本稿はソーシャルゲームであるアプリ版が原作のゲームを扱っています。
本Wikiはソーシャルゲームの執筆が一切認められていないため、3DS版の詳細に関する記述に限定し
アプリ版に関する情報は割愛しています。


パズドラクロス 神の章/龍の章

【ぱずどらくろす かみのしょう/りゅうのしょう】

ジャンル 冒険パズルRPG

対応機種 ニンテンドー3DS
メディア 1Gbyte3DSカード
発売・開発元 ガンホー・オンライン・エンターテイメント
発売日 2016年7月28日
定価 パッケージ版:5,280円
ダウンロード版:4,481円
プレイ人数 1〜2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント RPG、ストーリー面の強化
対人戦システムの実装
メディアミックスやホビー連動が多数
収集要素は一部不完全
パズル&ドラゴンズシリーズ


物語とパズルがクロスする冒険パズルRPG

概要

スマートフォン向けソーシャルゲーム「パズル&ドラゴンズ」を原作とした3DS版のパズルRPG。タイトルは『パズドラクロス』のほか『パズドラX』と表記されることもある。 『神の章』と『龍の章』の2バージョンが同時にリリースされており、ストーリーは同じだが登場モンスターが異なる。 ミリオンヒットを記録した3DS『パズドラZ』の続編に当たり、パズルRPGとしてのゲームシステムも類似しているが、ストーリーや登場キャラクターは前作とは独立している。

また今作は2人プレイに対応しており、ストーリーモードを2人で協力して攻略することができるほか、育てたチーム同士で1対1の対人戦を行うことができる新たなモードが搭載されている。

TVアニメを主とするメディアミックスが盛んであったほか、ホビーとの連動機能も有している。

  • 本作はインターネット通信でのバージョンアップが何度か施されている。本記事では最終版のVer4.0(2017年2月22日配信)について述べる。

ルール(冒険モード)

大まかなパズルのルールは前作『パズドラZ』と同様。変更点を中心に述べる。

  • 本作には3D構造のフィールドマップが複数存在し、プレイヤーキャラクターは自由にマップ内を移動することができる。マップ内を歩く敵モンスターのシンボルに接触すると戦闘が始まり、パズル画面に移行する。
    • 1戦が終わるたびに再びマップ画面へ戻る。
  • マップ内にはいくつかのダンジョンが存在し、その中に入るとダンジョン攻略が開始する。
    • ダンジョンは複数のフロアからなり、多数の敵モンスターのシンボルが徘徊している。これらも接触によってパズル戦に入る。
    • マップ内でゲートを発見すると先のフロアへ進むことができ、最後のフロアでボスモンスターを倒せばダンジョンのクリアとなる。時には、ゲートの鍵を持つモンスターを探し出して撃破しないと次フロアへ進めないこともある。
  • フィールドには「グランドボス」、ダンジョンには「ヌシ」と呼ばれる特殊な敵シンボルが居ることがある。どちらも本来のボスモンスターより強力だが、撃破できれば見返りは大きい。
  • フィールドにあるダンジョンのほか、各所の拠点で「クエスト」を受けることでもダンジョンに挑戦できる。育成素材を集められるクエストのほか、コラボクエストおよびゲームクリア後に解禁される降臨クエストを公式の配信で受け取った際も、ここから挑戦する。
    • 一部のコラボクエストはダンジョンマップがなくパズル戦のみで構成されており、立て続けに敵が出現する。
    • 『神の章』『龍の章』の大きな違いは、配信で受け取れる降臨ダンジョンのラインナップが全く異なる点。ほか、一部の通常ダンジョンのボスなども異なる。
  • モンスターに「覚醒スキル」が追加された。
    • 各モンスターは4種類の覚醒スキル枠を持っており、その個数は種族ごとに決まっている。プレイヤーは「ほしのかけら」という素材を使うことで、覚醒スキル枠ごとに規定された候補の中から好きな覚醒スキルを選択し、モンスターに付与することができる。後からの変更も自由に可能。
    • 覚醒スキルは多くの種類があり、「パズルの操作時間を延長する」「ドロップを特定の形状に並べて消すと攻撃力が上がる」「最初のバトルからスキルターンが一定量溜まった状態で開始できる」など、冒険を強力にサポートする。
  • チームのリーダースキルは各モンスター自身ではなく、主人公が身につける「ソウルアーマー」が受け持つようになった。
    • ソウルアーマーは様々なモンスターの姿を模したものであり、モンスターが持つ「魂(ソウル)」から作成する。
    • パズル戦で敵モンスターのHPを一定の割合まで減らすと、次のパズルをする時に「ソウルキャプチャー」というモードに任意で移行できる。このモードで攻撃すると敵のHPを減らす代わりに敵の「ソウルゲージ」が上昇し、増えたソウルゲージの割合に応じた確率で攻撃終了時に敵がソウルへ変化し、入手できる。
      • アーマー化できる固有のソウルを持たない敵の場合は汎用のソウルになり、ソウルアーマーの強化に用いることができる。
    • なおソウルアーマーを着た主人公そのものも攻撃力やスキルを持っており、手持ちのモンスターと同様にバトルに参加する。
  • 前作の「Zドロップ」は、今作では「X(クロス)ドロップ」に変更された。Xドロップを消去するとパズル終了後にコンボ数が1〜2コンボ加算される。
  • 今作は3DS同士のローカル通信を用いた2人協力プレイに対応している。
    • マップ内の移動はホスト側が全て行い、パズル戦闘のみホストとゲストが協力する。単純に2人が連続してパズルによる敵の攻撃ができるだけでなく、自分の代わりに味方を選択してHPを回復したり、ドロップ変換スキルの効果を味方に与えたりすることができる。
    • 敵からのダメージはホスト・ゲスト両方が受けるが、両方のHPが同時に0にならなければ負けにはならない。HPが0になった味方を選択して回復させれば、味方を復活させられる。
    • アップデート以降は、一人で遊ぶ際にフィールドにいるNPCキャラクターとも協力プレイが可能になった。
  • 一緒にプレイする相手とはモンスターをトレードすることも可能。片方のバージョンにしか出現しないモンスターを交換で入手できるほか、トレードすることが進化条件のモンスターも存在する。

ルール(対戦モード)

今作で新たに登場したモード。育てたチーム同士で1対1の対人戦が可能である。インターネット対戦にも対応。

  • 対戦は「スキルフェーズ」と「パズルフェーズ」が交互に行われる。
    • スキルフェーズでは制限時間内に、そのターンにスキルを使うモンスターを決定する。両者の選択終了後に、選ばれたスキルが順に使われる。
      • スキルの使用は両プレイヤーが交互に行なっていくのだが、両プレイヤーが同じ順番で選択したモンスター同士のレア度を比べて、低い方が先、高い方が後にスキルを使用するようになっている。
      • 味方のドロップ変換スキルや攻撃力上昇スキルの効果は普段通りだが、敵にダメージを与えるスキルや敵の行動を遅らせるスキルは、対戦だと相手に直接ダメージを送ったり、相手のモンスターをバインドする妨害効果になる。
    • パズルフェーズではお互いがパズルを行い、相手を攻撃する。冒険モードと異なり、パズルは一定時間以内に開始しなければならない。
      • パズル後、お互いが発生させたダメージが5つの属性ごとに分配され、それらの優劣を比べる。属性ごとに勝った方が負けた方へ差し引き分のダメージを一方的に与えることができる。
      • 冒険モードと異なり回復はHP上限を超えて行うことができ、余った分は相手から受けるダメージを相殺する盾として使用できる。
      • 一度のパズルフェーズで受けるダメージはHPゲージ1本分を空にされるまでにとどまり、0になったゲージは消失する。
  • 両者は3本ずつのHPゲージを持ち、先に相手のゲージを全て0にした方が勝者となる。
    • 両方のHPゲージが同時に0になった場合は、平均コンボ数が高い方の勝利となる。両者同値だった場合は引き分け。
    • また、開始から10ターン経過しても両者ともHPゲージが残っている場合は、残りHPの割合が高い方の勝ち。

連動機能、メディアミックスなど

  • 本作はタカラトミーが発売したホビーである「D-ギア」「アーマードロップ」と連動機能を持っている。
    • アーマードロップの裏面にあるQRコードを3DSでスキャンすることで、アーマードロップに描かれたモンスターのソウルが手に入り、ソウルアーマーの作成ができる。
    • 加えてD-ギアのQRコードも一緒に読み込むと、アーマードロップのモンスターと戦うことができる。これで入手したモンスターは「天才型」となり、通常モンスターより多くのプラス値を与えることができる。
  • 位置情報ゲームであるスマートフォンアプリ『パズドラレーダー』との連動機能を有する。特定のイベント会場などに置かれている「トレジャー」を『レーダー』で入手し、画面に表示されるQRコードを『パズドラクロス』に読み込ませると、特別なグランドボスがフィールドに現れる。
    • 現在はこの連動は終了しており、該当ボスはインターネット配信を受け取ることで出現するよう変更されている。
  • コロコロコミックなど、他作品とのコラボレーションも行われている。
    • ゲーム作品としては、カプコンの『モンスターハンター ストーリーズ』とのコラボが目立つ。同作に登場する複数のモンスターをダンジョンで入手でき、ソウルアーマーの作成にも対応している。逆に『モンハン』側にもパズドラクロスモンスターが登場しており、パズドラシリーズのキャラクターがガンホー以外の家庭用ゲームに登場した希少な例となっている。
    • 前作『Z』から引き続き『太鼓の達人シリーズ』ともコラボしている。
  • 今作の発売に併せ、メディアミックスとして2016年7月からテレビ東京でアニメ「パズドラクロス」の放送が開始された。制作はstudioぴえろで、2018年3月に完結。
    • ストーリーはゲーム版の開始からエンディングまでの流れに概ね沿っているが、細部の設定に差異があるほか、アニメ版にしか出ないキャラクターも多数存在する。

評価点

  • 充実したストーリー
    • 『Z』ではかなり低年齢向けにされていたストーリーだが、本作では対象年齢が少し引き上げられ、ドラゴーザ島を巡る若き龍喚士とその仲間たちの活躍が鮮やかに描かれており、少年冒険活劇として過不足なく纏まっている。
      • 先述した通り、原作に忠実なアニメ化にも耐えうる骨太のシナリオとして大成しており、物語の出来としてはパズドラシリーズ全体でも屈指の高い品質を誇る。
    • ストーリー前半では龍喚士としての修行のため、古老の証を求めて5つの属性に擬えられた5つの街を順に訪れていく。しかしその過程で黒幕が正体を現して以降、ストーリー後半ではドラゴーザ島のほぼ全域を掌握した敵組織・ドミニオンから各街を解放すべく、5つの街を逆順に巡っていくことになる。
      • 5つの街それぞれに2つずつのフィールドマップが付随する。ストーリー後半では前半で立入禁止だった区域に入れるようになり、最終的には各フィールドで10個前後のダンジョンに挑戦可能となるため、ボリュームは多い。この中には勿論ストーリーに関与しない寄り道ダンジョンもあり、それらにも限定ボスが居るので探索面も充実している。
  • 前作からパワーアップした演出
    • 前作では2Dドット画面で進行する場面も多く、ダンジョン内部も背景の種類が少なく単調であったが、今作ではフィールドマップ・戦闘風景いずれも3D描画が中心となり、大きく改善されている。
    • 主人公のソウルアーマーも3Dであり、多彩なデザインがある。ドラゴンモンスターの造形を活かしたカッコ良さが光るものから、着ぐるみのような緩い可愛らしさまで網羅されている。
  • 彩が増えた豊富なモンスター群
    • 最終アップデート時点でのモンスター総数は591体*1と、収集・育成型ゲームとしては十分なボリューム。前作『Z』の302体から2倍近くまで増えた。
    • 『Z』と比べて原作パズドラからの登場モンスターが大幅に増えており、原作にはないモンスターのアニメーションも見ることができる。
      • アニメーションは全てのモンスターに対し待機時と攻撃時の2種類が用意されている。さらに、スキル使用時には短いながらも掛け声などのボイスを発する。
      • 『Z』では登場モンスターがドラゴン系ばかりだったが、今作では人間型のモンスターが増えている。神話系モンスターが多い「神の章」はもちろんのこと、「龍の章」側でも、ドラゴンと共生する龍喚士・龍契士と言った人型モンスターが多く追加されている。
    • また『Z』オリジナルのモンスターからも、「アヴァロンドレイク」をはじめとした人気モンスターが続投しており、さらなる進化形態まで与えられている。
    • マスコットキャラクターとして「タマゾー」という小さなモンスターと一緒に冒険できる。タマゾーは主人公と似たソウルアーマーを身につけることができ、アーマーごとに変化するスキルを持ったモンスターとして、1体だけチームに加えることが可能。タマゾーのアーマーはストーリー中のイベントなどで集めることができ、収集要素の一つとなる。
  • カスタマイズ性の高い覚醒スキル
    • 『Z』には覚醒スキルがなく、モンスターの個性はスキルくらいしかなかった。また原作パズドラでの覚醒スキルはモンスターの種類ごとに固定であり、覚醒スキルの並びが弱いモンスターは出番に恵まれなかった。
    • その点、本作ではモンスター毎に覚醒スキルを自分で選んで付与することができるため、どんなモンスターでも様々な状況である程度の活躍を見込めるようになった。
  • 戦略性の高い対戦モード
    • 今作が初となる対人戦パズドラだが、勝つための道筋は色々存在する。以下はその一例。
      • 多色リーダースキルを用いて全ての属性で攻撃し、相手の攻撃を相殺しながらこちらの攻撃を通す。
      • 盤面を2色にするスキルを連打してコンボ数と火力を稼ぎ、相手から来る他属性の攻撃はダメージ軽減スキルで凌ぐか、相打ちでも平均コンボ数で判定勝ちする。
      • 回復力が非常に高いリーダースキルでひたすら相手の攻撃を耐えきり、HP量での判定勝ちを狙う。
      • 相手をバインドするスキルを先手で打ち、相手のスキル使用や攻撃を封じて何もさせず一方的にHPゲージを奪う。
    • 一方、上記のいずれの戦法にも明確な対抗法がある。
      • こちらも攻撃力に特化し、属性ごとの競り合いで上回るか相手の持っていない属性を突き、勝利を収める。
      • 敵の防御力を下げるスキルを当てて相手の軽減スキルやHP回復による盾の効果を弱め、HPゲージ差での逃げ切りを防ぐ。
      • バインド耐性の覚醒スキルを付与し、相手のバインドスキルを無駄に終わらせる。
    • 取れる戦法は豊富であり、明確に弱いとされる戦法は少ない。対戦にあたり両者が自身の得意とする戦法を選び、それを達成するために育成をし、戦いに臨むという、対人戦ならではの楽しみがきちんと実現されている。

賛否両論点

  • 一部モンスターのデザイン
    • ストーリーに出る一部のボスモンスターや、「モンスターハンターストーリーズ」のコラボモンスターは、アニメーションする2Dイラストではなく3Dポリゴンで描画されている。3DSとしては十分な描き込みはされているものの、通常のモンスターと比べるとやや浮いて見える。
  • パズル戦闘とダンジョン探索の相性
    • ダンジョンではパズル1戦ごとにマップに戻る仕様になっているため、他のシリーズ作品と異なりパズルだけで連戦できる作りではない。
      • ストーリーダンジョンには簡単ながらも探索要素があり宝箱などもあるので、RPG要素としてはちゃんと機能しており、冒険の表現として決して悪いものではない。敵シンボルを避けることに集中したプレイングも可能のため、パズル戦闘が得意でなかったりモンスターが弱い状態であってもダンジョン攻略の光明を得られるという意味合いもある。
      • ただ、降臨ダンジョンに関しては完全な一本道の上、出現する敵を全て倒さないと先に進めないため、ダンジョン探索要素は無に等しく、単なるパズル戦闘の合間に来る手間にしかなっていない。
  • チェインシステム
    • ダンジョン内で多数の敵シンボルが密集している場合、どれか1体に触れると他のシンボルは触れたシンボルへ「チェイン」して消失する。そしてチェインされた方の敵は進化したり、ステータスが上がったりする。
      • 大量の敵が一度にチェインしてしまうと、不意の強敵との戦闘となり応戦が難しくなる恐れがある。今作では一度始まってしまったパズル戦闘からは逃げられないのでなおのこと問題である。
      • ヌシに対するチェインが発生することもあり、ダンジョン到達時点では手のつけられないレベルまで強化されてしまうことも。*2
      • ただし、勝利することができれば質の良い育成素材が手に入るので、リターンがないわけではない。
  • バージョンの差別化点の消失
    • 本作発売からしばらくの間は配信される降臨ダンジョンが追加されていたが、『神の章』と『龍の章』で配信されるダンジョンが全く異なり、両バージョン間で得られたモンスターをトレードしたり、協力プレイで相手側のダンジョンに挑戦するモチベーションになっていた。
    • しかし、のちの配信では片方のバージョン限定だった降臨が反対側のバージョンでも受け取れるようになり、最終的にはどちらのバージョンでも全ての降臨に挑めるようになった。
      • 最終アップデートの時点だと、片方のバージョンでしか入手できないモンスターは発売当初から居た降臨以外の手段で入手できるものだけとなり、かなり少数となっている。
      • バージョン毎の差別化点が減ったとはいえ、多くのモンスターに手軽にアクセス可能になるのは良いことではある。

問題点

  • モンスター収集に関する問題
    • 今作はモンスター図鑑のコンプリートが不可能。理由は下記の2つ。
      • 前作『Z』のデータがあると受け取れる特典モンスターが、『神の章』『龍の章』で異なる2種類のタマゾーアーマーである。タマゾーは種族としてトレードが不可能であるため、両者のアーマーを同時に所有することはできない。
      • 入手手段が最後まで用意されなかったモンスターが4体おり、図鑑は空欄のままとなっている。*3
    • 上記以外のモンスターは全て入手可能なのかというと、これがかなり難しい。というのも、書籍特典や特定のホビー連動、シリーズ過去作品購入の特典などでしか入手できないモンスターが多い。
      • 本作の早期予約特典だった「イザナギX」「アポカリプスX」、書籍特典の「黒龍喚士・ソニア」「白龍喚士・ソニア」のほか、「帝都の守護神・アテナ」等はタカラトミー販売のアーマードロップを購入しないと手に入らなかった。
      • コラボ企画も、「セブンイレブン」「TSUTAYA」「名探偵コナン」等は配信が短期間のみで、常時配信はされなかった。
      • 幸い、いずれもモンスター性能面が特別秀でているわけではないため、取れなくてもプレイに支障をきたす程ではない。単純なコレクター要素としての難点に留まる。
    • ソウルアーマーの図鑑が存在せず、集めたソウルアーマーの管理がしにくい。またモンスターと異なりソウルアーマーは同種を複数持てないほか、進化させたアーマーの退化もできない。
  • ダンジョンの難易度表示
    • 本作のダンジョンの難易度表示は0.5~5までの11段階あるが、4と4.5、4.5と5の間の難易度差がかなり大きい。
    • それぞれ通常ダンジョン、初期の降臨ダンジョン、後期の降臨ダンジョンに対応する。これらの難易度差が大きいのは致し方ない部分もあるのだが、4以下の難易度帯の差と比べると些か難易度差が大きすぎると言わざるを得ない。
    • また、通常の降臨ダンジョンとボスラッシュ形式の降臨ダンジョンが同じ難易度5に設定されており、難易度設定が不適切だと言える。
  • 一部グランドボスが強すぎる
    • 特にパズドラレーダーで受け取れた「ゼウス=ドラゴン」等のグランドボスは、ステータスが異常なほど高い。ストーリーをエンディングに進められるまで育成したチームであっても、無策だと簡単に一撃で倒されてしまい、正面からではまともな勝負にならない。
      • せっかくイベント会場まで現実の旅行をしてレーダー連動モンスターを取りに行ったのに、全然勝てないのでゲーム内でモンスターを手に入れられない、というプレイヤーが多発した。
      • どうすれば良いかというと、フィールド上での戦闘なのでボス以外の敵と戦わなくていいという穴を突き、特定の属性から受けるダメージを軽減する覚醒スキルを大量に付与することで、対応する相手の攻撃に対し無敵になる戦法が有効である。とても正攻法とは呼べない方法であるし、属性ダメージ軽減覚醒を複数持てるモンスターの種類も限られる。
    • 同じくグランドボスである「ノア=ドラゴン」は、一定以上のダメージを無効化するスキルを使用する。*4これはソウルゲージを貯める時にも発動するため、ゲージを100%まで上げることが物理的に不可能であり、キャプチャーが成功するか否かはどうしても運の要素が排除できない。
  • 対戦モードの「根性」が運ゲー
    • ソウルアーマーの中には「HPが0になるダメージを受けてもHP1でふんばることがある」という効果の、根性リーダースキルを持つものが存在する。原作パズドラでは残りHP割合が一定以上だと確定で発動する効果だったが、今作では残りHPに関係なくランダムで発動する。
    • これを対戦モードで使用した場合、相手からHPゲージを割られそうになるたびにランダムでHP1で耐えられる可能性が出るため、自分はその隙に相手側のHPゲージを割って勝利を狙うことができる。根性の発動は完全に運任せだが、チャンスが3回あるので発動率は決して低くない。
      • 問題は根性を相手にした場合で、根性スキルの発動を確実に阻止する方法が存在しないこと。今作の冒険モードには根性で耐えてくる敵がいないので、後のシリーズにある「追加攻撃」などの手段が用意されていないのである。そのため、対人戦で根性と戦う場合はどうしても相手の運ゲーに付き合わされてしまう。
      • 根性の弱点として「攻撃力が低い」というものがあるので、相手の火力を全属性で上回ることでこちらのHPゲージに触れさせないのが理想の対策として挙げられる。だが、相手の攻撃属性がこちらに無いと相殺できないので、属性を絞った編成を使っていると辛い戦いになる。また根性側は自分の耐久面の補強をしなくていいため、空いたスキル枠で相手の耐久を許さない防御減少スキルなどを用意してくることが多いのも厄介な点。

総評

ミリオンヒットの前作『パズドラZ』から正統進化を遂げた、家庭用パズルRPGとしての続編。

前作からビジュアル面とストーリー面が大きく増強され、小さな子供だけでなく万人に受け入れられる作風になっている。
原作パズドラのモンスターも多数登場するようになり、育成におけるカスタマイズ要素も増えたためお気に入りのモンスターを連れた冒険がしやすくなっている。

また、新たな試みとして対人戦の機能を搭載しており、初発ながらルールの完成度はなかなか高い。
自分の得意な戦略を組み立て、それに見合ったチームを育ててライバルとの対戦に臨む、1対1の真剣勝負を楽しむゲームとしても申し分はない出来である。

なお、課金がないのは前作同様だが、ホビー連動などでの集金要素は前作より増えているきらいがある。図鑑のコンプリートも仕様上不可能なため、モンスター収集コンテンツに関しては前作と比べて不親切になっているのは否めない。

パズドラの社会的ブームは既に過ぎていたこともあり、2バージョン合わせた販売数は25万本と、残念ながら前作には届かなかった。
とはいえ、パズルRPGの金字塔としてのパズドラの魅力は今作にも余す所なく発揮されているのは間違いない。
今作の機能をベースにした展開は継続しており、パズドラシリーズにおける重要な位置を占める良作になったということが出来るだろう。



余談

  • 「対戦パズドラクロス」という本作の体験版が配信されている。対戦モードのみを搭載しており、レンタルチームを用いた勝負が可能となっている。
  • 今作のダメージ上限値(カンスト)は19億9999万9999となっている。原作などで見られる21億4748万3647(32bitの最大値)より若干少ない。
  • 人間女性型モンスターが多数存在するが、一部は原作パズドラと比べて布の面積が増えており、際どいプロポーションを隠す修正が施されている。「カーリー」等が特にわかりやすい。これらの配慮は本作以降のSwitch向けソフトでも継続している。

その後の展開

  • 今作で確立した対戦モードの機能は、少しアレンジを加えられた*5上で先述のアプリ『パズドラレーダー』に輸入され、2017年10月からは当アプリでパズドラ対戦が可能になった。
    • パズドラレーダーで対戦に用いるアバターは、本作の男女主人公と同じ外見である。各種ソウルアーマーも名称こそ異なるが続投している。
    • 対戦可能なNPCとして、本作のドミニオン戦闘員と同グラフィックのキャラクターも登場する。 その外見からしばしば「不審者」呼ばわりされる。
  • 以降、当アプリは次第に対人戦に特化した作りとなり、2020年にはタイトルが『パズドラバトル』に改められるに至った。*6
  • アニメ「パズドラクロス」の完結後は、後番組として新作アニメ「パズドラ」の放映が開始された。こちらは上記のパズドラレーダー(およびバトル)における対戦モードを原作とし、eスポーツをテーマとした内容になっている。2024年現在も放映継続中であり、テレビ東京のアニメ作品としても中々の長寿番組となっている。
    • そして、上記のリニューアル後の『パズドラレーダー』対戦モードを、アニメ「パズドラ」の世界観をベースに再び家庭用ゲームへ逆輸入した作品として出来上がったのが、2020年1月15日発売のSwitch『パズドラGOLD』である。ジャンルはRPGではなく対戦パズルアクションへと変わっている。
  • 一方、パズルRPGとしての家庭用の続編としては、2022年2月20日、原作パズドラ10周年を記念した『PUZZLE & DRAGONS Nintendo Switch Edition』が発売されている。本作や『Z』と異なり特定のストーリーは無く、原作に近いシンプルな内容になっている。
最終更新:2024年07月20日 11:51

*1 図鑑枠は595だが、没モンスターが4体いる。

*2 ヌシが他のシンボルにチェインして消失することはない。

*3 ゲーム内データではパズドラレーダーとの連動で登場するグランドボス5種類の色違いがそれぞれ用意され、アーマードロップ連動での入手が予定されていたようだが、「煌雷神・ヘラ=ドラゴン」以外の4体が公開されずお蔵入りになってしまった。

*4 他シリーズとは異なり上限を超えたダメージを完全に0にはせず、受けるダメージ量を上限値まで引き下げるという効果。

*5 HPゲージが4本になったほか、相手の操作時間を短縮したり相手の盤面を勝手に変換したりといった干渉スキルの種類が増えた。また相打ち時の勝敗に相手の攻撃を上回った属性数が加味されるようになり、多色編成が有利になった。

*6 アーケードゲーム『パズドラバトルトーナメント』とは関係がない。