ウルトラマン倶楽部 敵怪獣ヲ発見セヨ!
【うるとらまんくらぶ てきかいじゅうをはっけんせよ】
ジャンル
|
シミュレーションRPG
|
|
対応機種
|
ゲームボーイ
|
発売元
|
バンダイ
|
開発元
|
トーセ
|
発売日
|
1990年5月26日
|
定価
|
3,300円
|
プレイ人数
|
1~2人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
ウルトラ軍団総出演 「あいてむ」がウザイ 店員がカワイイ
|
ウルトラマンシリーズ
|
概要
1990年5月の発売されたゲームボーイのシミュレーションRPGによるボードゲーム。
ウルトラ軍団と怪獣それぞれ14体の中からボスを1体選び、そのボスを倒すことを目指す。
ゲームボーイではリアル系ウルトラマンを含めても初のウルトラシリーズ作品である。
3月に発売された『SDガンダム SD戦国伝 国盗り物語』同様に、セーブ不要の短時間で決着させるバランスで作られており、ストーリー性を持たない「お祭りゲーム」の部類。
上記作品と違ってバトルにアクション性はない反面、バトル勝利を通して若干ながら成長する要素を持っている。
内容
-
1P時はウルトラチーム、2Pは怪獣チームで固定。
-
1人プレイなら自ずとウルトラチームとなり、対戦はタイトルで「VERSUS」でスタートを押した方が1Pウルトラチームとなる。
-
ボス(後述)を倒すことで基地を破壊することになり勝利となる。
-
それぞれのチームがお互いのマップを持っており、相手側のマップは見えない。
-
ステータスはエネルギー(HPにあたる)の現在値・最大値と必殺技ポイントのみ。
-
エネルギー初期の最大値は500で、ボス以外はバトルに勝つことでその最大を100ずつアップできる(最大は900)。
-
必殺技ポイントは最初から最大値99。必殺技ポイントは必殺技1回使用するたびに5消費される。
-
14体のうちボスに選ばれた者はHP初期値が最大の500となり、必殺技ポイントは20となる。ボス以外はHPの初期値は100、必殺技ポイントは0。
-
ウルトラチームと怪獣チームそれぞれ14体の中から任意にボスを決める。
-
ボスを決めたらボスが基地となり、それを含めてコマを配置する。
マップの地形
宇宙
|
都市
|
田舎
|
地形による効果
|
コロニー
|
ガスタンク
|
田んぼ
|
必殺技ポイントが増える・エネルギーが増える・アイテムが1つ貰える このいずれかの効果がある。
|
亜空間
|
家 |
同じ地形の場所(いずれか)にワープする(対象が既に別のコマで塞がっている場合はしない)。
|
アステロイド
|
川
|
エネルギーが減る。
|
実斜線
|
林
|
次の番は使えない。
|
破斜線
|
タワー
|
荒地
|
必殺技ポイントが減る。
|
バリアーポイント
|
自軍マップならこの上に移動できるが相手側ではできない。 ここにコマ飛びすると元の場所へはじき返され50ダメージを受ける。
|
以下は上記地形とは別枠の扱い
|
スリップゾーン
|
橋
|
この上に直接配置はできないが、この上に乗ると1つ先のマスへ移動。
|
ロケット
|
船
|
ランダムで移動し、この上に乗ったコマも一緒に移動する。 これがある場合、地形によるダメージを受けなくて済む。
|
ガス生命体
|
雲
|
これとコマが被っている場合、そのコマは行動できない。
|
店
|
店に入ってアイテムを購入できる。ただし場所はランダムに配置されており偶然座標と一致して入るまで見えない。
|
-
同じ場所にそのまま止まった場合は、地形の効果は発動しない。
マップ面でのシステム
-
コマンド
-
「こまいどう」
-
上下左右に1歩移動する。ボスは基地から動けないので使えない。
-
1歩動くと必殺技ポイントが1上昇し、お金が100円増える。
-
「こまとび」
-
自軍のマップから相手側のマップへ飛ぶことができる。相手側マップでは使えない。ボスは基地から動けないので使えない。
-
「すてーたすみる」
-
自身のステータス、エネルギーの現在値と最大値、必殺技ポイント、所持金を見ることができる。
-
「あいてむみる」
-
「あいてむつかう」
-
マップ上で使うアイテムを選んで使う(バトルのみでしか使えないアイテムは表示されない)。
-
「ぱす」
-
相手側マップは最初真っ黒で何も見えない状態になっている。そして自軍のコマが移動した後のみ地形が見えてくる(船やロケットでの通過でも有効)。
-
そのため、まずはとりあえず相手側を移動して基地を探す必要がある。
-
相手のコマとぶつかるとバトルになる。見えない部分では相手のコマがいてもわからないので、移動(こまとび含む)してぶつかったらいきなりバトルになる。
-
バトルになって負けた場合は、そのマップチップは見えないままとなる。
-
基地の仕様。
-
ボスがいる他に3人まで待機できる。
-
攻め込まれると、その3人から順番に戦い誰もいないときにやっとボス自身が戦うことになる。
-
基地にもエネルギーがあり(初期値は100で最大999)これは「ウルトラキー」で100ずつ回復できる。
-
基地のエネルギーはそこで戦う自軍のコマが受けるダメージを一部肩代わりするような格好。
-
アイテムは特定のポイントで手に入れたり店で買うことになる。
-
店では14種類のアイテムのうち2種類を売っており、それとは別口の枠で「?」というアイテムを500~1500円で売っている。
-
「?」枠のアイテムは買うまで何なのかわからないが「透視メガネ」になることはない。
-
店は呉服屋のような和風テイスト。そして何より店員のグラフィックが気合いが入りまくっている。
-
ウルトラマンや怪獣よりも表示サイズが大きく、何よりカワイイ。なぜか早口。スタッフの力の入れ方がおかしい…
バトルのシステム
-
バトル用のカードが毎回4枚ずつ与えられ、それを4つとも1ターンですべて使用する。決めることができるのは使う順番のみ。
-
バトルカードの詳細
-
こうげき
-
ウルトラチームは「パンチ」「キック」「チョップ」、怪獣チームは「ひっかく」「かみつく」「体当り」から選択。必殺技ポイントが5以上あればそれを消費して必殺技を使うことができる。
-
ぼうぎょ
-
「さける」「にげる」から選択。双方のカードがこれ同士でぶつかった場合、そのまま次へ。
-
「さける」いわゆる「回避」で、先にこれに成功すると敵の攻撃やアイテム使用が不発に終わる(アイテムは使ったことになって失われ「こうげき」カードで必殺技を使おうとしていた場合必殺技ポイントは消費される)。
-
「にげる」成功すると基地に逃げることができる。バトルそのものは相手の勝ちという扱いだが、金は奪われずに済む。
-
あいてむ
-
バトル用のアイテムを使用する。アイテムがない場合、あ然茫然立ち尽くすだけになる。
-
使いたくない場合Bボタンで拒否できるが、その場合はアイテムを思っていない場合と同じことになる。
-
???
-
「こうげき」「ひっさつ」のどちらかが出る。後者の場合、必殺技が強制というだけでなく必殺ポイントを使わずタダで使用できる。
-
カードそれぞれにサイコロの出目が付いており、4つのカードの出す順番を決め、お互いカードを突き合わせてバトルする。
-
出目の大きい方が先手を取り、小さい方は後手となる(例外として1は6に対してのみ「大きい」とみなされる)。ただし圧倒的に先手が有利で後手の方は攻撃が失敗しやすく、アイテム不発も多い。同数の場合は何もなく次のカードに移る。
-
ファミコンの『ドラゴンボール 大魔王復活』『ドラゴンボール3 悟空伝』に近いシステムだが、数比べで負けたほうは「後手になる」だけで「何もできない」わけではないという点で異なる。
-
100以上のダメージを与えるか、とどめを刺した場合「ケラケラケラー」のSEとともに笑顔のアイコンが出る。
-
反対に攻撃がミスだった場合「ドロンドロン」というSEとともにアッカンベーのアイコンが出る。
-
勝った方はエネルギーが100回復し最大値は100上昇、必殺技ポイントが5回復。相手の持っていたお金を全て奪う。
-
ただしボスはエネルギーの回復や上限値の上昇はしない(必殺技ポイントとお金のみ)。
-
負けた方は金は全額奪われ10ターン休みになる。
-
10ターン経過後に自軍の基地でエネルギー100で復帰する(持っていたアイテムと必殺技ポイントは負けたバトル終了時のまま)。
キャラクター
+
|
ウルトラチーム
|
ウルトラチーム
キャラ名
|
必殺技
|
ウルトラマン(まん)
|
スペシウム光線
|
帰ってきたウルトラマン(しんまん)
|
シネラマショット(しねしょっと)
|
ゾフィー(ぞふぃー)
|
M87光線(こうせん)
|
ウルトラセブン(せぶん)
|
アイスラッガー
|
ウルトラマンエース(えーす)
|
メタリウム光線
|
ウルトラマンタロウ(たろう)
|
ストリウム光線
|
ウルトラマンレオ(れお)
|
レオ・キック
|
アストラ
|
アイアンパンチ
|
ウルトラの父
|
ウルトラアレイ
|
ウルトラの母
|
母の愛 |
ウルトラマンキング(きんぐ)
|
キングハンマー
|
ウルトラマン80(えいてぃー)
|
サクシウム光線
|
ユリアン
|
平手打ち
|
ウルトラマンジョーニアス(じょーにあす)
|
プラニウム光線
|
|
+
|
怪獣チーム
|
怪獣チーム
キャラ名
|
必殺技
|
バルタン星人(ばるたん)
|
破壊光線
|
レッドキング(れっど)
|
岩石投げ
|
ブラックキング(ぶらっく)
|
マグマ光線(こうせん)
|
エレキング
|
電流
|
ガラモン
|
放射能
|
ゼットン
|
ナパーム
|
ゴモラ
|
ドリル
|
ガッツ星人(がっつ)
|
光線
|
ザラブ星人(ざらぶ)
|
放射能
|
ギエロン星獣(ぎえろん)
|
破壊光輪
|
カネゴン
|
投げ銭
|
イカルス星人(いかるす)
|
アロー光線
|
メフィラス星人(めふぃらす)
|
破壊光線
|
ヒッポリト星人(ひっぽりと)
|
烈風
|
|
アイテム
+
|
詳細
|
ウルトラ側名称
|
怪獣側名称
|
価格
|
効果
|
ビートル
|
円盤
|
700
|
マップではアイテムを仲間に渡す。 バトルは敵の必殺技ポイントを減らす。
|
エネルギーパック
|
ごはん
|
500
|
マップのみ。エネルギーが回復する。
|
透視メガネ
|
5000
|
マップのみ。自分がいる場所を中心に敵のマップの地形が見える(数秒のみ)。
|
ウルトラキー
|
500
|
マップのみ。基地のエネルギーを100回復させる。
|
扇風機
|
300
|
マップのみ。敵側マップから自分側マップにワープする。
|
缶詰
|
200
|
マップのみ。必殺技ポイントが回復する。
|
目覚し時計
|
1500
|
マップのみ。バトルに負けて復活待ち中の仲間を即座に復帰させる。
|
ねじまき
|
キャンディー
|
1500
|
バトルのみ。無敵状態になりダメージを受けなくなる。失敗すると相手が無敵になる。
|
カプセル怪獣
|
十字架
|
100
|
バトルのみ。カプセル怪獣に攻撃させ割合ダメージを与える。
|
ブレスレット
|
岩
|
800
|
バトルのみ。攻撃に使うと100固定のダメージを与え、守りでは盾になり敵の攻撃を完封する。
|
剣
|
マジックパンチ
|
500
|
バトルのみ。大ダメージを与える強力な武器だが、失敗するとそのダメージが自分に跳ね返ってくる。
|
マント
|
はっぴ
|
700
|
バトルのみ。回避率がアップする。
|
キングハンマー
|
ピコピコハンマー
|
1000
|
バトルのみ。投げて命中すると一撃で倒せる。
|
枕
|
500
|
バトルのみ。事実上何の意味もない。
|
|
評価点
-
ウルトラヒーローも怪獣も14体ずつ、計28体豪華出演。
-
これは過去作品ではウルトラマン倶楽部に限らず、リアルなウルトラシリーズを含めても文句なしに最多。
-
しかもアストラやユリアンなど主役でないウルトラヒーローどころかアニメのウルトラマンジョーニアス(1979年「ザ・ウルトラマン」で登場)まで含めた豪華総出演。
-
ざっくりながらレベルアップの要素があり、お祭りゲームながら「1つの戦いで勝つこと」の価値をしっかり生み出せている。
-
このようなゲームはステータスはイコールコンディションな傾向にあるが、エネルギーのみとはいえレベルアップしていくことで、違った戦略性を生み出していくことにも繋がっている。
-
誰をパワーアップさせて主戦力とするかなど、細かい役回りも自由に決められる。
-
ゲーム自体はゲームボーイに向いた短時間で楽しめるバランス。
-
バックアップもないようなゲームだが元々それほど広くないマップなので1時間もいらないバランスは持ち運びありきのゲームボーイとの相性が良い。
問題点
-
1人プレイ時のCPUにおける「???」カードの仕様。
-
プレイヤーの場合とは比べ物にならないほど高確率で「ひっさつ」が出るので不公平。
-
後述の通り思考ロジックがオバカなのでそれをカバーするためなのかもしれないが、このような形でカバーすること自体が望ましくない。
-
CPUロジックの出来が悪い。
-
何かを狙ってくるわけではなくコマ飛びしたらウロウロするだけで向かってくるわけでもなく、ロジックが感じられずほとんどランダム行動。
-
そして一定のターンが経過すると、直接コマ飛びで基地に向かってダイレクトに差し向けてくるだけ。つまり上述のレベルアップの要素を活かそうともしない。
-
しかも、そのコマの強さなど一切考えず次から次へ差し向けてくるだけなので、こちらとしては1人だけ超強力なのを育成して番人にしておけばそんな烏合の衆など簡単に撃退できてしまう。
-
後述の通り必殺でダメージを与えないウルトラの母をボスにして上記の番人役を配置できず母自身に毎回戦わせていると、毎回毎回決定打のない長ターンの戦闘をやらされるため、そのダレ具合も相当なものになる。
-
また、コマ飛びは敵陣マップ(プレイヤーからすれば自陣マップ)ではできないため、敢えて倒さない方が後々「基地への直飛びラッシュ」を防げるので好都合という逆転現象を作ってしまっている。
-
マップパターンが各々1種類しかない。
-
そのため、1Pマップは1人でプレイしてさんざん見ていると思われるので相対的に2Pの方が有利ということになる。
-
ボスの持ち金が完全に死にステ。
-
ボスは基地から出せないため、まったく使い道がないのに、ドンドン貯まっていくのはもどかしさがある。
-
「あいてむ」は役に立たないことが多いお荷物コマンドになりがち。
-
アイテムを買う機会が少なく、特定のポイントで貰ってもバトルに使えないものもあるので何も持っていないことが多く、結局ただのお荷物にしかならない。
-
またボスに関しては「ビートル」or「円盤」で渡さないとアイテム自体が持てないのでまず使う機会はない。
-
アイテムそのものがあまり役に立たず貰ってもバトルではハズレになりがち。
-
せっかく使用できても、サイコロの出目比べで負けると効果がなかったり相手を有利にしてしまったりとロクな結果にならないことも多々ある。
-
また、コロニー・ガスタンク・田んぼの効果は「エネルギーが回復」「必殺技ポイントが回復」「アイテムがランダムで貰える」だが、こんな体たらくではアイテムを貰っても大してうれしくなく、前者2つとは雲泥の差でほとんどハズレも同然。
-
「透視メガネ」は相手マップの大部分が見えるので役立つが、これはこれでチート級に近いので手放しで褒められたものではない(それだけに超高額な上、上記のランダム獲得では貰えないが)。
-
「まくら」が何の意味もない。
-
当たっても「まくらなげっ」と出るだけで存在自体必要性を感じない。
-
キャラや必殺技が個性に欠ける。
-
光線系の技がほとんど使い回し。
-
当時のゲームボーイでは仕方ない部分もあるのだが、技の個性をより感じにくくしている。
-
唯一、個性的な必殺技はダメージを与えず攻撃力を下げる「ウルトラの母」の「母の愛」のみ。
-
しかも、それさえどちらかといえば技そのものがダメージを与えないため戦闘を冗長化している一面もあり手放しで褒められたものではない。
総評
CPUロジックのお粗末さなところは否定できないが、ウルトラヒーローと怪獣合わせて28体というキャスティングは豪華。
お互いに真っ暗な相手マップで、敵基地を探して破壊すると言うスタイルは当時ファミコンでも、あまり見られなかったスタイルでハードとの相性を抜きにしても真新しさがある。
あとはバランスの悪いアイテムの仕様など細かい部分やマップパターンの少なさなどは少々気になるが、ゲームボーイの初期作品らしく短時間で楽しむお祭りゲームとしての特性に合わせた形で作られている。
その後の展開
余談
-
やはりゲームボーイらしくグラフィックが簡素になっているのだが、格闘系の技を使う「レオ」「アストラ」、怪獣では「ゴモラ」「エレキング」などは直立のグラに技のグラを上から載せているだけである。
-
そのため「レオ」が必殺技「レオキック」を繰り出すと、2本足で立っていながら高い位置でオーラを伴うキックを出しているため一時的に3本足になっている。
-
サラブ聖人を語るで欠かせないのがニセウルトラマンで、ウルトラマン作品全体で見てもこの2体がセットなのは不文律に等しいほど。
-
そのため本作のようにサラブ星人が単体で登場というのは非常に珍しいレアケースだったりする。
-
他作品では縁遠いジョーニアスや80まで登場と言う実に豪華なキャスティングだが実は一部が登場できていない。
-
1987年のアメリカでのアニメ作品『ウルトラマンUSA』に出てきたウルトラマンウーマンベス、ウルトラマンチャック、ウルトラマンスコットの3人が該当する。
-
この年の新作に海外製作の『ウルトラマンG(ウルトラマングレート)』という作品があるがまだ公開前であるため当然本作には収録されていない。
最終更新:2024年07月13日 18:22