超次元ゲイム ネプテューヌ Sisters vs Sisters

【ちょうじげんげいむ ねぷてゅーぬ しすたーず ばーさす しすたーず】

ジャンル RPG


対応機種 プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam/GOG.com/Microsoft Store)
Nintendo Switch
Xbox Series X/S
Xbox One
メディア 【PS5/PS4】BD-ROM/ダウンロード
【Win/XSX/One】ダウンロード
【Switch】ゲームカード/ダウンロード
発売元 【PS5/PS4/Switch】アイディアファクトリー
【Win/XSX/One】Idea Factory International
開発元 コンパイルハート
発売日 【PS5/PS4】2022年4月21日
【Steam】2023年1月25日
【Switch】2023年8月10日
【GOG】2023年9月26日
【MS Store】2024年5月22日
定価 【PS5/PS4】8,580円
【Steam】5,150円
【Switch】8,580円
【MS Store】4,650円
【GOG】$49.99
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 なし
ポイント 『四女神オンライン』以来となる女神候補生再登場
重厚なメインストーリーと高品質なLive2Dは高評価
ネタ提供にテコ入れが施された
戦闘アクションの説明不足で評価を落とす
ネプテューヌシリーズ



すぐにわかる。ネプギア。私は、あなたのーーー



概要

『ネプテューヌ』シリーズの正当スピンオフ*1。『新次元ゲイム ネプテューヌVII(R)』の続編に当たる。 『超次元ゲイム ネプテューヌmk2』とそのリメイク『超次次元ゲイム ネプテューヌRe;Birth2 SISTERS GENERATION』以来となる、女神候補生たちが主役を務める。

以後、『新次元ゲイム ネプテューヌVII(R)』を『VII(R)』と、『超次元ゲイム ネプテューヌmk2』を『mk2』と表記する。また、この記事では前作を『VII(R)』のこととする。


ストーリー 

遥か海の先【ぴーしー大陸】からの救援要請を受け、四女神が旅立ったその日、残ったネプギアたち女神候補生は、とある研究施設に足を運んでいた。
そこで出会った【灰色の女神】によってカプセルに閉じ込められ、深い眠りに陥ってしまった女神候補生たちが目覚めたのは、2年後のゲイムギョウ界。
人々は【マジフォン】と呼ばれる最新モデルのスマホを手にし、世界は【スマホ】によってシェア率が占有されていた。
ネプギアは突如大量のモンスターが出現する【バズール現象】によってプラネテューヌが陥落したこと、 姉のネプテューヌが行方不明になったことを告げられる。
帰る場所や姉を失い、絶望に虐げられるネプギア。
これは絶望から希望の未来へ切り開く、女神による女神のための破壊と再生の物語──

(公式サイトより引用)


特徴・システム

シリーズ物のため、過去作と同じ点は簡潔に留め、過去作から変わった点と本作からの新しい要素を中心に紹介する。

ゲームの流れ

  • ADVパート、マップ探索と戦闘を交互にやって進めていく。

戦闘

「アクション」と「戦術」を融合させたバトルシステム。様々なコマンドを駆使して、モンスターを撃破する。シンボルエンカウントの形式で戦闘を開始する。

  • コンボスキル
    • 最も基本的な攻撃方法で、APの消費で発動できる(APは時間経過で回復する)。APが尽きると攻撃できなくなる。戦闘前にコンボスキルの順番や種類を自由にカスタマイズして、オリジナルの攻撃ルートを設計しておく。Lv15以降では2つのルートを設計することができ、1つのルートあたり、4つのコンボスキルを設定できる。
    • コンボスキルには様々な特徴がある。また大きく分けると3種類あり、それぞれ特性が異なる。
      • パワー :攻撃力が高い。
      • ラピッド:ヒット数が多く、後述するタクティカルゲージや女神ゲージを貯めやすい。
      • ブレイク:敵をガードブレイク状態にしやすい。
  • チェイン
    • 操作キャラクターを切り替えることで、連携攻撃ができる。チェインを行えば行うほどダメージ倍率が増加する。最適なタイミングは自動で表示される。
      • APが尽きて攻撃できないときやタクティカルスキル発動中に、切り替えることで常に敵を攻撃することができる。
  • タクティカルスキル
    • 時間経過や攻撃のヒットで蓄積していくタクティカルゲージを消費して、強力な攻撃技やサポート技を出すことができる。また、APを1増加させる。
  • 女神化(変身)
    • 女神ゲージがマックスになることで発動できる。女神化中は、女神ゲージが時間経過で減少していき、無くなると終了する。女神化には以下のような恩恵がある。
      • 基本ステータスの上昇。
      • コンボスキルをAPの消費無しで発動できる。
      • コンボを繰り返すことができる。
      • タクティカルスキルを連発できる。
      • 女神ゲージの残量関係なく、エグゼドライブが発動できる。発動すると女神化は解除される。
  • エグゼドライブ*2
    • 女神ゲージを半分消費することで発動できる。特殊演出とともに、敵に大ダメージを与えることができる。
  • アイテム使用
    • タクティカルゲージを消費することでアイテムが使用できる。
  • パーティー
    • 最大3人まで組むことができる。ストーリーの展開上、1人だけになったりすることもある。
  • 作戦
    • プレイヤーが操作していないキャラクターはAIが操作しているが、「攻め」や「守り」などの指示を出すことができる。戦闘前や戦闘中に変更可能。
  • リリィ編成
    • パーティーに入っているキャラクターと入っていないキャラクター同士でペアを組ませることで、パッシブスキルを付与することができる。
  • フォーメーション
    • バトル開始時のパーティーメンバーの位置を決めることができる。

既存のキャラクター(公式サイトより引用)

  • 4人の女神候補生たちが本作の主人公を務める。
  • ネプギア
    • プラネテューヌの女神候補生。ネプテューヌの妹。お姉ちゃんが好きな真面目でしっかり者の女の子。女神化することでパープルシスターへ変身する。
  • ユニ
    • ラステイションの女神候補生。ノワールの妹。努力家で銃器を愛する女の子。女神化することでブラックシスターへ変身する。
  • ロム
    • ルウィーの女神候補生。ブランの妹。ラムとは双子であり、ロムの方が姉。人見知り気味の内気な女の子。女神化することでホワイトシスターへ変身する。
  • ラム
    • ルウィーの女神候補生。ブランの妹。ロムとは双子であり、ラムの方が妹。元気いっぱいの活発でやんちゃな女の子。女神化することでホワイトシスターへ変身する。
  • ネプテューヌ
    • プラネテューヌの守護女神。持ち前の明るさと元気がウリのハイテンションな女の子。女神化することでパープルハートへ変身する。
  • ノワール
    • ラステイションの守護女神。素直になれないツンデレな女の子。女神化することでブラックハートへ変身する。
  • ブラン
    • ルウィーの守護女神。愛読家で落ち着きのある寡黙な女の子。女神化することでホワイトハートへ変身する。
  • ベール
    • リーンボックスの守護女神。物腰柔らかなゲーマーオタクのお姉さん。女神化することでグリーンハートへ変身する。

新キャラクター(公式サイトより引用)

  • マホ (CV: 鈴代紗弓)
    • スマホ好きの明るく朗らかな女の子。プラネチューヌ近郊で倒れていたところをぴーしー大陸から避難してきたアンリに拾われる。ソフトウェア開発が得意であり、アンリと協力して観測機器を制作し、バズール現象解明のため、日夜励んでいる。
  • アンリ (CV: 大下菜摘)
    • ぴーしー大陸のクリエイター。 冷静沈着で博識な女の子。ぴーしー大陸で起きた事件をきっかけに、ネプギア達のいる大陸に避難してきた難民。楽観的なマホの保護者のような存在であり、彼女のことを思って注意することが多々ある。バズール現象解明のために尽力を注いでいる。
  • 上海アリス*3(CV: ながえゆあ)
    • ぴーしー大陸出身のサバサバとした女の子。誰にでも分け隔てなく接し、誰かを特別視することはない。ネプギア達の大陸へ旅行感覚で来ていたが、ぴーしー大陸の事件やバズール現象の発生によって台無しになり、日銭を稼ぐ日々過ごしている。 霊夢がモチーフなのに、名前が「アリス」なのは気にしてはいけない。
  • ひぐらしのなく頃に*4 (CV: 中原麻衣)
    • ぴーしー大陸出身の親しみやすく優しい女の子。かぁいいものを探してネプギア達のいる大陸を旅していた。可愛く幼い女の子や個性的な造形物をかぁいいものと称して、お持ち帰りしようと目論むことがある。
  • グレイシスター (CV: ????)
    • 正体不明の女神。研究施設でネプギアたちをカプセルに閉じ込め、数年後のゲイムギョウ界まで眠らせた。
  • シーリィ (CV: 春野杏)
    • グレイシスターに忠誠を誓うアンドロイド。質問や会話に的確な回答を行う。
  • エフツーピー (CV: 志田良太)
    • 鎧を纏いし漆黒の戦士。ネプギアたちの前に突如立ちふさがる。

システム

  • みんつぶ
    • 現実の世界で言うところのSNSで、キャラクターのつぶやきやNPCからの依頼を見ることができる。
  • ディスクメイク
    • モンスターの撃破や宝箱の獲得によって入手できるディスクコインや補助アイテムを用いて、様々なスキルを付与できるアイテムを作成することができる。スキルには、クリティカル確率上昇といったキャラクター強化系や獲得経験値増加といった補助系のスキルがある。ディスクの完成にはリアルタイムでの時間経過が必要である。
      • 補助アイテムの名前は「ゆうたのハチミツ」などゲームやアニメをモチーフにしたものが多い。
  • 勢力図
    • 女神とマジフォンによって分割されている。スタート時点では、マジフォン側が100%となっており、依頼を達成する・モンスターを撃破することなどで女神側のゲージが増加する。シェア率によって、イベントの内容やキャラクターのステータスが変動する。
  • ルートビルドや投資といった前作『VII(R)』のシステムの多くが廃止された。
  • コロシアム
    • ミッションが難易度ごとに区切られており、ミッションを達成すると報酬がもらえるという一般的なコロシアム。
    • 練習場が設けられており、練習場ではモンスターの種類・数・動きを設定して模擬戦闘を行うことができる。
  • エンドコンテンツ「ネプトラルタワー」
    • ゲーム終盤に開放されるダンジョン。強力なモンスターを撃破したり、貴重なアイテムを入手しながら、最上階の100階を目指す。100階には特殊なイベントがある。

評価点

女神候補生の再登場

  • 『四女神オンライン』以降の作品から登場の機会は恵まれず、テキストだけの空気同等の扱いが続いた彼女達だったが本作はメインポジションに抜擢されるほどの大復活を果たし、彼女達の顔を拝めると歓喜。
    • シリーズでディレクターを務めた小野寺真吾氏の退社が影響したのか、ネプギア達含む女神候補生を今後どうするかの調整が入り、方針に変化があったと思われる*5
      • 今までの守護女神も、もちろん登場するがメインは女神候補生のため、出番は減らされているが後方支援はしてくれる。

重厚なメインストーリー

  • 本作最大の魅力の一つであり、シリーズ屈指の完成度。ゲームにストーリーの良さを求めるプレイヤーも納得させるであろう内容。序盤や中盤の伏線を見事に回収する終盤の熱い展開や運、気合や魔法といった非科学的な要素に頼らない、論理的で筋道展開は高評価。
    • 序盤、中盤にどちらとも怪しい箇所と伏線らしき要素が散りばめられているのでそういったワクワク感や緊張感を煽ってくれる。
      • 徐々に物語が明るみに出ていくたび少々酷ではあるものの、プレイヤーに衝撃を与えるシリアスな出来事が起きる。
      • 記憶喪失のマホ、数学・物理が得意なアンリやアンドロイドであるシーリィ等、意味のある新キャラクターの特徴もバッチリ掴んでいる。
    • 少々酷ではあるものの、プレイヤーに衝撃を与えるシリアスな出来事。
      + ※ネタバレを含む ゲームオーバーやバッドエンドとは別にキャラクターが自害したり、全滅したりするイベントがある。
    • また上手く活かした『mk2』の設定はファン要素であり、評価点は高い。
      • 『mk2』で登場した最恐の剣や地域がストーリーに絡む。『mk2』のプレイが前提になっておらず、未プレイでも理解できる内容になっている。ただプレイ済みのほうが望ましいのは間違いない。
    • 複雑な展開ではあるものの、専門用語*6を殆ど使用しておらず、また必要十分な説明量で理解が比較的容易。
    • ユーモア、シニカルなサブストーリーとイベントシーンにはメインストーリーで荒んだプレイヤーの心に平穏をもたらしてくれる。
    • 萌えゲーだろうと高を括っていたプレイヤーはストーリーのシリアスさとクオリティーの高さに良い意味で面食らったことであろう。
    • シリーズファンからしても「ネプテューヌシリーズのストーリーってこんなに面白かったっけ??」と驚嘆させられるほどである。

ネタ提供に対してのテコ入れ

  • とくにパロディのネタ提供に関しては批判や時代の流れに合わせて調整が施された。
    • 過去作でもやらないと分からない古臭いネタの数々や『VII』『勇者』『ブイブイブイテューヌ』で企業、作品、個人を侮辱、嘲笑う内容で批判を招かせていた。
    • 公式もこれ以上従来のやり方に限界を感じたのか、メディアをからかうような要素とマイナー及び古い作品のネタは減らされ、近年に起きた時事ネタや実際のゲーム業界・ミーム*7など分かりやすい方のネタへ提供された。
      • 例にセンムーIII*8をワゴンセール行き扱いしているが、「実際にプレイしてみたら結構面白かった」「(続編に)出会えて、すごく嬉しかった」といったフォローがされている。
      • ただし、このテコ入れも色々と評価が分かれる(賛否両論点を参照)。

魅力的なキャラクター

  • ネプテューヌシリーズ最大の目玉といえる魅力的なキャラクターは本作も健在。過去作にあった特定キャラへの優遇or不遇は殆ど見られず、キャラクターの魅力を最大限引き出している。
    • 新キャラクターのマホ・アンリ・グレイシスター・シーリィはストーリーの真相に大きく関わっており、印象に残りやすい。コラボキャラの上海アリス・ひぐらしのなく頃にはサブキャラクターとしての印象が強いが、メインストーリー・サブストーリー共に見せ場がある。既存のキャラクターとの関わりも自然な形となっており好評。
      • コラボキャラに関するストーリーは元の作品を知っていれば、より楽しめる内容になっている。

高品質なLive2D

  • 今作はLive2Dを用いてイラストを動かしている。
  • 滑らかに動くだけでなく、スマートフォンを懐から取り出す・ガッツポーズをするといった比較的複雑な動きも見せてくれる。
    • 魅力的なキャラクターや可愛らしい絵柄も相まって、本作最大の魅力の一つとなっている。
    • クリア後には、キャラクター・表情・ポーズを好きなように設定して鑑賞できるモードが追加される。

豪華な声優陣

  • 中原麻衣氏、ながえゆあ氏、鈴代紗弓氏と評判の良い声優が起用されている。
    • 上で述べたストーリーとLive2Dも相まって、ADVパートを盛り上げる。

進化したグラフィック

  • 過去の作品と比べると、情報量が増しており、クオリティーの向上が感じられる。
    • 特に、キャラクターの造形や主人公の町プラネテューヌの完成度は高いものになっており、ファンからは好きなキャラクターでプラネテューヌを散策するだけでも楽しいとの声あり。
    • クリア後には、フォトモードが開放され、3Dモデルを自由に配置・撮影することができる。

良質なBGM

  • 「Will be Venus」や「Absolute」といった評価の高いBGMが引き続き登場している。
  • 前作『VII(R)』では未登場の『mk2』のBGMが復活した。
  • 新BGMの数自体は少ないものの、いずれも良いものが揃っている。
    • 具体的には、オープニングやボス戦のBGMが挙げられる。

イベントアーカイブの存在

  • クリア後に全てのイベントを見返すことができる。

賛否両論点

戦闘アクション
普通に楽しめるという声と全然楽しめないという声が両方ある。以下が賛否両論となった主な原因である。

  • チュートリアルの説明不足
    • 本作のアクションの楽しみ方は、アクションゲームの一般的な醍醐味であるスタイリッシュアクションで敵を薙ぎ払うといったものや、リアル志向で緊張感のある戦いをするといったものではない。
    • よろけ値・隙の短さ・敵の特徴・敵との距離感などを考慮した最適なコンボスキルとその順番を予め自分で考えて、これを予想通り実現することに楽しみを見出すという、公式サイトにあるように「戦術」やパズル的な要素がかなり強いものとなっている。
    • これがゲーム内で十分説明されていれば、もう少し好評するプレイヤーも多かったであろう。これに気づかずに楽しむのは難しい。
      • 癖があるシステムと説明不足から良く分からず、適当にコンボスキルを設定してしまう。適当に設定すると、敵から反撃をもらったり、攻撃を空振ったりして気持ち良くコンボが続かない。
      • 結果、遠距離から長射程攻撃を連発する・汎用性が高くて強いコンボスキル1つしか使わないといった簡単で作業感の強い戦法を取ってしまうプレイヤーが多い。
    • チェイン(連携攻撃)の存在など、『ファイナルファンタジーVII Remake』や『テイルズオブアライズ』などと類似性が見られるので、同じような感覚でプレイしようとするプレイヤーが多く存在し、これらと比較されて低い評価をされることがある。しかし、実際は異なるゲームプレイが要求されているので、フェアな比較とは言い難い。
    • もっとも、様々な粗のため完成度が高いとは言えないが、十分楽しめるレベルには達している。また、アクションゲームは飽和気味であるので、新鮮な感覚を提供してくれる点や他作品と差別化を図ろうとした点は評価できる。
    • 粗については問題点で述べる。
  • 全体としてゲーム難易度が低め
    • 大体の一般モンスターと一部ボスモンスターは弱く、適当に攻撃するだけでも完封できてしまうことがある。
    • 強めのモンスターでも、苦戦はしてもゲームオーバーにはならない程度である。
    • 難易度の低さから、敵の弱点属性・耐性を突くといったRPGの醍醐味が殆ど形骸化している。低いにしても、「洞窟のモンスターは光属性に弱い」など分かりやすい形であれば、「洞窟マップでは光属性の技が使えるキャラを使おう」といった思索が生じ、面白みが生まれただろう。
    • 獲得経験値が多めでレベルアップが容易。意図的なレベル上げをすること無くクリアできる。また、ストーリーの流れで離脱しているキャラにも経験値が入る。
      • 少々リアリティーに欠くが、手間なレベル上げをする必要がないのは利点と言える。
  • 総合的に見て、歯ごたえのあるゲームを求めるプレイヤーにとっては物足りなく感じる。
  • ただし、ストーリーに重みを置く本作の都合上、易しめのほうが前に進みやすく快適という声もある。
  • 戦闘アクションについてまとめると、楽しもうとするとプレイヤー側にゲームシステムの理解や工夫が必要。楽しみ方を理解したプレイヤーからは「自分なりのコンボを見つけて敵を圧倒するのが楽しい。アクションゲームは飽き気味なのでこういったものもあり。」といった意見も見られ、他作品と比べてクオリティーが低いからつまらないと一蹴するのは早計である。

シリーズウリのバカゲーらしさが減少

  • 上記にある通り、評価点の裏返しになるがパロディのネタ提供にレトロゲーム、古いアニメのパロディネタは従来作シリーズから大幅に減らされた。良く言えば「分かりやすくなった」悪く言えば「バカゲー成分が減少」
    • ネタ提供については『VII』などの悪ノリが過ぎたネタで批判を招いたケースがあり、公式も本作から路線変更したと考えられる。知ってないと分からない細かいネタこそあるがほとんどは近年で話題となった元ネタばかり。
      • 入浴シーンといったお馴染みのお色気要素も特定のキャラクターの体型・外見をディスる会話は削除され、マイルドな内容に。
    • この路線変更は「改善」と捉えるか「劣化」と捉えるかはプレイヤー次第になる。
      • 次回作でもこの路線変更は比較的良好の結果から継続して後の公式が新体制に移行していた発表により、今後のシリーズは本作のような提供方針に舵を取るとされる。

問題点

戦闘アクションの作りの甘さ
賛否両論点で述べた通り、「戦術」の要素が強いアクションと理解してプレイしていることを前提に問題点を述べる。

  • コロシアムの練習場でキャラクターやコンボスキルの変更ができない。
    • 変更したいと思ったときは一度終了する必要があり、短くないロードが挟まるのでテンポが悪い。
    • そもそも、コロシアム以外の場所でも練習できるようにすべきである。
  • コンボルートの保存ができない。
    • コンボスキルを変更した時に復元するのに手間がかかる。
  • 連携攻撃「チェイン」の存在はあるものの、ただただ味方の攻撃のあとに攻撃を加えるという形になっており、連携というよりむしろ追撃に近く、連携しているという感覚が薄い。
    • 前作などにあったコンビネーションスキルのように特定のペアで特殊攻撃というものも無い。
  • 一部技が弱い。
    • 魔法攻撃力が極端に低いキャラクターの魔法攻撃はほとんどダメージを与えられず、使う意味がほぼ無い。
  • 一部コンボスキルの攻撃音が地味で、インパクトに欠ける。
    • 遠距離攻撃の音は十分であるが、剣などの近接攻撃の音が目立たない。
    • 特にハンマーの打撃音が小さく、重量武器で殴っているという感覚が伝わりにくい。
  • 女神化、タクティカルスキルとエグゼドライブの演出面の簡略化が目立つ。
    • 女神化(変身)については「戦闘時の女神化時のムービーが簡素」「継続時間が短い(20秒間)」「プロセッサユニットの変更が不可」「必要なゲージが溜まりにくいので使用頻度が低い」
      • 総じて、本シリーズのウリのはずの女神化の印象が薄くなっており、大きめの問題だと言える。
  • タクティカルスキルについて
    • 1キャラ当たり5つと、数が少なく絵面の多様性に欠ける。さらに、回復・強化アイテムが飽和している時の回復・強化技や魔法攻撃力が極端に低いキャラの魔法攻撃は使う利点がほぼなく、実質的な数は更に減ってしまう。
    • 一部スキルの効果音が小さく、また、カットインやムービーが無いため地味に感じる。
  • エグゼドライブについて
    • 1つしかない。ムービーは過去の作品よりも短く、キャラクターの運動量も少ない。従来の作品のエグゼドライブよりも簡素で、Spスキルと同レベルである*9
  • 全体的にモッサリしている。
    • 主な原因は、技のキャンセルが出来ない、攻撃やガードの硬直が長い*10、初期設定の旋回速度が遅い等だが、これらはプレイヤーの工夫次第である程度改善できるので、比較的軽微な問題。
      • 技のキャンセル: 技のキャンセルがしたい状況というのは、敵の攻撃を回避したいということであるが、技の組み合わせ次第では、敵の攻撃が来る直前に怯ませる・後ろに後退しながら攻撃といったアクションが可能でキャンセルしたいと思う状況が減る。ただし、こういったことができるのはゲームシステムの理解が深まり、技のレパートリーが増える中盤以降である。
      • 攻撃やガードの硬直: 攻撃の硬直は、特定のディスクを装備することで軽減可能(それでも少し長いが)。ガードに関しては、上手いコンボを開拓できれば、そもそも使用する機会が少なくなる。
      • 旋回速度: コンフィグで自分に合った速度を見つければ良い。

マップ探索・構図

  • マップが広くテンポが悪い。また、探索して楽しめる要素が乏しい。
    • マップの広さに限らず、一定時間歩いてから走るというシステムもテンポの悪さを助長している。
      • さらに、道中に障害となる破壊可能オブジェクトがある場合はこれを破壊するために一旦立ち止まって武器を振る→再び少し歩いて走り出すといった流れになり、より一層テンポの悪化を招いている。
    • 同じような地形や特徴の無いマップが多いので、新ステージを探索する楽しみが薄い。草原、洞窟や異空間の割合が主に挙げられる。
      • 特徴の無さが原因で目的地へつながる道を見失いやすく、頻繁に地図を開く羽目になる。
  • 一般モンスターの配置はまばらで、どのモンスターが発生するかランダム要素が絡んでいる。
    • このため、指定のモンスターを複数頭撃破する依頼がとても面倒になっており、モンスター討伐系の依頼は無視するのが望ましい状態になっている。
  • 宝箱の配置は分散している上に、入手するメリットが薄い。
    • 回復・強化アイテム、お金、ディスクコイン、ディスク開発の補助アイテムや武器や防具が手に入るが、賛否両論で述べた通り、全体として低難易度なので、回復・強化アイテムは余りがち。
    • 回復・強化アイテムをショップで買う必要が薄いので、お金も余りがち。よって武器や防具が買いやすく、宝箱から入手する利点があまり無い。といったような連鎖反応が起こっている。
    • 貴重な宝箱専用アイテムなどがあれば、もう少し評価は変わっていただろう。
  • 仕掛け・謎解きは大きく分けて2パターンしかなく、その上簡単なものが殆どなので、単調に感じられる。
    • 指定の位置のスイッチを押して、扉のロックを解除するというものと立方体のオブジェクトを押して、任意の位置に動かすというものでどちらも典型的なものである。
  • 立ち止まったり、別のキャラクターに追い抜かれたりすると、キャラクターが「疲れちゃったの?」や「追い抜いちゃったわ」等と発言するが、一部ネガティブな発言*11もあり、不快に感じることがある。
  • 総じて問題点が多く、マップ探索に関しては「好きなキャラクターを自由に動かす」以外で楽しみを見つけ出すのが困難になっている。

操作可能なキャラクター数

  • パーティーに一緒に組める人数がわずか3人のみで女神(候補生)全員での戦闘が不可能。折角の再登場が水を差す仕様には不満も。
    • 候補生の中から一人は必ずスタメン入りになって状況次第では置物になる。
  • また、使用可能なキャラ自体もPS4/PS5版では8人と歴代シリーズと比較すると少なめ*12
    • Switch版では2キャラ追加されてある程度改善されたが、最初からいても良かったのではとの声も。
  • 『VII(R)』の続編であることを踏まえると、天王星うずめや大人ネプテューヌが登場してもおかしくないが、一切登場しない。
    • 二人は次元旅行に出かけているという解釈はできるもの、作中で一切説明がないので、不満に思うユーザーが多い。
    • 中盤以降にネプテューヌがみんつぶに現れるが、うずめの不在について疑問に思っている様子が見られるので、開発側としては少なからずうずめを登場させていない事については意図的であると思われる。

プレイ環境の快適さ

  • どの媒体でも30FPSである。
    • マシンスペックの都合上、PS4やSwitchで30FPSであるのは普通だとしても、PS5でも30FPSしかでないのは問題。
  • 最適化が十分にされていないのか、PS5でもロード時間が少々長め。

あるトロフィーの獲得難易度

  • モンスターを一定数倒すことで取得できる「紫の死神」が桁を間違っているのではと思うほど要求数が多く、極めて面倒になっている。
    • その数は10000体*13で、1回クリアした段階では1000体前後、エンドコンテンツに相当するネプトラルタワーを攻略してもせいぜい2000体である。
    • 2024年3月時点で、PS4版プラチナトロフィーの獲得率が5.9%~6.0%、「紫の死神」の獲得率が6.0%~6.1%となっており、トロフィーコンプリートの障壁になっていることがうかがえる。

その他の問題点

  • ゲームタイトルが『超次元ゲイムネプテューヌSisters vs Sisters』で、あらすじに「携帯ゲイム機」vs「マジフォン」とあるので、ストーリーの根幹は、妹である女神候補生とマジフォンを開発した人物(姉、妹あるいは姉妹)との戦いのように思われるが…
+ ストーリーのネタバレを少し含む
  • 実際は、女神候補生たちとシリーズ恒例の悪役マジェコンヌとの戦いであり、タイトルが適切ではないと言える。しかし、ストーリーは好評であるため、タイトル詐欺だと批判する人は殆どおらず、ゲーム評価への影響は微々たるものである。
  • より重大な問題は、タイトルと『ネプテューヌシリーズ』のスピンオフという事から、『ネプテューヌシリーズ』のファンの中で、さらに女神候補生好きというニッチな層向けのゲームかのように思われることである。女神候補生好きでなくても、過去の作品を知らなくても、ストーリーに関しては楽しめる内容になっているので、ややタイトルで損をしているように見受けられる。『mk2』や『VII(R)』の流れを汲むので、素直にナンバリングとして、『mk3』や『VIII』とした方が、新規・古参プレイヤー両方が手に取りやすいものになっていたと思われる。

総評

ネプテューヌシリーズのスピンオフは近年作品から評価の悪い部分が目立ち始め、特に『勇者ネプテューヌ』や『ブイブイブイテューヌ』は完成度の低さにファン離れや炎上まで発展している。
それゆえ、「スピンオフはハズレ枠」という認識が定着していたがこれらの問題はさすがにテコ入れが施され、本作は良質なストーリーとLive2Dがプレイヤーの心に刺さり、一定の評価を得ることに成功した。
また、何より長らく出番がなかった女神候補生の再登場が話題を呼び、候補生推しのプレイヤーは復活を大いに喜んだ。

戦闘アクションやマップ探索の問題点を許容できるかどうかはプレイヤーに依るところが多く、世間一般での良ゲーとは言いにくい。
だが、ストーリーの完成度やキャラクターの魅せ方はかなりのものであり、それらを重視するプレイヤーにとっては満足のゆく仕上がりとなっているだろう。


余談

  • シナリオの関連性はないが、本作とシステム的に地続きとなる次回作『超次元ゲイム ネプテューヌ GameMaker R:Evolution』が2023年8月10日に発売。
    • こちらは『VII(R)』で登場した大人ネプテューヌが主役の作品で、同じようにクロワールやゴールドサァドもメインキャラとして再登場している。
  • コラボではない久しぶりの新規作品だが初週売り上げはPS4版で6,268本、PS5版は3,807本と両方振るわず。
    • 完全版、小規模の番外作品を除けば必ず1万~2万本売り上げるシリーズのはずが本作はそれ以下に留まり、近年のスピンオフ作品の低評価続きにファン離れを引き起こした事が響いてしまっている。
  • 2024年2月29日にSwitchやPS4向けに、本作と関わりを持つ『超次次元ゲイム ネプテューヌRe;Birth2 SISTERS GENERATION』の発売ないし移植が発表された。
    • Switch版は2024年5月23日、PS4版は同年8月8日に発売。
  • 2024年5月22日に、本作のXSX/One/Win(MS Store)版が発売。シリーズ開始から14年弱経って初めての、Xboxハードでの展開となる。
最終更新:2025年01月18日 11:13

*1 公式の呼び方。クリアすると正当スピンオフの意味が大体分かる。

*2 公式サイトでは、エグゼドライブとエグゼドライヴの2通りの表記がある。本サイトでは、エグゼドライブとして統一する。

*3 『東方Project』を手掛ける同人サークル「上海アリス幻樂団」とのコラボキャラで、モチーフは博麗霊夢。

*4 『ひぐらしのなく頃に』とのコラボキャラで、モチーフは竜宮レナ、あるいは竜騎士レナと思われる。

*5 過去にディレクターの私情でお気に入りであるネプギアとユニの贔屓が目立ち、その理由も含まれる。

*6 国名と「バズール現象」「マジフォン」や、上で述べた剣や地域くらいである。

*7 例えば、マリカー訴訟・PS5品薄問題やワクチンに関する陰謀論等。

*8 元ネタは『シェンムーIII』。全体的に時代錯誤な点が目立っていた作品。

*9 タクティカルスキルとエグゼドライブの演出の簡素化はアクションゲームとしてのテンポを重要視した結果とも考えられるので、必ずしも問題点とは言えない。

*10 ここでは、「硬直が長い」を「ボタン操作を受け付けない時間が長い」と定義する

*11 例えば、「もたもたしているから、追い抜いちゃったじゃない」などがある。

*12 1周目クリアで10に増える

*13 Steam版の実績については2000体に緩和されている。