本稿はソーシャルゲームであるアプリ版が原作のゲームを扱っています。
本Wikiはソーシャルゲームの執筆が一切認められていないため、アプリ版に関する情報は割愛しています。
パズドラGOLD
【ぱずどらごーるど】
ジャンル
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対戦パズルアクション
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対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売ソフト
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発売・開発元
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ガンホー・オンライン・エンターテイメント
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発売日
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2020年1月15日
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定価
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1,500円
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プレイ人数
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1〜2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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アプリ『パズドラレーダー』の対戦モードがベース リーダーモンスターの3Dビジュアルは圧巻 1人プレイはかなり薄味 痒いところに手が届かない編成機能
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パズル&ドラゴンズシリーズ
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だれもが手軽に遊べる『パズドラ』の対戦ゲームがNintendo Switch™で登場。
魅力的なモンスターたちでチームを組んで、最強を目指そう!
概要
スマートフォンアプリ『パズル&ドラゴンズ』(通称: パズドラ、以下「本家」)の外伝作である、アプリ『パズドラレーダー』(以下「レーダー」)。この「レーダー」に搭載されている2人対戦ゲームをベースとして、Nintendo Switchでパズドラ対戦ができるダウンロードソフトとして開発されたのが、本作『パズドラGOLD』である。
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もともと、パズドラシリーズで2人対戦機能が初めて導入されたのは、家庭用作品での前作にあたる3DS『パズドラクロス 神の章/龍の章』であった。後にこのバトル機能が少しアレンジされて『レーダー』に輸入され、それが再び家庭版に戻ってきた格好となる。
本作の世界観は『レーダー』の対戦モードを主題としたアニメ『パズドラ』と同じものであり、アニメの主人公「明石タイガ」や「トラゴン」などの人物・モンスターが登場する。
基本ルール
今作のジャンルは「対戦パズルアクション」であり、他のシリーズと違いRPG要素はなく、1対1での対戦モードのみとなる。
大まかなルールは以下の通り。アプリ「レーダー」版と同一のルールとなっており、3DS「クロス」版からはいくつかの変更点(注釈で示す)がある。
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対戦は「スキルフェーズ」と「パズルフェーズ」が交互に行われる。
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スキルフェーズでは制限時間内に、そのターンにスキルを使うモンスターを決定する。両者の選択終了後に、選ばれたスキルが順に使われる。
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スキルの使用は両プレイヤーが交互に行なっていくのだが、両プレイヤーが同じ順番で選択したモンスター同士のレア度を比べて、低い方が先、高い方が後にスキルを使用するようになっている。
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スキルは大きく分けて味方を強化するものと相手を妨害するものに分かれ、自分の攻撃力を上げたり盤面の必要なドロップを増やすもの、相手の操作時間を短縮したり相手モンスターをバインドしたりするもの等がある。そのバリエーションは非常に多彩。
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パズルフェーズではお互いがパズルを行い、相手を攻撃する。パズルは10秒以内に開始しなければならない。
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パズル後、お互いが発生させたダメージが5つの属性ごとに分配され、それらの優劣を比べる。属性ごとに勝った方が負けた方へ差し引き分のダメージを一方的に与えることができる。
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回復はHP上限を超えて行うことができ、余った分は相手から受けるダメージを相殺する盾として使用できる。
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一度のパズルフェーズで受けるダメージはHPゲージ1本分を空にされるまでにとどまり、0になったゲージは消失する。
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両者は4本ずつのHPゲージを持ち、先に相手のゲージを全て0にした方が勝者となる。
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両方のHPゲージが同時に0になった場合は判定勝負となる。「相手のダメージを上回った属性の数」と「平均コンボ数」のそれぞれで計算されるポイントを合計し、高い方の勝利。同点なら引き分けとなる。
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また、開始から8ターン経過しても両者ともHPゲージが残っている場合は、残りHPの割合が高い方の勝ち。
ゲームモード
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「対戦モード」
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ネットワークの誰かとマッチングする「オンライン対戦」、部屋を作ってプレイする「ローカル通信対戦」、CPUと戦う「練習(ひとり用)」の3つから選択する。
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「ストーリー」
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アニメ「パズドラ」のストーリーに沿ってプレイする、「タイガ編」と「龍二編」の2つが存在。両方ともクリアすると、隠しストーリー「マツハラプロからの挑戦状」が出現する。
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「モンスター」
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全部で22種類の「構築済みチーム」、自分でサブモンスターを自由に入れ替えて作る「カスタムチーム」に分かれる。サブモンスターは「ガチャドラ」に虹ドロップという通貨を投入して生成し、「モンスターBOX」に保存する。
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チームコードを入力することで、公開されているチームを直接入手することも可能。
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「ライセンスカード」
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プレイヤーレベル、ローカルおよびオンラインでのランク、戦績などが表示される。実績であるプレイ記録も閲覧可能。アバターはアニメ「パズドラ」のキャラクターから選択する。
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「パズドラ塾」
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本作の基本ルールの解説を受け、パズル操作の練習ができるモード。
評価点
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リーダーモンスターの美麗な3Dグラフィック
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ハードが3DSからSwitchに移行したことで、3Dで描画されるモンスターの画質が大幅に向上した。今作でリーダーとして登場する22種のモンスターは全て3D描画でのダイナミックなアクションを持ち、戦闘画面を大いに盛り上げる。
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人間型のモンスターはシリーズでも比較的高い頭身で描かれており、若干量のボイスも搭載。ドラゴン系・動物型・マシン系のモンスターも細部まで緻密な書き込みがなされており、他のパズドラシリーズでは滅多に見られない背面なども観察できる。
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チーム選択画面などではリーダーモンスターの観察が可能。左右アングルの回転とズームの他、「入場時」「弱攻撃」「強攻撃」「被弾時」の4種類のモーションが閲覧できる。
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ストーリーをクリアすると、隠し対戦相手として3DS『パズドラZ』および『パズドラクロス』の主人公に出会えるようになる。それぞれ、各作品における象徴的なモンスターをリーダーに構えてくる。
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駆け引きがあり奥の深い対戦ルール
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アプリ『レーダー』の対戦機能をそのまま引っ張ってきただけあり、同作の奥の深さは今作にも引き継がれている。いかにして自分のHPゲージを守りながら相手のゲージを割り切るかが問われるゲームのため、どういったスキルのモンスターを編成しどのタイミングで使用するかが極めて重要となる。
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一例として、「受けるダメージを100%軽減する」スキルを撃って1ターン確実にゲージを守ろうとする場合を考える。このとき、相手にそれと同じターンで「相手の防御力を減少させる」スキルを撃たれてしまうと、こちらのガードは崩されてしまう。しかし自分もそれを見越して、「お互いの防御力を少しだけ減少させる」スキルをさらに後から重ね、下がる防御力を少しだけにする(防御を下げる効果を上書きする)ことでゲージを守り抜ける。
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他にも、相手の盤面を勝手に変換するスキルを多数用いることで、相手の盤面をほぼ一色にしてしまい、まともなパズルを組めなくすることで味方のゲージを守る、と言ったプレイングも可能。対抗策としては相手より遅いタイミングで全ドロップ変換スキルを発動できるようにしたり、先に自分のドロップをロックするスキルを使うなどがある。
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バインド攻撃スキルやその回復スキルなどの存在もあり、相手の妨害を返すために「いかにしてスキルの発動順序をコントロールするか」も試合の重要なファクターとなる。本命のスキルを相手より後に発動するために、敢えて関係ないスキルを先に挟み込んで使用するなどのテクニックも問われる。
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プレイングスキルが上記の通り問われる一方で、パズル力も重要なゲーム。本作は全体的にパズル操作時間に余裕がなく、相手から操作時間短縮の妨害を受けることも多いので、それをものともせずパズルを決める腕前を磨けば、明確に相手より有利に立つことができる。
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十字消しを複数組むことで青天井に倍率が上がるリーダースキルを使いこなせれば、味方の攻撃力上昇スキルなどを省略し、スキル枠に余裕を持たせることができる。しかし、それにはかなりの熟練が要求される。
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『レーダー』の環境を維持したサブモンスターたち
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今作のサブモンスターは全部で594種。パズドラ塾で手に入る5種を除く589種は、2019年8月時点のアプリ『レーダー』に登場していたモンスターリストからコラボキャラクターを除いたものを、ステータス面において概ね忠実に再現したものとなっている。
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当時の『レーダー』に存在した多様な編成を、理論的には本作でも再現できるように工夫がされている。ただ、実際に再現できるかは…?(後述)
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一方で極端な性能を持ったコラボキャラクターは省かれており、バランスブレイカーの数は減らされている。
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虹ドロップは集めやすい
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ガチャドラからサブモンスターを得たりするのに使う虹ドロップは対戦を繰り返して集めることになるが、プレイヤーレベル上昇時のボーナスでも得ることができる。
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ゾロ目到達などで一度にまとまった数のドロップがもらえる他、レベルがカンストするとそれ以降はレベルアップの代わりに大量の虹ドロップが何度でも貰えるようになる。レベル最大値は999と高いが、レベルアップに必要な経験値は途中で一定となるため見た目よりは到達しやすい。
問題点
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リーダーモンスターのバリエーションが少ない
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先述した通り本作のリーダーモンスターは全22種。5属性があるゲームと考えるとかなり少なめであり、組める編成にも制約がかかる。
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一例を挙げると、3×3の正方形を組むことで相手の防御力を無視して攻撃できるリーダーが、本作では闇属性にしか存在していない。他の属性を主体にしてプレイしたい場合は、防御力減少はスキルに頼らないといけない。
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またモンスターの選抜基準も謎が多い。
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人気のモンスター自体ではなく、その色違いとなるモンスターが登場する例が多い。
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「冥狼機導獣・カッカブ」は本来5属性1組のシリーズモンスターだが、今作では何故か1体だけで出演。
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アニメ出身のモンスターもいるが、トラゴンのVer違いだけで4種類も占有しており、枠を取りすぎ。
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1人プレイだけだとボリューム不足
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今作のストーリーは非常に短い。タイガ編・龍二編それぞれ4試合ずつ、最後のマツハラプロの挑戦状に至ってはわずか1試合で終了してしまう。全勝できれば
ゲームスタートから1時間もかからずコンプリート可能。
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対戦モードの練習(ひとり用)では構築済みチーム22種を用いたCPUと戦えるが、逆に言うとそれ以外の組み合わせの相手とは練習ができない。またCPUはスキル使用こそ的確だがパズルの腕はイマイチであり、盤面を最大限に活かしてドロップを消してくることがあまりないため、多少の采配ミスはパズルのコンボ数差でゴリ押して終わりにできてしまいがち。
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サブモンスターの覚醒スキルが変更できない
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対戦を含めたやり込みをしようとすると今度はこの仕様がネックになる。『レーダー』や『クロス』ではできていたモンスターの覚醒スキル変更が今作では不可能になっており、ガチャドラで同じモンスターの覚醒スキル違いを引き直さないといけない。
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各種のモンスターは4〜8通りの覚醒スキルの組み合わせを持つ。こだわるなら狙いの組み合わせが引けるまでガチャを回し続ける羽目になる。
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特にバインド耐性は多くのモンスターにとって必須となりやすく、欲しいモンスターが出たけどバインド耐性がないせいで使いにくい、となると不毛に感じやすい。逆に言えば、相当やり込んだ相手との対戦でなければ適当にバインドスキルを乱発するだけで楽に勝てる、ということも起きがちである。
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モンスターのビジュアル面の問題
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本作のサブモンスターはいずれも一枚絵で、アニメーションはしない。3Dで動くリーダーモンスターとの落差が激しい。
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一方でその3Dリーダーモンスターは先述の通り単純に数が少なく、長くプレイしていると同じ顔ぶればかりで飽きが来やすい。
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一部のサブモンスターは、家庭用ゲーム機への登場にあたり肌面積を抑える修正が行われているが、その修正が粗雑。
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服の襟や胸元、脚などを適当に黒く塗っただけの修正が多く、断面も直線的なので悪目立ちしている。
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また、
多少の修正ではどうにもならないもの
(水着姿のモンスターなど)は、モンスター自体が他のものに差し替えられている。差し替え先は、本家『パズドラ』にいて当時の『レーダー』には参加していなかったモンスターから選ばれているが、性能は差し替え前に準拠しているため、差し替え先のモンスターの本来の属性と異なるものが多く違和感を抱きやすい。
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本作はSwitchの携帯モードでしかプレイできない。ドックに繋いでTVモードにするとオープニングから進まなくなる。
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TVモードでのプレイへの対応は、次回作を待つことになる。
総評
Nintendo Switchにおけるパズドラシリーズの先陣を切った今作は、2人対戦に焦点を合わせた内容。
前作『クロス』→アプリ『レーダー』から連綿と続くパズドラ対人戦の潮流を、再び家庭用に提供した作品と言える。
しかし、1人で遊ぶには明らかにボリューム不足なストーリーモードに対し、
対戦重視でやり込もうとすると過去作より改悪された覚醒スキル機能のせいで理想的なサブモンスターの用意に苦労させられる、
どうにも痒いところに手が届かない仕様が目立つ。
ゲーム自体に致命的なバグや設定ミスがあるわけではなくきちんと一つの作品になってはいるのだが、
対戦ゲームとして腰を据えてプレイする遊び方には残念ながらあまり向いておらず、
対戦するならアプリ版で十分とされがちで、本作の評判は芳しくないのが実情である。
特定モンスターの3Dアニメーションなどビジュアル面を目当てに、ファングッズ感覚で購入するのはアリかもしれない。
余談
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本作はパズドラシリーズとしては珍しく、発売後にコンテンツを追加する形式のアップデートが特に行われなかった作品である。
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本作の配信から程なくして、2020年3月にアプリ『パズドラレーダー』がリニューアルされ、『パズドラバトル』に改名された。
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もともと本家『パズドラ』を支援する位置情報アプリだった同作だが、このリニューアルによって対人戦の方が完全にメインコンテンツに位置づけられた。
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コラボキャラクターが入り乱れ混沌としていた環境はシーズン制に改められ、特定のオリジナルリーダーのみが入場できるシステムとなった。ある意味では本作(GOLD)に近いバランスになったとも言える。
最終更新:2024年12月18日 14:23