ドーナツ・ドド
【どーなつ・どど】
ジャンル
|
アクション
|
|
対応機種
|
Windows(Steam) Nintendo Switch
|
発売元
|
【Steam】pixel games 【Switch】Flynns Arcade
|
開発元
|
pixel games
|
発売日
|
【Steam】2022年6月4日 【Switch】2023年1月19日
|
プレイ人数
|
1人
|
定価
|
【Steam】520円 【Switch】800円
|
レーティング
|
IARC:7+
|
判定
|
良作
|
備考
|
日本語非対応
|
概要
ルクセンブルクのゲーム会社、pixel gamesが開発した、1980年代前半のアーケードゲームを思わせるような固定画面のアクションゲーム。
プレイヤーはパン屋のビリー・バーンズとなり、ドーナツ・ドドに盗まれたドーナツを取り戻すべく、ステージ中を駆け巡る。
キャラクター
-
ビリー・バーンズ(Billy Burns):パン屋を営んでいる本作の主人公。
-
ドーナツ・ドド(Donut Dodo):本作における黒幕。名前の通り鳥のドードーの姿をしており、火を吐くなどしてビリー・バーンズを妨害する。
-
スニフィー(Sniffy):左右に移動するネズミのような敵。ジャンプで飛び越えられる。
-
スティンキー(Stinky):ビリー・バーンズを追いかけてくる便器のような敵。背が高く、ジャンプで飛び越えられない。
-
ウィンキー(Winky):MEDIUM以上の難易度で出現する、パックマンのモンスターのような敵。時々画面の左右から出現し、蛇行しながら移動する。
ゲームシステム
以下、ボタンの操作はNintendo Switch版のもの。
-
十字ボタンの左右で移動、上下ではしごや上下方向のロープを上り下りする。A、B、X、Yいずれかのボタンでジャンプする。
-
左右方向のロープはつかまったら端まで自動的に移動するが、途中で飛び降りることはできる。
-
ゲーム開始時に3つのゲームモードから1つを選んでスタートする。難易度はEASY、MEDIUM、HARDの3段階。
最初はEASY-MEDIUMしか選べないが、EASY-MEDIUMをクリアするとMEDIUM-HARDが、MEDIUM-HARDをクリアするとシュガーラッシュ・スピードラン(いわゆるタイムアタックでゲームの難易度はHARD相当)がアンロックされる。
-
敵を避けながら画面内のドーナツを全て集めると巨大なドーナツが点滅するので、それに触れるとステージクリア。画面の左右はループしている。
-
最初の1個目のドーナツを取ると、ステージ内のいずれかのドーナツがランダムで点滅する。ドーナツは1個25点だが、点滅しているドーナツを続けて取ると、基本の25点に加え、1コンボにつき150点加算。すなわち、25、175、325、475…というようにどんどん高得点になっていく。点滅していないドーナツを途中で取ってしまうとコンボボーナスはリセットされる。
-
ステージ開始後しばらくすると、画面内のどこかに高得点アイテムのフルーツが出現する。最初は1000点のチェリーから始まり、2000点のイチゴ、3000点のオレンジ…と取るごとに得点は増えていき、最終的には25000点のハンバーガーが出現する。出現するのは各ステージ一回限りで、取り逃した場合は次のステージでも同じフルーツが出現する。
-
ステージが始まると右上のボーナス(初期値は9000)が減っていく。ステージクリア時点で残った分がタイムボーナスとして加算される。ボーナスが0になってもミスにはならない。
-
得点が15000点に達するごとに1UP。ゲームクリア時にEASY-MEDIUMでは残機×3000点が、MEDIUM-HARDでは残機×6000点が加算される。
-
残機制で、敵やステージの仕掛けに触れたら即ミスとなる。ミスしたらその場でスタート地点に戻されて続行する。残機がなくなったらその時点でゲームオーバー。コンティニューはできない。
-
全5ステージ構成で、2周エンド。1周目と2周目の間にはボーナスステージが挟み込まれる。
+
|
ステージ紹介
|
-
ステージ1:Fun House Fiasco
特殊な仕掛けは一切無く、ゲームの基本をここで学ぶことができる。
-
ステージ2:Construction Site Chaos
画面上部のドラム缶から炎が出てきて、決まったコースをたどりながら画面下に向かって移動する。炎はジャンプで飛び越えることができる。トゲ床も初登場し、落ちたらミスになる。
-
ステージ3:Ferris Wheel Frenzy
中央で時計回りに回る観覧車を使ってステージを移動する。画面下部のボンベから出てくる風船に触れるとミスになるので、風船の動きを先読みした行動が求められる。
-
ステージ4:Candy Store Crush
左右に移動するリフトとロープを使って移動する。ドーナツ・ドドは画面上部からキャンディーが入ったガチャガチャを操作してビリー・バーンズを妨害してくる。
-
ステージ5:Dodo's Lair
3組のワープドアが登場。ドーナツ・ドドが転がしてくる巨大な火の玉は飛び越えることができないので、ワープドアを使うなどしてやり過ごす必要がある。スティンキーもワープドアを使う。
-
ボーナスステージ:Bonus Pumpkin Bounce
画面下部にあるカボチャを左右に動かしてビリー・バーンズを大ジャンプさせ、空中のドーナツを回収する。ビリー・バーンズを落としてしまったらその時点で終了となるが、ミスにはならない。
|
-
ゲーム中、+ボタンでポーズメニューが表示される。ポーズメニューは次の3つ。
-
CONTINUE…ポーズ解除してゲームを続ける。
-
QUICK RESTART GAME…そのゲームの最初からやり直すことができる。
-
MAIN MENU…メインメニューに戻ることができる。
-
メインメニューのオプションの項では画面表示や画面周囲のインスト表示の有無の切り替え、サウンドのボリューム調整などができる。
評価点
80年代前半を彷彿とさせる作りと抜群の快適性の両立
-
ハシゴやツタを使ったジャンプアクションという意味では『ドンキーコング』や『ドンキーコングJR.』が、画面中に散らばったアイテムを回収するのが目的という意味では『パックマン』や『ポパイ』がモチーフとなっており、80年代前半の人気ゲームのいいとこ取りをしている。
-
デフォルトでのハイスコアのランキングネームも上から順にPAC MAN DIG DUG POP EYE DON KEY KONと並んでいる。思わずニヤリとした人も多いことだろう。
-
それでいて、ゲームの快適性は現代に合わせてかなり練られており、テンポよく遊べる。
-
主人公のビリー・バーンズの動きも機敏で、ハシゴの上り下りも『ドンキーコング』のようにゆっくりとした移動ではなく、十字ボタンの上下を一度押すだけでサッと上り下りできる。
-
ミスしたときもいちいち画面が切り替わらず、その場でスタート地点に戻るだけなので、ミス後の再開もスムーズ。
-
ポーズメニューからQUICK RESTART GAMEを選べばその場で最初からやり直しができるので、最初の面で思わぬミスをしてしまったときにやり直しの手間が若干省けるのも嬉しい。
上達を楽しめる適度な難易度
-
「ドーナツを全て回収して巨大ドーナツに触れる」のが本作の目的だが、ゲーム自体の難易度はそれなりに高め。さらにコンティニューはできず、オプションメニューや隠しコマンドで初期残機を増やしてスタート、といった救済措置も無いため、慣れないうちは最も簡単なEASY-MEDIUMモードのクリアすらままならない。こう書けば一見厳しいようにも見えるが、1周にかかる時間は短く、練習するうちに上達を実感できるようなほどよい難易度であるため、慣れてくればスムーズに2周クリアできるようになる。
上級者・スコアラーにも嬉しい要素
-
2周クリアが安定するようになったら、ハイスコアを意識してプレイすることになる。スコアを突き詰めるならばコンボをつないでいくことが必須だが、点滅するドーナツはランダムであるため、プレイ毎にドーナツを回収するパターンも変わってくる。
-
オールクリア時に残機が得点に換算されるため、いかにミスせずに立ち回るかも重要になってくる。クリアを優先するか、ミスのリスクを冒してコンボを優先するか、決断が求められる場面も出てくることだろう。
-
1プレイにかかる時間も10~20分とかなり短いので、ハイスコアを目指して周回するのにも向いている。
-
シュガーラッシュ・スピードランはタイムアタックであるため、必然的にコンボをガン無視しながらクリアを目指すことになる。スコア稼ぎが期待できない分、HARDレベルをできるだけ素早く、なおかつミスせずにクリアするだけの腕前も要求されるため、上級者でもやり応えは十分である。
思わずテンションが上がってしまうBGMの数々
-
曲数は全8曲と控えめであるものの、良質な楽曲が揃っている。
-
中でもゲームを開始して早々流れる「Fun House Fiasco」はプレイヤーのテンションを上げてくれるアップテンポな曲となっており、ゲームのテンポの良さと相まって印象に残りやすい。
-
また、前奏が終わるタイミングでステージが始まったり、ステージクリア時の演出が音楽に合わせられていたりなど、音楽とステージ演出が上手くかみ合っている。
-
作曲したのはカナダの作曲家、"CosmicGem"ことSean Bialo氏。こちらで本作のオリジナルサウンドトラックが5ドルで配信されているので、興味がある人は覗いてみるのもいいだろう。
-
日本でのみCD(限定生産でドーナツ盤レコード)も商品化されている。
問題点
永パ防止キャラがいないこと
-
『ドンキーコング』などと違い、BONUSがゼロになってもミスにはならず、バブルボブルのすかるもんすたのような永パ防止キャラもいないため、安全地帯に居座ればいつまでもプレイできてしまう。
-
とは言え、無限に得点を稼ぐ手段は存在しないので、いつまでもプレイできるからと言ってもハイスコア的には意味が無いのだが。
2周クリアで強制エンドとなってしまうこと
-
80年代前半のゲームはゲームオーバーになるまでエンドレスでプレイするスタイルのものが多いが、本作にはそのようなモードが存在しない。
-
ただ、15000点ごとの1UP回数に制限が無いことを考えれば、永久にプレイできてしまうといつまで経っても区切りがつかないので、仕方ないかもしれない。
日本語に対応していないこと
-
ゲーム内の言語、画面周囲のインストカードも全て英語表記となっており、日本語で表示されるのはタイトル画面で「ドーナツ・ドド」と書いてあるところだけである。
-
もっとも、英語表記のみであってもゲームプレイには全く影響ない。また、1980年代前半のゲームのほとんどは国産でも全て英語表記であったことも考えれば、当時の忠実な再現と言える。
総評
見た目は1980年代でありながら、中身は現代風に洗練された、「懐かしくも新しい」一作。
難易度は若干高めであるものの、プレイすればするほど上達を実感できるのはまさにその当時のアクションゲームそのものである。
一周にかかる時間も非常に短く、手軽に遊べるので、レトロゲームファンやアクションゲームファンにお勧めの良作タイトルである。
余談
-
2023年4月5日よりアーケード基板「EXA-Arcadia」向けの移植+α作品『ドーナツドードードゥ!(DONUT DoDo Do!)』のロケテストが行われ、同年5/31に日本国内へのデリバリーが開始された。
-
上記アーケード版にしても本作は邦題の表記ゆれが非常に激しく、オリジナルサウンドトラックでは『ドーナツドードー』表記となっている。(参考ツイート)
最終更新:2023年07月06日 04:16