ポケモンピンボール
【ぽけもんぴんぼーる】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | ゲームボーイ・ゲームボーイカラー共通 | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | ジュピター | 
| 発売日 | 1999年4月14日 | 
| 定価 | 3,800円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| セーブデータ | 1個 | 
| 周辺機器 | ポケットプリンタ、赤外線通信対応 | 
| 備考 | 振動対応 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ゲームボーイ初の振動機能つき ピンボールゲームに準じた高い難易度
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| ポケットモンスターシリーズ | 
 
概要
ポケモンを題材にした一人用のピンボールゲーム。金・銀が登場する7ヶ月前に発売されたゲームで、初代に当たる赤・緑・青・ピカチュウバージョンと同じ151匹のポケモンが全て登場する。
金・銀に先立ってゲームボーイカラー対応となり、全てのポケモンがカラフルに描写される。
また、携帯機としては初の「振動機能」を搭載したソフトであり、別売りの単4乾電池を挿入することで状況に応じてゲームボーイが振動し、臨場感のあるゲームを味わえる。
システム
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基本はボールをフリッパーで打ち上げ、各種ターゲットに当てて点数を稼ぐオーソドックスなピンボール。
そこに、ポケモンのゲット・進化、ポケモン図鑑の完成という要素が組み込まれている。
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ピンボールゲームでは珍しく、「台揺らし」が
無制限に
行える。
 取扱説明書にも台揺らしを利用した復帰技が記載されており、制作側が意図したテクニックとなっている。
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最初に赤台と青台の2つからプレイする台を選ぶ。それぞれステージの構造と設置ギミック、進めるマップやゲットできるポケモンが異なる。
 台の中央には画面が備えられており、状況によって表示される物が変わる。
 -ゲーム中に「GETモード」「進化モード」「マップモード」に移行することがある。
 いずれも移行には固有の条件を満たす必要がある。さらに制限時間もあるため、移行後は迅速な行動が求められる。
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「GETモード」では野生のポケモンが登場し、出現したポケモンに4回ボールを当てるとゲットになり図鑑に登録される。
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「進化モード」では、そのゲーム中にゲットした未進化ポケモンを選び、台に配置される進化用アイテムを集めることで進化できる。
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「マップモード」では違うマップに行くことができる。入手できるポケモンが変わるので図鑑コンプを目指すなら移動は必須。
 中には複数回マップを移動しないと到達出来ないレアマップも。
 
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ポケモンのゲットで1つ、進化で2つゲージが溜まり、3まで溜まるとボーナスステージに行ける。
 ボーナスステージではポケモンのゲットは不可能。純粋なスコア用ステージとなる。
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フリッパー付近にある「HOLE」ボタンを全て点灯させるとボーナススロットが利用出来る。
 高得点を一気に獲得したり、条件を無視してGETモードや進化モードを発動できたり、ボールのアウト判定を一定時間無効にするボールセーバーを発動したり残機を増やしたり出来る。
 ボールセーバー再発動や残機アップを無制限に行えるのはここだけ。基本的にプレイヤーに有利な結果しか出ないため、積極的に狙いたい。
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概要の通り、振動機能を搭載している。ON/OFFの切り替えが可能だが、ゲームボーイ(カラー)本体でなければ振動しない。
評価点
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ポケモンを集めていく面白さは原作同様。
 151匹のポケモンがフルカラーで出現。一度ゲットしたポケモンはポケモン図鑑に登録され、原作と同じ解説文付きで鑑賞可能。
 本来進化に通信交換が必要なポケモンも通信機能を使わずに進化させることが可能。
 『金銀』に先駆けて、ポケモンゲームがフルカラーとなったのは本作が初。ボールをぶつけると簡単なアクションも取ってくれる。
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ただしミュウだけはボーナスキャラ扱いとなっており、ゲットできない。
 
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子供向けを意識した救済処置の搭載。
各モードに移行すると一定時間「ボールセーバー」状態となり、ボールが落ちてしまってもノーコストで復活出来る。
 制限時間こそあるものの、モードを頻繁に切り替えられれば長い間ボールセーバー状態を維持出来るため、ミスが多いプレイヤーも安心。
 これにより「せっかくポケモンをゲットor進化させられるチャンスだったのにすぐミスしてパーになってしまう」ことが少なくなっている。
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台にもポケモン要素が多数
 各種ギミックにポケモンが割り振られている形だが、シンプルに見ていて楽しい。
 「ピカチュウのボールセーバー」は、メーターを回して電気エネルギーを貯めておくと、アウトレーンに落ちたボールをピカチュウが電撃で弾き飛ばし、復帰させてくれる。
 このとき、ピカチュウ版と同様のCV大谷育江によるピカチュウのボイスも流れる素敵仕様。
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ポケモンシリーズゆかりの楽曲アレンジが多く扱われているBGM
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赤台のメインテーマはトキワシティなどの街のテーマ。青台のメインテーマは当時まだ未発売であった金・銀のエンジュシティなどの街のテーマが使われている。金・銀からは他にもエンディング曲のアレンジがハイスコア更新時のBGMとして採用されている。また、他のアレンジには初代のなみのり使用時BGMや自転車搭乗時BGMなども。
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中でも青台でのGET・進化モード時のBGMはアニメ版ポケットモンスターの主題歌「めざせポケモンマスター」のフレーズが使われている。アニメの主題歌がゲーム内で使用されたのは本作が初。
 
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やりごたえのあるボーナスゲーム。
 ポケモン図鑑には影響しないものの、ボス戦に近い雰囲気があり、ポケモンそれぞれの特徴が生かされている。
 難易度も相応に高く、クリアすることの達成感がある。ミスしても本編での残機には影響しないため、気軽に挑戦出来るのもプラス要素。
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赤台は「多数出現するポケモンたちにボールを直接当てて倒していくディグダ/ゲンガーステージ」、青台は「ステージ上を巡回するポケモンにボールを何度も当てながら目標を達成するニャース/パウワウステージ」と差別化されている。
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そして赤・青台共通して、ボーナスステージを2種ともクリアするとミュウツーと対決できるミュウツーステージが登場する。
 バリアを張りながら制限時間切れを狙う耐久戦を挑んでくるため、的確な狙いが必要。
 ミュウツーステージをクリアすると、次回のボーナスステージは赤台ならディグダステージ、青台ならニャースステージへ戻る。
 
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ゲーム中、いつでも中断セーブ可能。片手間に遊びやすく、携帯機ならではの利点を活かしている。
問題点
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根幹にあるピンボールゲームの難易度の高さはそのまま。
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ピンボールの性質上、狙った場所までボールを飛ばすためには慣れが必要。
 一般的なピンボールより救済措置は多いが、ポケモンのメインターゲットである小学生層にマッチした難易度かというと微妙なところ。
 狙ったポケモンをゲット・進化させるにはボールを狙い通りに撃てるようになってようやくスタートラインなため、そこまでに挫折する子供は少なくなかっただろう。
 
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残機を増やす手段が限定的。
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「ボールセーバーの使用回数」「特定のギミックにボールを当てた/起動させた回数」「ポケモンの入手数」など条件はいくつかあるが、いずれも要求される数が多く初心者には難しい。加えてそれらのカウントはゲームオーバーになる度0に戻る上、ワンプレイ中に一定回数を越えるとカンストとなってしまう。スロットの項目に登場することもあるがやはり回数をこなさなければならず、目押しも厳しい。
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ボールエクステンドが限られるのは長時間やりこむには痛いところだろう。後述する問題点の遠因にもなっている。
 
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一度ゲットしたポケモンは、ゲームを終了するとリセットされてしまう。
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ポケモン図鑑完成における最大の問題点。捕まえたポケモンを最終進化までもっていく前にゲームオーバーになった場合、進化前を捕まえる所からやり直しになる。
 なのにGETモードで出現するポケモンは完全ランダム、しかもレアリティが内部で設定されており出現しにくいポケモンもいる。
 図鑑完成のためには進化ポケモンは捕まえたプレイ中に進化させ切らなければならず、理不尽な難易度上昇を招いている。
 
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マップ移動がランダムかつ限定的でポケモン集めに不自由する。
 本作にはマップ要素があり、マップ毎にゲットできるポケモンも変わる。移動には「マップモード」で条件を満たす必要がある。
 問題なのは、毎回「マップモード」クリアという手間がかかるのと、一部除き
行き先がランダム
なので行きたいマップに行けないという状況が頻発すること。
 後半マップ限定の進化ポケモンともなると、該当マップに移動→捕獲→進化を1ゲームで完遂しなければならないため、難易度は段違い。
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「ポケモンを集めること」自体にゲーム的な意味合いは薄い。
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図鑑埋めはあくまで目標の一つであり、ピンボールで何か有利になる要素はない。
 ゲットしたポケモンを育てたり戦わせたりすることも無く、単なるコレクション要素で終わってしまっている。
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未進化ポケモンは直にボールを当ててゲットする必要があるため、モーションつきのグラフィックが用意されている。
 しかし進化ポケモンは一枚絵のみであり、リアクションなどを確認することもできない。
 
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要するに、ストイックかつ古典的なピンボールに近い部分が多く、これはポケモンを大量にゲットし収集する本作の要素とかみ合っていない。
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もちろん、ハイスコア狙いでのプレイとしては通常のピンボールゲームのように遊ぶことが出来るが、根幹となる要素を一つ自らで阻害している点は無視出来ない。
 
総評
ピンボールゲームとしての完成度は高い。制限のある残機を尽くして大量得点を狙えるボーナスゲームやスロットをうまく使い、ハイスコアを目指していくストイックなゲーム性は維持されている。
これにポケモンの収集要素が混在しており、ハイスコアに興味がない人でもポケモン集めという別の目的を持って遊ぶことができ、幅広いニーズに対応している。
しかし実際はピンボールゲーム固有のストイックさがポケモン収集を阻害しており、たとえポケモン集めに従事するとしても相応の腕がないと集められない。
あくまで本作の肝はストイックなピンボールゲームであり、ポケモン集めをメインとしたものではないと理解していなければ楽しむことは出来ないだろう。
ポケモンの名を冠していながら低年齢向けとはいえず、むしろある程度ゲームの腕がついてきた頃に遊ぶと面白さが理解できる作品である。
余談
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赤緑版以外でポリゴンの分類が「シージーポケモン」になっている数少ない作品。
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図鑑説明はピカチュウ版の丸コピペであり、ニドクインの体重なども訂正されているため、赤緑の図鑑を参考にしたわけではなさそうだが、なぜポリゴンの分類が旧版のままなのかは不明。
 
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後に続編にてポケモンミニ『ポケモンピンボールミニ』、ゲームボーイアドバンス『ポケモンピンボール ルビー&サファイア』が発売。しかし、以降は続編が発売されず、シリーズの動向は途絶えたままである。
最終更新:2025年01月20日 13:56