新SD戦国伝 機動武者大戦
【しんえすでぃーせんごくでん きどうむしゃたいせん】
ジャンル
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リアルタイムシミュレーションRPG
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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バンダイ
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発売日
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1996年12月20日
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定価
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通常版:5,800円 / 限定版:6,800円
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判定
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なし
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ポイント
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武者頑駄無シリーズ7作目と8作目のミッシングリンク ロードして候 しばし待たれよ 前作と比べて出来が微妙 登場キャラは盛りだくさん 資料的価値は高い
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SDガンダムシリーズリンク
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概要
SDガンダムのシリーズの一つである『武者頑駄無』を題材としたゲームであり、数少ないオリジナルストーリーのゲームである。
武者頑駄無シリーズ7作目『超機動大将軍』と8作目『武神輝羅鋼』の間にあった話を舞台としている。因みに『武神輝羅鋼』は『超機動大将軍』の15年後。
システム面は前作『大将軍列伝』といくらか共通している。
参戦作品は『七人の超将軍』『超機動大将軍』『武神輝羅鋼』他。
限定版にはフルカラーメッキ仕様の武者號斗丸のプラモデルが付属していた。
特徴
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基本的な作りは前作と同じで、個々に行動ターンが設定されている。
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使用回数に制限のある必殺技、心力を消費して放つ術法システムもそのまま。
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一応戦闘アニメは前作よりスピーディになるなどで進化している。戦闘アニメオフもあるが必要がないくらいテンポ良く進む。
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特にマップ兵器は戦闘アニメ後にマップ画面に移動し、マップにエフェクトが出た後でそれぞれにダメージが表示される。
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変幻時のアニメーションはそれぞれそれなりの出来。特に下記の主人公3人はアニメやSEにやたら気合が入っている。
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ゲームとしてのテンポは良いが、戦闘演出としてのテンポはちょっと微妙。変な間がある。
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本作の最大の追加点として、本作オリジナルデザインとなる3人の主人公から、1人を選ぶことが可能になった。能力が高いうえ、変幻の能力を持っている。口調を含めシナリオは全員共通。
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『月影』は白兵向き、一番主人公っぽい外見をしている。変幻すると獅子そのものになり、唯一ガンダムでなくなる。まったくの余談だが、外見が天零頑駄無に酷似している。
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『飛燕』は法術向き、変幻前は笠を被った僧侶のような姿だが、変幻すると笠を放り投げ、鳥羽の映えた形態になる。こいつが一番天来変幻らしい変化。
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『龍虎』は中距離戦向きの性能。外見がかなり武者精太に似ており、変幻状態もケンタウルススペシャルと同じである。
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それぞれのデザインは他の参戦作品と混ぜても違和感がなく、それぞれ完成度は高い。
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ちなみに彼等は名前を決めることが出来る他、メイン武装となる刀の名称もフリガナを含めて自分で決められる。
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フルネーム、あだ名(省略名)、刀の3種類。それぞれ振り仮名もきちんと設定でき、漢字がかなり豊富に選べるので名付けるのも楽しい。
評価点
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SDガンダムファンの間でも語り草となるほどのOPムービーの出来の良さ。
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コミックワールドの漫画を並べただけであるが、元々かなり書き込まれた漫画のコマであり、かつて将頑駄無などを演じた永井一郎氏による「SD戦国伝の歴史を語る」それはかなり胸熱もの。
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主人公を自分で作り、世界観に没入する楽しさ。
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キャラクターだけでなく、刀にも名前が付けられるというのはやはり嬉しい要素ではあった。
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デザインは世界観を崩さず、なおかつカッコイイものばかり。やや性能差はあるものの、どれも主人公ということで性能面では優遇されている。
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BGM・SEなどサウンドクオリティはかなり高い。
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印象に残らないとされてはいるが、それは曲が途切れてしまうためであり、全面的にBGMの質は高い方。どれをとってもほぼ隙がないレベル。
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最初のステージで流れる特別戦などにおけるギターサウンドBGMは聞いているだけでもかなり熱い。
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SEはかなり小気味良い。刀で斬った時のSEは時代劇さながらの爽快感。格闘(殴る)のSEも必聴。
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一部の決定音などはうるさかったりもあるが、そう頻繁に出るものではない。
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マップが3D化し、マップの回転、縮小と拡大が可能となった。
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前作では選択から移動までややラグがあり、ユニットを移動させる時も何故か重たかったが、今回は非常に早く移動させられる。
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初期設定だと小さすぎて何がなんだかわからないが、拡大するとちゃんとドッド絵化されたキャラが表示されるようになる。ただしその分使い分けは面倒になった。
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ただしマップが無駄に広くなったのでやや見づらい。全キャラ強制出撃と相まって移動が面倒に感じることも。
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前作よりもネタっぽさが増した。
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後述の敵解説、一部のキャラの台詞、一部の特別合戦など。
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本作でも敵味方問わず会話が可能。1ターン消費するため戦術上は大きなデメリットでしかないが内容はなかなかおもしろい。
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図鑑モードの追加。
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キャラクターだけでなく、各キャラが使う武器や術の説明まで徹底している。
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何故か敵の解説は全体的にネタ路線を突っ走っている。
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裏技を使えば、当時のプラモデルCMを見ることも出来る。
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マイナーキャラも多く登場し、本作品独自のキャラクターも人気が高い。
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各タイトルの主要キャラが続々登場し仲間になっていく様はファンならワクワクせざるを得ない。
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他にも堂我一族を率いる『十四代目漣飛威』『新生風林火山四天王』などファンならニヤリとくるはず。
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號斗丸の宿敵である魔星も条件次第で仲間にすることが出来る。条件はさほど難しくはないが、一応隠しということでかなり強力な性能。
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爆進丸は変幻することで金剛爆進丸形態になれる。ただし変幻すると暴走状態となり、一定時間操作不能となる。
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時間軸的に一つ前となる超機動大将軍編後の號斗丸と魔星のその後の姿が見られるというのも貴重な要素と言える。また超機動大将軍編では都合上敵として登場した天宮頑駄無軍団の兵士である武志と野武志が、きちんと味方として登場するのも細かい部分ではあるがキッチリしている。
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敵キャラクターも、伝説の大将軍編(大将軍列伝)から新生闇軍団の残党が覇道闇軍団の一員として再び登場する他、時間軸的には次となる武神輝羅鋼編(本作は武神輝羅鋼編展開中の作品)から百鬼夜行衆に属するキャラが登場する。
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特別すごいわけではないが、何気に村や町の画面は芸の細かいつくりになっている。
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世界観を表現するのに一役買っている程度だが、ドットの描き込みはかなりのもの。
賛否両論点
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出撃選択画面は廃止され、本作ではユニットは全員戦闘に参加するようになった。
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本来なら2軍行き確定のような雑魚キャラも強制になってしまうが、兵糧の消費などはなく、出撃させることにデメリットはない。
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正直一々動かすのが面倒なのだが、死にキャラに使い道(回復役など)ができるので悪い点とも言い難い。
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ちなみに爆斬先生の元で修行する際は3人だけ選ぶ仕様になっている。
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難易度は前作である大将軍列伝と比べると格段に低くなっている。前作で猛威を振るった速射系の必殺技も大きく弱体化している。
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本作は露骨にプレイヤー側有利なステータス設定であり、最初から使用可能なコメディリリーフである頑巨砲と頑戦車でさえ扱いの割に普通に1軍で戦えるほど。
問題点
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痒いところに手を届かせようとするとロードが入る。しかも長い。
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敵ステータスや図鑑を確認するだけでもかなり長いロードが入る。本作で一番よく見るであろう画面は「ロードして候 しばし待たれよ」であるとすら言われる。
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一応、戦闘中に能力画面や図鑑を見なければ、実はそこまで頻繁にロード画面は出ない。しかしステータス確認は戦術的に求められるものであり、それを妨げるほどのロードは致命的な欠点である。
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加えて、ステージのユニット一覧のメニューは、リストで表示されるのではなく、ステータス画面に飛び、そこからページ切り替えで他のユニットを表示するというものになっており、このロードの仕様も合わさって不便。
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会話イベントや戦闘アニメと変幻アニメ再生中にはBGMが再生されない。おかげでマップBGMがかなり途切れ途切れになり、あまり印象に残らない。
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戦闘アニメオフでも何故かBGMが再生されない。これのせいかテンポまで悪く感じてくる。
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戦闘アニメ、変幻アニメ、マップクリア時と寧ろ大事な場面がことごとく歯抜けのように無音であり、BGMの設定ミスで無音になっているのかとさえ思えるほど。
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必殺技の仕様が前作と変わらず不遇。
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必殺技の使用回数は限定されており、回復させることが出来ない。また、1発限定の技であろうがなんだろうが外すことも少なくない。
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真っ向両断や袈裟懸けといった敵・味方に設定されている汎用必殺技は、レベルがあがると通常攻撃よりも火力が出ないことがある。弓矢キャラはそれが顕著。
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また、一部のキャラは、超必殺技であっても演出があっさりしすぎているものがある。例えば號斗丸の鳳炎水凰斬などは、せっかく必殺技時だけ號斗丸のグラフィックが変化するのに技のエフェクトが即相手へ飛んで行くので、余韻を含めても3秒あるかないか。
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そのため、変化後の號斗丸のグラフィックもじっくり鑑賞出来ない。ちゃんと図鑑には載るのでそこでじっくり見られるのだが、武器は本当に一瞬。ドッドの作り込みが秀逸なだけに惜しい。號斗丸は直前の超機動大将軍編の主人公であり、ファン人気も高いのでやり玉にあげられやすい。
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この仕様のため、一部天来変幻しても良さそうなキャラに変幻が設定されていないことがある。
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なお、輝龍も同じ仕様である。輝龍に至っては通常形態が火炎の輝龍となっている。ちなみに真紅主ら残り3名は通常形態が再現されており、天来変幻で四天王の姿に変化する。なぜ輝龍だけが通常形態無しなのかは不明。
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主人公が『飛燕』以外微妙。
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回復させればいくらでも使え、しかも威力も範囲攻撃能力も高い術法を多彩に使える飛燕以外選ぶ理由が見当たらない。
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一応残りの2体は通常攻撃などの面に優れているが、大火力を狙うには使用回数に制限があり、しかも当たり難い必殺技に頼らないといけない。
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特に範囲攻撃となると回復させられない必殺技で乱発するには厳しいものがあるので、やはりこの2体はあまり用いられない。特にどっち付かずの龍虎が一番不憫である。
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ただし術法を豪快に使いすぎていると心力がきれて行動不能になるので考え物。また、飛燕には『必殺技に弱い』という欠点もある。
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マスクデータが増えた。前作ではステータス画面で見れた命中などのステータスが表示されなくなり、ステータス画面の表示項目が減っている。
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武器、必殺技、術の解説文が表示されるようになったものの、基本的には図鑑の流用なので、ゲーム的な解説は基本的に表示されない。
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気にする人は少ないと思うが、一部キャラの扱いが悪い。
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前述のように、新生風林火山四天王の4人の中で輝龍だけが変幻なしという不遇な扱いを受けているのはさすがに違和感が強い。
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新生闇軍団の元メンバーは、基本的に足軽や妖怪が選ばれているのだが、「炎蒸」と前作で妖魔忍軍に属していたキャラは何故か軍団員から足軽に降格されている。足軽がいない妖魔忍軍のキャラはまだしも、常に単体でしか登場せず隊長格扱いのステージもあった炎蒸が足軽に落とされて複数登場するのは違和感しかない。
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グラフィックはポリゴンが粗く、ユニットアイコンもどことなくチープ。
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特に戦闘演出の時マップのポリゴンがアップになるため、粗さが目立つ。マップの場所によってはバグっているかのような戦闘背景になってしまうこともある。
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全体マップの移動が、ポリゴンかつかなりアップになったことで移動演出が長くなり、場合によってはそこそこ時間を食う。
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また、全体マップの縮尺などの変更はできないので、行き先がわからなくなることがままある。特別合戦もいつどこで発生したのかがわかりにくい。
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特別合戦の量が大きく減り、また繰り返しプレイできるマップもない。
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前作では特別合戦は全20ステージと本編に遜色ないボリュームだったのが、本作はわずか7ステージしかない。似た要素ということで道場3ステージを加えてもようやく前作の半分しかない。
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攻略本にクリア後に音楽モードが開放されると書かれているが、エンディングで「完」と表示されて以降は何もできずリセットするしかない。
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解析によるとエンディング中にフラグが立っており、このフラグをONにした状態で図鑑を選択すれば「音楽図鑑」を選べるようになっている。
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つまりエンディング後はタイトル画面に戻るのが想定の動作であり、実際の動作はフリーズである。
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しかし実際にはエンディング後に確定でフリーズしてしまい、タイトル画面に戻らないため、真っ当な手段では選択不可能。
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音楽モードは専用の画面が用意されている凝ったものになっている上、未使用音楽も視聴できるので、通常プレイで見ることができないのが残念である。
総評
ゲームとして見れば前作よりも地味かつ微妙な作品となってしまった事は否めない。
しかし、数少ないオリジナルストーリー作品である事やオリジナルキャラクターが多いこと、図鑑などの存在により資料的価値は高い。
ゲームテンポは早いので、頻繁にステータスを見るなどしなければロードもある程度はマシになる。図鑑は不便だが初期メニューの図鑑モードで見るのがオススメである。
最終更新:2024年09月28日 02:47