増えてより細かいカスタムが可能になった。
 
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Battlelog
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今まではマルチプレイのスコアや階級などはゲームクライアント内蔵のブラウザによって管理されていたが、本作ではインターネットブラウザ上で稼働する「Battlelog」によって管理される。
 
CO-OPモード
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シリーズ初となるCO-OPモードが追加された。2人プレイでシングルやマルチとは全く異なるシチュエーションを協力しながらクリアしてゆく。
評価点
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グラフィック
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ある程度の画質であっても、少し見た程度では余り気にならない程美麗になっている。
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Win版で高画質の環境となるとそれなりの性能のを持つPCを用意する必要があるが、プレイだけであれば推奨スペックでミドルクラスのグラフィックカードを積めば設定次第で快適にプレイ可能である。
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対抗馬には『Crysis』に使われたCryEnigineなどがあるが、遠景の表現など美麗さで劣らないクオリティ。
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光の表現もより現実に近くなり、ライティングなども発売から数年たったゲームと比べても劣らない。
 
 
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強化された銃器描写
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『BFBC』では銃撃を行ってもスライドが動かない、薬莢が出ない、銃が左右反転しているといった旧来のFPSでありがちな不自然な点が多く、リロード時のモーションも共通といったやや手抜きが目立つものだったが、今作では弾切れ時とまだ残弾が残っている場合とでリロードモーションが異なっていたり、銃声は実銃から録音した物だったりとかなりこだわっている。
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その上『BFBC』でのロシア軍の銃器はマイナーどころが多かったが、今作では実際にロシア軍での使用例が多いAK-74MやAS VALといった有名銃器を登場させたことがミリタリーマニアを唸らせた。
 
 
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『BFBC』シリーズより広くなったマップ
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Win版の『BFBC』シリーズにおいては家庭用が主眼だったため、ゲームエンジンの制約でフィールドの大きさに限りがあり、シリーズの特徴とも言える登場兵器が活かしきれなていなかった。
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しかし、今作においては『BF2』以来の、PCシリーズのファンが待ち続けた既存のFPS作品とは一線を画す広大な戦場が復活した。
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Win版では『BF2142』以来5年ぶりの最大64人対戦が実現。家庭用では最大24人となっているが、それでも戦闘機が飛べる程度広い。
 
 
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チームの連携と戦術に焦点を当てた魅力ある要素
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シリーズ伝統のチーム間の連携を重視するスタイルは未だに健在。
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過去作に比べるとキル以外の支援ポイントがもらえる機会が多いので、アンロックも解除しやすくなっている。
 
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本作では銃撃を受けると、被弾にかかわらず掠めただけでも視界が歪み、構えている照準がぶれるようになった。
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これにより他のFPSならごり押しできるような局面でもピンチになってしまうので、より慎重な行動が求められる。また、味方の制圧射撃も意味のある行為として成立する。今までのFPSにはなかった要素である。
 
 
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ナンバリングタイトル作品に恥じない兵器の数々
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『BF2』から登場していなかった戦闘機が再び登場。発売前に公開されたPVで大迫力のドッグファイトを繰り広げ、ナンバリングに恥じないシリーズの復活を印象づけた。ただし、家庭版では制限あり(後述)。
 
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銃器や車輛のカスタマイズの自由度
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今作からは銃を使いこむことでアクセサリーが解放されていき、装着部位の制限のみで自由に付け替えが可能になった。
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自分の拘りを反映させたマイ銃を作れる。他のFPSにおいてもここまで可能な作品はなかなかない。
 
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カービン銃にレーザーサイトや消音器を付けて特殊部隊風にドレスアップしたり、スナイパーライフルにドットサイトを付けて接近戦も対応できるようにしたりと、プレイヤーの望む物ができる。一部の銃は兵科を問わず装備できるので、偵察兵でも接近戦に対応するためにサブマシンガンやショットガンを持たせたりと兵科に囚われない対応をすることが可能となった。
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車輛も使い込むことで武装が解放されていく。自分の愛着のある兵器にアクセントを持たせ更なる活躍ができるようになった。
 
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Battlelogの使い勝手
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BattlelogのUIのおかげで、既存作品の内蔵クライアントブラウザのインターフェースの使いにくさなどや操作性の悪さから解放されることとなった。
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Battlelog上においては、銃器/登場兵器の兵装のカスタマイズが可能になったので、カスタマイズのためだけに態々ラウンドに参加する必要がなくなった。
 
賛否両論点
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シングルプレイ
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『CoD』に対抗するために今作も実装されている。『CoD』を露骨に意識しており、主人公ブラックバーンの過去の出来事を追体験するという全体の流れからして既視感に溢れている上、主人公が妄信するロシア人が登場したり、別のキャラクターを操作する場面では核爆発に巻き込まれる、テロリストに公開処刑される、上空から航空支援を行うステージ等、かなり『CoD』で見たような構図が多い。
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その上、フランスが大規模テロの標的になったり、ロシア人の悪役をヘリから突き落として殴打する、列車にいる敵を追う、最終盤に目の前でラスボスに仲間を撃ち殺されるといったシーンが発売時期が重なった『MW3』とモロに被ってしまっている。
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また、日本語版はCEROの問題なのかプレイヤーキャラが敵を殴りつけるシーンで痣があまり出ない上に効果音がショボい、ナイフで敵の首や胸を切りつけたのに血が一滴も出ないといったシーンも違和感が強い。
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難易度に関わらずQTEがシビアな部分がある上、失敗すると説明を聞きなおす羽目になる場面もある点が多いことははストレス要素が強い。
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アンロックも特にはないのでマルチプレイが目的なら無視すればよい。
 
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ただ、ストーリーラインは地味ながらも、核と世界のパワーバランスをめぐる重大な決断を前に1人の人間がどのような決断を下していくか、そして直面する冷酷な現実という物を淡々と描いており、その最後の最後では派手めな戦闘が繰り広げられたり、特殊部隊が主役であることが多いFPSで敢えて選抜射手であるとはいえ一般の海兵隊員を主人公にしたり、悪役であることが多いFPSのロシア側にも主人公がいる点、リアルな戦闘機のステージやHALO降下のシーンを再評価する声も多い。
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全体的にはちょっと地味だがリアルさが増したCoDと言った感じであろうか。
 
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「EAは『CoD』を煽り散らしていた割にそちらに寄せてしまったのは残念。個性が際立っていた『BFBC』シリーズ路線の方がバトルフィールド的にも向いていたのでは」という意見もある。
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次回作の『BF4』のシングルは今作の登場人物をアッサリと退場させるストーリーの評価が低い上、進行不能バグや視点のズレによるバグが多すぎてまともにプレイできない場合もあったため、それも踏まえて今作のキャンペーンを再評価する声も多い。
 
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『BFBC2』から変更された破壊表現
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壁に穴を空けたり、建物を壊してゲームが長引くとマップの形が変わった『BFBC2』と比べると壊せる物が減ってしまっている。
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ただ、『BFBC2』ではゲームが長引くとオブジェクトの大半が破壊済みで遮蔽物が無くなり試合が膠着状態になる場面がしばしばあった。
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『BFBC2』だとRushモードのMCOMも建物の崩壊に巻き込めて破壊できるので攻め側に有利になりすぎる点もあり、仕方がない面もある。
 
 
問題点
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ゲームの安定性
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初期には、ゲーム中にクライアントの問題による接続不良やクラッシュが頻発した。後にパッチで改善している。
 
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Originクライアント(Win版)の問題
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Win版で起きた問題。ゲームをプレイするにはOrigin専用のクライアントにログインする必要があるのだが、『BF4』のマルチプレイサーバが幾ら正常であっても、Originが死ぬとオフラインすらプレイできなくなる。同業のSteamはオフラインでもできるゲームがあるというのに…。
 
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Battlelog周りの不具合
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ゲーム中の戦績が正常に反映されない、アンロックしたはずの武装やアクセサリが設定できないといった同期の不具合による問題が少なからずあった。
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Win版はバトルログからマルチプレイのマッチングを行わなければならないので、ブラウザなどの不具合が起きると実質プレイ不可能となる。
 
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銃器間のバランス
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セミオートスナイパーライフルの強さ。スナイパーライフルの分類はセミオートとボルトアクションに分かれるが、セミオートはダメージがやや劣る物の攻撃の隙が少なく射程の差が余りないので手数で欠点を補える。ヘッドショットを狙えばワンショットキルも狙えるのでボルトアクションの優位性があまりない。
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しかも、セミオートはカスタム次第で接近戦においてもある程度戦えるので、ボルトアクションの立つ瀬がないと言わざるを得ない。
 
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銃のカスタム項目に赤外線ナイトビジョン(IRNV)スコープが加わったが、明るい昼間でも問題なく使用できてしまう上に人間だけがくっきり写る。もちろんトンネル内など視界の悪い場所でも性能をいかんなく発揮し、赤外線を発さないはずの据付兵器や地雷までハイライトされて見えるという壊れ性能で、猛威を振るった。アップデートで幾分弱体化されたが、それでもIRNVの優位性は大きかった。
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USAS-12というフルオートショットガンにフラグ弾(範囲攻撃の榴弾)を組み合わせると、ショットガンなのに距離を選ばない万能銃のできあがり。撃たれた方は隠れても爆風ダメージと制圧効果のせいで一方的になぶられ放題になるため、スキルが低いプレイヤーでも容易に暴れられる事態になり、ウサフラと呼ばれ忌み嫌われた。後にパッチで調整を受けている。
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他にもM26MASSのバグでショットガンなのに離れても異様な威力と精度でヘッドショットを狙えるなどショットガン関連のバグと修正が多かった。
 
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戦闘機の脅威再び
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『2』以来の戦闘機実装だが、やはり本作でも猛威を振るう存在となった。
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前作より飛行速度が落ちたうえで対空手段においては選択肢が増えたものの、戦闘機の度重なる強化により『BF2』程ではないが脅威となっている。
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一たび敵の戦闘機にエースパイロットが乗り込もうものなら対地用ロケットポッド装備で対空はおろか対地の車両を破壊するなど全ての任務をこなし、尚且つロックオンジャマーやフレアを駆使して地上からの攻撃はほとんど当たらない。
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対抗手段は敵を越える戦闘機乗りしかいないという有様である。通常は歩兵に対してはそれ程脅威で無いのであるが、場合によっては歩兵を機銃かロケットで狩って来る猛者も現れるので、こうなっては制空権を取ったチームが有利になる始末なので猶更タチが悪い。
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流石に次作の『BF4』ではこの脅威の元凶であったロケットポッドがオミットされて凶悪具合は減った。
 
 
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アンロックの多さ
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銃器やカスタマイズ要素はアンロックしていく必要があるのだが、その数が非常に多い。
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その兵科で使える武器は兵科のレベルに応じてアンロックされるが、銃のアタッチメントはその銃を使い続けることでアンロックされていく。
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つまり新しい銃はアイアンサイトしかない状態で、そこから銃ごとに使い込んでいく必要がある。
 
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後に追加コンテンツで装備のアンロックを行うパックが発売されてはいる。
 
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ラジオコマンド機能(Win版)
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Win版は『BF2142』以来のラジオコマンド機能がパッチで実装されたが、レスポンスがひどく指定したはずの音声すら流れないことはザラ。幾ら好評だったシステムでも使い勝手がお粗末では意味がない。
 
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マップデザインの不備
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マップによっては一方的に有利になりがちな場所が散見される。
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マップが全体的に狭く侵攻ルートに限りがある「Metro」の地下鉄駅や、攻める側が前線陣地を維持しにくいDLCマップの「Gulf of Oman」はアメリカ側が不利な場合が多く、ユーザーからの評判も良くない。
 
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味方陣地には敵航空機に対抗するための対空砲が置かれているが、これが敵味方問わず使えてしまう。敵に乗り込まれると、発進前の味方飛行機やリスポンしたばかりの味方を片っ端から撃たれ放題という目も当てられない状態になる。しかもこの砲座は破壊できない。
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とあるマップでは海上にある味方陣地の対空砲で沿岸の占領地点を狙えてしまうので、歩兵が思うように動けない状態にすらなってしまっている。
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パッチにより侵入不可のエリアの拡大などで対処されている。
 
 
総評
数多くのFPS作品が存在する今現在、過去作の長所を損なうことなく今現在最高の技術でグラフィックもスケールも大幅にスケールアップした本作品。
一たび銃弾が飛び交い、戦車の砲弾が炸裂し、戦闘機の爆音が轟くマルチプレイの戦場に入り込めば、かつてのファンがそうしたように夜を忘れるほど没頭することは間違いないだろう。
予算が許すのであれば、やはり64人対戦が可能なWin版をお勧めしたい。
ただ、シングルプレイでも楽しめない訳ではないが、それを目的で買うとするならボリュームとしては不十分なので、別の作品を買った方が良いといえる。
余談
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『メダルオブオナー』の海外限定版の早期購入特典にβテスト参加権が同封されており同シリーズのファンの反感を買った。
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同作のマルチプレイはDICEが制作を担当しておりその絡みではあると思われるが、同作は『バトルフィールド』とは全く別のブランドである。
 
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この作品に使われているゲームエンジン(Frostbite2)は、同時期に発売されたEAのレースゲーム『Need for Speed:The Run』にも採用された。
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今作と『BF4』は2014~2018年まであった実銃の版権問題で架空銃の多いSF系や過去戦の作品が増え、現代戦がほとんど出ていなかった時期に現代戦FPSとして重宝されており、プレイヤー接続数も多かった。
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また、10年後に発売された『バトルフィールド2042』では本作をイメージした「BF3ポータル」も実装された。ただし、ベースはあくまで『BF2042』なので、完全なる原作再現モードではない。
 
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2024年11月7日に『BF3』『BF4』『BFH』のPS3/360版がオンラインサービスを終了予定。これに先駆け、同年7月31日にはダウンロード版と全DLCの販売も終了する。
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『BF3』は『BF4』『BFH』と異なりPS4/One版がリリースされていないため、今後オンライン対戦が遊べるのWin版のみとなる。
 
最終更新:2024年06月30日 11:00