Tomb Raider I-III Remastered Starring Lara Croft

【とぅーむれいだーわんとぅーすりーりますたー すたーりんぐららくろふと】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 Xbox Series X/S
Xbox One
Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam/GOG.com/Epic Games Store)
発売元 Aspyr
開発元 Aspyr
Crystal Dynamics
発売日 【Switch/PS5/XSX/PS4/One/Steam】2024年2月14日
【EGS】2024年2月15日
定価 【Switch/PS5/XSX/PS4/One】$29.99
【XSX/One 日本版】3,500円
【Steam】3,400円
【EGS】2,880円
レーティング 【Switch/PS5/XSX/PS4/One】ESRB:T(13歳以上対象)
【XSX DL/One DL/EGS】IARC:16+
備考 Switch/PS5/PS4版は日本未発売
XSX/One/Win版のみ日本語対応*1
判定 良作
ポイント 『トゥームレイダー』初期3作のリマスター
時代に合わせた良質な追加要素の数々
オリジナルのPC版限定の追加レベルを全収録
本来の用途以上にゲーム攻略で重宝するフォトモード
トゥームレイダーシリーズ


概要

Core Design開発の『トゥームレイダー』旧シリーズにおける初代(以下『1』)から『3』までのナンバリングタイトルを1つのセットにまとめ、現代風のグラフィック&システムを追加して発売されたリマスタータイトル。
新たな操作系統の他、オリジナル版には存在しなかった便利な機能が数多く追加されている。

日本展開は積極的ではなく、XSX/One/Win版はあくまで「当時の日本コンソール版における日本語音声を搭載+字幕を追加」に留まっており、日本でのSwitch/PS5/PS4での販売は2024年6月15日現在予定されていない。

各ナンバリングのシステムは当該ページを参照のこと。


特徴

  • リマスターされたグラフィックは2Dスプライトだったものが3Dモデルでの描写へと置き換えられ、オリジナル版では把握し難かった「人間や動物を模った模様/文字」などが鮮明に描写されて把握しやすくなった。
    • リマスター版グラフィックにした時のみ、『1』冒頭の洞窟の穴が開いた箇所から雪が降り込むといった背景エフェクトやリアルな光源が追加され、ステージの雰囲気も格段に良くなっている。コアなネタとしては、一部のファンには有名な「インカミイラ」*2の背後が拝める様になった。
    • リアルタイムレンダリングムービーにもリマスターされたグラフィックが反映され、表情の変化もはっきりと分かる。
  • ゲーム中はスタートボタン入力でいつでも(プリレンダリング/リアルタイムレンダリングムービー問わずムービー再生中でも)オリジナル版のグラフィックへと変更可能。
    • 流石にプリレンダリングムービーは完全な録画データなので、リマスター版のグラフィックでもオリジナル版より画質が若干良くなる程度だが。
    • オリジナル版のグラフィックに切り替えた場合、ゲーム内FPSもオリジナル版そのままの30固定となる。
  • 体力や酸素などのゲージUIは小さすぎることで視認性が悪かったPC版ではなく、オリジナルのPS版準拠となっている。
  • メディパックに施された赤十字マークが現在の英国赤十字社が掲げるジュネーブ条約に触れることから、彩色が赤から緑へと変更。
  • オリジナル版で使用できたチートコマンドやバグ、グリッチ、ショートカットコマンドをそのまま再現。
    • 実績の中には「(オリジナル版のバグを再現して)通常入手不可能な位置にあるメディパックを入手する」という、完全に旧シリーズをやり込んだプレイヤー向けのものも。
  • リマスター版はあくまで「日本語に対応」というスタンスであることから、オリジナルのPS版で日本版独自の難易度調整が施されていた各ナンバリング作は本リマスター版では本国版そのままの難度*3となっている。
    • 同様に、リマスター版『3』のニューゲームデータでは各ステージで入手できるクリスタルも体力回復やセーブ機能などの要素が除外された単なる収集アイテムとなった。
  • 『1』のやり残した仕事編におけるレベル順序がオリジナル版から変更。
    • オリジナル版で「エジプト編2レベル→アトランティス編2レベル」だったものが「アトランティス編2レベル→エジプト編2レベル」へと入れ替わっており、オリジナル版と比較した難度曲線の劇的な変化で前半の方が遥かに難しいという有様に。
    • ストーリーラインとしてもアトランティス編のレベル2『THE HIVE』は最終ステージとしてオリジナル版の総決算的な内容であったため、リマスター版ではやり残した仕事編をオールクリアした際の達成感が薄れてしまっている。
    • 公式からの発表は無いが、本国のユーザー間では「アトランティスで生まれたクリーチャーの巣窟はまだ健在しており、それらを拠点ごと全滅させる目的で戻ってきたのだから、本来はこちらの方が正しい順序なのでは?」と目されている。
  • 『3』ではしゃがみ入力を維持して足場をよじ登った際、後述するモダン操作では一瞬だけしゃがみ体制になるもすぐに立ち状態に移行する。クラシック操作ではそのまましゃがみ状態を維持できるため、この点はモダン操作では数少ないデメリットと言える。
  • 各国の言語に対応した字幕が追加。日本語対応版は日本語字幕も用意されている。

追加要素・評価点

モダン操作 本作最大の追加要素であり、より直感的な操作が可能なもう一つの操作形態。従来のクラシック操作*4との相違点は以下。

+ 長いので折り畳み

左スティックを傾けた方向への直接移動&右スティックでのカメラワーク切り替え

  • トゥームレイダー: レジェンド』から採用された現在のTPSジャンルの主流となる操作方法。トゥームレイダーシリーズの区切りにおいては「旧シリーズ=クラシック操作」であったため、この操作の導入は全く新しいゲーム性として旧来のファンには斬新に、新規プレイヤーにはクラシック操作よりも単純に分かりやすく動かせるものとして機能する。
    • 銃の装備中のみ、自動的にクラシック操作へと切り替えられる。このためモダン操作は実質探索、逃走専用の操作系統と言える。

サブボタン

  • クラシック操作の「アクション」に統一されていたシステムの内、「銃撃」「よじ登り」「前方ジャンプ中の掴み動作」がサブ入力として別のボタンへと振り分けられた。
    • クラシック操作ではブロックの押し引きとよじ登りが同じボタンなのでどちらかのシステムが暴発することがあるのだが、モダン操作ではその心配はなくスムーズに進行できる。
    • 後述の各自動掴みと区別する目的で、前方ジャンプ中に任意で掴み動作を実行するのにもサブ入力が別途必要という形になった。これは一部ルートに「掴み動作を発動しなければ届き、掴み動作を発動すると逆に届かない距離にある崖のフチ」という地形がある関係上、前方ジャンプ~掴み動作が自動発動すると進行不能になってしまうためと思われる。
    • 銃撃に関しては『2』以降のナンバリングで水中のギミックを起動する際、水中銃を装備している場合に誤って空撃ちするのを防ぐ目的か。

銃構え状態の自動解除

  • モダン操作ではボタン入力を維持しない限り銃を自動的にホルスタに収納するスタイルとなっている。
    • それ自体は特に利点は無いが、モダン操作では銃構え状態でのみクラシック操作同様の動きとなるため、予期せぬクラシック操作の暴発を防ぐ意味で自動収納は必要だったのだろう。
    • 前方ジャンプ~崖のフチを掴むルートやブロックを押し引きする場面ではボタン操作で銃をしまう必要がないので、クラシック操作への切り替えとは別の面でも自然と便利に機能していると言える。

銃構え状態での自動背後視点移行

  • 銃を構えると、ララがどの方向を向いているかにかかわらず、自動的に現在のカメラに対して背面視点になるよう補正が入る。クラシック操作でのキー横入力で行う旋回を用いた位置調整がモダン操作では不可能なので、背後の真上に垂直ジャンプで捕まるフチがある足場など「その場から動かずにZ軸の正面を横に動かしたい場面」ではこの機能が大いに役に立つ。

空中状態での崖のフチ/ハシゴの自動掴み、及びモンキースイングの自動発動

  • 垂直ジャンプ/ぶら下がり状態からの垂直降下中は各掴み動作が自動的に発動する様になった。ここから手を離す動作はローリング入力に、ハシゴから手を離して降下している途中に再度ハシゴを掴む動作はサブ入力に割り振られている。
    • 常時ボタン入力を維持し続ける必要があったクラシック操作と比較すると指への負担が全くなくなったため、モダン操作の中でも一際大きな改善要素と言える。クラシック操作でのこれらの状態の持続中は後述する致命的な問題点もあるため、ことさら目立つ相違点となる。
    • 『3』に至ってはモンキースイングも前方ジャンプ中に自動発動する様になっている。
    • オプションでは「自動発動」のチェックでオン/オフを選べる様になっているが、モダン操作ではどちらの場合もこれらの掴み動作が自動発動するのでこのオプションは現状意味のないものとなっている。とは言え別段不便さもないので特に大きな問題にはなっていない。

大ジャンプに必要な助走距離の短縮

  • 最低限1ブロック分必要だった助走距離が若干縮まっており、連続大ジャンプ等をスピーディに行えるようになった代わり、単純にバックステップで1ブロック分後退すればよかったクラシック操作に比べてジャンプのタイミングをある程度目視で測る必要が生じている。

カメラワークの任意変更

  • 美しき逃亡者』にて取り入れられたシステムが本作にも導入された。旧シリーズは任意でのカメラワーク変更はできず、「見る」入力で周囲の一定範囲を動かせるのみであったため、これを利用することでステージ探索難度が大幅に下がった。
    • 当初は狭所でカメラを回転させると大暴れして使い物にならなかったり、ララの眼球・歯・舌といった頭部の中身のオブジェが丸見えになったりと『美しき逃亡者』で見受けられたカメラの難点をそのまま引き継いでいたが、アップデートでこれらの難点は無くなり現在は快適に利用できる。

アイテムアイコンの表示機能

  • ゲーム中の設置/ドロップアイテム、アクション入力で起動させるギミック全般はそれらを入手/起動できる状態だとそれを示す手のアイコンが表示可能。
    • なお、当初はエクスクラメーションマークであったが、パッチ1で手のアイコンに変更された。
    • 特に真っ暗闇のルートでフレアを節約したい場合はありがたい機能だろう。他にも床のグラフィックと同化して一目見て把握できないアイテムが存在することを知らせてくれる役目も果たしている。
      • 当初は『1』の中盤ステージ「貯水槽」や『2』の追加レベルなど、キーアイテムの一部が床のグラフィックと同化して全く見えないために、これに気付かない限りどうやっても行き詰ってしまうという致命的な問題があったが、パッチ1で改善された。
    • 利点は無いが、オプションから任意でオフにもできる。

移動中に足場のフチから落下した際、サブ入力で自動反転~フチ掴み状態に移行

  • この仕様により、操作ミスによる落下の危険性が大幅に減ることになった。事前にサブ入力を維持し続けていれば確実に発動するので足場を安全に降りる時にも活用できる。
    • ローリングによる反転中に落下~フチ掴みというやり方以外にも簡単に下の足場に安全に降りられる他、足場の悪いエリアで敵の接触で軸を押されて落とされる様な場所では「足場から意図的に落下し、自動反転フチ掴みを発動して接触を回避する」という戦術も可能になった。

フォトモード

  • ゲーム中の時間を静止し、カメラの自由移動+複数用意されたララのポーズを用いて調整した静止映像を各機種のスクリーンショット機能で保存できるという、近年のゲームに実装される機会も増えてきた機能が本リマスター版でも搭載されている。純粋なフォト機能としての補正要素は非常に少なく、色調補正さえ実装されていないものの、そこはプレイヤーの腕の見せ所。
  • この機能の真骨頂はフォト用途ではなくカメラの自由移動を用いた「地形探索」が可能になること。ギミックをクリアしていないエリアの先には進めないが、それを抜きにしてもエリア内のカメラ移動の自由度は圧倒的。その場から動かずに正規ルートを隅々まで探索できるので行き詰まった場合も攻略を断念するというモチベーションの低下が起こり難く、いささか反則気味とは言えど「外部攻略情報に頼らないゲーム内機能を用いたプレイの継続」を促す要素にもなっている。『2』における1つのステージ内でのシークレット全探索の手間も格段に下がった。
  • フォトモードを起動するとフレアが無効化される仕様があるため、一部の暗所の探索には真価を発揮できない。

ボスの体力ゲージの可視化

  • T-REX、ラーセン、ピエール、ナトラの取り巻きの3人、オペラハウスの番人、タリオンの守護神、ピュナ、ソフィア・リーなどの各ボスの体力がゲージとして追加。目に見えない内部数値としてボスの体力が表示されず、あとどれだけ撃ち込めば倒せるのか分からずに常に緊張感も付き纏っていたオリジナル版と比較すると、明確に体力の減少度合いが把握できるためにそれぞれのボスに対する「倒せるまでの目安」を意識して戦える様になり、かなりの心の余裕が生まれることとなった。

ロード時間の短縮

  • 地味なことではあるが、オリジナル版と比較すると流石にロード時間は雲泥の差。別ステージをロードする際に5秒程度のロードが挟まれる以外は、ステージ内で死亡した際のコンティニュー時のロード時間は皆無。このおかげでトライ&エラーのテンポを損ねることもなく、様々なレスポンスの改善やフォトモードでの探索も踏まえて一層ステージ攻略に没入できる様になっている。

高難易度モード「ニューゲーム+」の追加

  • 本編を一度でもクリアすると解放される。「敵の体力と攻撃力が強化」、「トラップから受けるダメージが増加」、「最初から全ての武器を持っている(弾数は少なめ)」、「ステージ内に回復アイテムが一つも落ちていない」、「一部の中立キャラが最初から敵対している/特定の進行フラグを満たすことで自動的に敵対状態に移行する」といった差異がある。
    • また、『1』と『3』ではセーブシステムがPS1版と同様になっている(『3』はインターナショナル版準拠)他、回復アイテムが落ちていない代わりにセーブ時に体力が全回復するようになっている。
    • 『2』はセーブシステムの変化・セーブ時の体力回復共に無く、ステージ内のシークレットアイテムを全取得した際のご褒美が武器・弾薬ではなく回復アイテムに変化している。

『1』固有の追加要素

  • 任意セーブが可能になった。
    • オリジナル版発売当時、PC版プレイヤーの比率は少なかったであろうことを鑑みれば、「好きなタイミングでセーブができるトゥームレイダーという存在はPC版を触れる機会を得られなかったSS/PS版プレイヤーから見るとそれだけでまるで価値観が違うものである。
  • 『2』以降の新システム「前後ジャンプ中の180度ターン」「水中キックターン」が逆輸入される形で実装。
    • ハシゴ移動自体存在しないため『2』の必須テク*5を活かせることもないが、ローリングやカメラ移動を使わずとも、地上/水中問わず瞬時に視点を後方に切り替えられる点はやはり大きい。

『3』固有の追加要素

  • 「しゃがみ状態からのローリング」と、オリジナル版の『5』から輸入される形で「四つん這い移動中の前転降下」が実装。
    • しゃがみ状態からのローリングは通常時のローリングと異なり180度ターンを行わず、スムーズな高速移動を実現したことでオリジナル版の「移動速度が遅くレスポンスが非常に悪い」という欠点を払拭した。
  • オリジナル版ではアイテムを入手した際に画面右下に入手したアイテムのアイコンが表示されなくなっていたが、リマスター版では『2』までと同様に表示される様になった。
  • ネバダ編で没収されたアイテムが、弾薬・フレア・回復アイテムに限り取り戻せるようになった。これによりネバダ編の攻略を後回しにした際のデメリットが小さくなり、攻略順の自由度が向上した。
    • なお、前述の高難易度モードでは従来通り取り戻せない仕様のままになっている。
  • 南極編の「滅びたティノス」の中盤、シークレットポイントに繋がる空中の透明足場が鮮明に把握できる様になった。
    • オリジナル版ではフレアや銃撃のノズルで光った足場を見分ける必要があった(通常状態でも微かに見えるには見える)が、リマスター版では通常状態でもくっきりと目立つ光で1ブロック単位で足場の位置が分かる様になっている。

問題点

モダン操作におけるゲーム内操作説明の不備

  • 追加要素に示したモダン操作特有の要素はゲーム内で一切説明されない。「ララの家」でのチュートリアルもオリジナル版そのままで、説明があるのはクラシック操作のみ。
    • 「フォトモードの起動」「乗り物の加速方法」「『3』での四つん這い移動中の後退方法」など、モダン操作では特殊な入力が必要となる行動がゲーム内で全く説明されていないおかげで、必要不可欠な移動方法であるにもかかわらずクラシック操作でしか使用できない操作だと勘違いを引き起こす要因になっている。
      • 実際、モダン操作では前後左右ジャンプが銃構え状態でしかできないためにそうした操作形態の使い分けは「モダン操作を選ぶプレイヤー」には必要。
    • 現在は問題ないものの、パッチ2以前は『2』『3』においてモダン操作時の乗り物の操作自体が欠陥レベルと呼べる有様であった。ボートやカヤックはマトモな前進さえできず、ジープに至っては降りるコマンド自体が存在しなかった。
    • 機銃の照準移動に至っては現在も右スティック操作のままなので、射撃=サブボタンをコントローラーの右配置に割り振っていると非常に操作し辛い。オリジナル版は左スティック操作なのだが、ここを差別化する必要はなかっただろう。
  • 他、カメラワークが強制的に切り替わる特定のポイントではモダン操作での移動方向が画面と合致しなくなり、見当違いの方向に移動するという極めて深刻な問題も新たに生まれてしまった。
    • 元々がクラシック操作前提で導入された仕様なので、カメラワーク切り替え自体を無くす以外に改善しようのない問題であるのも確かなのだが…
    • 一応は右スティックの押し込みで強制的に元のカメラワークに戻すことはできるが、「見る」がパッシブ状態となるのでもう一度右スティックを押し込んで解除しないとそのまま動けなくなる。
      • 強制カメラ視点切り替えポイントでは即死トラップが迫る状況も多いので、モダン操作であれば右スティックを「二度」押し込むのを心掛ける様にしておきたい。

一部オブジェの視認性の悪さがそのまま残っている

  • 本リマスター版のグラフィックは調整オプションが一切備わっておらず、透過処理機能や明度/コントラスト/ガンマ調整といったユーザー単位での自由度は皆無。
    • 透過処理機能を実装してしまえばシークレットや死角の敵が透けて見えてしまうといった問題も出てしまうため仕方ない所ではある*6。それでも『3』のインドステージなどは大木の枝を進むルートで視界が一面すべて葉に覆われるという状況が多く、足元の確認や敵を補足する際に視認性が非常に悪いのも事実。
    • 色調補正機能の未搭載に関しては、水中で光源が一切当たらない位置にあるレバーなど、非常に把握し辛い位置にある上に気付かなければそこで進行が止まってしまうというギミックに対してフォローできるものが無いままとなっている。先述したフォト機能の応用による探索中のフレア無効化もあり、特に暗闇エリアが増える『2』の後半ステージは非常に繊細な「気付き」が必要不可欠。人によっては十分挫折要素と言える。
    • アイテムアイコン機能でその場所に起動するギミックがあるということが把握できるとは言え、水中では自由移動+静止位置の関係上ギミック可動範囲外でフォーカス表示されない場合も多く、それも「気付き」を妨げる要因となっている。

モダン操作で敵を銃撃する際の視点

  • 特に高所を陣取って遠景の敵を撃つ際はララと敵の位置関係が画面中心部に重なってしまい、敵がララの手前に隠れて全く見えない状態となる。敵が側面に動いてもララが自動的に敵の正面に位置合わせを行うために、静止状態で敵を撃っている限り敵の姿が把握できない状態が持続する。
  • ここで問題なのは「射撃入力を押し続けている限り、倒した敵でも撃ち続ける」という仕様のおかげで「敵の姿が隠れて把握できないために、射撃を続けている限り敵を倒したのか分からないこと」である。特に敵が同時に2体以上出現した場合、1体を完全に倒したかどうかの確認は敵を全滅させる上で非常に大きなウェイトを占めるため、この仕様は殊更浮き彫りとなる。
    • ララより一回り大きな敵の場合は問題なく、ララと重なって把握できない状態の敵も『2』の雪男など極一部の敵以外は大抵高い段差を昇ってこれないので、ダメージを負う危険性そのものは少ないのが救いと言えば救い。

セーブデータの総数

  • 本リマスター版ではそれぞれのナンバリング毎のセーブデータ保存スロットが32個と大幅に増加しているのだが、1週目/ニューゲーム+/追加レベルのセーブデータを一まとめに管理しているために「やり込む程にセーブデータを圧迫する」という事実に直面することになる。
    • 実際にプレイしてみると分かるが、ニューゲーム+を除いても1週目の各ステージと追加レベルを合わせた総数で見れば32個というスロット数が思った以上に「多くはない」と感じられるだろう。むしろセーブ制限があるニューゲーム+基準で丁度いい数である。
    • ステージ後半になって入手不可能となってしまったアイテムが発覚し、それらを入手するためにあらかじめ作成しておいた別のセーブデータを利用するのは常套手段であり、そのために1ステージに複数個のセーブデータを常備しておくプレイヤーも少なくないであろうことを思えば、せめて現在の倍のスロット数は欲しい所である。

ローカライズ

  • 細かい点ではあるが日本語字幕の漢字の誤変換、脱字がやや目立つ。
    • パッチ2で大部分は修正されたが、未だ修正されていなかったり、新たな脱字も増えたりしている。特に『2』のカルト教団の総帥マルコ・バルトーリに至ってはセーブ/ロード画面では「バトーリ」、字幕では「バルトーリ」、実績名では「バルトリ」と、パッチ3が適用された現在も全く安定していない。
  • 実績の説明文が英語の原文と比べて不親切になっている物が多く、こちらも翻訳の不備を感じさせる。
    • 例えば「ナトラを銃で仕留める」という条件の実績では、ララの攻撃手段が銃しか存在しないためとにかく倒せれば取得できるかと思いきや、実際は特定の武器で倒さなければ取得できない実績になっている。
    • 「ヘリコプターに乗り遅れてララに地団駄を踏ませる」等、何をすればいいのか読み取れない実績もある。
      • いずれも原文ではもう少し具体的な情報が記載されており、条件を理解しやすくなっている。普通にゲームを攻略するだけならば特に問題ないが、やりこみ派のプレイヤーは英語版の実績内容を確認したりといった情報収集が必要になる。
  • 問題点というには軽微だが、オリジナル日本語版で間違ったキーアイテムを使おうとした時等に発していた「ダメだわ」というセリフが収録されておらず、ここだけ英語版のボイスが流れる。

ニューゲーム+の一部進行箇所における運ゲー/詰み要素

  • ニューゲーム+の特徴として上述した「回復アイテムが落ちていない*7」「一部の中立キャラが最初から敵対している/特定の進行フラグを満たすことで自動的に敵対状態に移行する」という仕様により、各ナンバリングでこれらの恩恵を利用した半ば強引な突破を余儀なくされていた場面は最早単なる運ゲーと化してしまった。
    • 『1』のアトランティス編の「アトランティス」中盤~終盤にかけて閉鎖空間でプロトクリーチャー/ケンタウロス/フライヤーを2~4体同時に相手取る道中など、真っ向から挑んでも文字通り瞬殺されるポイントでは敵が接近せずにその場で「射撃モード」に徹するパターンを引けなければミスに直結すると思っていい。
      • 特にプロトクリーチャーは2体以上が基本かつ移動距離の長い跳び掛かりの接触だけで体力の2割(あくまで「ニューゲーム+」仕様)を減らされる上、銃を構えると高速で襲撃し続ける敵を補足しようとカメラが暴れて視界が把握できなくなるという状況に陥り、何をされているかさえ分からないままミスという結果に繋がりやすい(ついでに煽り視点が維持されやすいので足元が把握できないまま落下事故が起こる可能性も高い)。単体の強さだけで見ると、攻撃が射撃のみで接近すれば距離を開けようと旋回移動に徹するケンタウロスの方が遥かにマシ。
    • 『2』のインド洋編「デッキ」の中盤の高所からボートに着地して体力の8割が減る正規ルートも直前のメディパックが無いおかげで、この場所から落下する前に体力全開状態にするには最低でも直前までの各ステージでシークレットを全回収しておく必要がある。このステージでシークレットを全回収できるのはこのボートの着地後なので、このステージだけで対応するのはどうやっても不可能。別ステージを挟んで事前に隠しアイテムを持っていないと容赦なく進行不能となるのが確定するというのは類を見ない詰み要素である。
    • 『3』のネバダ編「ハイセキュリティエリア」ではセーブクリスタルを除いた全アイテム&銃を奪われた丸腰の状態でスタートし、囚人達にMPを倒してもらうことでセキュリティカードを回収するという手順だったものが、「MPも普通に囚人を倒す」仕様のおかげで「各エリアの囚人数人がMPを倒せないまま全員やられ、MPがドロップするキーアイテムを入手する正規手段が無くなる」という状況が発生することがある*8。こうなるとステージ最終盤に銃を取り戻すまで丸腰状態で敵を倒す手段が無い手前、ゲーム進行が不可能という状況に陥ってしまう。この状態でセーブしてしまった場合、先に進めるには「MPを開閉可能な扉のある場所までおびき寄せ、壁のスイッチを起動して扉に挟んで倒す」という最早バグに近い挙動*9を成功させなければならない。これもMPの動きのランダム性から安定させられず、失敗すれば抵抗手段のないままタコ殴りにされて体力が尽きるため、上記のものよりはやり直しが楽とは言え運ゲーから逃れることはできない。攻略とは何なのか。
  • これらを踏まえると『3』はクリスタルを回収する必要があるとはいえ任意のタイミングでのセーブと体力回復が行える(さらに『2』と違って全シークレット回収の手間もいらない)ので、ニューゲーム+独自の要素に対する対策難度そのものは一番緩和されていると言えるかもしれない*10

浅瀬の水場で武器が水中銃に自動変換される(『2』『3』)

  • 本作では水中で銃を構えるとそれまで地上で装備していた直前の銃の種類にかかわらず水中銃に切り替えてくれるという親切要素があるのだが、肝心の「水中と地上の区別」を単純に水場で判断しているのか、下半身のみが水に浸かって泳がずに走ることも可能な浅瀬で唐突にそれまで装備していた銃が水中銃に切り替わり、「地上の敵を撃とうとしたら水中銃を撃つ」といった事態が起こる。
    • 顕著な例としては『2』の後半ステージ『氷の宮殿』の中盤、水中から上陸してイエティを数体相手にするエリアでは浅瀬に出た時点で地上判定となり地上で使う銃が装備できるのだが、完全に水の無い足場に上陸した後に敵の攻撃が当たらない安全地帯となる浅瀬に移動して銃を撃とうとすると勝手に水中銃を空撃ちするハメになってしまう。水中銃自体後半はほぼ使わなくなるのでハープーンが減った所で殆ど影響はないのだが、使う理由が無い武器への意図せぬ自動切り替えはやはり問題と言える。
+ アップデートで改善された問題点
  • パッチ3以前まではクラシック操作で崖のフチ/ハシゴを掴んでいる時orモンキースイング状態でバックメニューを開くと強制的に手を離すという仕様があった。
    • この仕様により、クラシック操作で上述の条件を維持している最中は実質的に回復とセーブ/ロードが封じられた状態となっており、場所によってはその時点で即死確定となっていた。今でこそ削除された仕様であるが、そもそもこの仕様自体オリジナル版には存在しなかった要素である。自動掴み状態が持続するモダン操作ではオリジナル版同様にこの仕様は最初から存在しない。
    • かつてこの仕様が取り入れられていた理由としては、この状態でセーブをして再開した場合は落下状態から始まるので「落下位置が即死ゾーンだとロード→回避不能の即死を繰り返す詰みセーブとなる恐れがある」のが大きいと思われる。クラシック操作では常時アクションボタンの入力を維持し続ける指への負担が非常に大きいために途中でメニューを開いて指を休めるといった行動も取りたくなるので、うっかりこの仕様を忘れてしまい即死ゾーンへの落下が確定してしまった…といった懸念もあったのだが、現在はオリジナル版同様にメニューを閉じる前段階/再開時のロード完了前段階でアクション入力維持状態を受け付ける様になったため、そうした予期しない仕様での理不尽なミスは起こらなくなった。
  • パッチ2以前まではリマスター版グラフィック限定で特定の箇所に新たなテクスチャが設けられていた。
    • 『1』のやり残した仕事編の最終レベルでは、あるシークレット専用ルートにリマスター版のグラフィック限定で檻が追加され、一見して通過できない様に見えるという不必要な錯覚を招いていた。
      • このポイントを通過すると後戻りできなくなる仕様であり、オリジナル版と合わせて見ると本来であればこの檻はこの地点を「通過した後」に表示させるべきグラフィックであるため、初見では確実に「通れない場所を通るバグ」と勘違いする要因であった。現在はアップデートで「正面から見た場合」は透明になる様に修正され、進行上の問題はなくなっているが、フォトモードでカメラを移動させて抜けた先の足場から振り返ると檻が表示されるという妙な仕様に変更されている。
    • 『3』の「ネバダ砂漠」でも特定の滝の奥の空間にアイテムがあるポイントに対し、リマスター版のグラフィックのみ壁のテクスチャが追加されて初見では分からない様に施してあったが、こちらもアップデートで取り除かれている。
      • こちらの件に関しては、オリジナル版のグラフィックでは水中のシェーディングが非常に暗い上に「そのシェーディング効果が常に移動しているためにアイテムが真っ暗な影に隠れて見え辛い」というものだが、リマスター版のグラフィックではそうした事情も解決され遠景からでも簡単にアイテムが確認できるため、壁のテクスチャがあれば絶対に分からず、なければ最早アイテムをわざと把握し難くした上で置いてある意味がないという両極端な例なので調整は難しかった様だ。

総評

『トゥームレイダー』の旧作シリーズと言うと、「レスポンスの悪いクラシック操作にヒントが少な過ぎる謎解き、そして一撃死だらけの超高難度の死にゲー」のイメージが強く、オリジナル版を知る日本人プレイヤーの間では「やり込むか挫折するか」といった極端な二面性を持つシリーズであった。
旧作シリーズの固定ファンは今も存在するものの、過去2回に渡るリブートが行われた歴史からしても、これから旧作シリーズを始めるという新規層の取り込みはほぼ不可能と言えた状況を打破したのが本作。
本リマスター版はグラフィックのアップグレードは程々に、それ以上にシステム面の大幅な改善によって非常に遊びやすくなり、攻略難度も下がったことで、オリジナル版のクリアを断念したプレイヤーこそ手に取る価値があると言える。
日本人プレイヤーは触れる機会が無かった各ナンバリングの追加レベルも搭載されており、価格と比較した単純なボリューム面でも非常にリーズナブルで長く遊べるため、旧シリーズに興味があるプレイヤーはリマスター版から始めることをオススメする。
当時のままのクラシック操作や、さらに難度の上がったニューゲーム+の実装など、歯応えのある要素は新旧問わずしっかりと取り揃えてあるのでオリジナル版をやり込んだ旧来のファンも満足いく内容だろう。


余談

  • 日本語字幕の質に関しては問題点に示した通り一部難アリではあるが、全体的にオリジナル版よりも分かりやすくなっている。
    • 『1』のオリジナル版はステージセレクト時のステージ名やセーブクリスタルを使用する際のメモリーカードの確認などの文章が全て英文そのままであったが、これらも全て翻訳が施されている。
    • 『2』の「強い部屋の鍵」や『3』の「コイン」といったツッコミどころ満載のアイテム名も、それぞれ「保管室の鍵」「オールドペニー」としっかりした日本語訳となった。 残念とか言うな
    • 『3』の失われし遺物編はアップデートでステージ名の訳が大幅に変更されている。「魚たちと眠る」→「魚心あれば水心」、「マッドハウスだ!」→「大混乱」といった風に、原文直訳といっていいステージ名がアップデートで変更された。この点についてはアップデート前の訳の方が日本語としての趣があって好みというプレイヤーもいる模様。
  • 『3』に追加されたしゃがみローリングに関しては、リマスター版発売以前からコミュニティパッチの適用という形で近年PC版限定で先行実装されており、入手機会があればオリジナルPC版でも実行可能。
    • 海外動画サイトで実際にパッチ適用させたプレイ動画もあるので興味があれば検索されたし。
  • 発売当初、Epic版の内容においては光源の角度や水面の揺らめきといったグラフィック部分/フォトモードのポーズ差分などの細かい部分が他機種版よりクオリティーが高いことが発覚し、ちょっとした話題となった。
    • 開発側はEpic版のクオリティー差分については「不完全なアセットを含む開発ビルドであった」と発表しており、その後、他機種版との統一(実質的なダウングレード)が図られることとなった。
  • 2024年4月12日のアップデートパッチ2において、『3』の失われし遺物編におけるレベル4「魚心あれば水心」の開始時に壁に貼られていたララのピンナップポスターが不自然に削除された件が本国のプレイヤーの間で問題とされ、軽い炎上にまで発展した。Steam版はこの件において一時的に低評価が激増した程。
    • これに関しては開発側の想定外の不具合であったらしく、次回のアップデートで該当ポスターを復活させるとのアナウンスが成され、2024年6月8日のアップデートパッチ3で無事復活することとなった。
  • 2024年5月21日、『トゥームレイダー』公式サイトの更新情報にて、日本を除く展開として2024年9月24日にパッケージ版がリリースされることが発表された。
    • 通常のスタンダードエディションの他、Switch/PS5限定でゲーム内マップブックやサウンドトラックが付属したデラックスエディション、さらに全コンソールでデラックスエデイションの内容+トレーディングカードセット・レプリカピストル・各タイトル毎のララのフィギュア等が付属した限定版ゲームコレクターズエディションの3種類の販売形態になるとのこと。この内限定版ゲームコレクターズエディションは6月23日までの予約注文のみで、現時点で販売終了対応となっている。
    • スタンダード&デラックスエディションはドル/ユーロ/ポンドでの支払いに対応。予約販売が終了した限定版ゲームコレクターズエディションはドル支払いのみ対応していた。
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  • トゥームレイダー
  • 2024年

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最終更新:2024年07月02日 00:00

*1 XSX/One版は当初未対応であったが、2024年3月14日のアップデートにて対応。

*2 俯瞰視点/煽り視点に関わらずどの方向からでも、たとえカメラを回転させようとも影響を受けず同じ位置関係でのグラフィックを維持する。ちなみに「インカミイラ」という名称はファンの通称でもなんでもなく、実績名に採用されている公式名称。

*3 オリジナルのPS日本版は敵の耐久値が本国版より低い。日本版『3』では人間の敵をデザートイーグル1発で倒せていたものが、リマスター版では本来のインターナショナル版基準で2発必要となるなど影響は大きい。

*4 4月12日のアップデートで「タンク操作」から名称が変更された。

*5 ハシゴ移動中に後方ジャンプ~空中180度ターン~背後のハシゴに掴まるという一連の流れが要求される正規ルートが存在する。

*6 フォトモードでそれ以上のことができる以上、透過処理機能があった所で対して変わらないという元も子もない話ではあるが…

*7 通常の設置アイテム及び『1』『3』のシークレットも含め、メディパックだったものはすべて弾薬に置き換えられている。

*8 それ自体はニューゲーム時も同じ仕様ではあるが、敵の攻撃力と「MP1人に囚人1~4人」という人数比率の関係上ほぼ無用の心配事であった。一方ニューゲーム+では敵の攻撃力が増加しているため、囚人の総数が1人~2人のエリアでMPが囚人を全滅させてしまう確率はニューゲーム時に比べて遥かに高い。

*9 ドアのテクスチャが貫通している状態のMPが走っている最中、仰け反り動作がなくいきなり血を撒き散らして倒れるので、仕様と言われてもバグにしか見えない。

*10 『3』は『2』以上に体力半分どころではない規模で強制的にダメージを負う場面が増えているのだが、これはニューゲームデータの時点での仕様であり、ぶっちゃけた話「最初の仕様の時点で理不尽」という作りなので気休めにもならないわけだが…