Desert Bus VR
【でざーとばす ぶいあーる】
| ジャンル | シミュレーション |  | 
| 対応機種 | Windows(Steam/SteamVR) | 
| 対応VRヘッドセット | HTC Vive Oculus Rift/Meta Quest
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| 発売元 | Gearbox Software | 
| 開発元 | Dinosaur Games | 
| 発売日 | 2017年11月28日 | 
| 定価 | 無料 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 幻のクソゲーがVR対応でリメイク 8時間ぶっ通しでバスを運転するだけ
 苦しめることに全力を尽くしたゲームデザイン
 ある意味苦行ゲーの走り?
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概要
元々は海外で発売予定だった『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』に収録されていたゲームの一本『Desert Bus』をVR対応でフルリメイクしたもの。
タイトルにVRとあるが、VR機器無しでもプレイ可能となっている。
発売は『Borderlands』シリーズの開発元として知られるGearbox Software LLCが担当している。
『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』とは?
まず、『Desert Bus』の解説をする前に『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』というソフトについて説明しなければならない。
『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』とは、SEGA CD(海外版メガCD)向けに発売予定だったオムニバスソフト。
タイトルにある通り、コメディアン兼マジシャンの「Penn & Teller」の二人が考案した6本のゲームが収録されたオムニバスソフトとして、発売される予定だったが、諸事情によりソフトは発売中止となってしまった。
収録ゲームの多くは、コメディアン兼マジシャンであるPenn & Tellerらしいジョークゲーム及び手品的なゲームが殆どを占めていた。
後にゲームソフトが流出し、収録された6本のうち、『Desert Bus』が注目を浴びるようになったのである。
特徴
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バスを運転するシミュレーションゲーム
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操作方法(キーボード、VR無しで解説)
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Wキーでアクセル、Aキーで左にハンドルを切り、Dキーで右にハンドルを切る。マウスでカメラ操作が可能。
 
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『Desert Bus』のタイトル通り、砂漠の中にある一本道の道路をひたすらバスで運転していくだけのゲーム。
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対向車や障害物、バス停や乗客といった要素は無く、本当にひたすら運転するだけのゲームである。
 
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ツーソンからラスベガスへと向かうのが一応の目的。ラスベガスにたどり着くことによってポイントが獲得できる。
 
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VRモードでプレイしている場合は、モーションコントロールでハンドルを動かすことができる。
問題点
プレイヤーを苦しめることに全力を尽くしたゲームデザイン
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まず、目的地となるラスベガスまでの距離が360マイル(約580キロ)、バスの最高速度が時速45マイル(約時速72キロ)なので、目的地にたどり着くまで最低でもリアルで8時間かかる計算となる。
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前述したように対向車や障害物、乗客といった要素は無い。何もない道路を8時間運転するだけである。
 
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ならば、「Wキーを押しっぱなしにして放置すればよいのでは?」と思った人もいるだろうが、バスは何もしなくても右に段々とズレていくため、放置しようとするとバスがコースアウトしてしまう。
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そして、バスがコースアウトすると、スタート地点まで同じ時間をかけてバックして戻る。つまり、3時間バスを運転してコースアウトしたら、3時間かけてスタート地点に戻るのだ。
 
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ポーズ機能なし。
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一応、Wキーから手を離してバスを止めれば、疑似的に中断することは可能だが、ブレーキが無いため、最高速度から停止するまで1分弱かかる。どのみち面倒なことに変わりはない。
 
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ちなみに8時間かけてラスベガスにたどり着いても、得られるポイントはたったの1ポイント。
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一応、最高スコアは99らしいのだが、どれだけ効率よくプレイしてもスコアをカンストさせるには、1ヶ月以上かかる計算となる。
 
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なお、これらのゲーム内容は、バグや不具合によるものではなく、れっきとした仕様。
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Penn & Tellerの二人に対して「最近(90年代当時)のゲームは暴力的なものが多いので、道徳的なゲームを作ったらどうか」という意見が入り、それに応じて作成したのが本作なのである。
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確かに本作に暴力的な要素は全くないが、「何もない砂漠をバスで運転するだけ」という苦行でしかないゲームにしたのは、意見に対する皮肉・当てつけであることは、明確であろう。
 
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ポーズ機能が無いのも「人生にポーズボタンはありますか?(要約)」と、『Penn & Teller’s Smoke and Mirrors』の説明書に書いてあったそうだ。
 
VRモーションコントローラーでの操作性が悪い
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Rift/QuestのOculus Touchコントローラーではハンドルを握り、コントローラーを傾けて操作するがそれが非常に操作性が悪い。
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感度も微妙に高く、少し動かしたら脱線してしまってやり直しになってしまう。
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とはいえ、VR初期の作品であり、こうした操作性の悪さは仕方ないところだろうか。少なくとも、5年後に発売された『BONELAB』のカートよりは操作しやすい。
これと比べられるレベルな『BONELAB』も大概だが
 
 
フットペダルとハンドルコントローラーに非対応。
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残念ながらVR環境での操作性を改善しようにも、本作はフットペダルとハンドルコントローラーには非対応。
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そのため、VR機器を組み合わせて、没入感最大でプレイしたい人には残念な点。
そんな人が居るのかは別にして
 
評価点?
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原作ではエンジン音しか聞こえなかったが、本リメイク版ではラジオが流れるようになっており、多少は気晴らしになる…かもしれない。
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もっとも、音声は英語である上に、字幕なども表示されないので、英語が苦手な人が内容を理解するのは困難であるが。
 
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道路からコースアウトしそうになると、路肩にぶつかる音が鳴るため、意図せずにコースアウトしてしまうミスを防いでくれる。
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グラフィックがフル3DCGで強化されたおかげで、原作と違って気紛らしに周りを見渡したりすることが可能。
総評
「クソゲー」と呼ばれるゲーム、「クソゲー」を自称するゲームはあれど、意図的に本当のクソゲーとして作られたゲームは本作くらいなものだろう。
とりわけ、プレイヤーに苦しみを与えることに関しては、本作の右に出るものはないと言ってもいいほどの苦しみを味わわせてくれる。
しかし、後述のチャリティーしかり、2010年代後半以降に「苦行ゲー」と呼ばれるジャンルが流行ったことを顧みると、90年代に本作のような苦行ゲーのアイディアを思いついたPenn & Tellerは、先見の明があったのかもしれない。
余談
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2007年から、「Desert Bus for Hope」というチャリティーイベントが開催されている。
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チャリティーの内容は、1時間『Desert Bus』を進めるまでに予定の金額に到達すれば、さらに1時間ゲームを続行するというもの。
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もちろん、それだけだと走者に対して負担がかかるため、1時間ごとに予定の金額はアップしていくようになっている。
 
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バス繋がりのクソゲーとして『CRAZY BUS』が本作の比較対象によく挙げられる。
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「バスが題材」「メガドライブソフト」「ゲームとしては最低クラスの出来」という共通点はあるものの、『CRAZY BUS』が非公認ソフトであるのに対して、『Desert Bus』が(未発売となったが)れっきとした公認ソフトであるという違いはある。
 
最終更新:2025年01月22日 06:48